44 / 480
学生期 弐 12
しおりを挟む
…そして一月後。
「えー、みなさん今年もこの時期がやって来ましたね。来週から対抗戦が始まります」
「うおー!」
「いえー!」
「え?え?対抗戦?対抗戦って?」
帰りのホームルームで担任が報告するとクラスメイト達が気合いを入れたように声を上げ、教室の中が騒がしくなる中…
転入生だけ不思議そうに周りを見て俺に尋ねてくる。
「学校行事の一つ。他の一般クラスの奴らと模擬戦で闘う」
「へー、そんな行事もあるのか」
「そして学年ごとに勝ち上がったクラスの一学年と二学年が闘って勝った方が三学年と闘う」
「なるほど…それで一番強いクラスを決めるのか…」
俺のざっくりした簡単な説明で軽く理解出来たのか転入生は納得したように呟いた。
「去年優勝した我々は他の学年やクラスからマークされているとは思いますが…連覇を目指していきましょう」
「当然!」
「やるからには優勝だ!」
「リデック!頼んだぜ!」
担任が注意を促すように言いながら目標を告げるとクラスメイト達は呼応し、右斜め前の男子生徒が俺を見て託すように言った。
「は!?」
「まあ去年は俺の指揮のおかげで勝てたようなもんだからな。簡単な作戦しかしてねぇけど」
「今年も頼むぜー!」
「流石に対策されてたらキツイな…まあ実際にやらないと分からんが」
驚く転入生にそう話すと左斜め前の男子生徒も期待を込めたように言うので俺は失敗した時のために予防線を張りながら返す。
「そして夏には恒例の世界戦もあります。去年は私達の国は二回戦で負けてしまいましたが…今年は優勝出来るよう祈りましょう」
では解散。と、担任は報告の続きを言った後にホームルームを終わらせて教室から出て行く。
「…世界戦って?」
「それぞれの学校から代表者が選ばれて国ごとに闘う。まあその前に国内の学校同士で闘う国内戦もあるけど」
「…へー…結構大掛かりなんだな」
転入生の疑問に答えると納得しながら意外そうに返した。
「国内戦は10校しかないからトーナメント形式ですぐ終わる。が、世界戦は20か国ぐらい参加してるからグループ戦やリーグ戦で結構長くかかるぜ」
ま、俺たちには関係ないけどな。と、俺は世界戦と国内戦について説明した後に適当に話を切り上げて席を立つ。
「まだ分かんねぇだろ!俺達が代表者に選ばれる可能性だってあるはずだ!」
「無理無理。個人戦で10位以内に入らないと候補にも引っかからねぇよ」
「くっ…!だが俺は諦めねぇ!今回のクラス対抗戦で成果を出してアピールするぜ!」
「まあ頑張れよ」
右斜めの席の男子生徒が希望や可能性を言い始め、俺は現実的に考えて話をするも…今度は目標を語り出したので適当にあしらって教室から出る。
「…リデック!」
「ん?まだなんか聞きたいのか?」
俺が寮に戻ろうとしたら転入生が追いかけて来たのでとりあえず立ち止まった。
「…さっき言ってた事だけど…個人戦で10位以内に入る事が出来れば代表者ってのに選ばれるのか?」
「まあ国内の学校対抗戦には出れるだろうな。世界戦に出れるかはまたソコでの活躍次第だが」
転入生は興味を持ったのか、詳しく確認してくるので俺は予想で答える。
「世界戦ってのもクラス対抗戦と同じく30人で?」
「いや、学校対抗戦と世界戦は10名から15名までの人数で闘う事になってる。だから世界戦だと各学校から選ばれるのは一人か二人ってトコだな」
「…そりゃ…確かにキツイな…」
転入生の確認に俺が否定しながら説明を続けると転入生は難しそうな顔で呟いた。
「といっても去年の代表者は個人戦で25位ぐらいの人だったぜ?」
「え?なんで?」
俺が去年の話をすると転入生はキョトンとしたように疑問を尋ねてくる。
「個人戦の上位はほとんど特別クラスの奴らが独占してる…ってのは分かるだろ?つまり跡取りとして忙しいから国外に行く余裕が無くて辞退してんのよ」
「…って事は…?」
「一般クラスの奴でも代表者に選ばれるのは珍しくないらしいからな。やっぱ活躍次第じゃねぇか?」
「おー!!よっしゃー!!ありがとなリデック!」
俺の説明に転入生は期待したように聞くので過去の例を話すとやる気が出たように叫んでお礼を言った。
「でも個人戦といい世界戦といい…あんまり目立つような事はしない方がいいぜ?」
