子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神

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学生期 弐 22

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それから三日後。


トーナメントの抽選も終わり、俺らは運良くシード枠だったので敗者復活戦の初戦は第二試合の今日からになった。


「…はぁ…どうせ負けるというのに…」


俺は試合会場で開始時間前に憂鬱に思いながらため息を吐いて愚痴るように独り言を呟きながら待機する。


「今日の相手は強そうだな」

「優勝候補以外には負け無しだそうだ。俺達の相手にとって不足は無い」


…俺らは運良くクソ雑魚が集まったグループに入り、それでもなおたった一勝しかしていないというのに…


なぜか先輩達は死のグループで優勝候補と競り合った相手を前に、得意げに笑いながら余裕を見せて話し合う。


「…お」


すげーメンタルだな…と、俺が内心先輩達を馬鹿にしながら見てると試合開始の笛の音が鳴り出し…


いつものようにみんなバラバラに散って行く。





ーーーーーー





「…ん?」


…試合開始から約20分後。


俺はいつものように開始位置から一歩も動かずに座禅を組んで瞑想していると、何かが頭に当たったような気がした。


「…ん?」


周りを見るも当然人の姿は見えずに誰も居ないのだが…


地面を見ると黒い塊のような物が落ちている。


「…ゴム?…いて、なんだ?」


黒い塊を拾って見ると、頭にコツンと何かが当たってパス…と音が聞こえてきた。


「…弾?…コレって弾丸じゃ…いてっ」


地面に落ちた物を拾って立ち上がりながら確かめると今度はコン!と何か硬い物が頭に当たり、パスッとサイレンサーのような音が聞こえてくる。


「…おいおい…マジかよ…いてっ!」


さっきよりも大きいまさかの実弾に俺が驚いて呟くと俺の頭にカン!と硬い物が勢いよく当たり、直後にパンッ!と大きな音が鳴った。


「待て待て待て…!殺す気かよ…!いてっ!」


俺の頭に当たった後に地面に落ちた弾を拾いに行くと、その弾は小指ほどの大きさがあり…


普通の人間ならば頭が軽く吹っ飛ぶレベルの攻撃に俺が戦慄しながら呟くと再度頭に狙撃された。


「音の位置から察するに…いった!」


俺がスナイパーの位置を割り出そうとするとまたしても頭にカンッ!と小指ほどの大きさの弾が当たる。


「…転生者か?俺と同じ前世の記憶持ちか?…どっちしろ殺す気の攻撃はやべーな…っと」


この世界で銃を使う奴なんて聞いた事が無いので相手の正体を考えつつ、今度は音が鳴る瞬間を予想してその場から少し動く。


すると弾は地面に当たって跳弾した後に近くの木に当たった。


「…おいおい…ただのスナイパーライフルとかじゃなくねぇ…?」


跳弾したにも関わらず木にかなりめり込んでいる弾を見て俺は驚きながら相手が使ってる銃の種類を予想する。


「…これ、一体なん口径になるんだ?おっと」


俺は拾った弾の大きさを比べながら一番大きい小指ほどの大きさの弾丸を見て呟き、パンッという音を聞いて即座にその場を離れた。


「いって!」


が、音を聞いて避けたんじゃ間に合うワケもなく…肩にガッ!と当たって弾が落ちる。


「…命中率たかっ。嘘だろ…いたっ!」


…音が鳴る前に射撃のタイミングを予想してその場から離れるも、その程度では相手の狙撃は避けられず…


俺の腹や脚に命中して服が破けていく。


「なるほどね…っと」


大体相手の狙いは分かったので今度は耳を澄ませて何かしらの音が聞こえると同時にしゃがんで伏せると弾は地面に当たって跳弾した。


「…これがソニックブームってやつか?」


パンッと音がした後に横に避けると弾はまたしても地面に当たった後に跳弾してどこかへ飛んで行く。


「ただまあ…間隔と場所は分かった。…やっぱりな」


その場で俺が突っ立ってるとパンッという衝撃波のような音が聞こえてきたので、少し動いて額を手でガードするようにすると…


予想通り手の平に弾が当たるのでそのまま掴む。


「しかし結構痛いな……コレで10発目ぐらいだろうけど、どんだけ弾持ってんだよ…」


俺はちょっと赤くなってる手の平を見ながら呟き、持ってる弾の数と避けた弾の数を足して嫌になりながらため息を吐いた。


「…ん?」


…流石にもう大きい方の弾は尽きたのか…今度はさっきのように小さい弾がコンッと頭に当たる。
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