子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神

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青年期 157

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…その夜。


俺はいつもより一時間近く早い時間帯に弟達を学校へと送り届け、一緒に寮の部屋へと入る。


「お兄様早く早く!」

「…リーゼ…」


…部屋に入ると直ぐに妹がお土産を出すよう催促し、その様子を見て弟が呆れたように呟く。


「…え。ま、まだあるの…?」

「さ、流石にコレは…予想外、です…」


テーブルに乗り切れないほどのお土産を床に置いて行くと弟が驚いたように確認し、妹も信じられないかのようにヒいたように呟いた。


「…コレで最後」

「…コレ、絶対二人じゃ食べ切れない量だよね…?もしかして最初から周りに配らせる目的で…?」


俺がお土産を全部出し終わると弟は呆然としたように尋ねてくる。


「いや、ただ単にそんな簡単に手に入る物じゃないから飽きるまで食べるとしたらこれぐらいの量になるかな…と思ってな」

「…まあ確かにこれだけ食べればどんなに美味しい物でも飽きる気はするけど…」

「でもこれだけの量ともなるとお金の方もかなりかかったのでは…?」


俺の話した理由を聞いて弟は納得しながらも微妙な顔で呟き、妹が財布や懐を心配するかのように呟いた。


「大丈夫大丈夫。魔石一つ分にもならないぐらいだったし」

「あ、そうなのですね…良かった」

「いや、魔石一つって一番安いやつでも相当な金額でしょ。そんなのと比較されても…」


俺が安心させるかのように言うと妹はホッとしたように呟き、弟はツッコミを入れた後にまたしても微妙な顔をしながら返す。


「んじゃ、俺は帰るわ」

「あ、うん」

「ありがとうございます」

「…あ」


俺は用が済んだので帰ろうとドアに手をかけたところでまだ渡す物があった事を思い出して止まる。


「どうしたの?」

「何か忘れ物でも?」

「いや、芋やカボチャも今の内に渡しとこうと思ってな」


不思議そうに聞いてきた弟と妹にまだ渡す物が残っていた事を告げて俺は空間魔法の施されたポーチから板の箱を取り出し…


その中にさつまいもやジャガイモ、カボチャを入れていく。


「あっ!こんなにいっぱい…いいの?」

「おう。ついでに肉もいくつか氷蔵庫に入れとくから」

「やった!ありがとうございます!流石はお兄様!」

「俺を追い越せるよう頑張って料理の腕を磨けよ?じゃあな」


弟の嬉しそうな確認に俺は学生時代に自作した業務用冷凍庫…


中に氷が大量に入っている…板に囲まれた鉄の箱の中に魔物の肉を容器ごと突っ込んで今度こそ帰る事に。





ーーーーー





「あ、お帰りなさい」

「ん?どうしたのこんな所で?」


俺が拠点に戻ると自室のある本部の前にお姉さんが立っていたので俺は不思議に思いながら尋ねた。


「ただ夜風にあたっていただけです」

「ふーん?研究が上手くいってないとか?」

「あはは…ソレはいつもの事なので…」

「大変だねぇ…」


お姉さんの返答に俺が予想しながら聞くと笑いながら返され、俺は同情するように呟く。


「でももう時間も時間だし、戻って寝た方が良いんじゃない?頭をスッキリさせた方がもしかしたら上手く行くかもしれないし」

「…そうですね、そうします」


俺が部屋に戻るよう促して建物の中に入るとお姉さんも賛同して後ろからついて来るように建物の中に入る。


「エーデル様達はどうでした?」

「普通にいつも通り何も変わった様子は無かったよ」

「そうですか。ではお休みなさい」

「お休み」


お姉さんの問いに俺が適当な感じで返すと笑顔で返し、お姉さんは自分の部屋の前で俺に挨拶をして中に入って行く。


「…ん?」


俺も自室に戻って寝る前に少しだけ領地の報告書を読んでいると…ガウ領の報告書に変わった記載が。


「…ふーん…なるほどねぇ…」


…内容を読むとなにやらどこぞの貴族がガウ領の方で暗躍してるらしいとの事。


「…おっと。そろそろ寝るか…」


どうしたものか…と、書類から目を離して時計を見るともう30分も経っていたので続きは明日にして寝る事に。



…翌朝。



俺は早く起きたので領地の報告書を読んでとりあえずガウ領で暗躍してる奴らの対応を考える。


「…おはようございます」

「おはよう」


…朝食の時間になるとお姉さんがドアをノックして挨拶しながら入って来て俺も報告書を見ながら挨拶を返した。


「…珍しいですね。起きて直ぐ報告書を読んでるなんて…」

「ちょっとね…読んでみる?」

「あ、では…」


お姉さんの意外そうな呟きに俺が書類を渡すように聞くと受け取って読み始めるので俺は朝食の準備に取り掛かる。


「…坊ちゃん、これ…」

「なんかウチの領内でコソコソ動き回ってるみたいだね。チマチマとご苦労な事で」

「どうするんですか?」


お姉さんが報告書を読んで本当かどうかを確かめるように呟き、俺がまだ見ぬどこぞの貴族に向かって嫌味や皮肉を言うとお姉さんは対応を尋ねてきた。


「別にどうも。昨日はどうしようかと思って今さっきまで対応を考えてたけど…代行達が既に動いてるらしいから俺は別に何もしなくてもいいかな、って」

「ですが、それじゃあ…」

「大丈夫大丈夫。実は二、三カ月前から怪しい動きの初動は掴んでたし。まあまさかここまで調子に乗って来るとは思わなかったけど」

「…坊ちゃんがそう言うのであれば…」

「そんな事より飯食おう」

「分かりました」


俺の適当な返答にお姉さんは微妙な顔をしながら不安そうに返し…


俺が尚も楽観的に言うと引き下がって書類を置いてソファに座る。
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