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学生期 弐 24

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…それから数日後。


「ただいまー」

「あ、帰ってきた」

「お帰りなさい。お兄様が指揮した初戦以外は負けてしまったようですね」


寮の自室に帰ると弟が出迎えてくれ、妹は残念そうに言う。


「まあしょうがない。予選を勝ち抜いたところで本戦でボコボコにやられるだけだから早めに負けといて良かったよ」

「そうなの?」

「ああ。勝ち残ったトコはどこもかしこも統率がとれていて指揮も凄かった。個人の戦力だけならトントンぐらいでなんとか勝負になるか?ってレベルだったけど」

「…それでもお兄様なら勝てたのでは?」


俺が言い訳のように話すと弟が不思議そうに聞くので俺の感想を告げると妹は俺を過大評価しながら確認する。


「無理…とは言えんが分は悪いだろうな。速攻で急戦を仕掛けて乱戦に持ち込んで後は運任せ…でギリギリだ」


まともに戦ったら本職に戦術で勝てるワケがねーし。と、俺はワンチャンあるかの作戦を話しながら普通なら勝ち目がない事を伝えた。


「まあ兄さんは『ハンター』であって『軍人』ではないからね」

「そういう事。戦場じゃアッチが上でもダンジョン内ならコッチが上だぜ?」

「それよりお兄様…お土産の方は?」


弟の発言に俺が賛同しながら返すと妹はお土産を催促してくる。


「おう、めっちゃ大量に買って来たぜ」

「うわ!こんなに…!?」

「流石ですわお兄様!!」


アッチで買って来た食べ物が入ってる箱を入れた袋をテーブルの上に乗り切らないぐらいに出すと弟は驚き、妹は喜ぶ。


「まだまだあるぞ。なんか人気だとか美味そうなヤツは10個ぐらいずつ買ってきた。明日クラスメイト達にあげる分も合わせたら15個ずつだけど」

「…いや、流石に買いすぎでしょ…」

「…お兄様、少し学校に持って行ってもよろしいですか?」


俺が空間魔法の施されたポーチからお土産をどんどん出して行くと弟が呆れたように言い、妹は遠慮がちに上目遣いで聞いてきた。


「問題無いんじゃないか?エーデルどうする?」

「兄さんが良いんなら良いんじゃない?でもあんまり持って行き過ぎると自分達の食べる分が無くなるから、周りにアピールするのもほどほどにね」

「わ、分かってます…」


俺の確認に弟は賛成しつつ、周りにマウントを取ろうとした妹の考えを見抜いたかのように釘を刺した。



…翌日。



「はよー」

「おっ!帰って来たか!」

「聞いたぜ!予選のグループ戦初戦でリーダーに任命されて勝ったんだってな!」


始業開始の30分前に教室に行くと既に半分ぐらいのクラスメイト達が登校していて、俺が挨拶すると近くの男子生徒達が寄って来る。


「ああ、でも勝ち方が悪かったから先輩達に反感を買っちまった」

「はあ?勝ったのに文句を言われたのか?」

「だから二試合目からリーダーから外されてたのか…」

「惜しかったなー…リデックがリーダーだったら本戦も良いとこまで行けただろうに…」

「ソレは無理。いくら俺でもバリバリの軍人には戦術で勝てるワケがない」


俺が笑い話のように言うと男子生徒達はやるせないような顔で呟いて過剰な期待を寄せるのでキッパリと否定した。


「バリバリの軍人って…」

「試合見たけどどこもヤバかった。統率力、指揮力、戦術や作戦力…全てが高水準で俺らみたいな烏合の衆じゃ100回やって一回勝てれば奇跡みたいなもんよ」

「…お前がそこまで言うほど…?」

「まあ実際見ないと分からんかもな。んな事より…お土産いっぱい買って来たからみんなで食べてくれ」


俺は世界戦の本戦へと進んだ国のチームの事を話したが、時間を見て適当に切り上げ…


近くの机に乗る分の袋を置いて、隣の席にも乗る分だけ置きながらそう告げる。


「多っ!」

「ちょっと待て!買い過ぎだろ!」

「わー!リデック君コレ全部お土産!?」

「こんなにいっぱいいいの!?」

「みんなで喧嘩しないように分け合って食べてくれ。じゃ、俺は早起きして眠いからこれで」


男子生徒達がツッコむと女子生徒達が喜びながら袋の中身を見ながら聞いてくるので俺は適当に返して久しぶりの修行場所へと向かった。



「…お、よう。調子はどうだ?」

「ん?ああ、帰って来てたのか。いつもと変わらんぞ」


修行場所には分身の俺が既に8体に分かれて鍛錬を始めていたので声をかけると、料理の本を読んでいた分身の俺が返事をする。


「…留守番ご苦労さん。じゃあな」


俺は分身から空間魔法の施されたポーチを受け取って一旦分身を解除して一人に戻ってからまた分身を増やして鍛錬を再開した。


「…えーと…アラジカの肉が4つと…」

「坊ちゃん。分身の方はどうでした?」


…分身がダンジョンで獲得した戦利品をメモ帳に書き足しているとお姉さんがやってくる。


「いつも通りだったみたい。はい、魔石」

「あ。ありがとうございます」


俺が適当に返して魔法協会に売却する用の魔石を渡すとお姉さんもメモ帳を取り出して記入し始めた。
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