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学生期
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…それから約三年後。
『15歳になったら孤児院を出て本格的にハンターや傭兵として働こう』
と思い、将来の事や人生設計を考えていた俺の下へと何故か学校案内のパンフレットが届いた。
が、俺は学校になど行くつもりはないのでパンフレットの中身も見ずにそのまま放置していた。
…そんなある日。
「リデック君。子爵夫人がいらしてますよ」
「母さんが?」
院長が来客を報せてくれるので俺は皿洗いを途中で抜け出して外へと出る。
「リデック。久しぶり、元気そうね」
「うん。一月ぶりぐらいかな」
「最近は忙しくて…なかなか会いに来れなくてごめんなさい…」
「大丈夫。もう子供じゃないんだから…それに俺の方こそ一月も会いに行かなくてごめん」
母親が挨拶した後に暗い顔になって謝り出すので俺は挨拶を返した後に逆に謝り返した。
「ふふっ…それより準備の方はどう?ちゃんと進んでる?」
「…準備?」
「…もしかして…パンフレット見なかったの?」
母親は嬉しそうに笑った後に確認して来るので俺が不思議に思いながら聞き返すと驚いたように聞いてくる。
「パンフレットって…あの学校案内の?」
「ええ。あなた来週からそこに入学するのよ?」
「…え」
俺も確認するとまさかの…全く予想だにしてない事を言われたので俺は固まりながら返す。
「…どうしても?」
「当たり前じゃない、あなたは子爵家の長男ですもの。それに…もし貴族じゃなかったとしても学校ぐらいはちゃんと卒業していないと周りからいわれなき偏見を受けて生きづらくなるのよ?」
俺のワガママを言うような二度目の確認に母親は正論を返して論破してきた。
「う…分かりました」
「しっかり勉強してリーゼと一緒にエーデルを支えてあげてね」
「はい…うん」
「じゃあ、また」
めんどくせーと思いながらも観念しながら了承すると、母親が期待を込めた様子で言うので笑って返すと手を振って帰って行く。
「…え。この学校…全寮制じゃん…」
とりあえず俺は部屋に戻ってパンフレットの中身を確認すると…
最初っから予想外の事が書いてあった。
「院長」
「おや、どうしました?」
「えーと…突然というか急になって申し訳ないんだけど…俺、来週からココを出る事になるみたい」
「全寮制の学校への入学ですよね?勉強頑張って下さいね」
「え」
「どうかしましたか?」
俺が気まずく思いながら全寮制の学園に行く事を話すも院長は既に知ってたらしく笑顔で応援してくるが、俺の拍子抜けしながらの呟きに不思議そうに返す。
「もしかして…今までパンフレットを見ていなかったんですか?そして子爵夫人に言われて今確認したと?」
「…はい。学校に行く気は無かったので…」
「…そうでしたか…では私の方からもっと早くに確認しておくべきでしたね…配慮が足りず、申し訳ございません」
院長の確認に俺が気まずく思いながら言い訳すると、院長は意味不明に自分に非があるような言い方をして謝り出した。
「そんな!院長が謝る必要はありませんよ!」
「ですが…残り三日しかありませんが、準備の方は間に合いますか?」
「もちろんです!なんなら一時間あれば準備は終わりますし」
俺が謝罪の言葉を拒否しながら言うと院長は申し訳なさそうな顔で聞いてくるので、俺は院長を安心させるように答える。
「そうですか。それは良かった…このごろリデック君にはたくさんの支援金を頂いていますからね、そのお金で10年は保ちます。こちらの事は心配いりません…気にせず頑張って来て下さい」
「…は、はい…頑張ります…」
院長の激励に俺はやっぱりめんどくさい…と思いながら返した。
…そして三日後。
「リデック君。お迎えが来ましたよ」
「はい」
まだ暗い中、俺が早起きして待っていると院長が迎えが来た事を報せてくれるので俺は外へと出る。
「ではお気をつけて。元気で健やかに過ごすんですよ」
「…院長もお元気で」
