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青年期 35
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…その後。
一旦昼飯と休憩を挟んで投降兵達の持ち物を没収し、一番目の砦に向けて次々と解放させていく。
「…さて、騎士団はこのままココの防衛をお願いします。正規兵を3000人置いて行きますので」
「分かった」
「自分達は三番目の砦の防衛へと回ります」
「うむ、任せた」
俺は青年に指示を出した後に傭兵達と残った正規兵を連れて三番目の砦へと帰還した。
そして三番目の砦の防衛は知り合いのハンター達に任せ…
一番目の砦を両側から挟んで牽制していた兵達に三番目の砦と城塞にそれぞれ帰還するよう指示を出して俺も城塞へと戻る。
「ただいまー」
「お帰りなさい。どうです?」
「あとちょっとで終わりそう。早ければ明日にでも終わるかな?」
そろそろ夕飯の時間になったので宿屋に戻るとお姉さんが状況を確認して来るので、俺は相手が潔く敗けを認めてくれるといいけど…と思いながら返す。
その翌日。
俺はまだ日が昇る前の朝早くから敵の大将に降伏勧告するために一人で一番目の砦へと向かった。
「止まれ!」
「おっと、俺は使者だけど斬ってもいいのかなー?」
「…なんだと?」
砦の近くを巡回していた敵兵に見つかって槍を向けられたが俺が両手を上げながら確認すると敵兵は怪訝そうな顔をする。
「そちらの指揮官…司令官に伝言を頼まれた。ココで使者の俺を斬ると『交渉の余地無し』って事で直ぐに包囲されて殲滅させられちゃうよ?」
「ぐっ…!」
「…チッ、ついて来い」
俺は敵意が無い事を示すために両手を上げながら言うと、敵兵の一人が舌打ちして案内するように背中を向けた。
「…なんだソイツは?」
「使者だそうだ」
「使者だと?」
「確かに非武装だが…」
門の前にいた敵兵の問いに俺を案内してくれてる兵が答えると他の兵達も怪訝そうに俺を見ながらも一応扉を開ける。
「ガナンド様!ラスタより使者がいらしておりますが、いかがいたしましょうか?」
「使者だと…?…通せ」
「はっ!許可が降りた。中に入れ」
砦内にあるテントの前に着くと敵兵が報告し、男性は不思議そうにしつつも許可を出す。
「ごきげんよう」
「!?貴様は…!正気か!?」
俺が余裕の態度で挨拶をしながら入ると男性は驚愕したような反応をした。
「…軍を指揮する者が使者として敵の陣中に赴くなど…!ありえん…!」
「ははは、俺なりの誠意…ってヤツですよ。まあ俺が話した方が一番早いから、なんですけど」
「…用件はなんだ?まさかと思うが降伏勧告ではないだろうな?」
驚愕しながら呟く男性に俺が笑いながら理由を話すと表情を戻して睨むように確認する。
「おお。流石、冴えてますな」
「…我々を舐めるのも…馬鹿にするのも大概にしろよ、小僧」
俺は褒めたにも関わらず男性は敵意剥き出しで殺意までも向けながら怒った。
「まあまあ、そんなに怒らないで下さいよ。これが最後ですから」
「…最後…?」
「この機会を逃すと後はそのまま死ぬか大量の部下を失っての逃走、または降伏になりますよ」
俺が宥めるように言うと険しい顔をしながら不思議そうに聞くので戦いが始まった後の事を話す。
「戦って死ぬのが武人の本懐だ。戦う前から負けを認める事など出来ぬ」
「なるほどなるほど…じゃあ戦場からは逃げないって事ですよね?撤退も逃走もしない、と?」
「…何が言いたい?」
「結局危なくなったら逃げるのに格好つけるなんて馬鹿らしい、と馬鹿にしてるんですよ」
男性の言葉に俺が半笑いで確認すると不機嫌そうに意図を尋ねられたので俺は本音をぶっちゃける。
「その言葉は逃げずに最後まで戦って死ぬか友軍に助けられた時に言うべき言葉であって、建前で軍の損害を増やすなんて愚かもいいとこだと思いません?」
