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青年期 179
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…その数週間後。
ウィロー伯爵はガウ領の騒動を抑えにかかったが上手くいかず、ついには暴動にまで発展し…
事態を重く見たのか、もはや武力行使をする事にしたらしく自分のウィロー領から兵を派遣する事にしたようだ。
「…ついに自分トコの兵を動かしたか…」
「ガウ領は兵まで伯爵に反発して言う事を聞きませんからね…」
「こりゃ北の国境も大変な事になるぞ」
報告書を読んで呟くとお姉さんが微妙な感じで笑って返し、俺は伯爵の騒動を楽しみながら予想する。
「…北の国境が攻められたらローズナーに動員が下るのでは?」
「んなもん拒否するに決まってるじゃん。侯爵の所に援軍に行ったから準備がまだ整ってない…とか言っとけば大丈夫大丈夫」
「じゃあ大丈夫ですね」
お姉さんの心配するかの予想に俺が笑いながら楽観的に話すとお姉さんも安心したように笑う。
…そしてやはり自領の兵を動かしたせいで北の国境の防衛に隙が出来たのか…
ウィロー領から派遣した兵がガウ領に着いた数日後には敵軍が北の国境へと攻めてきたらしい。
…つまり俺とお姉さんが楽観的に予想してからわずか10日ほどで予想が現実のものとなったようだ。
まあ当然俺にも伯爵からローズナー領の兵を派遣するよう動員令が届いたが、拒否する旨の手紙を書いて送り返した。
「…敵の動き次第では俺らもローズナーに行く事になりそうだ」
「…防衛、ですか?」
「うん。流石に領内に敵を入れるわけにはいかないからね」
俺が最悪の事態を予想して対策を取るように言うと本を読んでいたお姉さんは意外そうに尋ね、俺は肯定して理由を話す。
「まあでもウィロー領を突破してからでも十分時間はあるし、しばらくはいつも通り拠点で様子見しとこう」
「…ウィロー伯爵は大変ですね。ガウ領の鎮圧もしないといけないのに国境も防衛しないといけないなんて…」
俺の余裕を持った発言にお姉さんは流石に不憫に思ったのか、伯爵に同情するように呟く。
「欲をかいて下手に毒まんじゅうに手を出したのがいけなかったねぇ」
「全くです。余計な事をしなければこんな事にもならなかったでしょうし」
俺が伯爵を馬鹿にするように笑って言うとお姉さんは深く同意する。
「まだ致命傷まではいってないんだから今からでも毒に侵された部分を切除すればいいのに…このままだと本気で手遅れになりかねないよ」
「確かに。…早期にその判断を下せるかどうかが分かれ目ってところですね」
俺はさっさと損切りすればいいのに…と思いながら呆れた様子で言うとお姉さんも賛同して考えるように返す。
…それから一週間後。
どうやらウィロー伯爵が自ら直々にこの拠点に来たらしいが俺は居留守を使って面会を拒否した。
団員には『西か南の国境付近の様子を見に行ってると思うからいつ帰って来るか分からない』と伯爵に伝えてもらったので、居留守がバレる事もなく…
更に一応は国防に関した視察なので相手も文句が言えず嫌味しか言えない角の立たない断り方だ。
しかも『西か南』と曖昧にしているので探しに行こうにも難しく、もし使いの者を複数行かせたとしても『たまたまタイミング悪く会わなかった』という言い訳で逃げ切れてしまう。
期間も曖昧なので、アッチは拠点で待つわけにもいかず帰るしかないという完璧さ。
…というか冤罪ふっかけて領地を奪った奴の所にどの面さげて来たのか気になるではあるが、会うと面倒な事になるので結局は追い返すに限る…というわけだ。
「…良かったんですか?」
「どうせ文句を言いに来ただけだろうから問題無いよ」
「それは…そうですが…」
「政府の方に文句言いに行っても俺が南の国境の防衛に参加したのは事実だし、ソコにローズナーの兵が居たかどうかは関係無いからね」
お姉さんの確認に俺が肯定するも不安そうに呟き、俺は追求されない理由を話す。
「でも国境が破られてウィロー領に侵攻されると問題になるのでは?」
「ははは、無い無い。まあ政府がどうしても…って圧力かけてきたら500人ぐらいは出しても良いかな?まあ当然口実作りだから後方の直ぐに逃げられるような位置で待機させるけど」
お姉さんが心配そうに予想を尋ねるので俺は笑って否定した後にもしもの事態に備えての対策を告げた。
「でも俺としては少しぐらい土地を奪われてくれた方がより面白くなるから、防衛に成功するにしろ失敗するにしろどっちでも良い」
「…防衛に失敗したら間違いなくウィロー伯爵は責任を追求されるでしょうね」
「防衛戦力を減らした理由が理由だからなぁ…言い逃れも苦しくなるよ」
俺の傍観者視点の意見にお姉さんは考えるように言い、俺はこの先に起こる事を想定して楽しみながら告げる。
「今でもだいぶ周りから責め立てられてるみたいですし、敵の侵攻を食い止められなければいよいよどうなるか…」
「まあどんなに上手く立ち回っても影響力や権力は地に落ちるでしょ。侯爵や辺境伯とかが徹底的に叩くだろうし」
「…政治的な争いって本当に恐ろしい…」
