子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神

文字の大きさ
上 下
147 / 480

青年期 83

しおりを挟む
その後、4体のミスリルゴーレムを見つけ…


即魔石抜きをして倒し、魔物素材をいつものように一つ残らず全て回収する。


「大量に取れましたね!」

「うん。これだけあれば十分でしょ」

「…ミスリルとゴーレム系の魔石…杖も新調してみようかな…!今の加工技術なら…うふふふ…!」


大量に集まったミスリルや魔石に分身のお姉さんは喜び、武器も新しくしようと予定を立てながら呟いて笑う。


…それから俺らは最下層をくまなく探索したが他には見当たらず、また出現するかも…と、夜まで最下層に滞在して粘ったが流石にそう上手くはいかなかった。


「…もう夜も遅いですね…こんな時間までダンジョンに居たのは久しぶりです」

「せっかくだから最後にボス倒して帰ろうか」

「はい」


分身のお姉さんは時間を確認して懐かしむように言い、俺が提案すると笑顔で賛成する。



「…ん?」

「…え…?」


ダンジョンボスのいる空間である部屋に入ると黒い巨人の姿が。


「…なんだ…?ゴーレム、か…?」

「…ま、まさか…!!」


…俺は距離をはかりながら近づいて初見の魔物の種類を予想するが…


なんせ普通よりも二回りか三回りほども大きく、5mから6mぐらいあるので確証が持てずにいると分身のお姉さんがその魔物を知ってるかのように驚愕しながら呟く。


「知ってるの?」

「…私も見た事が無いので…見るのが初めての魔物なので、確証は持てませんが、多分『アダマンタイタン』かもしれません」

「アダマンタイ…アダマンタイト?」

「『アダマンタイタン』。最硬…最も硬い巨人と言われ、ゴーレムの最上位種とされてます。ちなみに世界に数体しか確認されていない未討伐の魔物の内の一体です」


…本物ならば、ですが…と、分身のお姉さんは目の前にいる魔物についての情報を説明してくれた。


「へー。未討伐の魔物ねぇ…そんなのがいるってボンヤリとした噂でしか聞いた事無いけど、まさか実際にこうして見ることになるとは…しかもこんな初心者向けの初級ダンジョンで」

