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学生期 8

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「…うーん…よし、分かった。変化魔法の極技を見せてやろうじゃないか」

「変化魔法の…極技?」

「ただし!絶対に誰にも言わない事!親にも友達にも誰にも、だ。『絶対秘密にする』と約束出来るか?」


俺は少し考えてまだ改良中の技を見せる事を決意したが、やる前に弟と妹に条件を突きつけて確認を取る。


「うん。兄さんがそこまで言うんならゼルハイト家の誇りと家名にかけて秘密は墓まで持っていくと約束する」

「私も、兄様と同じくゼルハイト家の誇りと家名にかけて秘密は絶対に墓まで持っていくと約束します」

「よし。じゃあお前たちの事を信用するぞ?兄の信頼を裏切るなよ?」

「「…はい。誓って」」


弟と妹が約束を守る宣言をしたので更に俺が念を押すよう釘を刺すとお互いに見合って同時に了承した。


「じゃあ…今から変化魔法の極技を披露しよう」


俺がそう告げると弟と妹は真剣な顔で俺を見るので…


俺は変化魔法でスライム化すると分裂するようにして二人に分かれ、変化魔法を解く。


「え?え?兄さんが…二人!?」

「お兄様が二人!?いったいどうなってるのですか…?これは夢!?」


弟が二人に増えた俺を見て困惑したように交互に見て驚き、妹は目をこすりながら自分のほっぺを引っ張る。


「「ふっふっふ…これが変化魔法の極技である…『分身』だ!」」

「「分身!?」」


俺が技名を言うと二人同時に驚くので…


「ちなみに」「最高」「4人まで」「増える」

「兄さんが更に増えた!!??」


俺ら二人同時に変化魔法を使って更に倍の人数に増えながらそれぞれ言葉を繋いで言うと弟が仰天する。


「まあこのままだとややこしいから戻るけど」

「あ、お兄様が一人に」


俺が元の一人に戻ると何故か妹が残念そうな顔で呟いた。


「…どういうこと?分身って事は残像が出るぐらい早く動いてる?」

「いや、全員が俺で…ちゃんと実体もある。まあ本体の『俺』が死んだら多分分身も消えるだろうけど」


弟が予想しながら確認してきたので俺は否定しながら説明する。


「本体…?全員が兄さんじゃないの?」

「分裂じゃなくてあくまで分身だからな。核となる本体が居ないと困るだろ?」

「…そうだけど…」

「今はまだ3体までしか分身は増やせないけど、その内7体とか15体とか倍々で増やせたらいいな、とは思ってる」


弟の疑問に説明しながら答えるも納得いかないように呟くので俺は目標を話した。


「も、もっと増やす気なの…?」

「分身の数が増えれば手数も増えるし…魔力は分散されるけど、欠点とか弱点がほぼ無いからな」

「魔力が分散?どういう事ですの?」

「そうだな…俺の今の魔力が100だとしたら分身一人で50と50、三人で25、七人で12.5と半々に分かれていく」


弟が驚きながら呟くので分身を改良する理由を話すと妹が疑問を尋ねるので、俺は分かりやすく数字を出して説明する。


「ちなみに、元の一人に戻れば魔力も戻る。流石に分身中に使った魔力までは戻らないがな」

「…本当に欠点も弱点も無いんだ」

「ふふん、この極技の利点はまだあるぞ。例えば分身中に本体の俺が致命傷を受けたとしても、分身の中に一人でも無事な奴がいれば元の一人に戻った時にソイツに合わせて回復するし」

「「え!?」」


俺の補足に弟は驚きすぎて逆に呆れたように返すので得意げになって『分身』のメリットを話すと二人が驚き…


「そして戻った魔力でまた分身…と、魔力があり、分身がいて、即死しない限りは何度でも体力を全快に戻せて戦える」

「「ええっ!!?」」


更にゾンビアタックのような使い方を教えると驚愕を通り越して仰天した。


「まだ先生とかにも教えてないんだから秘密は守れよ。先生や師匠、老師達をびっくりさせるためにお前達に約束させたんだからな」

「…あ、そういう理由での秘密なんだ…」

「お兄様、その『先生』というのはあの家庭教師の…?…ではその極技はいつ使えるようになったのですか?」

「ホント最近だよ。分身の数を増やしたのが先月だから…安定して使えるようになったのは先々月ぐらいだと思う」

「…あ…」


俺が約束した理由を話すと妹が不思議そうに確認しながら聞くので、俺は思い出しながら答えると何も言えなくなったかのように呟いた。
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