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青年期 80
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「…ああ…もったいない…」
「しょうがないよ」
「…そうですね」
俺が心臓抜きした魔石を握り潰して自分の魔力の回復にあてると分身のお姉さんが残念そうに呟くが…
どのみち事前にある程度のダメージを与えていたせいで直ぐに魔素に分解されるので、諦めさせるようにそう返すと分身のお姉さんは理解してるように肯定する。
「まあでもコレでやっと余裕が出てきた」
「グッ…!」
「ガッ…!」
「ギュ…!」
魔石による過剰回復で一時的に本来の半分まで魔力が一気に回復し、俺は逃げるのをやめて並行変化と部分変化を使って追って来た二体のオルトロスと鳳凰を一蹴した。
「うふふ…一つの魔石と引き換えに三つの魔石…!」
「毎回毎回よくそんな喜べるね」
「そりゃ坊ちゃんにはそこらに落ちてる小石程度にすぎない価値なんでしょうけど…私達には宝石よりも価値がある物なんですよ!」
…魔石三つを手に喜ぶ分身のお姉さんに俺が不思議に思いながら言うと力説するように返してくる。
「それでも毎週のように貰ってたらありがたみも薄れない?」
「全然!全く!ありえません!」
「そ、そう…?」
俺の問いに分身のお姉さんは首を横に振って力いっぱい否定するので俺は若干ヒきながら返す。
…そんなこんなダンジョンを進んで下層に潜っていくと…
「お!」
「…紫色のスライム…?」
とても珍しい魔物を発見したので俺が声を上げると分身のお姉さんは珍しそうに見ながら呟いた。
「あ。アレ気をつけてね。アレの体液は俺でも骨だけになるから」
「え!?」
分身のお姉さんが近づこうとするので俺が注意を促すと驚愕して俺を見た。
「もしかして見るの初めてだった?」
「…はい。ですがソレは坊ちゃんも同じでは…?」
俺の問いに分身のお姉さんは不思議そうに…納得いかなそうに尋ねてくる。
「あー、じゃあ学生時代の時か…俺は二回だけ見た事ある。今回で三回目だね」
「…毎週ダンジョンに行ってるのにたったの三回なんですね…」
「それだけ珍しいスライムって事だよ。上級者用のダンジョン以外では見た事無いし」
「じゃあ出現に魔素が関係する…?」
俺が思い出すように予想すると分身のお姉さんはなんとも言えないような微妙な顔で呟き、俺の説明に予想するように返す。
「多分。でも紫がいるって事は…最下層には黒色がいるかも」
「黒…ですか?」
「そうそう。ソレの体液は俺でも貫手突っ込んだら骨も残らず一瞬で溶けて無くなる」
「えっ!?」
俺の予想に分身のお姉さんは不思議そうに返し、体験談を基にした説明をすると驚愕された。
「痛みを感じる間も無く一瞬で消えるからね。いやー、右手と腕が無くなった時は何が起きたか理解するのに数秒かかったよ」
「いやいやいや!ええっ!?それは笑い事で済まないと思いますけど!」
俺が笑いながら失敗談を話すと分身のお姉さんは驚きながらツッコミをかます。
「まあでも紫のおかげでその後直ぐに把握出来たから大事には至らなかったし」
「そうなんですか?でもそれじゃあ魔石は取れなそうですね…」
俺の話を聞いて分身のお姉さんはホッとしたように返し、残念そうに呟くので…
「いや?取れるよ。……ほら」
「ぎゃー!!坊ちゃん手が!!」
俺が否定しながら紫色のスライムに近づき…
貫手を突き刺して中の魔石を掴んで抜き取ると白骨化みたいに骨だけになった俺の右手と右腕を見て分身のお姉さんが悲鳴を上げ、慌てて回復魔法を使う。
「…!?治らない…!なんで…!?」
「ははは、流石に骨の状態じゃあ回復魔法でも無理でしょ」
「いや笑ってる場合じゃないですって!!どうするんですか!!」
凄腕の使い手であるお姉さんの分身が使う回復魔法でさえ俺の右手と右腕は骨のまま。
その様子に分身のお姉さんが愕然としたように呟くので俺が笑って理由を話すと分身のお姉さんが怒りながら叱るように叫ぶ。
「というかなんでこの状態でそんなに余裕なんですか!?分かってます?今の坊ちゃんはいつもみたいに分身じゃないんですよ!?」
死んだらお終いなんですよ!?と、何故か分身のお姉さんは涙目になって怒ったように俺に詰め寄ってくる。
「まあまあ落ち着いて…」
「これが落ち着いていられるわけ……!?」
俺が宥めるように言うも食ってかかられたので、とりあえず変化魔法を使って部分変化でスライム化させて右腕を元に戻した。
「え!?戻った!?」
「そりゃ普通に戻せるよ。じゃないと俺が未だに五体満足なのおかしくない?」
「……確かに。………少々、取り乱したようで…申し訳ありません…」
驚愕する分身のお姉さんに俺が笑いながら言うと少し固まった後に納得し、恥ずかしさからか顔を隠してその場にしゃがみながらボソボソと小声で謝る。
「心配してくれてありがと。嬉しいよ」
「…いえ…私なんかには…もったいないお言葉です…」
流石に弄れるような空気じゃないので適当に喜びそうな事を言うとまたしてもボソボソ呟き…
分身のお姉さんは気を取り直したのか直ぐに立ち上がった。
「…あっ、この魔石…なるほど!前に大量の魔石を渡された時、スライムの魔石の中にあり得ないぐらい凄く質の高い魔石が混じってると思ったら…この紫色のスライムのだったんですね…!なるほどー!」
