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青年期 20 西の戦場編

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…それから数日後。


「じゃあ行こうか」

「はい」


隣国のソバルツは特に動きを見せないので俺はギルドで紹介状を貰って西の辺境伯の所へと行く事に。


「…あ、そう言えば…辺境伯の所も意外と膠着状態になってるらしいですよ?」

「アッチには隣国の騎士団も来てるみたいだし…お互いに動きを探ってるんじゃないの?」

「…もしかしたら動く時は一気に戦況が動くかもしれませんね…」


町から出るとお姉さんが思い出すように話すので俺も噂で聞いた情報を話すとお姉さんは予想を呟く。


「…ココぐらいでいいかな…はい」

「ありがとうございます」


10分ほど町から離れたところで俺はロープを取り出してお姉さんに渡しながら変化魔法でドラゴンに変身して伏せる。


「…よいしょ…」

「…じゃあ行くよ?」

「はい」


お姉さんがロープを腰に巻いて俺の背中に乗るので俺は手をゴブリンの爪に変化させてロープを腹で結んで確認した。



…そして飛行して移動する事、数十分後。



「うへー…見える?」

「はい。山岳地帯に敵が砦をいくつか築いてますね…」


辺境伯が守ってる国境付近の城塞へと着いたので、高度を下げて付近を確認するように飛び回りながら聞くとお姉さんは下を見ながら呟く。


「アレの攻略は大変そうだ…降りるよ」

「はい」


俺は一旦高度を上げてから確認し、変身を解除した後に自分とお姉さんをスライム化させて落下する。


「…相変わらず凄い移動時間ですね…馬で4日の距離を約40分…」

「空に障害物は無いから迂回する必要なく直線距離で移動出来るし」


地面に着地してスライム化を解除するとお姉さんが時計を取り出して確認しながら呟くので俺は理由を返しながら城塞へと向かった。


「…き、君達…今、空から降って来なかったか?」

「まさかぁ~。鳥の糞とか飛ばされた花とかと見間違ったんじゃないですか?」

「う…うむ…そうかもしれんな…」


簡単には破られなさそうな堅固な門の前にいた兵が驚いたように話しかけて来るので、俺が否定すると納得したように呟く。


「はい」

「コレを」


そして俺とお姉さんはあと一人の兵にもハンターのライセンスを確認させて城下町へと入る。


「…おおー…城塞ってこんな感じなんだ…普通の城とはやっぱ違うなぁ…」

「そうですね。国境を守るための盾でもありますから」


遠くに見える大きな城とその周りの高い壁を見ながら俺が呟いたらお姉さんは作られた目的を説明するように返した。


「…宿屋を探したら町中を少し見て回らない?」

「はい。ご一緒します」


王都や町とは違っていかにも戦いに備えて作られた街並みを見ながら提案するとお姉さんは笑顔で了承する。



…そんなこんな街中を観光する事、数時間後。



「…ん?」


俺らが大通りを歩いていると城の方から騎士のような人達が歩いて来てその後ろから騎兵が列をなして進んできた。


「今から出陣かな?」

「かもしれません。あの一番後ろにいるのがヴォードル辺境伯ですね」

「ふーん…」


俺の問いにお姉さんは指揮官のような男を示しながら説明するので俺は目の前を通り過ぎる時に顔をガン見する。


…するとバッチリ目が合ってしまったが直ぐにアッチが視線を逸らして前を見た。


「流石に騎士団を率いてるだけあって強そうだ」

「武力も相当なものらしいですからね…天下五剣の一人でもありますし」

「へー…序列何位なんだろ…俺でも本気出さなきゃ苦戦するかもしれん…」


俺が辺境伯と言われる青年の印象を話すとお姉さんが青年の事を教えてくれ、俺は背中を見ながら戦力を予想しながら呟く。


「確か序列三位だったような…といってもあくまで序列は功績で変動しますから、個人の強さでの序列は不明ですが」

「まあでも五剣に入るには個人の武力も重要だから強い事には変わりないでしょ」

「そうですね。いくら全戦全勝の指揮官が居たとしても本人が弱ければ五剣には選出されないですから」


思い出すようなお姉さんの説明に俺がそう返すと肯定するので、俺らはそのまま観光を続ける事に。



ーーーー



「…うーん…戦況は膠着、先週の侯爵の所のように激戦でも無く、状況的には結構余裕があるハズなのになんで負傷者が多いんだろ…?」

「死傷者のほとんどが正規兵や傭兵達なんですよね…傭兵はともかく正規兵も、というのは…」

「騎士団との実力の差?それとも捨て駒にして騎士達の消耗を最小限にしてるのか…?」


観光がてらココの戦況や状況を聞いて回っていると…


意外にも侯爵の所よりもコッチの方が死傷者の割合が多いので俺とお姉さんは不思議に思いながら話す。


「敵の数が多くて質が高いんですかね?」

「だとしてもコッチには騎士団がいるからなぁ…アッチは騎士団不在で激戦になってたワケだし」

「…確かに」

「…もうちょい情報を集めないと…平原ならアッチみたいに単純に突撃するだけでも効果的だったけど、山岳地帯じゃ効果が薄いかもしれないし…」


お姉さんの予想に俺が否定的に返すと納得するので俺は明日明後日に備えて可能な限り情報を集める事にした。


…更に数時間後。


「坊ちゃん、そろそろ宿に戻りましょう。もう夕飯の時間ですし…」


酒場やギルドで情報を集めてるとお姉さんが時計を見て時間を確認しながら提案する。


「あー、うん。そだね…夕飯何にしようか?」

「…ロールキャベツが食べたいです。あとスープギョウザ!」


俺が情報収集を切り上げてお姉さんに尋ねるとお姉さんは少し考えながら食べたいものを答えた。
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