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青年期 166 国内政争編
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…それから数ヵ月後。
ついにガウ領で暗躍していた貴族達が表立って動き出した。
「…ふふっ…」
「どうかしました?」
俺が報告書を読んでその内容について思わず笑うとお姉さんが不思議そうに尋ねてくる。
「いや…コレ」
「?…『リデック・ゼルハイト=ローズナー男爵は変化魔法の使い手だった、という情報が国中に拡散されている』…えっ!?」
「こんな当たり障りの無い情報を流布したところで、って感じだけど…さて、どう使うつもりなのか…」
お姉さんに報告書を渡すとお姉さんが一文を読み上げて驚き、俺は面白い…と思いながら相手の出方を予想した。
「…結構マズいんじゃないですか?『変化魔法の使い手』ってだけで偏見の目を向けられますし、なによりこの国には坊ちゃん以外に居ないので悪い噂を流したい放題ですよ…」
いくら魔法協会でもコレは強く出て訂正する事も出来ません…と、お姉さんは不安そうに言う。
「…というかどこから漏れたんでしょう?坊ちゃんのご家族を除いたら知っているのは私含めて三人だけで、他のお二方が他人に漏らすとも考えられません」
「移動の時に見られていたか、ただのデマのつもりで流したか…まあ、昔の家庭教師を雇った事を念入りに調べられた可能性もあるけど」
お姉さんの疑問に俺は適当な感じで予想して返す。
「まさかそこまで調べがつくなんて…!」
「伯爵や侯爵の情報収集能力は凄い、って事だよ」
「どうするんですか?」
「どうも?こんなただの個人情報でどうやって俺を蹴落とすつもりなのか逆に楽しみじゃない?」
「あ。…確かに…印象が悪くなるだけの嫌がらせでどうするんでしょう…?」
お姉さんが対応を確認してくるが俺は今のところ計画通りなので、静観を決め込む事を告げるとお姉さんも納得したように不思議そうに呟く。
…その翌日。
「団長。今世間では変な噂が流れているが…」
「団長が変化魔法の使い手だって…」
「…悪質な噂を流してる輩達の存在も確認されている。どうする?」
隊長達も噂を聞いたらしくみんなが自室に入って来て俺の指示を仰いだ。
「あ、ソレ、噂じゃなくて本当の話」
「「「え…!?」」」「「「な…!?」」」
俺が軽い感じで告げるとお姉さんを除く隊長達のみんなが驚愕する。
「俺、魔法適性が一切無いから普通の魔法を使うのも大変でさ」
一応回復と強化は少しぐらい使えるけど。と、簡単に理由を説明して補足した。
「んで、今まで使う機会も必要も無くてね…使ってないんだから気づきようもないでしょ?だからあえて言う必要も無いかな…と。わざわざ自分から言うのもアレだし」
…俺は何か聞かれる前に先手を打って今まで黙っていた理由を嘘を交えながら話す。
「…そ、そうだったんだ…」
「…今更、変化魔法の使い手だからどう…という事は無いが…」
「…という事は…適性の無い強化魔法でアレなのかい?」
「いや、強化魔法も回復魔法も使えるってだけでまだ使った事ない。そもそも人間が相手なら変化魔法すら必要としなかったし」
「「「え…!?」」」「「「な…!?」」」
隊長達が困惑する中、女性が少し考えて思い出すように疑問を聞いてくるので…
俺が否定して少しの嘘を交ぜながら返したらまたしてもみんなが驚愕する。
「って事は、今まで魔法を使わずに素の身体能力だけで戦ってたの!?」
「…てっきり強化魔法を使っていた、とばかり思っていたが…素の状態だったとは…」
「…なるほど。魔法を使わずとも敵を倒せるのなら変化魔法なんて使う必要も無い…使わないのなら僕達が知らないのも当然だ」
「…一体どれほどの鍛錬を積めばその域に達するというのか…」