にこやかに笑いながら手を振る院長に俺は内心めんどくさい、怠い、嫌だ…と思いながらも頭を下げて別れの挨拶をして馬車へと乗り込んだ。
『15歳になったら孤児院を出て本格的にハンターや傭兵として働こう』
と思い、将来の事や人生設計を考えていた俺の下へと何故か学校案内のパンフレットが届いた。
が、俺は学校になど行くつもりはないのでパンフレットの中身も見ずにそのまま放置していた。
…そんなある日。
「リデック君。子爵夫人がいらしてますよ」
「母さんが?」
院長が来客を報せてくれるので俺は皿洗いを途中で抜け出して外へと出る。
「リデック。久しぶり、元気そうね」
「うん。一月ぶりぐらいかな」
「最近は忙しくて…なかなか会いに来れなくてごめんなさい…」
「大丈夫。もう子供じゃないんだから…それに俺の方こそ一月も会いに行かなくてごめん」
母親が挨拶した後に暗い顔になって謝り出すので俺は挨拶を返した後に逆に謝り返した。
「ふふっ…それより準備の方はどう?ちゃんと進んでる?」
「…準備?」
「…もしかして…パンフレット見なかったの?」
母親は嬉しそうに笑った後に確認して来るので俺が不思議に思いながら聞き返すと驚いたように聞いてくる。
「パンフレットって…あの学校案内の?」
「ええ。あなた来週からそこに入学するのよ?」
「…え」
俺も確認するとまさかの…全く予想だにしてない事を言われたので俺は固まりながら返す。
「…どうしても?」
「当たり前じゃない、あなたは子爵家の長男ですもの。それに…もし貴族じゃなかったとしても学校ぐらいはちゃんと卒業していないと周りからいわれなき偏見を受けて生きづらくなるのよ?」
俺のワガママを言うような二度目の確認に母親は正論を返して論破してきた。
「う…分かりました」
「しっかり勉強してリーゼと一緒にエーデルを支えてあげてね」
「はい…うん」
「じゃあ、また」
めんどくせーと思いながらも観念しながら了承すると、母親が期待を込めた様子で言うので笑って返すと手を振って帰って行く。
「…え。この学校…全寮制じゃん…」
とりあえず俺は部屋に戻ってパンフレットの中身を確認すると…
最初っから予想外の事が書いてあった。
「院長」
「おや、どうしました?」
「えーと…突然というか急になって申し訳ないんだけど…俺、来週からココを出る事になるみたい」
「全寮制の学校への入学ですよね?勉強頑張って下さいね」
「え」
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俺が気まずく思いながら全寮制の学園に行く事を話すも院長は既に知ってたらしく笑顔で応援してくるが、俺の拍子抜けしながらの呟きに不思議そうに返す。
「もしかして…今までパンフレットを見ていなかったんですか?そして子爵夫人に言われて今確認したと?」
「…はい。学校に行く気は無かったので…」
「…そうでしたか…では私の方からもっと早くに確認しておくべきでしたね…配慮が足りず、申し訳ございません」
院長の確認に俺が気まずく思いながら言い訳すると、院長は意味不明に自分に非があるような言い方をして謝り出した。
「そんな!院長が謝る必要はありませんよ!」
「ですが…残り三日しかありませんが、準備の方は間に合いますか?」
「もちろんです!なんなら一時間あれば準備は終わりますし」
俺が謝罪の言葉を拒否しながら言うと院長は申し訳なさそうな顔で聞いてくるので、俺は院長を安心させるように答える。
「そうですか。それは良かった…このごろリデック君にはたくさんの支援金を頂いていますからね、そのお金で10年は保ちます。こちらの事は心配いりません…気にせず頑張って来て下さい」
「…は、はい…頑張ります…」
院長の激励に俺はやっぱりめんどくさい…と思いながら返した。
…そして三日後。
「リデック君。お迎えが来ましたよ」
「はい」
まだ暗い中、俺が早起きして待っていると院長が迎えが来た事を報せてくれるので俺は外へと出る。
「ではお気をつけて。元気で健やかに過ごすんですよ」
「…院長もお元気で」
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