微妙な顔でお姉さんが伯爵の先行きを心配したように呟くので俺が予想を話すとお姉さんはため息を吐きながら呟いた。
ウィロー伯爵はガウ領の騒動を抑えにかかったが上手くいかず、ついには暴動にまで発展し…
事態を重く見たのか、もはや武力行使をする事にしたらしく自分のウィロー領から兵を派遣する事にしたようだ。
「…ついに自分トコの兵を動かしたか…」
「ガウ領は兵まで伯爵に反発して言う事を聞きませんからね…」
「こりゃ北の国境も大変な事になるぞ」
報告書を読んで呟くとお姉さんが微妙な感じで笑って返し、俺は伯爵の騒動を楽しみながら予想する。
「…北の国境が攻められたらローズナーに動員が下るのでは?」
「んなもん拒否するに決まってるじゃん。侯爵の所に援軍に行ったから準備がまだ整ってない…とか言っとけば大丈夫大丈夫」
「じゃあ大丈夫ですね」
お姉さんの心配するかの予想に俺が笑いながら楽観的に話すとお姉さんも安心したように笑う。
…そしてやはり自領の兵を動かしたせいで北の国境の防衛に隙が出来たのか…
ウィロー領から派遣した兵がガウ領に着いた数日後には敵軍が北の国境へと攻めてきたらしい。
…つまり俺とお姉さんが楽観的に予想してからわずか10日ほどで予想が現実のものとなったようだ。
まあ当然俺にも伯爵からローズナー領の兵を派遣するよう動員令が届いたが、拒否する旨の手紙を書いて送り返した。
「…敵の動き次第では俺らもローズナーに行く事になりそうだ」
「…防衛、ですか?」
「うん。流石に領内に敵を入れるわけにはいかないからね」
俺が最悪の事態を予想して対策を取るように言うと本を読んでいたお姉さんは意外そうに尋ね、俺は肯定して理由を話す。
「まあでもウィロー領を突破してからでも十分時間はあるし、しばらくはいつも通り拠点で様子見しとこう」
「…ウィロー伯爵は大変ですね。ガウ領の鎮圧もしないといけないのに国境も防衛しないといけないなんて…」
俺の余裕を持った発言にお姉さんは流石に不憫に思ったのか、伯爵に同情するように呟く。
「欲をかいて下手に毒まんじゅうに手を出したのがいけなかったねぇ」
「全くです。余計な事をしなければこんな事にもならなかったでしょうし」
俺が伯爵を馬鹿にするように笑って言うとお姉さんは深く同意する。
「まだ致命傷まではいってないんだから今からでも毒に侵された部分を切除すればいいのに…このままだと本気で手遅れになりかねないよ」
「確かに。…早期にその判断を下せるかどうかが分かれ目ってところですね」
俺はさっさと損切りすればいいのに…と思いながら呆れた様子で言うとお姉さんも賛同して考えるように返す。
…それから一週間後。
どうやらウィロー伯爵が自ら直々にこの拠点に来たらしいが俺は居留守を使って面会を拒否した。
団員には『西か南の国境付近の様子を見に行ってると思うからいつ帰って来るか分からない』と伯爵に伝えてもらったので、居留守がバレる事もなく…
更に一応は国防に関した視察なので相手も文句が言えず嫌味しか言えない角の立たない断り方だ。
しかも『西か南』と曖昧にしているので探しに行こうにも難しく、もし使いの者を複数行かせたとしても『たまたまタイミング悪く会わなかった』という言い訳で逃げ切れてしまう。
期間も曖昧なので、アッチは拠点で待つわけにもいかず帰るしかないという完璧さ。
…というか冤罪ふっかけて領地を奪った奴の所にどの面さげて来たのか気になるではあるが、会うと面倒な事になるので結局は追い返すに限る…というわけだ。
「…良かったんですか?」
「どうせ文句を言いに来ただけだろうから問題無いよ」
「それは…そうですが…」
「政府の方に文句言いに行っても俺が南の国境の防衛に参加したのは事実だし、ソコにローズナーの兵が居たかどうかは関係無いからね」
お姉さんの確認に俺が肯定するも不安そうに呟き、俺は追求されない理由を話す。
「でも国境が破られてウィロー領に侵攻されると問題になるのでは?」
「ははは、無い無い。まあ政府がどうしても…って圧力かけてきたら500人ぐらいは出しても良いかな?まあ当然口実作りだから後方の直ぐに逃げられるような位置で待機させるけど」
お姉さんが心配そうに予想を尋ねるので俺は笑って否定した後にもしもの事態に備えての対策を告げた。
「でも俺としては少しぐらい土地を奪われてくれた方がより面白くなるから、防衛に成功するにしろ失敗するにしろどっちでも良い」
「…防衛に失敗したら間違いなくウィロー伯爵は責任を追求されるでしょうね」
「防衛戦力を減らした理由が理由だからなぁ…言い逃れも苦しくなるよ」
俺の傍観者視点の意見にお姉さんは考えるように言い、俺はこの先に起こる事を想定して楽しみながら告げる。
「今でもだいぶ周りから責め立てられてるみたいですし、敵の侵攻を食い止められなければいよいよどうなるか…」
「まあどんなに上手く立ち回っても影響力や権力は地に落ちるでしょ。侯爵や辺境伯とかが徹底的に叩くだろうし」
「…政治的な争いって本当に恐ろしい…」
微妙な顔でお姉さんが伯爵の先行きを心配したように呟くので俺が予想を話すとお姉さんはため息を吐きながら呟いた。
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