「ははは、こう見えても日頃から鍛えてるからね」
隊長達はみんな驚きながらの反応に俺が笑ってそう返すとみんな微妙な顔をした。
「まあそういうわけで噂は本当だったと団員達みんなにも伝えといて欲しい。もしソレで抜ける人達が続出してもしょうがない」
「分かった」
「…しかし団長が変化魔法の使い手だった、と言うのが分かったところで今更特に問題は起きないと思うが…」
「みんなびっくりするとは思うけど…逆に変化魔法を使ってるのを見た事無いんだからソレで今までやって来れた、ってのによりびっくりすると思う」
「うむ…正にマスターランクに相応しい強さだ」
俺の指示に隊長の一人が了承すると他の隊長達は俺が予想した団員の脱退については否定的に話し出す。
「…一応聞くけど、ダンジョンではいつも変化魔法を使っているのかい?それとも強化魔法?」
「当然変化魔法だよ。俺は変化魔法の使い手だからね」
女性が確認するように疑問を聞いてきて、俺はキッパリと言い切って答える。
「他に聞きたい事ある?」
「いや…」
「…待てよ。団長、今までダンジョン内以外では変化魔法は使っていないんだよな?」
「うん」
「ならば今流れている噂はどこから?同じハンターの仲間であり、団員達である俺達すら知らなかった情報だ。一体どうやって仕入れたのか…」
俺の確認に女性は周りを気にするような目配せをして引き下がり、隊長の一人の確認に肯定すると疑問を尋ねてきた。
「「「あ…」」」「「「確かに…」」」
「多分、俺が子供の時に家庭教師を雇った…って情報からかも知れない。その家庭教師は結構遠い他国に居るから、その人が漏らす事はあり得ない」
「…なるほど。つまり…この噂を流したのは貴族か…それも権力が高い…」
「あー…団長が目障りだから陥れようとしてるって事?」
「…なるほどな…そういう事か」
隊長達がハッとしたような感じで呟くので俺が予想しながら返すと、隊長の一人が権力争いを察して納得するように呟き…
みんなも理解して納得したように呟く。
ついにガウ領で暗躍していた貴族達が表立って動き出した。
「…ふふっ…」
「どうかしました?」
俺が報告書を読んでその内容について思わず笑うとお姉さんが不思議そうに尋ねてくる。
「いや…コレ」
「?…『リデック・ゼルハイト=ローズナー男爵は変化魔法の使い手だった、という情報が国中に拡散されている』…えっ!?」
「こんな当たり障りの無い情報を流布したところで、って感じだけど…さて、どう使うつもりなのか…」
お姉さんに報告書を渡すとお姉さんが一文を読み上げて驚き、俺は面白い…と思いながら相手の出方を予想した。
「…結構マズいんじゃないですか?『変化魔法の使い手』ってだけで偏見の目を向けられますし、なによりこの国には坊ちゃん以外に居ないので悪い噂を流したい放題ですよ…」
いくら魔法協会でもコレは強く出て訂正する事も出来ません…と、お姉さんは不安そうに言う。
「…というかどこから漏れたんでしょう?坊ちゃんのご家族を除いたら知っているのは私含めて三人だけで、他のお二方が他人に漏らすとも考えられません」
「移動の時に見られていたか、ただのデマのつもりで流したか…まあ、昔の家庭教師を雇った事を念入りに調べられた可能性もあるけど」
お姉さんの疑問に俺は適当な感じで予想して返す。
「まさかそこまで調べがつくなんて…!」
「伯爵や侯爵の情報収集能力は凄い、って事だよ」
「どうするんですか?」
「どうも?こんなただの個人情報でどうやって俺を蹴落とすつもりなのか逆に楽しみじゃない?」
「あ。…確かに…印象が悪くなるだけの嫌がらせでどうするんでしょう…?」
お姉さんが対応を確認してくるが俺は今のところ計画通りなので、静観を決め込む事を告げるとお姉さんも納得したように不思議そうに呟く。
…その翌日。
「団長。今世間では変な噂が流れているが…」
