子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神

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少年期 10

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その後俺たちが第四階層へと向かって進んでいると他のハンターであろう4人組と遭遇し…


「…おっ。君達、この階層でミノタウロスを見なかったか?」


その内の一人に確認するような感じで話しかけられた。


「どうかしたんですか?」

「いや…どうやらハンター達が最下層でミノタウロスに戦いを挑んだはいいが、途中で逃げ出したらしく…ミノタウロスに追いかけられ、他のハンター達も標的になり逃げ出し…で、どんどん階層を登って行ったらしいんだ」


お姉さんが聞くと4人組の一人が事情を説明する。


「なるほど。この階層にミノタウロスが居たのはそういう事だったのですね」

「…やはりこの階層まで登って来ていたか…!他のハンターの話ではミノタウロスに追われたグリーズベアーやダチョーも浅い階層まで登っていると聞く」

「奴らが元の階層に戻るまで一時的にこのダンジョンを封鎖するつもりだ。初心者や駆け出しの犠牲者が出ると大変だからな」

「他のハンター達にも脱出や避難を呼びかけている。君達も再度ミノタウロスに遭う前に逃げるんだ」

「…どうします?」


おじさんの納得したような発言に4人組のハンター達が注意喚起や指示を出すのでお姉さんが俺に判断を委ねてきた。


「うん、一旦戻ろうか。他にいないとも限らないし」

「分かりました。あの…私達はもう帰還しますが、この階層のミノタウロスや上の階層に居た魔物達は倒しましたので…」


俺が4人組のハンターの指示に従う事を告げるとお姉さんは一応倒した魔物の報告をする。


「なんだって!?」

「本当か!?」

「他にも居ないとは限りませんので、もし余裕があれば確認をお願いします…では」


驚く青年達におじさんはそう告げて会釈し、俺達は来た道を戻って行く。


…帰り道は魔物を避けるようにまっすぐ戻って行ったのでかなり早くダンジョンの外へと出る事が出来た。




そしてダンジョンの入口から少し離れた場所でダンジョン内での成果を確認するためにお姉さんとおじさんが魔物素材を出していくと…


「…いや、しかし戦利品が凄いな」


並べられたソレを見て男が驚きながら呟く。


「坊ちゃん、この戦利品は全部売却ですか?」

「んー…全部母さんの所に持って行って下さい。その後は売るなら売るで、その金を家庭教師代の足しにしてくれれば」

「…分かりました」


お姉さんの問いに俺が少し考えて答えるとおじさん達は意外そうな顔をしながら男が返事をする。


「ですがその前に」

「何かあるんですか?」


おじさんと男が広げた戦利品を片付けようとするので俺が止めるように言うとお姉さんが不思議そうに聞く。


「ダンジョンへの修行に付き合ってくれたみなさんにお礼としての報酬で一部さしあげます。好きな物をどうぞ」

「え!いいんですか!?では遠慮なく…各種類の魔石を一つずつ頂きます!」


俺の発言にお姉さんは確認するように聞きつつも真っ先に魔石を一つずつ確保していった。


「…本当にいいんですか?俺は何もしてませんが…」

「はい。師匠はいざという時のための保険という事で気持ち的には大変助かりましたので、遠慮せずどうぞ」

「じゃあ…このスライムのタライを一つ。自分で加工すれば一年分ぐらいは飲み物を買わずに済みそうなので」


困惑したように確認する男に俺がお礼を言いながら手で戦利品を示すとスライムの体液が入ってる密封されたタライを選び、理由を言いながら肩に担いだ。


「では私はグリーズベアーの肉を…本当によろしいのですか?とても高値で売れますよ?」

「はい。俺が持っていてもどうせ売るだけなので」

「ありがとうございます」

「こちらこそ。老師の知識には大変助けられました」


おじさんも確認しながら肉の入った容器を選ぶので肯定するとお礼を言われ、俺もお礼を返す。


「では、母さんによろしくお願いします」

「はい!『日頃の鍛錬の成果がこれでもか!と言わんばかりにありありと出てた』と胸を張って伝えられそうです!」

「ではリデック君、また明日」

「はい。また明日」


俺はその場でお姉さん達と別れ、孤児院へと戻った。


「…おや、リデック君。お早いお帰りですね。何事も無く無事で安心しましたよ…どうでしたか?ダンジョンの方は」

「はい、痛い思いも怖い思いもしましたが行って良かったです。とても充実した楽しい経験が出来ました」

「そうですか。それは良かった…あとで話を聞かせて下さいね」

「はい」


孤児院に帰ると院長がにこやかな笑顔で尋ねてくるので感想を伝えると優しく微笑んで頷きながら言うので俺は頷いて返し、手を洗いに行く。
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