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青年期 227
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…それから4日後。
朝早くから手紙が届いたらしく、弟が俺と妹を呼びに来た。
「リーゼ、これはどういう事だ?」
「…貴女、いったいなぜこのような事を?」
…俺らが家の中に入ると両親が立っていて、父親は額に手を当てながら尋ね…母親もため息を吐いて尋ねる。
「学園からの手紙を読んだのなら既にご存知かと思いますが、そこに書かれている事が全てです。他に話す事などありませんわ」
「…貴女ねぇ…」
妹の言い訳はせずに認めるような返事に父親はため息を吐いて、母親も呆れ返ったように呟く。
「まあまあ。立ち話もなんだからとりあえず座らない?」
「…それもそうだな」
「ええ」
俺が間を取り持つように提案すると両親は了承し、とりあえずみんなで応接室へと移動した。
「…リーゼ、貴女こんな事態が起きて将来どうするつもりなの?」
「これで周りの評判が悪くなると縁談が来なくなり嫁の引き取り手が居なくなるぞ?」
「私は別に構いません事よ。元々お兄様や兄様ほど優秀で強い人とじゃないと婚約する気はありませんし」
「ええ…」
「まだその条件で…?」
両親の確認するような問いに妹はシレッとした態度で気丈に返し、いい歳しての発言とは思えないようなその内容に俺と弟が若干ヒきながら呟く。
「…リーゼ、もう少し現実を見ろ。リデックほどの男は世界中探しても見つかるかは分からんが…エーデルに近い優秀な男はまだ探せば見つかるはずだ」
「もし居たとしてもそのような優秀な嫡男ならば既に婚約相手がいると思いますよ」
「確かに」
「だよね」
父親が目頭を押さえながら諭すように言うも妹は反論し、俺と弟が賛同する。
「まあ嫡男に限らず優秀なら婚約相手に困る事はないだろうな。女しか生まれない貴族なら跡継ぎが欲しいだろうし」
「兄さんみたいに隠してる人はそもそも見つからないからね。そこらの人たちに紛れて偽装してると思うし」
「…じゃあどうするの?このまま適齢期まで家に居ると貴族間の慣例に従って無理やり嫁入りさせられるわよ?」
俺と弟の補足するような話に母親が妹の将来を心配しながら確認した。
「あー、とりあえずリーゼの面倒は俺が見るよ。家には迷惑かけさせないようにする」
「「リデックが…?」」
「幸いな事に今は領地を複数持ってるから、リーゼに領地を任せて勉強してもらう。もし父さんやエーデルが何かあった時にリーゼが代わりを出来るように」
俺が提案すると両親が不思議そうに聞くので俺は具体的な予定を教える。
「それだと確かに僕も助かるよ」
「私にお任せください。兄様よりも上手くやってみせますわ」
「言ったな」
弟の笑いながらの肯定的な発言に妹は自信満々で挑発的に笑って返し、 弟も笑ったままじゃれ合うかのように言う。
「…ではリーゼの事はリデックに任せるぞ?」
「うん」
「でもどこの領地を任せるつもりなの?ローズナー領は急成長してるからリーゼみたいな素人に任せるとどうなるか分からないし、他の領地もこれからが大事な時期と聞くからリーゼには荷が重いでしょう?」
父親が俺の提案を受け入れるように確認すると母親は不安そうに尋ねた。
「ヴェリュー領なら元から安定してるから任せても大丈夫だと思う。一応代行達も居るし、一緒にやらせるから大丈夫でしょ」
「そう?それなら良いんだけど…」
「心配無用ですわ、お母様。私だってお兄様や兄様の妹ですもの。やれば出来るというところをお見せします」
「貴女のその自信はどこから…?」
俺の説明を聞いてもなお母親は心配そうに妹を見つめ、妹が胸を張って宣言すると呆れたように呟く。
「まあとりあえずリーゼが兄さんの代行として成果を残せば周りの評価も変わってくるだろうから頑張ってね」
「もちろんです」
「…リデック。家に入れている魔物の肉の半分をリーゼのところに渡してくれないか?」
「お。大丈夫なの?」
弟が激励すると父親が少し考えて確認するように提案し、俺は意外に思いながら確認し返す。
「開店の頻度が減少すれば多少の痛手になるが…希少価値を再認識させる良い機会だと切り替えよう。それよりもリーゼ…娘の事の方が大事だからな」
「まあなんだかんだ言っても父さんや母さんは子供に甘いからなぁ…」
「では恒例の料理勝負といきましょう!」
「お。やるからには負けないよ」
「おいおい…もう俺に追いついてるつもりか?まだまだ俺が上だ、って事を分からせてやるよ」
父親の困ったように笑いながらの理由を聞いて俺が笑って親バカを弄ると妹が急に勝負を切り出し、弟が乗り気になるので俺はまだギリギリ料理の腕は負けてない…って事を思い知らせる事に。
「お父様、まだ仕事まで時間はありますよね?」
「ああ。あと一時間ほどだな」
「じゃあ料理時間は30分だね。朝ご飯だし、メインとデザートの二種類で勝負しよう」
「肉はどうする?この前蛇肉や兎肉、鶏肉とか手に入れたけど」
「「えっ!?」」
妹が確認すると父親が時計を見て答え、弟が制限時間や料理の種類を決めるので俺は材料を確認すると弟と妹が同時に驚く。
「へ、蛇肉…?どんな味か興味あるけど…ここはフェアにブルボアの肉を使わない?」
「オッケー。じゃあ行くぜ」
「兎肉…どんな味か気になります…お母様、審査の用意をお願いします」
「ええ。美味しい料理、期待してるわ」
