子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題！

青年期 103

『…ふん。妖精どもが騒ぎ立てるから何事かと思えば…その程度の貧弱な魔力で我に何の用がある？か弱き人間よ』


多分高位精霊であろう鬼は俺が何か言う前に見下したような目で鼻を鳴らし、不愉快で不機嫌そうな反応をしながら聞いてきた。


「契約するつもりで呼んだんだけど…」

『…なんと愚かな……身の程知らずもここまでくると怒りを通り越して呆れすら覚える…我と契約したければ最低でもあとその10倍の魔力を身につける事だな』


そして研鑽を積み、魔力の質も更に高めよ。と、俺の用件を聞いた鬼が呆れながらため息を吐いて拒否ると最後にアドバイスをしてくれる。


「ええ…そんなに酷いもんなの？」

『…無知が過ぎる貴様ら人間にも分かるよう教えてやろう。貴様ら人間は報酬に虫や石を提示されてソレを受け入れて働けるのか？』

「…あ、なるほど。それは失礼した。すみません」


あまりのボロクソな意見に俺が尋ねると鬼はなんとも言えないような感じで俺らに合わせて説明してくれ、俺は軽く理解できたので謝罪した。


「ではこれならどうです？」

『…ほう…手土産を持参していたか…良い心がけだ。さきほどの我の無礼については謝罪しよう、すまぬな』


俺がゴブリンの魔石を取り出して見せながら確認すると鬼は意外そうに呟いて前言撤回するように謝ってくる。


『だがそれ一つで契約とは無理な話だ。そこにいるモノを追い払うという事なら容易いが』


鬼は契約には断るが何かしらの行動は受けてくれるらしく…そう言いながら少女を見た。


『わ、私…！？い、いえ、これから戻るとこなので…！お先に失礼しまーす！…迷惑料貰っとくからね！』

「くっ…！」


少女が焦ったように言い訳のような事を言って消えると『迷惑料』とやらで魔力が根こそぎ持ってかれたのか、青年は膝を着いた状態から気を失ったように倒れる。


『…ふん…惜しい事を…』

「…もし契約するとしたらこの魔石がいくつ必要になる？」

『…そうだな…最低でも十は欲しいものだ』

「10個かぁ…」


残念そうに呟いた鬼に俺が確認すると少し考えて答えるので俺は結構多いな…と思いながら呟いた。


「じゃあこれより大きかった場合は？コレみたいに」

『…ソレならば八つで済むだろう』


スライムの魔石を取り出して確認すると鬼はちょっと驚いたような顔で答える。


「…コレは？」

『…七つだな。十日であればその三つの物を対価に契約を結ぶのもやぶさかではない』


更にスケルトンの魔石を見せて確認すると鬼は短期なら契約が可能だという考えを告げた。


「…なるほど。じゃあコレなら一個で足りるわけだ」

『…ほう…主はただの人間では無さそうだな…よかろう。ソレならば契約の対価として十分に足り得る』


…確認の結果、ある程度は理解できたのでダチョウの魔石を取り出して言うと鬼は納得して了承する。


「あ、ホント。やっぱりコレで良かったわけだ」

『では契約を行う』

「ん？…あ」


俺が喜びながら言うと鬼は急かすように告げて俺を指で指すと…


俺の腹あたりに小さい魔法陣が浮かんで直ぐに消え、手に持っていたダチョウの魔石が粒子状になって消えた。


『ふ…ふはは！ははははは！これは素晴らしい…！このような上質な魔力はいつ以来か…！脆弱な人間に使役されるのを耐えるには十分だ！』

「…喜んでいただけたようで何よりだよ。…そういや他にも精霊っているの？」

『高位精霊ならば我以外にも4体存在する』


高笑いして上機嫌になった鬼に俺は皮肉を言いながらも疑問を聞くと普通に教えてくれる。


「4体…五大属性の精霊か…？契約出来ると思う？」

『…普段ならば『脆弱な人間風情が思い上がりも甚だしい…愚かな戯言を抜かすな！』と罰を与えてやるところだが…手土産があるのならば話は別だ。特別に呼んでやろう』


俺の不思議に思いながらの確認に鬼は不愉快で不機嫌そうな表情になって物騒な事を言うが、一応魔石の一件で呼んでくれるらしい。


『なになにー？』

『我々を呼ぶとは何事かえ？』

『…なんだ？この貧弱で見るからに脆弱そうな人間は？』


地面に4つの魔法陣が現れるとソコからノースリーブの白いワンピースを着た少女や、胸元の空いた水色のドレスを着た女性…


トンガリ帽子を被った小人と髪が逆立って目の下に雷マークのようなモノが見える少年が出てきた。


「おおー…流石に精霊がこれだけ集まると圧巻というかなんと言うか…」

『…こやつが我々を？』

『そうだ。契約を望んでいる』


俺が驚きながら呟くと女性が俺を指差して鬼に確認し、鬼が肯定しながら用件を告げると精霊達は呆れて絶句したような反応をする。


「まあ当然タダでとは言わないよ。コレでどう？」

『わあ…！』

『ほお…』

『…うむ』

『…なるほどねー』


俺は対価としてダチョウの魔石を取り出して確認すると精霊達は驚いたように見ながら好意的な反応へと変わった。


『しかし数はあるのか？一体につき一つだぞ？』

「はっはっはー…この程度ならあと5個はあるから問題無いよ」

『わあ！じゃあ早速！』

『あっ！卑怯じゃぞ！』


鬼の確認に俺が笑いながら残りの数を教えながら更に三つ取り出して見せると少女が喜んで抜け駆けするように俺に指をさす。


すると俺の胸あたりに小さい魔法陣が浮かんで直ぐに消え、手に持っていたダチョウの魔石の一つが粒子状になって消える。


『すっご！コレすっごいよ！久しぶり！』

『次は我じゃな！』


少女が喜ぶと女性が我先にと俺に手を向け…


今度は腹あたりに小さい魔法陣が浮かび、直ぐに消えるとやっぱり手に持っていた魔石が粒子状になって消えた。


『次は儂じゃな』

『二つあるんだから同時契約できる』


小人が俺に向かって指をさすと少年を同じように指をさし…


俺の腹と胸あたりに小さい魔法陣が二つ浮かぶと直ぐに消え、残り二つの魔石が粒子状になって消える。