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青年期 141

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…それから村に戻っての翌日。


少女を連れた兵士達は王都に向かってる、との事なので俺らも早速準備をして王都へと向かった。


「…王都かぁ…来月あたりに行こうと思ってたから丁度良いけど、なんで王都なんだろ?」

「王都が過激派の本拠地…とかじゃないですか?貴族の信徒が多くて影響力が強いとか…」

「それは無いんじゃない?いくらなんでも国の中心地がそんなんなら内政とか政務とかにめちゃくちゃ影響出るだろうし」

「ですよね…」


俺の疑問にお姉さんが予想しながら返すので俺が否定的に言うと賛同するように呟く。


「…でも今ので大体予想はついたね」

「え?」

「儀式とか封印とか…大いなる力とやらが王都にある、って事だよ」

「なるほど!」

「まあ…王都はただの中継で、別の場所って可能性もあるけど…」


俺がふと思いついた考えを言うとお姉さんが驚くような反応を見せ、俺は外れた場合の予防線を張る。


「…それじゃ結局行ってみないと分からないって事じゃ…」

「そうなるね」

「…結局大いなる力とはどういうものなのでしょう?」


お姉さんの微妙な顔での呟きに俺が肯定すると少し考えるように疑問を聞いてきた。


「さあ?本当にただの御伽噺だった場合はその正体は誰にも分からないんじゃないの?」

「実在するかどうかも分からないモノにここまで労力をかけるなんて…」

「そんなもんだよ。徳川埋蔵金だってありもしないのを真剣に信じて大々的に探してた事もあったし」

「埋蔵…?」

「いや、なんでもない」


俺が適当な感じで返すとお姉さんは呆れたように言い…


俺はつい前世の記憶の知識を漏らしてしまったのでお姉さんが不思議そうな顔をし、軽く誤魔化す。


…そんなこんな村を経由しながら王都に向かう事、約三日後。


「…団長。見習いを拐ったとされる奴らを発見した」

「…え、マジで?」

「追いついたんですか?」


もうそろそろで王都が見えて来る…って距離で団員が予想外の報告をしてきて、俺とお姉さんは驚きながら確認する。


「今強襲を仕掛ければ奴らが王都に入る前に間に合うと思うが…」

「…いや、やめておこう。王都の前で騒ぎを起こすと中に入れなくなるかもしれない」

「…分かった」


団員の指示を促すかのような発言に俺は先の事を考えて拒否し、理由を話すと団員が引き下がって他の団員達へと伝達しに行く。


「…いいんですか?敵を王都内に入れて…」

「流石にこんな距離で争うと王都の警備隊とか出て来たら取り逃すかもしれないじゃん?しかも俺ら余所者だから勘違いされて出禁くらうかもしれないし」


お姉さんがチャンスをみすみす逃すのか…みたいな感じで呟くので俺は最悪の事態になった場合を想定して話した。


「確かに」

「とりあえず俺らも王都の中に入って奴らを追わないと…」

「そうですね」


…距離の関係で少し時間は空いてしまったものの、俺ら傭兵団も王都の中に入り…


刺客だった男達は過激派の奴らを追うとかで一旦別れる事に。


「…俺らは観光ついでに情報収集にあたろうか」

「はい」

「他の団員達にも戦闘態勢を整えたまま情報収集をお願いしよう」


俺が馬車から降りながら予定を立てて隊長達を集め、指示を出してから先に宿の確保に動く。


「しかし王都は賑やかだな…とても過激派が動いてるようには見えない」

「…暗躍が上手いんでしょうね…」

「…これは面倒な事になりそうだ…」


宿屋で部屋を取った後に王都内の様子を見て回りながら呟くとお姉さんも賛同するように呟き…


水面下の動きが上手い奴はほとんど策略も上手いので俺はため息を吐きながら呟いた。


…数時間後の夜。


「…ダメだ…過激派について何の情報も得られなかった…」

「大いなる力についても何も分かりませんでしたね…」


宿屋の部屋に戻って俺が収穫無しに嘆きながらベッドにダイブするとお姉さんも困ったように呟く。


「よっぽど上手く隠してるみたいだな…派閥争いのような仲の悪さぐらいしか噂が流れてないなんて…」

「あそこまで過激な行動を取ってるのでもっと情報が手に入ると思ったんですけど…」

「うーん…王都の人達には知られないように情報封鎖や情報統制をかけてるのか…?国王は絶対に過激派の行動を知ってるワケだし…」


ベッドの上で仰向けになりながら呟くとお姉さんももう一つのベッドに座りながらため息を吐き、俺は考えながら横向きに体勢を変える。


「逆に国王が過激派…の可能性もあるのでは?」

「それは無いんじゃないかな?多分中立派だと思うよ。表立って過激派の支援はしないけど、邪魔もしない…みたいな」

「なるほど…敵対を避ける事で万が一の場合に失脚しないよう立ち回ってるかもしれません」


お姉さんの予想に俺が否定しながら今までの情報を基に予想すると、納得したように返す。


「『大いなる力』ってやつが実際にあったとしたらソレを手に入れた過激派が国を支配するみたいだし…立場だけ維持出来ても権力が無ければ何の意味も無いだろうに…」

「そうですよね…」

「…まあとりあえず俺らは二人の女の子を取り戻すのが目的だから内部政争なんてのはどうでもいっか。関係ないし」

「ですね」


俺が呆れながら呟くとお姉さんも賛同し、もう夜も遅いので寝る事にして話を打ち切る事に。
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