「…ふー…とても一騎打ちを好む者の発言だとは思えんな」
「ははは、俺は誇りよりも仲間の命の方が大事なのでね。ちゃんと退き際は心得てますよ」
俺がダブスタを批判するように続けると男性は冷静になるように息を吐いて批判し返すように言うので、俺は笑って否定的に返した。
「ふっ…軍の総大将が単身敵陣に乗り込んでおいて何を言う…ココで貴様を捕えて人質にすれば我々が一転して有利になるとは思わんのか?」
「それは無いです」
「なに…?」
男性のニヤリと笑っての脅しのような発言に俺がキッパリと否定したら驚いたような顔になる。
「所詮自分は雇われの傭兵に過ぎませんからね。敵に捕まれば指揮権が辺境伯に戻るだけで人質としての価値はありませんよ」
だから単身来たんであって…と、俺は笑いながら理由を告げた。
「…それはどうかな?辺境伯は貴様をえらく信頼していたようだからな…貴様が思ってるほど無価値では無いかもしれんぞ」
「あの辺境伯が個人的な考えを軍事行動に反映するかどうかは怪しいと思いますが…そもそも、自分を捕まえる事が出来るとお思いですか?」
男性は余裕の笑みを浮かべながら牽制するように脅すので俺は少し考えるように呟き、馬鹿にするように軽く驚きながら聞く。
「やってみるか?」
「やめておいた方が良いですよ。流石にこの人数じゃ手加減出来ないんでただの殺戮になってしまい、わざわざ勧告に来た意味がなくなります」
「ふっ…ははは!面白い!そこまで自信があるのか…!ならば貴様の好きな一騎打ちで決めようじゃないか」
男性が立ち上がるので俺が止めると声を上げて笑い、ありがたい提案をしてくる。
「おー、良いですね。ありがたい」
「俺が勝てば全兵を城塞まで撤退させ、全ての砦を返してもらおうか」
「良いでしょう。では自分が勝った場合はそちらの全ての兵に武器や防具を外させ、完全に非武装の状態で退却してもらいます」
俺の了承の返事に男性が勝った際の条件を提示するので俺は呑んだ後にこっちの条件も提示した。
一旦昼飯と休憩を挟んで投降兵達の持ち物を没収し、一番目の砦に向けて次々と解放させていく。
「…さて、騎士団はこのままココの防衛をお願いします。正規兵を3000人置いて行きますので」
「分かった」
「自分達は三番目の砦の防衛へと回ります」
「うむ、任せた」
俺は青年に指示を出した後に傭兵達と残った正規兵を連れて三番目の砦へと帰還した。
そして三番目の砦の防衛は知り合いのハンター達に任せ…
一番目の砦を両側から挟んで牽制していた兵達に三番目の砦と城塞にそれぞれ帰還するよう指示を出して俺も城塞へと戻る。
「ただいまー」
「お帰りなさい。どうです?」
「あとちょっとで終わりそう。早ければ明日にでも終わるかな?」
そろそろ夕飯の時間になったので宿屋に戻るとお姉さんが状況を確認して来るので、俺は相手が潔く敗けを認めてくれるといいけど…と思いながら返す。
その翌日。
俺はまだ日が昇る前の朝早くから敵の大将に降伏勧告するために一人で一番目の砦へと向かった。
「止まれ!」
「おっと、俺は使者だけど斬ってもいいのかなー?」
「…なんだと?」
砦の近くを巡回していた敵兵に見つかって槍を向けられたが俺が両手を上げながら確認すると敵兵は怪訝そうな顔をする。
「そちらの指揮官…司令官に伝言を頼まれた。ココで使者の俺を斬ると『交渉の余地無し』って事で直ぐに包囲されて殲滅させられちゃうよ?」
「ぐっ…!」
「…チッ、ついて来い」
俺は敵意が無い事を示すために両手を上げながら言うと、敵兵の一人が舌打ちして案内するように背中を向けた。
「…なんだソイツは?」
「使者だそうだ」
「使者だと?」
「確かに非武装だが…」
門の前にいた敵兵の問いに俺を案内してくれてる兵が答えると他の兵達も怪訝そうに俺を見ながらも一応扉を開ける。
「ガナンド様!ラスタより使者がいらしておりますが、いかがいたしましょうか?」