そして魔石を見ると長年の疑問が解けたかのようなスッキリした感じではしゃぎ出す。
「しょうがないよ」
「…そうですね」
俺が心臓抜きした魔石を握り潰して自分の魔力の回復にあてると分身のお姉さんが残念そうに呟くが…
どのみち事前にある程度のダメージを与えていたせいで直ぐに魔素に分解されるので、諦めさせるようにそう返すと分身のお姉さんは理解してるように肯定する。
「まあでもコレでやっと余裕が出てきた」
「グッ…!」
「ガッ…!」
「ギュ…!」
魔石による過剰回復で一時的に本来の半分まで魔力が一気に回復し、俺は逃げるのをやめて並行変化と部分変化を使って追って来た二体のオルトロスと鳳凰を一蹴した。
「うふふ…一つの魔石と引き換えに三つの魔石…!」
「毎回毎回よくそんな喜べるね」
「そりゃ坊ちゃんにはそこらに落ちてる小石程度にすぎない価値なんでしょうけど…私達には宝石よりも価値がある物なんですよ!」
…魔石三つを手に喜ぶ分身のお姉さんに俺が不思議に思いながら言うと力説するように返してくる。
「それでも毎週のように貰ってたらありがたみも薄れない?」
「全然!全く!ありえません!」
「そ、そう…?」
俺の問いに分身のお姉さんは首を横に振って力いっぱい否定するので俺は若干ヒきながら返す。
…そんなこんなダンジョンを進んで下層に潜っていくと…
「お!」
「…紫色のスライム…?」
とても珍しい魔物を発見したので俺が声を上げると分身のお姉さんは珍しそうに見ながら呟いた。
「あ。アレ気をつけてね。アレの体液は俺でも骨だけになるから」
「え!?」
分身のお姉さんが近づこうとするので俺が注意を促すと驚愕して俺を見た。
「もしかして見るの初めてだった?」
「…はい。ですがソレは坊ちゃんも同じでは…?」
俺の問いに分身のお姉さんは不思議そうに…納得いかなそうに尋ねてくる。
「あー、じゃあ学生時代の時か…俺は二回だけ見た事ある。今回で三回目だね」
「…毎週ダンジョンに行ってるのにたったの三回なんですね…」
「それだけ珍しいスライムって事だよ。上級者用のダンジョン以外では見た事無いし」
「じゃあ出現に魔素が関係する…?」
俺が思い出すように予想すると分身のお姉さんはなんとも言えないような微妙な顔で呟き、俺の説明に予想するように返す。
「多分。でも紫がいるって事は…最下層には黒色がいるかも」
「黒…ですか?」
「そうそう。ソレの体液は俺でも貫手突っ込んだら骨も残らず一瞬で溶けて無くなる」
「えっ!?」
俺の予想に分身のお姉さんは不思議そうに返し、体験談を基にした説明をすると驚愕された。
「痛みを感じる間も無く一瞬で消えるからね。いやー、右手と腕が無くなった時は何が起きたか理解するのに数秒かかったよ」
「いやいやいや!ええっ!?それは笑い事で済まないと思いますけど!」
俺が笑いながら失敗談を話すと分身のお姉さんは驚きながらツッコミをかます。
「まあでも紫のおかげでその後直ぐに把握出来たから大事には至らなかったし」
「そうなんですか?でもそれじゃあ魔石は取れなそうですね…」
俺の話を聞いて分身のお姉さんはホッとしたように返し、残念そうに呟くので…
「いや?取れるよ。……ほら」
「ぎゃー!!坊ちゃん手が!!」
俺が否定しながら紫色のスライムに近づき…
貫手を突き刺して中の魔石を掴んで抜き取ると白骨化みたいに骨だけになった俺の右手と右腕を見て分身のお姉さんが悲鳴を上げ、慌てて回復魔法を使う。
「…!?治らない…!なんで…!?」
「ははは、流石に骨の状態じゃあ回復魔法でも無理でしょ」
「いや笑ってる場合じゃないですって!!どうするんですか!!」
凄腕の使い手であるお姉さんの分身が使う回復魔法でさえ俺の右手と右腕は骨のまま。
その様子に分身のお姉さんが愕然としたように呟くので俺が笑って理由を話すと分身のお姉さんが怒りながら叱るように叫ぶ。
「というかなんでこの状態でそんなに余裕なんですか!?分かってます?今の坊ちゃんはいつもみたいに分身じゃないんですよ!?」
死んだらお終いなんですよ!?と、何故か分身のお姉さんは涙目になって怒ったように俺に詰め寄ってくる。
「まあまあ落ち着いて…」
「これが落ち着いていられるわけ……!?」
俺が宥めるように言うも食ってかかられたので、とりあえず変化魔法を使って部分変化でスライム化させて右腕を元に戻した。
「え!?戻った!?」
「そりゃ普通に戻せるよ。じゃないと俺が未だに五体満足なのおかしくない?」
「……確かに。………少々、取り乱したようで…申し訳ありません…」
驚愕する分身のお姉さんに俺が笑いながら言うと少し固まった後に納得し、恥ずかしさからか顔を隠してその場にしゃがみながらボソボソと小声で謝る。
「心配してくれてありがと。嬉しいよ」
「…いえ…私なんかには…もったいないお言葉です…」
流石に弄れるような空気じゃないので適当に喜びそうな事を言うとまたしてもボソボソ呟き…
分身のお姉さんは気を取り直したのか直ぐに立ち上がった。
「…あっ、この魔石…なるほど!前に大量の魔石を渡された時、スライムの魔石の中にあり得ないぐらい凄く質の高い魔石が混じってると思ったら…この紫色のスライムのだったんですね…!なるほどー!」
そして魔石を見ると長年の疑問が解けたかのようなスッキリした感じではしゃぎ出す。
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