子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神

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青年期 8

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…そして一時間後。


敵兵を倒してピンチを救ったり武器を与えて気が緩んだ時に勧誘したり呼びかけたりして…


なんとか増えた仲間が更に仲間を増やす方式で200名近くの傭兵を集める事に成功した。


「じゃあ俺が真っ先に突っ込むからみんなついて来てくれ!戦線を突破したら左右二手に別れて敵兵の背後を突く!」

「「「おおー!!」」」

「作戦を伝えろ。突っ込んで突破して敵兵の背後を強襲だ」

「分かった。これから突っ込む…」


俺が作戦を簡単に伝えると近くの奴らが声を上げ、まだ伝わっていない仲間達に伝達が行き届くのを待つ。


「…どうやら全員に伝わったようだぜ」

「分かった。よし!行くぞ!突撃だー!!」

「「「おおー!!!」」」


5分もしない内に男から報告があったので俺は声を張って合図をし、先頭で走って真っ先に敵兵の中へと切り込んだ。


「うわっ!コイツら急に突っ込んで来やがった!」

「抑えろ!抜かせるな!」


俺らの錐形での突撃に敵兵が驚いたり食い止めようと指示を出すが、いかんせん俺らを止めるには少しばかり数が足りない。


「…余裕」

「うおお!!」

「突破!二手に分かれるぞ!」

「おう!」


俺が先に戦線を抜けるとついて来た傭兵達も突破してきて二手に分かれるために俺は右側へと進路を取る。


…が、左側に分かれていったのはちゃんと指示が聞き取れていた少数だけでほとんどの人数は俺について来ていた。


「…マジか…作戦変更!後ろの方に逸れた仲間達と合流する!」

「なんだって…!二手に分かれきれなかったのか…!」

「…しょうがない…進路変更!今より逸れた仲間と合流するため後退する!」


俺は予想外の事態に驚きつつも上手く行かなかった時の作戦は考えていたので…


直ぐに指示を出して離れた少数の傭兵達との合流を最優先する。


「…どうする?二手に分かれて背後を突く作戦が台無しになったぞ」

「しょうがない、二手に分かれずそのままアッチ側の背後を突く」

「分かった」


左側に後退するように移動しながら俺がしんがりを務めていると、男が尋ねてくるので俺は修正した作戦内容を告げた。


「…そろそろか。一旦後退!」

「後退!」

「一旦下がるぞ!」


…10分ほど交戦した後に俺が指示を出すと近くの仲間達がみんなに指示を広めて俺達はジリジリと後ろに下がる。


「このままだと後ろから敵の第二陣が来て挟み撃ちにされる。その前に前線の敵をコッチに引きつけるだけ引きつけて突撃し、突破の脱出を図る」

「…もう一度突撃を行う。しっかりとついてこい!」

「突撃用意!」

「突撃準備!」


遠くに見える敵の本陣的なのが動き出したっぽいので俺は指示を出してギリギリまで粘る事に。



「…よし!俺に続け!突撃ー!!」

「突撃!!」

「突撃ぃ!!」

「「「おおー!!」」」


20分近く敵の前線の背後で粘り、本陣からの敵兵達と他の場所からの敵兵達で包囲される前に俺は号令を出して真っ先に突っ込んだ。


すると反対側の味方の兵達も俺らの脱出口を空けるかのように動いてくれ…


俺の二度の突撃について来た仲間達はボロボロになりながらも、なんとか一人も欠ける事なく味方の居る場所へと戻って来れた。


「みんなお疲れー。ここからは『まだ戦える』って人だけ残って。無理そうなら明日に備えて町に戻って休息を取った方が良いね」

「…俺はまだ戦える」

「俺もだ」

「…俺も戦いたいが、この怪我じゃ足を引っ張りそうだな…大人しく戻るとするか」


前線から少し下がった所で俺が労いの言葉をかけながら勝手に判断して指示を出すと、40名ぐらいが残って他の人達は町へと戻って行く。


「…さて、俺達の二度の突撃で敵の足並みは乱れてるはず。その証拠に俺らが来た時よりも前線を少しずつではあるけど押し戻せてる」

「…確かにさっき俺たちが戦っていた場所はココよりも後ろの方だった」

「でしょ?というわけで後はこの位置を維持しながら他の所が前線を押し広げていくのを待つ!」


俺が残った仲間達に現状を伝えるとみんな後ろを向くので俺はこれからの役割を伝える。


「つまり最初と同じく壁としての前線の防衛だな?」

「そう。でもくれぐれも無理や無茶はしないように。まだ明日も明後日もあるんだから」

「了解だ」

「危ないと思ったら直ぐに町に戻って休息を取るか」


男の確認に肯定して返すと他の仲間達は笑いながら賛同した。


「じゃあ行こうか」

「そうだな」

「おう!」


残った仲間達もちょっと休んで少しは体力が回復したようなので、俺たちはまた最前線へと戻って敵兵を戦う事に。


「っ…!」

「がっ…!」

「くっ…!剣が…!」

「はい」

「助かる!」

「なんだと…!コッチにも剣をくれ!」

「はいはい」


敵兵を倒しては武器を奪い、仲間達に渡してると…ソレを見た味方の兵達も武器を求めてくるので俺はたった今拾った抜き身の剣を渡す。


「…しかし、良く…剣を、拾う、余裕が、あるもの、だ…!」

「防具を着けてない分身軽だからね…っと」

「くっ!なるほど…!しかし、こんな戦場で…ソレは、自殺行為だな…!」


複数の敵兵を相手に剣で打ち合いながら男が聞いてくるので俺も援護に入り、敵兵の頭を叩いて倒しながら返すとまた別の敵兵が斬り込んでくる。
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