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青年期 111
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…翌日。
やはり刺客は全員牢の中なので特に何も起きないまま夜になる。
「…お」
「とりあえずコッチは4個だ」
俺が屋根の上で瞑想をしてると拠点の方から飛んで来た分身の俺が目の前でスライム化して着地し、背負っていた風呂敷を下ろして広げながら魔石の数を告げた。
「コッチも4個だから…一個余ったか…まあいいや」
「じゃあな」
用件が済むと分身の俺は別れの挨拶をして分身を解除し、姿を消す。
「…さて、物は揃ったが…どうやって渡したものか…」
俺はドラゴン以外の魔石も空間魔法の施されたポーチに入れ、精霊達の召喚方法が分からずに困りながら呟く。
「…うーん……まあいっか。今度で」
しばらく考えた結果、考えるのが面倒になったので諦めて問題を先送りする事に。
…その翌日も特に問題は起きず…
更に翌日も全く何の問題も起きないまま護衛の依頼期間の一週間が過ぎる。
「ありがとうございました。ココでの用事は済みましたので昼過ぎにはグレグーン領へと帰ります」
「ああ、気をつけるんだよ」
「…道中の護衛などもお願い出来ないでしょうか?」
お嬢さんがお礼を言った後に予定を告げると女性が注意喚起するように返し、それで不安になったのかお嬢さんは再び依頼をしてきた。
「残念だけどあたしは陛下の護衛もあるからあんまり長い間は王都からは離れられないんだ」
「自分も今は王都から離れられないので無理ですね」
「…そうですか…無理を言ってすみません」
女性は気まずそうな顔で理由を話して断り、俺も理由を話して断るとお嬢さんは俯いて呟いた後に謝る。
「まあでも帰る時間を二週間ほど遅らせてもらえるのなら護衛の依頼を受けられますよ」
「!本当ですか!?」
俺がそう提案するとお嬢さんは喜んだように確認した。
「傭兵団の移動と重なれば一緒に行く事で道中の安全は確保出来ますし」
「なるほど…確かに傭兵団が周りを囲っていれば他に雇われた刺客達がいたとしても手を出しづらくなる」
「…分かりました。時間をずらしますので、道中の護衛の件…よろしくお願いします」
俺の説明に女性が納得しながら言うと、どうやらお嬢さんは俺らの都合に合わせてくれるようだ。
「…あと二週間か…まあ牢の中の刺客達が逃げ出さない限りは普通の護衛で十分、あたしらは必要無いだろうね」
「もし不安や心配であれば俺ら猟兵隊に護衛や警備の依頼を出してもらえれば。お金は多少かかりますが、団員に対応できないような事態になれば自分が出向きますので…ご一考のほどよろしくお願いします」
女性が前提条件をつけて護衛の再契約を断るように言うので俺はここぞとばかりに傭兵団の仕事のための営業をかける。
「ははっ、仕事の営業もかけるなんて抜け目の無い男だね」
「まあね」
「じゃ、あたしはもう行くよ」
女性の笑いながらの褒め言葉に俺が適当に相槌を打つと女性は手を上げて去って行き、俺も宿屋へと戻った。
「…ただいまー」
「あ、お帰りなさい。どうでした?」
俺が挨拶しながら部屋の中に入るとお姉さんは本を閉じて尋ねてくる。
「刺客は全員捕まえてたから特に何も無かった」
「他には来なかったんですか?」
「まあ。次来るとしたら移動中じゃない?」
「確かに…王都に来る最中にも襲撃に遭ってましたからね」
俺の返答にお姉さんは不思議そうに聞き、予想を話すと納得したように返す。
「…じゃあ帰りとかどうするんですか?新しい刺客とか来たら拐われるんじゃ?」
「あの刺客達が牢から逃げ出さなければそこらの護衛達でも問題は無いでしょ。今までだってなんとかなってたんだから」
「それもそうですね」
お姉さんがふとした疑問を聞くように尋ね、俺が適当に答えるとあまり興味無さそうな感じで話を切り上げた。
「あ、そういえば坊ちゃんが言ってた精霊について調べてたんですけど…」
「おっとそうだ。俺も召喚方法について調べないと…本貸して」
「はい」
お姉さんの思い出したような発言に俺も思い出したのでこの前買った本を読もうと促すとお姉さんはさっきまで読んでたであろう本を渡す。
「『精霊術師』というのは結構色んな事が出来るみたいですね」
「そうなの?」
「代表的なので直接精霊を呼び出す『召喚』や契約した精霊の力を間接的に行使出来るようになる『精霊術』、そして精霊から力を与えられる『加護』などがあるようです」
「召喚術、攻撃魔法、自己強化魔法みたいなもんか…中々に万能だね」
俺が本を開くとお姉さんが調べた結果を話してくれるので俺はページをパラパラとめくりながら、そりゃ強いわけだ…と思いながら言う。
「ですが精霊と契約する方法やそのために召喚する方法とかは書かれてませんでした」
「…ふーん…応用だけ書かれても基礎が分からない事にはなぁ…ってそういや先生は試練とかなんとか言ってなかったっけ?」
お姉さんの話を聞いて俺も精霊関連が書かれてるページを読みながら呟き、ふと思い出した疑問を聞いてみた。
「魔法協会にも精霊に関する文献は多少あるので」
「なるほど…じゃあソレ読めば精霊術師になれたり?」
「…どうでしょう?曖昧であやふやな記述も多々出てきますからやっぱり才能がある人とかじゃないと難しいと思います」
「そりゃそうか。…お。精霊の召喚方法見っけ」