「…なんで?」
「強いだけの人間ってのは貴族に使い潰されるだけだからな…なんでこの学校が身分とか階級で分けられてるのに実力主義が認められてるのか分かるか?」
「?強さでの実力主義は俺達みたいな平民とか庶民出身のための救済措置だろ?」
俺が優しさで警告するも転入生は理解してないような顔で聞いてくる。
「…まあ、ある種そうかもな…」
「なにが言いたいんだ?」
「お前が個人戦のトップになったら俺の言ってる意味が理解出来るようになるさ。…その頃にはもはや手遅れだがな…んじゃ、また明日」
あまり詳しく話して俺にまで火の粉が飛んで来ると嫌なので、俺は転入生との話を適当に切り上げてさっさと寮の自室へと戻る事に。
「お帰りなさい」
「お帰り」
俺が自室に入ると既に妹と弟は帰宅していて…
「今日はちょっと遅かったんじゃない?」
「ああ、来週からクラス対抗戦があるからクラスの奴らが盛り上がってな」
「なるほど」
弟にいつもより帰宅時間が遅れた事を尋ねられたので理由を話すと笑って納得された。
「お兄様が早く帰って来ないとお料理の時間が伸びますわ」
「リーゼ一人だと包丁や火はまだ使えないからね」
「エーデルと一緒に作ればいいのに」
「兄様と一緒だと直ぐに追い越されてしまうかもしれないから嫌です!」
妹の不満げな発言に弟が困ったように笑い、俺が提案するも妹は負けず嫌いを発揮して断る。
「えー、みなさん今年もこの時期がやって来ましたね。来週から対抗戦が始まります」
「うおー!」
「いえー!」
「え?え?対抗戦?対抗戦って?」
帰りのホームルームで担任が報告するとクラスメイト達が気合いを入れたように声を上げ、教室の中が騒がしくなる中…
転入生だけ不思議そうに周りを見て俺に尋ねてくる。
「学校行事の一つ。他の一般クラスの奴らと模擬戦で闘う」
「へー、そんな行事もあるのか」
「そして学年ごとに勝ち上がったクラスの一学年と二学年が闘って勝った方が三学年と闘う」
「なるほど…それで一番強いクラスを決めるのか…」
俺のざっくりした簡単な説明で軽く理解出来たのか転入生は納得したように呟いた。
「去年優勝した我々は他の学年やクラスからマークされているとは思いますが…連覇を目指していきましょう」
「当然!」
「やるからには優勝だ!」
「リデック!頼んだぜ!」
担任が注意を促すように言いながら目標を告げるとクラスメイト達は呼応し、右斜め前の男子生徒が俺を見て託すように言った。
「は!?」
「まあ去年は俺の指揮のおかげで勝てたようなもんだからな。簡単な作戦しかしてねぇけど」
「今年も頼むぜー!」
「流石に対策されてたらキツイな…まあ実際にやらないと分からんが」
驚く転入生にそう話すと左斜め前の男子生徒も期待を込めたように言うので俺は失敗した時のために予防線を張りながら返す。
「そして夏には恒例の世界戦もあります。去年は私達の国は二回戦で負けてしまいましたが…今年は優勝出来るよう祈りましょう」
では解散。と、担任は報告の続きを言った後にホームルームを終わらせて教室から出て行く。
「…世界戦って?」
「それぞれの学校から代表者が選ばれて国ごとに闘う。まあその前に国内の学校同士で闘う国内戦もあるけど」
「…へー…結構大掛かりなんだな」
転入生の疑問に答えると納得しながら意外そうに返した。
「国内戦は10校しかないからトーナメント形式ですぐ終わる。が、世界戦は20か国ぐらい参加してるからグループ戦やリーグ戦で結構長くかかるぜ」
ま、俺たちには関係ないけどな。と、俺は世界戦と国内戦について説明した後に適当に話を切り上げて席を立つ。
「まだ分かんねぇだろ!俺達が代表者に選ばれる可能性だってあるはずだ!」
「無理無理。個人戦で10位以内に入らないと候補にも引っかからねぇよ」
「くっ…!だが俺は諦めねぇ!今回のクラス対抗戦で成果を出してアピールするぜ!」
「まあ頑張れよ」
右斜めの席の男子生徒が希望や可能性を言い始め、俺は現実的に考えて話をするも…今度は目標を語り出したので適当にあしらって教室から出る。
「…リデック!」
「ん?まだなんか聞きたいのか?」
俺が寮に戻ろうとしたら転入生が追いかけて来たのでとりあえず立ち止まった。
「…さっき言ってた事だけど…個人戦で10位以内に入る事が出来れば代表者ってのに選ばれるのか?」
