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青年期 186
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「…しかしそのような軍勢を仕向けて来た、という事は…牽制だけでは済まなそうだ」
「おそらく隙を狙って砦を攻め落とそうと様子を見ていた可能性も考えられます。辺境伯の判断が遅れていたら危なかったかもしれません」
青年が警戒して相手の意図を予想するように言うので分身の俺は賛同して青年を褒めた。
「…こちらの数は騎士団を合わせても約5000、あの将軍の『万の軍勢と戦えるほどの戦力を持つ』という評価が本当ならば厳しい戦いになる事も考えられる…」
援軍が来られると更に厳しくなるか…と、青年は敵の戦力を予想してこれからの事を考えるように呟く。
「もし敵が増援を呼ぶようであれば自分も猟兵隊を呼んで来ます」
「おお!そうか!それはなんとも心強い!」
分身の俺が楽観的な感じで仮に敵が増えた時の想定して対策を話すと青年は嬉しそうに喜ぶ。
「…もし…もしもあの部隊が前の時と同じ部隊であるのならば少し試したい事があるのですが…」
「試したいことだと?」
分身の俺はふと面白い事を思いついてしまったので青年に許可を取るように聞くと不思議そうに返された。
「…ちょっとアッチに行ってみていいですか?戻って来たら門を開けてくれると助かります」
「…分かった」
分身の俺が敵兵達を指差して確認を取ると青年は不思議そうな顔のまま了承してくれるので…
分身の俺は城壁から飛び降りて敵兵達に向かって歩いて近づく。
「やーやー!我こそはラスタの元傭兵団、『猟兵隊』の団長なるぞ!誰ぞ一騎打ちを受ける者はおらんか!」
…ある程度まで近づいて分身の俺が大声で名乗りを上げ、一騎打ちを申し入れると敵兵達がざわつき始める。
「…面白い!あの猟兵隊の…それも団長との一騎打ちならば望むところよ!」
「いや、俺が先だ!」
「おお…」
敵兵の中から申し出を受ける奴が出てくるとその後ろからまた一人申し出を受ける奴が出て来て…
分身の俺はまさかいるとは…と、意外に思いながら呟く。
「じゃあ勝ち抜き戦って事で…俺が勝ったら撤退してもらうよ」
「ならば俺達が勝てばその砦を寄越せ!」
「あ、ごめん。それは無理」
「な…!」
「今回は指揮官じゃないから何の権限も無くてね」
分身の俺が勝手にルールを押し付けて勝った時の条件を告げると敵兵はアッチが勝った場合の条件を追加してきたが、謝って断ると絶句するような反応をされたので分身の俺は理由を話した。
「ならばこちらも撤退するわけにはいかんな」
「そう?じゃあ一騎打ちは無しって事で…」
「待て!」
敵兵の一人の駆け引きをするような拒否に分身の俺が諦めてアッサリと引き下がり、砦に戻ろうと背を向けるともう一人の敵兵が引き止めてくる。
「砦を渡せないと言うのならば、せめて猟兵隊だけでも撤退させろ。俺達が負けたら撤退する」
「うん?残念ながら猟兵隊はまだ来てないんだけど…俺が負けたらこの戦いに参加させない、って条件ならいいよ」
「…それでいいな?」
「…仕方ない。コイツさえ倒せば後は増援を待ってすり潰すだけだ。いくら噂に名高い猟兵隊とて頭が居なければ取るに足らん」
敵兵の提案に分身の俺が訂正や修正するように返すとあと一人の兵に確認し、その敵兵はため息を吐くように認めて許可を出す。
「よし!そうと決まれば…」
一騎打ちでの勝敗後の条件が決まると敵兵の一人が気合を入れるように言って背を向け、敵陣へと戻って行く。
「誓約書が出来るまで待っていてもらおうか」
「じゃあ出来たら砦に持って来て。一人で来るなら攻撃しないように…って伝えておくから」
「…分かった」
その場に残ったもう一人の敵兵の断りを入れるような発言に分身の俺がそう返すと、敵兵は面白くなさそうな顔をしながらも了承した。
「…ははは、面白い。一騎打ちにて決めるつもりか」
「…睨み合いを続けていてもお互いに無駄に時間を消費するだけですから」
分身の俺が砦に戻ると城壁の上から一部始終を見ていた青年が笑いながら出迎えてくれ、分身の俺は上手くいけばアレで逃げると思ったんだけどなぁ…と思いながら一騎打ちを挑んだ理由を話す。
「しかしなぜ直ぐに戦わずに離れたのだ?」
「ドードルでは一騎打ちの後の約束を相手に守らせるために誓約書を作成する、という流儀がありまして…」
「ほう?勝利後に反故されないように、か…?なるほど」
「個人同士のやり取りならともかく、兵を率いる者が敵とはいえ約束を交わしたのにソレを反故にする…では面目がありませんから」
実際反故にした公爵は直ぐに兵達に離反されましたし…と、分身の俺は青年の疑問に体験談を例に挙げて説明する。
「…確かに。ただ強いだけでは…『どんな手段を取ろうとも勝てば良い』という考えでは人はついて来ない」
「そういう人は裏切られて殺される末路を辿りますからね。力や強さを誇示するのであれば戦い方や勝ち方にも拘る必要があります」
青年が納得したように言い、分身の俺は前世の記憶による歴史の知識を話してその末路を避ける方法を教えた。
「おそらく隙を狙って砦を攻め落とそうと様子を見ていた可能性も考えられます。辺境伯の判断が遅れていたら危なかったかもしれません」
青年が警戒して相手の意図を予想するように言うので分身の俺は賛同して青年を褒めた。
「…こちらの数は騎士団を合わせても約5000、あの将軍の『万の軍勢と戦えるほどの戦力を持つ』という評価が本当ならば厳しい戦いになる事も考えられる…」
援軍が来られると更に厳しくなるか…と、青年は敵の戦力を予想してこれからの事を考えるように呟く。
「もし敵が増援を呼ぶようであれば自分も猟兵隊を呼んで来ます」
「おお!そうか!それはなんとも心強い!」
分身の俺が楽観的な感じで仮に敵が増えた時の想定して対策を話すと青年は嬉しそうに喜ぶ。
「…もし…もしもあの部隊が前の時と同じ部隊であるのならば少し試したい事があるのですが…」
「試したいことだと?」
分身の俺はふと面白い事を思いついてしまったので青年に許可を取るように聞くと不思議そうに返された。
「…ちょっとアッチに行ってみていいですか?戻って来たら門を開けてくれると助かります」
「…分かった」
分身の俺が敵兵達を指差して確認を取ると青年は不思議そうな顔のまま了承してくれるので…
分身の俺は城壁から飛び降りて敵兵達に向かって歩いて近づく。
「やーやー!我こそはラスタの元傭兵団、『猟兵隊』の団長なるぞ!誰ぞ一騎打ちを受ける者はおらんか!」
…ある程度まで近づいて分身の俺が大声で名乗りを上げ、一騎打ちを申し入れると敵兵達がざわつき始める。
「…面白い!あの猟兵隊の…それも団長との一騎打ちならば望むところよ!」
「いや、俺が先だ!」
「おお…」
敵兵の中から申し出を受ける奴が出てくるとその後ろからまた一人申し出を受ける奴が出て来て…
分身の俺はまさかいるとは…と、意外に思いながら呟く。
「じゃあ勝ち抜き戦って事で…俺が勝ったら撤退してもらうよ」
「ならば俺達が勝てばその砦を寄越せ!」
「あ、ごめん。それは無理」
「な…!」
「今回は指揮官じゃないから何の権限も無くてね」
分身の俺が勝手にルールを押し付けて勝った時の条件を告げると敵兵はアッチが勝った場合の条件を追加してきたが、謝って断ると絶句するような反応をされたので分身の俺は理由を話した。
「ならばこちらも撤退するわけにはいかんな」
「そう?じゃあ一騎打ちは無しって事で…」
「待て!」
敵兵の一人の駆け引きをするような拒否に分身の俺が諦めてアッサリと引き下がり、砦に戻ろうと背を向けるともう一人の敵兵が引き止めてくる。
「砦を渡せないと言うのならば、せめて猟兵隊だけでも撤退させろ。俺達が負けたら撤退する」
「うん?残念ながら猟兵隊はまだ来てないんだけど…俺が負けたらこの戦いに参加させない、って条件ならいいよ」
「…それでいいな?」
「…仕方ない。コイツさえ倒せば後は増援を待ってすり潰すだけだ。いくら噂に名高い猟兵隊とて頭が居なければ取るに足らん」
敵兵の提案に分身の俺が訂正や修正するように返すとあと一人の兵に確認し、その敵兵はため息を吐くように認めて許可を出す。
「よし!そうと決まれば…」
一騎打ちでの勝敗後の条件が決まると敵兵の一人が気合を入れるように言って背を向け、敵陣へと戻って行く。
「誓約書が出来るまで待っていてもらおうか」
「じゃあ出来たら砦に持って来て。一人で来るなら攻撃しないように…って伝えておくから」
「…分かった」
その場に残ったもう一人の敵兵の断りを入れるような発言に分身の俺がそう返すと、敵兵は面白くなさそうな顔をしながらも了承した。
「…ははは、面白い。一騎打ちにて決めるつもりか」
「…睨み合いを続けていてもお互いに無駄に時間を消費するだけですから」
分身の俺が砦に戻ると城壁の上から一部始終を見ていた青年が笑いながら出迎えてくれ、分身の俺は上手くいけばアレで逃げると思ったんだけどなぁ…と思いながら一騎打ちを挑んだ理由を話す。
「しかしなぜ直ぐに戦わずに離れたのだ?」
「ドードルでは一騎打ちの後の約束を相手に守らせるために誓約書を作成する、という流儀がありまして…」
「ほう?勝利後に反故されないように、か…?なるほど」
「個人同士のやり取りならともかく、兵を率いる者が敵とはいえ約束を交わしたのにソレを反故にする…では面目がありませんから」
実際反故にした公爵は直ぐに兵達に離反されましたし…と、分身の俺は青年の疑問に体験談を例に挙げて説明する。
「…確かに。ただ強いだけでは…『どんな手段を取ろうとも勝てば良い』という考えでは人はついて来ない」
「そういう人は裏切られて殺される末路を辿りますからね。力や強さを誇示するのであれば戦い方や勝ち方にも拘る必要があります」
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