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青年期 185

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…数日後。


ローズナーやガウから退避させていた兵達との共同演習を終えた猟兵隊が戻って来た。


「やー、お疲れさん。どうだった?」

「地形を利用すればなんとか防衛の形にはなりそうだ」

「罠を仕掛けたり、進路を誘導したりすれば相手が万の軍勢で来ても半年は粘れるよ」

「だけど…もし他の領を攻め入ってからの包囲をされると戦線が広がるから厳しくなると思う」


自室に来た隊長達に俺が労いの言葉をかけて確認すると隊長達は感想を報告してくる。


「相手の隙を突く形にはもっていけそう?」

「山や森を利用すれば可能だ」

「しかし敵が万の軍勢を率いていた場合、生半可な戦力では大して効果的な打撃は与えられないだろう」

「…なるほど…」


俺の問いに隊長達は条件を揃えれば限定的に可能、と肯定するので…


俺は地図を広げて駒を用意し、隊長達の演習でとった作戦とかを聞く事に。


そして翌日。


北の国境にライツが攻めて来たらしくウィロー伯爵からローズナーの兵を動員するよう要請が来たが、ガウ領の治安回復を口実に断った。


するとその二日後、西の国境にドードルが攻めて来たらしく…


辺境伯からの援軍要請は来てないが、アッチの公爵の兵はどんなものか…と思って分身に国境の様子を見に行かせる。


「…ん?意外と数が少ないな…斥候とか様子見か?」


分身の俺はドラゴンに変身したまま戦場を空から観察し、ドードルから来た兵の数の少なさに不思議に思いながら呟く。


「…ん?おおっ!ゼルハイト卿ではないか!」


…どんな状況なのか情報を集めようと城塞都市の中に入るとちょうど騎士団を率いて出陣しようとしていた辺境伯である青年に見つかってしまった。


「…お久しぶりです」

「どうやらついにドードルが動いたようでな。数は3000ほどの少数らしいが、中々やるとの報告を受けている」

「それで今から砦にですか?」


分身の俺が挨拶をすると青年は出陣する理由を話すので分身の俺は馬に並走して歩くようについて行きながら尋ねる。


「ああ。俺が前線に入れば領民達も安心するだろうからな」

「確かにそうですね」

「ゼルハイト卿もぜひ同行してもらえないか?なにか用事があるのならば断ってくれて構わないが」

「ではご一緒させてもらいます」

「こちらに馬を一頭回してくれ!」

「あ、大丈夫です。近いんで走って行きます」

「そうか」


青年の返答に同意すると前線への同行を求められ…


分身の俺が了承すると騎士団の部下に指示をするので、分身の俺はやんわりと断って砦まで走る事に。




ーーーーー




「…おっ」


…辺境伯や1000名の西方騎士団と共に城塞都市から一番離れた砦へと入り、分身の俺は城壁の上に登ってドードルから攻めて来ている兵達を見た。


「…今で何日目ですか?」


ドードルの兵達は矢が届かない範囲に布陣していて…牽制とも取れるような様子に、分身の俺は後から登って来た青年に確認するように尋ねる。


「三日…いや、今日で四日目になる」

「なるほど…」

「あまり積極的には砦に張り付かないようだが、こちらから打って出ると返り討ちにあうようだ」

「…やはり牽制の意味合いが強いかもしれませんね…」


青年の返答を聞いて分身の俺は敵の意図を予想しながら呟く。


「牽制か…ドードルの将軍もよくやっていたな。どうやら公爵とやらもただの愚か者…というわけではなさそうだ」


厄介な事になりそうだ…と、青年は敵の力量を図るかのように言うと何故か嬉しそうに呟いた。


「…ん…?」

「どうかしたのか?」


敵軍を観察していたらどこかで見覚えのあるような…?という気がして呟くと青年が不思議そうに聞いてくる。


「…いえ…もしかするとですが…去年、自分達猟兵隊と交戦した事がある部隊かもしれません」

「…なんだと?」


分身の俺がまだ不確定ながらも予想を話すと青年が驚いた様子で敵軍を見た。


「猟兵隊の数は約1000余りだったか…今目の前にいる敵軍は約3000ほどの数だと聞くが、どのように交戦したのだ?防衛か?囮か?」

「遭遇戦に近い野戦です。自分達が目的地に向かってる最中に進路を妨害しようとしていまして…」

「なるほど…結果を聞いても?」


青年の思い出すような呟きからの質問に、分身の俺が当時の状況を話すと青年は頭に思い浮かべるように呟いて結果を尋ねてくる。


「邪魔だったので蹴散らしました」

「…ん?蹴散らし、た…?」

「はい。ついでに指揮官を何名か捕らえて身代金をたくさん頂戴しました」


分身の俺が結果を言うと青年は一瞬理解出来ないような顔をして確認し、分身の俺は肯定して追加情報を告げた。


「…という事は、もしその時と同じ軍勢であれば牽制や斥候を主にしていて戦力の方はそこまで…といったところか…」

「いえ、将軍いわくドードルの中でも屈指の強さを誇る部隊だそうです。戦い方次第では万の軍勢にも立ち向かえるとか」

「…それを蹴散らしたのか?それも半分以下の戦力差で?」


青年は少し考えて勘違いするように呟き、分身の俺が否定して訂正すると驚いたように確認する。


「先手を取れたのがとても大きかったですね。背後強襲だったので相手が陣形を立て直す前に勝負を決めました」

「なるほど…!そういう事か…!確かにどんなに強い軍勢でも背後からいきなり襲われてはどうにもならんからな…なるほど、危うく思い違いをするところだったか」


分身の俺の嘘を交えた報告に青年は納得したように呟いて認識を改めるように言う。
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