「まあ国内の学校対抗戦には出れるだろうな。世界戦に出れるかはまたソコでの活躍次第だが」
転入生は興味を持ったのか、詳しく確認してくるので俺は予想で答える。
「世界戦ってのもクラス対抗戦と同じく30人で?」
「いや、学校対抗戦と世界戦は10名から15名までの人数で闘う事になってる。だから世界戦だと各学校から選ばれるのは一人か二人ってトコだな」
「…そりゃ…確かにキツイな…」
転入生の確認に俺が否定しながら説明を続けると転入生は難しそうな顔で呟いた。
「といっても去年の代表者は個人戦で25位ぐらいの人だったぜ?」
「え?なんで?」
俺が去年の話をすると転入生はキョトンとしたように疑問を尋ねてくる。
「個人戦の上位はほとんど特別クラスの奴らが独占してる…ってのは分かるだろ?つまり跡取りとして忙しいから国外に行く余裕が無くて辞退してんのよ」
「…って事は…?」
「一般クラスの奴でも代表者に選ばれるのは珍しくないらしいからな。やっぱ活躍次第じゃねぇか?」
「おー!!よっしゃー!!ありがとなリデック!」
俺の説明に転入生は期待したように聞くので過去の例を話すとやる気が出たように叫んでお礼を言った。
「でも個人戦といい世界戦といい…あんまり目立つような事はしない方がいいぜ?」
「…なんで?」
「強いだけの人間ってのは貴族に使い潰されるだけだからな…なんでこの学校が身分とか階級で分けられてるのに実力主義が認められてるのか分かるか?」
「?強さでの実力主義は俺達みたいな平民とか庶民出身のための救済措置だろ?」
俺が優しさで警告するも転入生は理解してないような顔で聞いてくる。
「…まあ、ある種そうかもな…」
「なにが言いたいんだ?」
「お前が個人戦のトップになったら俺の言ってる意味が理解出来るようになるさ。…その頃にはもはや手遅れだがな…んじゃ、また明日」
あまり詳しく話して俺にまで火の粉が飛んで来ると嫌なので、俺は転入生との話を適当に切り上げてさっさと寮の自室へと戻る事に。
「お帰りなさい」
「お帰り」
俺が自室に入ると既に妹と弟は帰宅していて…
「今日はちょっと遅かったんじゃない?」
「ああ、来週からクラス対抗戦があるからクラスの奴らが盛り上がってな」
「なるほど」
弟にいつもより帰宅時間が遅れた事を尋ねられたので理由を話すと笑って納得された。
「お兄様が早く帰って来ないとお料理の時間が伸びますわ」
「リーゼ一人だと包丁や火はまだ使えないからね」
「エーデルと一緒に作ればいいのに」
「兄様と一緒だと直ぐに追い越されてしまうかもしれないから嫌です!」
妹の不満げな発言に弟が困ったように笑い、俺が提案するも妹は負けず嫌いを発揮して断る。
85
お気に入りに追加
1,045
あなたにおすすめの小説

誰も要らないなら僕が貰いますが、よろしいでしょうか?
伊東 丘多
ファンタジー
ジャストキルでしか、手に入らないレアな石を取るために冒険します
小さな少年が、独自の方法でスキルアップをして強くなっていく。
そして、田舎の町から王都へ向かいます
登場人物の名前と色
グラン デディーリエ(義母の名字)
8才
若草色の髪 ブルーグリーンの目
アルフ 実父
アダマス 母
エンジュ ミライト
13才 グランの義理姉
桃色の髪 ブルーの瞳
ユーディア ミライト
17才 グランの義理姉
濃い赤紫の髪 ブルーの瞳
コンティ ミライト
7才 グランの義理の弟
フォンシル コンドーラル ベージュ
11才皇太子
ピーター サイマルト
近衛兵 皇太子付き
アダマゼイン 魔王
目が透明
ガーゼル 魔王の側近 女の子
ジャスパー
フロー 食堂宿の人
宝石の名前関係をもじってます。
色とかもあわせて。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

生活魔法は万能です
浜柔
ファンタジー
生活魔法は万能だ。何でもできる。だけど何にもできない。
それは何も特別なものではないから。人が歩いたり走ったりしても誰も不思議に思わないだろう。そんな魔法。
――そしてそんな魔法が人より少し上手く使えるだけのぼくは今日、旅に出る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる