子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神

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青年期 119

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「あ、お帰りなさい。どうでした?」


宿屋の部屋に帰るとお姉さんが本から目を離して挨拶し、尋ねてくる。


「なんか金をいっぱい貰った。あとこの領内で賊とかがいて困ってるとかで仕事を貰ってきた」

「賊退治ですか?…残り二日では無理では?」

「滞在期間を伸ばそうか。別に急ぐ用事があるわけでも無いし」

「そうですね」


俺の説明にお姉さんが不思議そうに聞き返して確認を取ってくるのでそう返すと納得して理解したように肯定した。


「依頼は正式に傭兵団宛てにして欲しい言ったけど…一応前もってみんなに伝えとこうか」

「その方が良いと思います」

 
俺が先にお姉さんに伝えて隊長達にも伝えに行こうと部屋を出るとお姉さんも賛同しながら後ろからついてくる。


ーーーーー



「…じゃあ揃ったって事で…みんなお疲れさん。実はさっき辺境伯に呼ばれて賊退治とかの依頼をお願いされた」


…隊長達や事務作業をしてくれている団員達をギルドの建物に集め、みんなが揃ったのを確認して俺は話を切り出した。


「賊退治だと…?」

「二日では無理じゃない?」

「うむ。難しいだろうな」

「だよねー…だから滞在期間を延ばす事にした」


隊長達は期間を鑑みての否定的な感じで返すので俺は賛同しながら報告をする。


「期間延長か、珍しい」

「初めてじゃない?」

「せっかくの金を稼ぐチャンスだし、一応新人もいるし、みんなにとっても訓練とか鍛錬的に良い経験になりそうじゃない?」

「そうだな。金はいくらあっても困らん」

「逆に生活費やら消耗品の補充費やらを考えたら遊ぶお金が足りないぐらいだよ」


隊長二人の意外そうな発言に俺が理由を話すと他の隊長達が賛同してきた。


「まあいつも通り無理はしないように。言うまでも無いと思うけど、自分達だけで厳しいと思ったらちゃんと周りを呼んで連携すること」


端金に目が眩んで危険な目に遭わないようにしてね。と、俺は話の締めとして不必要と知りつつも一応注意を促す。


「分かっている」

「大丈夫大丈夫」

「今は金よりも命が大事だからな」

「じゃあ話は終わりで。よろしく」


隊長達の返事に俺は解散するよう告げて最後に挨拶をするとお姉さん以外のみんながギルドの建物から出ていく。


「さーて…これでようやく観光に行ける…」

「本当なら朝一番に行くはずでしたけど…でも滞在期間が延びたのならゆっくり観光出来ますね」

「…確かに」


俺も椅子から立ち上がりながら呟くとお姉さんが残念そうに呟きつつも結果的に良い方向に転がった的な事を言うので同意する。


…翌日。


辺境伯からの依頼が傭兵団に正式に届いたようで、破格の報酬にみんな驚いていたらしい。


が、俺には関係無いので修行するためにお姉さんと共にダンジョンへと向かった。


「…ん?」

「「「あ」」」

「あ!」


俺らが中級者向けのダンジョンの第一階層を歩いていると、どこからか走って来た男三人のパーティの顔に見覚えがあるような気がして二度見すると…


牢屋から脱獄したんであろう刺客の三人組が俺を見て同時に声を出し、お姉さんが男達に気づいて指を差す。


「おや、もう脱獄したの?早くない?」

「あの飯の不味さには我慢が出来んくてな」

「それに周りがうるさくてあんな所じゃ安眠出来ん」

「あんな所に居るぐらいならまだ野宿の方がマシだ」


俺の問いに男達は嫌気が差したように脱獄した理由を話し始める。


「でもなんでこんなダンジョンに?野宿するなら初心者用のダンジョンの方が良くない?」

「いや、ダンジョンでは危なくて野宿なんてできねぇだろ!」

「魔物がうろつく場所で寝るなんて下手したら永眠だぞ」

「そう?でも数日がかりでダンジョンの攻略に挑むハンター達も結構いるからそうでも無いんじゃないの?」

「…準備をしっかりした上で見張りを立て警戒しながらの危機感を持った野宿と俺達の野宿では方向性が違うんだが…」


俺が疑問を聞くと二人の男がツッコミを入れるように返し、確認するように尋ねたら残りの一人は呆れたように呟く。


「…裏の方で匿ってくれてる人から魔物素材を頼まれたんだよ」

「世話になってる手前、断り切れなくてな…」

「あと二人の仲間が脱獄した後にしばらく匿って貰う約束でもある」


男達は俺に誤解や勘違いされないようになのかダンジョンに来た理由を話した。


「ふーん…で、許可は取ってる?無許可の人を発見した場合は捕まえるのがハンターの義務なんだけど」

「…ほら。俺は昔ハンターだった」


俺が納得しながら呟いて確認すると二人の男が焦ったような顔で男の一人を見て、その男はライセンスを差し出してくる。


「あ、ちゃんと許可はあったんだ。疑ってごめん」

「いや、大丈夫だ。それではな」

「さっさと目当ての魔物倒して帰ろうぜ」

「こんな危ない所に長時間居たくないからな…」


俺はライセンスを確認して返しながら謝り、男達と別れてダンジョンの奥へと進む。


「…あの人達もう脱獄したんですね」

「匿ってくれる人が居たからじゃない?」

「でも…犯罪者が脱獄って…大丈夫ですかね?」

「さあ?悪質な事をやらかしたらまた捕まえれば良いし…流石にしばらくは大人しくしてるでしょ」


お姉さんの呟きに俺が適当に予想すると心配したように返すので俺は楽観的に答えた。
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