「…おそらく、このダンジョンは局地的な異常気象の影響で『異界化』が起きてる可能性が…いえ、確実に起きてますね」


俺の驚きながらの呟きに分身のお姉さんは曖昧な感じで言った後に直ぐに確信したように訂正する。


「『アダマンタイタン』かぁ…やっぱり全身アダマンタイトなのかな?」

「どうでしょう?一応アダマンタイトは隕石が魔力で変質した鉱物とか金属っていう説もありますからねぇ…そんなのが全身というのは…」


俺が笑いながら聞くと分身のお姉さんは真面目な顔で首を傾げて考えながら返す。


「ま、とりあえず戦ってみたら分かるか」

「気をつけて下さい。未討伐の魔物なので、危険度は厄災の龍に近いかもしれません」

「…だとしたら今の俺で勝てるか…いつでも逃げれるよう準備しといて」

「分かりました」


俺の楽観的な発言に分身のお姉さんが注意を促してくるので戦う前から逃走を視野に入れながら指示を出した。


「…近くで見たらマジででけー…威圧感も半端ねぇー…」

「オオォォ…!!」


俺が近づいて見上げながら呟くと魔物が右腕を斜めに振り上げて薙ぎ払うように攻撃してくる。


「おっと…っ!?がふっ!?」


俺は軽くバックステップで紙一重で避けるも…


まさかの上半身をコマのように回転させての左腕の裏拳のような薙ぎ払いに、とっさに左腕でガードするが思いっきり吹っ飛ばされて壁に激突した。


「!?坊ちゃん!!」

「がはっ!…っ…!」


…ガードした左腕が潰れ、左半身の骨がバッキバキに折れて内臓も傷ついてるらしく俺は咳き込んで大量の血を吐く。


「ぼ、坊ちゃん!大丈夫ですか!?生きてます!?」


なんとか変化魔法を使ってスライム化で両腕や骨、内臓を元に戻すと…


分身のお姉さんが心配しながら必死の様子で駆け寄って来て回復魔法を使うために詠唱を始める。


「…やっべー…危うく気を失うとこだった。一撃でコレってエグいな」

「…良かった…!」

「ありがと」


俺は口元の血を拭いながら立ち上がって呟くと分身のお姉さんの回復魔法で痛みが消えるのでお礼を言う。


「しっかし油断してしまったな…上半身を回転させての攻撃なんて普通の魔物じゃ構造上出来ないし…」

「…もう大丈夫ですか?」

「うん。ありがとう。俺一人だったらもう逃げる以外の選択肢が無かったよ」


俺が反省しながら呟いたら分身のお姉さんが確認してきて、お礼を言うと安全のために離れて行った。


「…流石未討伐なだけはある…パワーは魔物の中でもダントツだな。A級のハンターでも避けきれなければガードしても即死だ」


ズシン…ズシン…とゆっくりと重い動作で一歩一歩近づいてくる魔物を見ながら、俺は分析するように呟く。


「…俺でも当たりどころが悪ければ即死か…ふー…一撃即、死って横スクロールゲームかよ…」


俺が予想しながらため息を吐いて呟く間も魔物は一歩一歩近づいてくる。


「…とりあえず速さで翻弄するか」


俺は方針を決めた後に変化魔法で脚をダチョウとカースホースに部分変化と並行変化をして一瞬で魔物の懐に入った。


「…やっぱりな…」

「オオオォォ!」


そして貫手をするも全く刺さらないどころか逆に俺の指がバキバキに折れ…


予想通りだと呟いて即座に離脱すると魔物がさっきまで俺が居たところを蹴り上げる。


「…こんな風に指が折れるなんて何年振りだ?それだけ硬いって事だろうけど…部位鍛錬にはうってつけだな」


俺は折れた指を部分変化のスライム化で治して並行変化も使い、ゴブリンとグリーズベアーの爪に変えた。
しおりを挟む
感想 47

あなたにおすすめの小説

誰も要らないなら僕が貰いますが、よろしいでしょうか?

伊東 丘多
ファンタジー
ジャストキルでしか、手に入らないレアな石を取るために冒険します 小さな少年が、独自の方法でスキルアップをして強くなっていく。 そして、田舎の町から王都へ向かいます 登場人物の名前と色 グラン デディーリエ(義母の名字) 8才 若草色の髪 ブルーグリーンの目 アルフ 実父 アダマス 母 エンジュ ミライト 13才 グランの義理姉 桃色の髪 ブルーの瞳 ユーディア ミライト 17才 グランの義理姉 濃い赤紫の髪 ブルーの瞳 コンティ ミライト 7才 グランの義理の弟 フォンシル コンドーラル ベージュ 11才皇太子 ピーター サイマルト 近衛兵 皇太子付き アダマゼイン 魔王 目が透明 ガーゼル 魔王の側近 女の子 ジャスパー フロー  食堂宿の人 宝石の名前関係をもじってます。 色とかもあわせて。

転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。

克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作 「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位

明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。 彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。 最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。 一種の童話感覚で物語は語られます。 童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです

生活魔法は万能です

浜柔
ファンタジー
 生活魔法は万能だ。何でもできる。だけど何にもできない。  それは何も特別なものではないから。人が歩いたり走ったりしても誰も不思議に思わないだろう。そんな魔法。  ――そしてそんな魔法が人より少し上手く使えるだけのぼくは今日、旅に出る。

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!

あるちゃいる
ファンタジー
 山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。  気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。  不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。  どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。  その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。  『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。  が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。  そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。  そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。   ⚠️超絶不定期更新⚠️

ギルドを追放された俺、傭兵ギルドのエリートに拾われる〜元ギルドは崩壊したらしい〜

ネリムZ
ファンタジー
 唐突にギルドマスターから宣言される言葉。 「今すぐにこのギルドから去れ。俺の前に二度と顔を出さないように国も出て行け」  理解出来ない言葉だったが有無を言わせぬマスターに従った。  様々な気力を失って森の中を彷徨うと、賞金首にカツアゲされてしまった。  そこに助けようとする傭兵ギルドのA級、自称エリートのフィリア。  モヤモヤとした気持ちに駆られ、賞金首を気絶させる。  行く場所が無い事を素直に伝えるとフィリアは自分のギルドに招待してくれた。  俺は仕事が必要だったのでありがたく、その提案を受けた。  そして後に知る、元所属ギルドが⋯⋯。  新たな目標、新たな仲間と環境。  信念を持って行動する、一人の男の物語。

念願の異世界転生できましたが、滅亡寸前の辺境伯家の長男、魔力なしでした。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリーです。

処理中です...