「団長が変化魔法の使い手だって…」
「…悪質な噂を流してる輩達の存在も確認されている。どうする?」
隊長達も噂を聞いたらしくみんなが自室に入って来て俺の指示を仰いだ。
「あ、ソレ、噂じゃなくて本当の話」
「「「え…!?」」」「「「な…!?」」」
俺が軽い感じで告げるとお姉さんを除く隊長達のみんなが驚愕する。
「俺、魔法適性が一切無いから普通の魔法を使うのも大変でさ」
一応回復と強化は少しぐらい使えるけど。と、簡単に理由を説明して補足した。
「んで、今まで使う機会も必要も無くてね…使ってないんだから気づきようもないでしょ?だからあえて言う必要も無いかな…と。わざわざ自分から言うのもアレだし」
…俺は何か聞かれる前に先手を打って今まで黙っていた理由を嘘を交えながら話す。
「…そ、そうだったんだ…」
「…今更、変化魔法の使い手だからどう…という事は無いが…」
「…という事は…適性の無い強化魔法でアレなのかい?」
「いや、強化魔法も回復魔法も使えるってだけでまだ使った事ない。そもそも人間が相手なら変化魔法すら必要としなかったし」
「「「え…!?」」」「「「な…!?」」」
隊長達が困惑する中、女性が少し考えて思い出すように疑問を聞いてくるので…
俺が否定して少しの嘘を交ぜながら返したらまたしてもみんなが驚愕する。
「って事は、今まで魔法を使わずに素の身体能力だけで戦ってたの!?」
「…てっきり強化魔法を使っていた、とばかり思っていたが…素の状態だったとは…」
「…なるほど。魔法を使わずとも敵を倒せるのなら変化魔法なんて使う必要も無い…使わないのなら僕達が知らないのも当然だ」
「…一体どれほどの鍛錬を積めばその域に達するというのか…」
「ははは、こう見えても日頃から鍛えてるからね」
隊長達はみんな驚きながらの反応に俺が笑ってそう返すとみんな微妙な顔をした。
「まあそういうわけで噂は本当だったと団員達みんなにも伝えといて欲しい。もしソレで抜ける人達が続出してもしょうがない」
「分かった」
「…しかし団長が変化魔法の使い手だった、と言うのが分かったところで今更特に問題は起きないと思うが…」
「みんなびっくりするとは思うけど…逆に変化魔法を使ってるのを見た事無いんだからソレで今までやって来れた、ってのによりびっくりすると思う」
「うむ…正にマスターランクに相応しい強さだ」
俺の指示に隊長の一人が了承すると他の隊長達は俺が予想した団員の脱退については否定的に話し出す。
「…一応聞くけど、ダンジョンではいつも変化魔法を使っているのかい?それとも強化魔法?」
「当然変化魔法だよ。俺は変化魔法の使い手だからね」
女性が確認するように疑問を聞いてきて、俺はキッパリと言い切って答える。
「他に聞きたい事ある?」
「いや…」
「…待てよ。団長、今までダンジョン内以外では変化魔法は使っていないんだよな?」
「うん」
「ならば今流れている噂はどこから?同じハンターの仲間であり、団員達である俺達すら知らなかった情報だ。一体どうやって仕入れたのか…」
俺の確認に女性は周りを気にするような目配せをして引き下がり、隊長の一人の確認に肯定すると疑問を尋ねてきた。
「「「あ…」」」「「「確かに…」」」
「多分、俺が子供の時に家庭教師を雇った…って情報からかも知れない。その家庭教師は結構遠い他国に居るから、その人が漏らす事はあり得ない」
「…なるほど。つまり…この噂を流したのは貴族か…それも権力が高い…」
「あー…団長が目障りだから陥れようとしてるって事?」
「…なるほどな…そういう事か」
隊長達がハッとしたような感じで呟くので俺が予想しながら返すと、隊長の一人が権力争いを察して納得するように呟き…
みんなも理解して納得したように呟く。
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