弟は好奇心を出しつつも三人で使う肉を指定し、俺が了承して厨房への移動を促すと妹も好奇心を出して呟きつつ母親に頼んで移動する。
朝早くから手紙が届いたらしく、弟が俺と妹を呼びに来た。
「リーゼ、これはどういう事だ?」
「…貴女、いったいなぜこのような事を?」
…俺らが家の中に入ると両親が立っていて、父親は額に手を当てながら尋ね…母親もため息を吐いて尋ねる。
「学園からの手紙を読んだのなら既にご存知かと思いますが、そこに書かれている事が全てです。他に話す事などありませんわ」
「…貴女ねぇ…」
妹の言い訳はせずに認めるような返事に父親はため息を吐いて、母親も呆れ返ったように呟く。
「まあまあ。立ち話もなんだからとりあえず座らない?」
「…それもそうだな」
「ええ」
俺が間を取り持つように提案すると両親は了承し、とりあえずみんなで応接室へと移動した。
「…リーゼ、貴女こんな事態が起きて将来どうするつもりなの?」
「これで周りの評判が悪くなると縁談が来なくなり嫁の引き取り手が居なくなるぞ?」
「私は別に構いません事よ。元々お兄様や兄様ほど優秀で強い人とじゃないと婚約する気はありませんし」
「ええ…」
「まだその条件で…?」
両親の確認するような問いに妹はシレッとした態度で気丈に返し、いい歳しての発言とは思えないようなその内容に俺と弟が若干ヒきながら呟く。
「…リーゼ、もう少し現実を見ろ。リデックほどの男は世界中探しても見つかるかは分からんが…エーデルに近い優秀な男はまだ探せば見つかるはずだ」
「もし居たとしてもそのような優秀な嫡男ならば既に婚約相手がいると思いますよ」
「確かに」
「だよね」
父親が目頭を押さえながら諭すように言うも妹は反論し、俺と弟が賛同する。
「まあ嫡男に限らず優秀なら婚約相手に困る事はないだろうな。女しか生まれない貴族なら跡継ぎが欲しいだろうし」
「兄さんみたいに隠してる人はそもそも見つからないからね。そこらの人たちに紛れて偽装してると思うし」
「…じゃあどうするの?このまま適齢期まで家に居ると貴族間の慣例に従って無理やり嫁入りさせられるわよ?」
俺と弟の補足するような話に母親が妹の将来を心配しながら確認した。
「あー、とりあえずリーゼの面倒は俺が見るよ。家には迷惑かけさせないようにする」
「「リデックが…?」」
「幸いな事に今は領地を複数持ってるから、リーゼに領地を任せて勉強してもらう。もし父さんやエーデルが何かあった時にリーゼが代わりを出来るように」
俺が提案すると両親が不思議そうに聞くので俺は具体的な予定を教える。
「それだと確かに僕も助かるよ」
「私にお任せください。兄様よりも上手くやってみせますわ」
「言ったな」
弟の笑いながらの肯定的な発言に妹は自信満々で挑発的に笑って返し、 弟も笑ったままじゃれ合うかのように言う。
「…ではリーゼの事はリデックに任せるぞ?」
「うん」
「でもどこの領地を任せるつもりなの?ローズナー領は急成長してるからリーゼみたいな素人に任せるとどうなるか分からないし、他の領地もこれからが大事な時期と聞くからリーゼには荷が重いでしょう?」
父親が俺の提案を受け入れるように確認すると母親は不安そうに尋ねた。
「ヴェリュー領なら元から安定してるから任せても大丈夫だと思う。一応代行達も居るし、一緒にやらせるから大丈夫でしょ」
「そう?それなら良いんだけど…」
「心配無用ですわ、お母様。私だってお兄様や兄様の妹ですもの。やれば出来るというところをお見せします」
「貴女のその自信はどこから…?」
俺の説明を聞いてもなお母親は心配そうに妹を見つめ、妹が胸を張って宣言すると呆れたように呟く。
「まあとりあえずリーゼが兄さんの代行として成果を残せば周りの評価も変わってくるだろうから頑張ってね」
「もちろんです」
「…リデック。家に入れている魔物の肉の半分をリーゼのところに渡してくれないか?」
「お。大丈夫なの?」
弟が激励すると父親が少し考えて確認するように提案し、俺は意外に思いながら確認し返す。
「開店の頻度が減少すれば多少の痛手になるが…希少価値を再認識させる良い機会だと切り替えよう。それよりもリーゼ…娘の事の方が大事だからな」
「まあなんだかんだ言っても父さんや母さんは子供に甘いからなぁ…」
「では恒例の料理勝負といきましょう!」
「お。やるからには負けないよ」
「おいおい…もう俺に追いついてるつもりか?まだまだ俺が上だ、って事を分からせてやるよ」
父親の困ったように笑いながらの理由を聞いて俺が笑って親バカを弄ると妹が急に勝負を切り出し、弟が乗り気になるので俺はまだギリギリ料理の腕は負けてない…って事を思い知らせる事に。
「お父様、まだ仕事まで時間はありますよね?」
「ああ。あと一時間ほどだな」
「じゃあ料理時間は30分だね。朝ご飯だし、メインとデザートの二種類で勝負しよう」
「肉はどうする?この前蛇肉や兎肉、鶏肉とか手に入れたけど」
「「えっ!?」」
妹が確認すると父親が時計を見て答え、弟が制限時間や料理の種類を決めるので俺は材料を確認すると弟と妹が同時に驚く。
「へ、蛇肉…?どんな味か興味あるけど…ここはフェアにブルボアの肉を使わない?」
「オッケー。じゃあ行くぜ」
「兎肉…どんな味か気になります…お母様、審査の用意をお願いします」
「ええ。美味しい料理、期待してるわ」
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