俺がお姉さんの返答に納得しながら聞くと否定的に返されたのでちょっと残念に思いつつ本を読み進めていくと、俺は目的の記述を発見する。
やはり刺客は全員牢の中なので特に何も起きないまま夜になる。
「…お」
「とりあえずコッチは4個だ」
俺が屋根の上で瞑想をしてると拠点の方から飛んで来た分身の俺が目の前でスライム化して着地し、背負っていた風呂敷を下ろして広げながら魔石の数を告げた。
「コッチも4個だから…一個余ったか…まあいいや」
「じゃあな」
用件が済むと分身の俺は別れの挨拶をして分身を解除し、姿を消す。
「…さて、物は揃ったが…どうやって渡したものか…」
俺はドラゴン以外の魔石も空間魔法の施されたポーチに入れ、精霊達の召喚方法が分からずに困りながら呟く。
「…うーん……まあいっか。今度で」
しばらく考えた結果、考えるのが面倒になったので諦めて問題を先送りする事に。
…その翌日も特に問題は起きず…
更に翌日も全く何の問題も起きないまま護衛の依頼期間の一週間が過ぎる。
「ありがとうございました。ココでの用事は済みましたので昼過ぎにはグレグーン領へと帰ります」
「ああ、気をつけるんだよ」
「…道中の護衛などもお願い出来ないでしょうか?」
お嬢さんがお礼を言った後に予定を告げると女性が注意喚起するように返し、それで不安になったのかお嬢さんは再び依頼をしてきた。
「残念だけどあたしは陛下の護衛もあるからあんまり長い間は王都からは離れられないんだ」
「自分も今は王都から離れられないので無理ですね」
「…そうですか…無理を言ってすみません」
女性は気まずそうな顔で理由を話して断り、俺も理由を話して断るとお嬢さんは俯いて呟いた後に謝る。
「まあでも帰る時間を二週間ほど遅らせてもらえるのなら護衛の依頼を受けられますよ」
「!本当ですか!?」
俺がそう提案するとお嬢さんは喜んだように確認した。
「傭兵団の移動と重なれば一緒に行く事で道中の安全は確保出来ますし」
「なるほど…確かに傭兵団が周りを囲っていれば他に雇われた刺客達がいたとしても手を出しづらくなる」
「…分かりました。時間をずらしますので、道中の護衛の件…よろしくお願いします」
俺の説明に女性が納得しながら言うと、どうやらお嬢さんは俺らの都合に合わせてくれるようだ。
「…あと二週間か…まあ牢の中の刺客達が逃げ出さない限りは普通の護衛で十分、あたしらは必要無いだろうね」
「もし不安や心配であれば俺ら猟兵隊に護衛や警備の依頼を出してもらえれば。お金は多少かかりますが、団員に対応できないような事態になれば自分が出向きますので…ご一考のほどよろしくお願いします」
女性が前提条件をつけて護衛の再契約を断るように言うので俺はここぞとばかりに傭兵団の仕事のための営業をかける。
「ははっ、仕事の営業もかけるなんて抜け目の無い男だね」
「まあね」
「じゃ、あたしはもう行くよ」
女性の笑いながらの褒め言葉に俺が適当に相槌を打つと女性は手を上げて去って行き、俺も宿屋へと戻った。
「…ただいまー」
「あ、お帰りなさい。どうでした?」
俺が挨拶しながら部屋の中に入るとお姉さんは本を閉じて尋ねてくる。
「刺客は全員捕まえてたから特に何も無かった」
「他には来なかったんですか?」
「まあ。次来るとしたら移動中じゃない?」
「確かに…王都に来る最中にも襲撃に遭ってましたからね」
俺の返答にお姉さんは不思議そうに聞き、予想を話すと納得したように返す。
「…じゃあ帰りとかどうするんですか?新しい刺客とか来たら拐われるんじゃ?」
「あの刺客達が牢から逃げ出さなければそこらの護衛達でも問題は無いでしょ。今までだってなんとかなってたんだから」
「それもそうですね」
お姉さんがふとした疑問を聞くように尋ね、俺が適当に答えるとあまり興味無さそうな感じで話を切り上げた。
「あ、そういえば坊ちゃんが言ってた精霊について調べてたんですけど…」
「おっとそうだ。俺も召喚方法について調べないと…本貸して」
「はい」
お姉さんの思い出したような発言に俺も思い出したのでこの前買った本を読もうと促すとお姉さんはさっきまで読んでたであろう本を渡す。
「『精霊術師』というのは結構色んな事が出来るみたいですね」
「そうなの?」
「代表的なので直接精霊を呼び出す『召喚』や契約した精霊の力を間接的に行使出来るようになる『精霊術』、そして精霊から力を与えられる『加護』などがあるようです」
「召喚術、攻撃魔法、自己強化魔法みたいなもんか…中々に万能だね」
俺が本を開くとお姉さんが調べた結果を話してくれるので俺はページをパラパラとめくりながら、そりゃ強いわけだ…と思いながら言う。
「ですが精霊と契約する方法やそのために召喚する方法とかは書かれてませんでした」
「…ふーん…応用だけ書かれても基礎が分からない事にはなぁ…ってそういや先生は試練とかなんとか言ってなかったっけ?」
お姉さんの話を聞いて俺も精霊関連が書かれてるページを読みながら呟き、ふと思い出した疑問を聞いてみた。
「魔法協会にも精霊に関する文献は多少あるので」
「なるほど…じゃあソレ読めば精霊術師になれたり?」
「…どうでしょう?曖昧であやふやな記述も多々出てきますからやっぱり才能がある人とかじゃないと難しいと思います」
「そりゃそうか。…お。精霊の召喚方法見っけ」
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