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青年期 4

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「…ただいま」

「おかえりなさい。ちょうど昼食の時間よ」

「分かった」


廊下を歩いていた母親に挨拶すると食堂に行くよう促されたので俺は手を洗ってから行く事に。


「…お、意外と質素」

「無駄は好かん。必要最低限あれば十分だ」


食堂に行くとテーブルの上にはパンとシチューしか無かったので意外に思いながら言うと父親が理由を話す。


「…そう?ハンバーグでも焼こうかと思ったけど…要らないならいっか」

「「ハンバーグ?」」


俺が料理の追加を諦めながら椅子に座ると両親が不思議そうに聞いてくる。


「簡単に言えば肉の練り物だね」

「ほう…?エーデルやリーゼの言っていた料理か。興味深い…どれ、一つ作ってくれ」

「…分かった。じゃあ食べながら待ってて」


手を合わせて食事を始めようとしたら父親が興味を持って要求してくるので俺はスプーンを置いて厨房へと向かった。


…そして俺は厨房で空間魔法の施されたポーチから蓋のされたボウルを取り出し、フライパンに油を引いてタネを焼く。


「…はい」

「…ほう。食欲を誘う良い匂いじゃないか」

「早速いただきましょう」


焼いたハンバーグの乗った皿を父親と母親の前に置くと匂いを嗅いでナイフとフォークを手に取る。


「…!美味い!なんだコレは!」

「こんな料理が…!」

「まあバイソンの肉を使ってるからね。そりゃ美味いよ」


一口食べて驚く両親に俺は材料が特別である事を告げてパンをシチューに付けて食べた。


「『バイスォン』の肉だと!?…なるほど。美味いわけだ…」

「…もしかしてあの子達も毎日こんな料理を?」

「うん。昼食と夕食に」


父親が驚きながら納得すると母親が確認してくるので俺は肯定する。


「…通りでエーデルやリーゼが夕飯も食べずに早く戻りたがるわけね…」

「『学食は高いから自炊している』と聞いてはいたが、自炊の方が豪華で高級な食材を使っているとはなんとも面白い」

「実際自炊の方が食材費だけでいいから、かなり安上がりで済んでたんだけど」

「ははは!ソレがハンターの特権のいうやつか!」


母親の納得したような呟きに父親は笑いながら矛盾のような事を言い出すので俺が実態を告げると…


食事中だというのに珍しく声に出して笑い出す。


「普通なら手に入りませんものね。…それはそうと…このハンバーグはまだあるの?」

「お、気に入った?中にチーズを入れたのもあるよ」

「なんと!他にも種類があるというのか!?」


母親はおかわりを申し出るように確認してくるので俺が他の種類を教えると父親が驚く。


「パンに挟む、っていう食べ方もあるからね。紙に包めば携帯食にもなるし」

「…エーデルやリーゼから聞いてはいたけど…本当に料理も上手なのね」

「最初はそうでもなかったんだけどね。エーデルやリーゼに教えるために、って本を読んで勉強した」


俺がハンバーガーを教えると母親も驚きながら言うので俺は微妙に否定しながら料理の腕が上達した理由を話した。


「だから俺が作れる料理やお菓子のほとんどはエーデルやリーゼも同じように作れる」

「…そうか。お前達ならば万が一最悪の事態に陥り家が没落したとしても生活していけそうだな」

「もしそうなっても俺の稼ぎだけで家族を養うぐらいは出来るからエーデルやリーゼには父さんと一緒に再興を頑張って欲しいものだね」


俺の言葉を聞いて父親が自慢するように笑いながら言うので俺も笑いながら返す。


「ははは!言うようになったな!」

「あの状況からここまで立派に育ってくれて誇らしいですわね」

「全くだ。リデックに当主を譲れないのが悔しい限りだが…エーデルなら上手くやってくれるだろう」

「それで、ハンバーグは焼く?もういい?」

「「焼く!」」


両親共に嬉しそうに話し合うので俺が問うと二人とも食い気味に答える。


ので…俺は厨房に行ってチーズ入りのタネと普通のタネを焼き、パンを平たく切ってチーズが入ってないハンバーグをレタスやタマネギと一緒に挟んだ。


「…はい。パンの方は本当は手掴みで食べるんだけど…ナイフとフォークでも好きな方法で」

「ほう、手掴み。変わった食べ方だがやってみよう」


俺が両親の前に皿を二つずつおいて説明すると父親はパンを素手で掴んでかじりつく。


「…!コレは素晴らしい味だ!パンと肉と野菜の味のバランスが素晴らしい!」

「あなた。このチーズ入りの肉も素晴らしい味でしてよ!」

「うむ。この濃厚で重厚な味…満足感の高さも十分だ」

「…コレもエーデルとリーゼも作れるの?」


両親は料理の感想を話し始めるので俺は食堂から出て行こうかと考えていたら母親が確認してくる。


「うん。魔物の肉を使ってなくても美味しくできるよ」

「…学園が長期休みに入ったらリーゼに飲食店を任せてみるのもいいかもしれんな」

「そうですね。メニューを増やした方が繰り返し予約してもらえそうですもの」


俺の返答に父親が直営店の貴族用の飲食店の話をし始め、母親もその考えに賛同した。
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