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青年期 106

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「…あー、えらい目にあった…」

『な…!?』
『え…!?』
『は…!?』
『なに…!?』
『…ありえぬ…!!』
『なんという事じゃ!!』
『そんな事が…!!』


…特に急がなかったので上半身を新しく形成するのに時間がかかり、なんとか元に戻して愚痴ると…


精霊達が信じられないものを見るような目で平然と立ち上がった俺を見る。


「話が違うじゃん。出て来たと同時に殺意マシマシで上半身を消し飛ばされるとか…」


万が一に備えて念の為の保険をしてなかったらそのまま死んでたんですけど?と、俺は不機嫌を隠さず精霊達に嫌味や皮肉を言う。


『…なんだコイツは…人間…では無いのか…?いやしかし…』

『…たかが愚物と侮っていたか…よもや加護も無い魔力の質も量も塵に等しい下等生物如きが我の罰を受けて生き残ろうとは…』


鬼が疑惑の目を俺に向けながら呟くと精霊王はまるで品定めでもするかのように俺を見ながら認識を改めるかのように呟いた。


『よかろう。褒美として特別に対価無しでも話を聞いてやろうではないか。さあ用件を告げよ』

「そりゃ契約よ。するの?しないの?」

『…ふむ…そこに転がっている塊全てを合わせて一年…といったところか』


精霊王の偉そうな態度での催促に流石の俺も問答無用で殺しにかかる相手には敬意は払えないので…


不機嫌のまま急かすように確認すると精霊王は地面に置かれてる魔石を見ながら期間を提示する。


「これだけで一年か…よく考えたら他の精霊達はどれくらいの期間なの?聞くの忘れてたけど」

『む…そう言えば告げるのを忘れていたな…我々高位精霊は5年だ』

『妾ら上位精霊も5年じゃ』


俺が考えながらふと思いついた疑問を聞くと鬼は意外そうに呟いて他の精霊達のも纏めて契約期間を教えてくれ、美女も同じように教えてくれた。


「へー、結構長いんだな」

『それだけの価値がある対価だという事だ』

「ふーん…じゃあその契約期間って延長する事も出来るの?」

『契約期間が満了して契約が終了した直後にまた契約を結び直して延長…という形でしか行った事はないが…主ならばその魔石とやらを対価に、例外も例外…異例も異例、長い時を存在してる我らでさえ初めてとなる事前延長が可能であろう』


鬼の発言に俺が疑問を聞くと鬼は分かりやすく丁寧に解説や説明をしてくれる。


『ちなみに私達上位精霊ならその中の一つで更に5年延長…10年の契約期間になるわよ』

『僕ら上位精霊なら一つにつき一年かな』

『うむ。それが妥当だろう』


少女の補足に美人さんも教えてくれ、美女が同意するように言う。


「へー…じゃあこのドラゴンの魔石ならどれくらいになりそう?」

『そ…!そのような物まで…!?』

『…なんという密度…!一体どれほどの質を有しているのか…想像もつかん…!』

『ほお…!ソレならば一つで一年の契約が可能だな』


俺が魔石の中でもかなり価値が高い物を取り出して見せると鬼や小人が驚き、精霊王も驚きながら意外そうに期間を提示した。


『…我々高位精霊なら70年ほど期間が延長出来よう』

『そうだね。アレなら…!』

『僕ら上位精霊だと50年かな』

『うむ。…人間で例えるならば垂涎もの…喉から手が出るほど、だったか…先に見せてれば妾達の対応も変わっていたものを…』


女性の発言に少女が同意し、美人さんも期間を提示すると美女が同意しながら魔石を食い入るように凝視しながら呟く。


「…そういや長期間の契約を結んだとして、その期間内に俺が死んだ場合はどうなるの?普通に契約が切れてお終い?」

『いつも通りの契約ならそうなるな』

『だけど今回のような長期間の場合は話が違ってくるの』

『もし主が早期に死ねば残った期間の契約は後継者へと引き継がれる。後継者を選んでいない場合や先に死している場合はもっとも近い血縁へと引き継がれる事となる』

『そして後継者や親兄弟といった血縁が居なくなった場合のみ、余った期間の引き継ぎが履行されずに契約が破棄されるのじゃ』


俺がふとした疑問を聞くと…よほどこの魔石が欲しいのか、精霊達が分かりやすく丁寧に説明し始める。


「…なるほど。じゃあ例えば俺と50年の契約を結んだとして、俺が一年ぐらいで死ねば残りの49年は家族の誰かに契約が移るって事でしょ?」

『うむ』
『そうだ』
『そう』
『その通り』
『その認識で間違いない』


俺の確認に精霊達は結構な食い気味で肯定した。


「そりゃいいや。今はコレ一個しかないんだけど…後から集めて来るから数が揃ったら契約の延長をお願いしても良い?」

『うむ!』
『勿論じゃ!』
『うん!』
『分かった!』
『願ってもない!』
『約束ぞ!』
『絶対だからね!』

『ふっ…よかろう。契約だ』


俺が納得して確認すると精霊達も了承し…精霊王が笑って俺を指差す。


…すると俺の全身を覆うほどの魔法陣が現れた思えば直ぐに消え、ドラゴンの魔石が粒子状になって消える。


『あ!抜け駆けだ!』

『狡いぞ!』

『いくら精霊王とはいえ今のような抜け駆けは容認出来ぬぞ!』

『全くじゃ!返せ!』

『ふはは、何と言おうがもはや後の祭りだ。中々に質の良い魔力だったぞ。そこそこは満足出来たか』


精霊王は精霊達に糾弾されるように非難を受けるが得意気に笑って流し、煽るように感想を言う。
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