子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神

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青年期 170

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…それから一週間後。


西の国境を守ってるヴォードル辺境伯が拠点に訪ねて来た…


かと思いきや、ほぼ同じタイミングで南の国境を守っているコンテスティ侯爵までやって来た。


「…同室にしてすみません。ですがその方が説明が一度で済みますので…」

「いや、問題無い」

「こちらもだ」


…事前に許可は取っていたとはいえ、二人が自室に入って来た時に謝罪から入ると青年とおっさんは互いを見ながら気遣うように返す。


「ありがとうございます。訪ねて来た用件の方は俺の罪と罰の件ですか?」

「ああ。対策は取っていると聞いていただけに報告を受けた時は驚いたぞ」

「こちらもだ。何か考えがあっての事か?それとも単純に対応が間に合わなかっただけか?」


俺がお礼を言って確認すると青年がソファに座りながら肯定し、おっさんもソファに座りながら尋ねてくる。


「もちろん考えあっての事です。国内の敵味方を判別するためにあえてガウ領を手放しました」

「なるほど、考えあっての事か…流石はコンテスティ侯爵。慧眼でいらっしゃる」

「あのゼルハイト卿がむざむざと領地を奪われるとは考えにくいからな」

「確かに。少し冷静になって考えれば直ぐに分かる事でしたな…」


俺の返事を聞いて青年が意外そうに呟いておっさんを褒めると、おっさんはニヤリと笑いながら言い…青年は反省するように呟く。


「何も知らせず不安を煽り、心配をかけてしまい申し訳ございません。計画を進める上で相手に悟られると面倒なので、両親にすら計画が成功した後にしか説明出来ませんでした」

「「…計画?」」


俺が謝罪して理由を話すと二人は両親と同じワードに反応して不思議そうに聞いてきた。




ーーーー




「…なるほど…」

「そういう目論見が…」


俺の話を聞いた後に二人は計画の意図を理解して意外そうに呟く。


「それならば事前に話せないのも頷ける」

「ええ。我々が少しでも動けば相手に違和感を与えるかもしれない…」

「ふふ…しかし『毒まんじゅう』とは面白いセンスだ」

「外見からは分からず食べて初めて知る事が出来る…言い得て妙な表現だ。素晴らしい」

「ありがとうございます」


二人が納得したように呟くとおっさんが俺のワードチョイスを褒め、青年も同意するので俺は軽く頭を下げてお礼を言う。


「…ふむ…ならば上手く事が進めば上流貴族の誰かが没落するやもしれんな…」

「没落とまではいかずとも失墜は免れないでしょう。私としてはソレがパルパティ侯爵であればありがたいのですが…」

「うむ、あやつは何かと口うるさいからな」


おっさんの予想に青年が賛同しながら微妙な感じで笑い、願望を言うとおっさんも同意する。


「まあしかし誰が失脚しようがこちらに益がある。我々は他の者達よりも情報を早く手に入れている分、かなりの余裕を持って手を打てるのだからな」


競争相手はヴォードル卿のみよ…と、おっさんはニヤリと笑って青年を挑発して牽制するように告げた。


「…今回の機会はそちらにお譲りいたします。今侯爵と争うとなればもし勝てたとて、その先が心配になりますので」

「ほう?では借りが出来たと言うことか。ならば遠慮なくいただくとしよう」


…青年とおっさんは何故か俺を挟んでバチバチと政争みたいな駆け引きを始める。


「…おっと、そろそろ昼食の時間ですね。何か食べたい物はありますか?」

「なんでも構わん。任せる」

「…では生肉の刺身を最初に貰えないだろうか?」

「分かりました」


俺が雰囲気を変えるように言って尋ねるとおっさんはメニューを丸投げし、青年は少し考えて魔物の肉をリクエストしてきた。


「…ではこちら、『刺身盛り』でこざいます」

「ほう…『刺身盛り』?」

「はい。いつもは突き出しとして少量でしたが…今回は一品ですので、5種類の肉を刺身として皿に盛りました」


俺は複数の種類の魔物の肉を取り出し、生で薄切りにした物を皿に盛って出すとおっさんが興味深そうに尋ねるので軽く説明する。


「なんと贅沢な…!この一品だけでどれほどの金が取れるのか…想像すらつかない」

「5種類といったな…そんなに種類があるのか?」


青年が驚きながら金額を予想するとおっさんは不思議そうに生肉の刺身を見ながら聞く。


「おそらく『ダチョー』『グリーズベアー』『ブルボア』『カースホース』『アラジカ』の肉でしょう」

「惜しいですね。ダチョーの肉ではなく、バイソンの肉です」

「『バイスォン』か!…やはり見ただけでの予想では当てられんか…」


青年の予想に俺が答え合わせをすると青年は悔しそうに声を上げるも笑いながら呟いた。


「…ふむ、一時期とはいえハンターをやってただけあって魔物に詳しいのだな。ヴォードル卿」

「光栄です。今でも鍛錬目的で年に一度ほどはダンジョンへと潜るようにはしていますが…」


おっさんが思い出すように褒めると青年は一応まだ現役である事をそれとなく告げる。


「ほう?ならば貴殿も自分で魔物の肉を?」

「…いえ…私では……魔物を倒しても少量の素材が落ちる程度で…やはり魔物の肉を調達するとなればゼルハイト卿のようなマスタークラスの実力が必要になると思われます」 


意外そうなおっさんの問いに青年は気まずそうに笑って否定し、何故か俺を持ち上げた。
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