子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神

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青年期 195

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「…ぐっ…!」

「…よし、捕まえた」


騎士の馬にぶつかると同時に分身の俺が手を伸ばして騎士の腕を掴み、そのまま本陣の囲いを抜けるように馬を走らせる。


「…ここらでいいかな」

「がっ!」


…そして本陣から5分ほど離れた場所で分身の俺は掴んでいた騎士を放り投げた。


「さて。このまま撤退して欲しいところではあるんだけど…撤退する気はある?」

「なんだと…?ふざけるな!」


馬を飛び降りての分身の俺の確認に騎士の男は怒ったように拒絶して護身用っぽい少し短めの剣を抜く。


「…ああ、そう」

「一対一なら勝てると思ったかバカめ!貴様の命運もここまでだ!死ねぃ!」


分身の俺が残念に思いながらため息を吐くと騎士の男がフル装備にも関わらず素早い動きで距離を詰め、剣を袈裟斬りに振るう。


「…ごめん、今回は遊んでる暇が無いんだ」

「なっ…!?がっ…!」


分身の俺は普通に素手で剣の刃を左手で掴んで受け止め、謝りながら驚愕した騎士の男の首を右手で掴んで絞める。


…そのまま締め落とした後に分身の俺は馬に乗せてるバッグからロープを取り出して騎士の男を拘束し、馬に乗って本陣へと戻った。


「大将倒したり!この猟兵隊の団長である自分がライツの大将倒したり!」

「なっ…!?」

「なんだと!?」

「そんな事が!?」


敵本陣を突撃して横断しながら勝ち鬨を上げるように高らかに勝利宣言をすると敵兵達が動揺して混乱し始める。


「…大将倒したぞー!大将倒した!本陣は逃げるぞ!撤退するぞー!」

「なにっ!?」

「本陣が撤退!?」

「じゃあ負けたのか!?」


その後に猟兵隊の突撃を食らっている三万の軍勢に分身の俺が背後から突撃して横断しながら叫ぶと、やはり動揺し出した。


「よし!指揮官が居なくなればこっちのもの!このまま押し切るぞ!」

「敵は動揺している!このまま勝つ!」

「突撃あるのみだ!目の前の敵は薙ぎ払うよ!」


…猟兵隊に近づくと隊長達が団員達の士気を上げ、敵の士気を下げるように声を上げながらライツの兵達をバッタバッタと倒していく。


「ひっ…!」
「本陣が撤退したんなら…!」
「うわー!もうダメだ!」
「逃げろー!」


…まだまだ兵数では圧倒的に多いライツの兵達は猟兵隊の勢いと負け戦のような雰囲気に恐れをなしたのか、次々と逃げ出し始める。


「おい!勝手に持ち場から離れるな!」

「まだ撤退の合図は出ていない!逃げるな!戦え!」

「待てお前ら!どこへ行く!戻れ!」


…兵を束ねている現場指揮官達は慌てて逃亡兵達を引き留めるように叫ぶが、時既に遅し…


もはやライツの軍勢は陣形というテイを為さずに逃亡兵だけではなく投降する兵まで続々と出て来る始末。


「…お」


どうやら敵本陣も撤退しているのかどんどん退がって行っているので、俺ら猟兵隊とライツの軍勢がぶつかって約一時間ほどで俺らが勝利した。




ーーーーー




「…さて。ココでの戦いは勝ったし、宿営地に戻ろうか」

「ああ」

「了解だ」


戦場で捕まえた捕虜や投降兵を拘束し終わった後に分身の俺が一旦帰還の指示を出すと隊長達は了承してすぐさま行動に移る。


「…しかし、まさか本当に勝てるとはな…」

「ああ。半壊ぐらいは覚悟していたが…重傷者すら一人も居ないとは…」

「やっぱり団長が先に突っ込んで相手を撹乱させたおかげかな?」

「そうだな。敵は混乱していて陣形も何もあったもんじゃなかった」


宿営地へと帰還してる最中に隊長の一人が今でも信じられないような感じで呟くと他の隊長が同意し…


別の隊長は無傷の勝利に至った要因を予想して他の隊長が賛同した。


「いやいや、みんなの実力でしょ。いくら敵が浮き足立ってたとしてもビビって半端な突撃だったらすぐに立て直されただろうし」

「そうだね。キッカケは団長が与えてくれたとしても、そのチャンスをモノにして敵の大軍勢に勝てたのはあたし達全員が実力を出し切ったからだ」


分身の俺が一部否定するように隊長達や団員達を褒めるように言うと女性が同意して笑う。


…そんなこんな、みんなで雑談のように話しながら宿営地へと戻り…


宿営地で待機させていたローズナーやガウ、ヴェリューの兵達と合流する。


「…んじゃ、少し休憩してから作戦通りに部隊を三つに分けてからの追撃をしよう」

「分かった」

「早く終わったからあんまり疲れてないけどね」

「これから敵を国境まで追い出す追撃が一番時間がかかる。今の内に身体を休めた方が良い」


分身の俺の指示に隊長の一人が了承すると他の隊長が笑いながら返し、別の隊長が軽く説明して休憩を促した。


「敵がさっさと投降してくれたら楽なんだけどねぇ」

「全くだ」

「どうせ逃げるんだから抵抗せずに降伏して欲しいよね」

「まあ、追撃する時に呼びかけてみるよ。もしかしたら諦めてくれるかもしれないし」


分身の俺が笑いながら言うと隊長達も笑って賛同し、分身の俺は無駄かもしれないが一応敵に降伏や投降を促す事を提案する。


「…団長が呼びかければ敵は諦めるかもしれんな」

「単騎で三万余り敵陣を突破し、更に一万余りの本陣に切り込んで敵の指揮官を捕らえるなどライツからしたら脅威的で恐怖でしかない」

「…確かにな。今の我々を相手に単騎で乗り込んで団長を捕らえるようなものだ」


すると隊長の一人が笑って効果がある事を告げると他の隊長達もその意見に同意するように笑う。
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