「使者だと…?…通せ」
「はっ!許可が降りた。中に入れ」
砦内にあるテントの前に着くと敵兵が報告し、男性は不思議そうにしつつも許可を出す。
「ごきげんよう」
「!?貴様は…!正気か!?」
俺が余裕の態度で挨拶をしながら入ると男性は驚愕したような反応をした。
「…軍を指揮する者が使者として敵の陣中に赴くなど…!ありえん…!」
「ははは、俺なりの誠意…ってヤツですよ。まあ俺が話した方が一番早いから、なんですけど」
「…用件はなんだ?まさかと思うが降伏勧告ではないだろうな?」
驚愕しながら呟く男性に俺が笑いながら理由を話すと表情を戻して睨むように確認する。
「おお。流石、冴えてますな」
「…我々を舐めるのも…馬鹿にするのも大概にしろよ、小僧」
俺は褒めたにも関わらず男性は敵意剥き出しで殺意までも向けながら怒った。
「まあまあ、そんなに怒らないで下さいよ。これが最後ですから」
「…最後…?」
「この機会を逃すと後はそのまま死ぬか大量の部下を失っての逃走、または降伏になりますよ」
俺が宥めるように言うと険しい顔をしながら不思議そうに聞くので戦いが始まった後の事を話す。
「戦って死ぬのが武人の本懐だ。戦う前から負けを認める事など出来ぬ」
「なるほどなるほど…じゃあ戦場からは逃げないって事ですよね?撤退も逃走もしない、と?」
「…何が言いたい?」
「結局危なくなったら逃げるのに格好つけるなんて馬鹿らしい、と馬鹿にしてるんですよ」
男性の言葉に俺が半笑いで確認すると不機嫌そうに意図を尋ねられたので俺は本音をぶっちゃける。
「その言葉は逃げずに最後まで戦って死ぬか友軍に助けられた時に言うべき言葉であって、建前で軍の損害を増やすなんて愚かもいいとこだと思いません?」
「…ふー…とても一騎打ちを好む者の発言だとは思えんな」
「ははは、俺は誇りよりも仲間の命の方が大事なのでね。ちゃんと退き際は心得てますよ」
俺がダブスタを批判するように続けると男性は冷静になるように息を吐いて批判し返すように言うので、俺は笑って否定的に返した。
「ふっ…軍の総大将が単身敵陣に乗り込んでおいて何を言う…ココで貴様を捕えて人質にすれば我々が一転して有利になるとは思わんのか?」
「それは無いです」
「なに…?」
男性のニヤリと笑っての脅しのような発言に俺がキッパリと否定したら驚いたような顔になる。
「所詮自分は雇われの傭兵に過ぎませんからね。敵に捕まれば指揮権が辺境伯に戻るだけで人質としての価値はありませんよ」
だから単身来たんであって…と、俺は笑いながら理由を告げた。
「…それはどうかな?辺境伯は貴様をえらく信頼していたようだからな…貴様が思ってるほど無価値では無いかもしれんぞ」
「あの辺境伯が個人的な考えを軍事行動に反映するかどうかは怪しいと思いますが…そもそも、自分を捕まえる事が出来るとお思いですか?」
男性は余裕の笑みを浮かべながら牽制するように脅すので俺は少し考えるように呟き、馬鹿にするように軽く驚きながら聞く。
「やってみるか?」
「やめておいた方が良いですよ。流石にこの人数じゃ手加減出来ないんでただの殺戮になってしまい、わざわざ勧告に来た意味がなくなります」
「ふっ…ははは!面白い!そこまで自信があるのか…!ならば貴様の好きな一騎打ちで決めようじゃないか」
男性が立ち上がるので俺が止めると声を上げて笑い、ありがたい提案をしてくる。
「おー、良いですね。ありがたい」
「俺が勝てば全兵を城塞まで撤退させ、全ての砦を返してもらおうか」
「良いでしょう。では自分が勝った場合はそちらの全ての兵に武器や防具を外させ、完全に非武装の状態で退却してもらいます」
俺の了承の返事に男性が勝った際の条件を提示するので俺は呑んだ後にこっちの条件も提示した。
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