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少年期 6
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「…いた!坊ちゃん、スライムです」
「…ふー…えぇい!っ…!ぐっ…!」
お姉さんが魔物を発見するので俺はスライムに近づきながら一回深呼吸して貫手で手を突っ込み、激痛に耐えながら魔石を掴んで引き抜く。
するとスライムはさっきみたいにビシャ…と形を失ってただの水たまりになる。
「…いやはや…日頃の部位鍛錬で痛みに慣れてるとはいえ、あのスライムの体液に腕を漬けて悲鳴の一つも上げないとは…」
「酸溜まりの中に手を突っ込んでいるようなものだ…常人なら激痛で指を動かす事すら困難だろう。ましてやそこから魔石を掴むなど本来なら不可能に近いんだが…」
俺がすぐさまお姉さんに回復魔法で治してもらっていると、おじさんと男は信じられないかのように驚きながら呟く。
「坊ちゃん、スライムの皮膜です。今水で洗い流しましたのでそのまま食べられますよ」
「ありがとう…お」
お姉さんはピンセットの先にある透明なゼリーのような物を差し出すので手のひらに受け取って食べると…
味のしないゼリーのように本当にツルンと簡単に飲み込めた。
「…あれ?スライムは人型なんだ?」
「本来なら形を持たない不定形生物ですからね。丸まればスライムみたいに球体になれますよ」
スライムに変化すると体が水色の半透明になっただけなので不思議そうに言うとおじさんが説明してくれ…
「…本当だ」
体育座りをするように丸まったら球体のスライムになる。
「うーん…変化魔法の場合は核になる魔石が無いんですね。まあ心臓とかが透けて見えたら怖いですけど」
「そうなんだ」
お姉さんの感想に俺は意外に思いながら返して一旦人型に戻ってから元に戻った。
「スライムは打撃等の物理攻撃を無効化できますが…斬撃に弱く、火や氷などの弱点も多いので防御性能をあまり過信しすぎないように気をつけて下さいね」
「分かりました」
おじさんが注意しながら釘を刺してくるので俺は頷きながら返して先に進む。
「いた」
「あ!坊ちゃん、今度はこの中で倒してもらえますか?」
第三階層に向かって進んでいるとスライムを発見したので近づくと、お姉さんがどこからか大きなタライを取り出して確認する。
「…タライの中で?」
「はい。その方がスライムの体液や皮膜を回収しやすいので」
「分かった。ふー…せっ!…くっ…うう…っ!」
俺の問いにお姉さんが理由を話すので俺は目の前にいるバランスボールほどのスライムに両手の貫手で突っ込み…
痛みに耐えながら急いで持ち上げてタライの上に移し、魔石を抜き取った。
「「なるほど…!」」
するとスライムはタライの中で液状化し、タライの9割ほど近くまで溜まった液体を見ておじさんと男が驚きながら呟く。
「…なんて効率的な集め方だ!素晴らしい…!」
「…でもこれじゃ皮膜と体液がごっちゃにならない?」
「分離するので問題ありません。実はスライムの体液にも二種類あり、外側と内側で実は成分が違うのです」
男が驚きながらお姉さんの考えた方法を褒めるので、俺が回復魔法で治してもらいながら疑問を尋ねるとおじさんは豆知識を話し出す。
「へ?そうなの?」
「はい。なのでこのタライの中の液体は濃縮液、体液、皮膜と三層に分かれていきます。当然それぞれ値段が違いますが…おそらくこのタライ一つで一月分の生活費でも余るぐらいの値段にはなるでしょうな」
「なるほど…」
俺の問いにおじさんは売却時の値段も予想しながら説明してくれる。
「でもこんな大きいタライをどこから?」
「ふっふっふ…空間魔法で取り出しました。なので収納もお手軽です」
「おおっ!」
俺が疑問を尋ねるとお姉さんは得意げに笑いながら答え、密閉するように蓋を閉めたタライを消す。
「便利じゃん!先生!その空間魔法ってのは俺でも使えるの?」
「ええ。物さえあれば坊ちゃんでも使えるようになりますよ」
「…物?」
俺の興奮しながらの確認にお姉さんは肯定しながら条件を言うので、不思議に思いながら聞くと…
「収納出来るポーチやカバンですね。私の場合はこのポーチがそうです」
「私のはこのバッグが収納空間になっています」
お姉さんは腰に巻いてるポーチを見せながら言い、おじさんも小さな肩掛けバッグを見せながら言う。
「…やっぱり普通のとは違うのですか?」
「はい。見た目は同じでも中身は空間魔法で異次元のように広がってますから」
「へー」
俺が尋ねるとおじさんがバッグを開けて中を見せてくれるので覗き込むと…暗い空間しか見えない。
「この大きさの中に物を大量に入れられる上に重さが無いので、ついつい中にいっぱい物をいれちゃって何が入ってるかすぐ分からなくなるので…定期的に中身を整理しないといけないのがちょっと面倒ですけど」
「そういう時には荷物メモを取ると便利ですよ。使った物は線を引き、新しく入れた物は書き足していくと分かりやすいですし」
「なるほど!」
お姉さんの愚痴のような説明におじさんが改善策を出すとお姉さんは喜ぶように納得する。
「…ふー…えぇい!っ…!ぐっ…!」
お姉さんが魔物を発見するので俺はスライムに近づきながら一回深呼吸して貫手で手を突っ込み、激痛に耐えながら魔石を掴んで引き抜く。
するとスライムはさっきみたいにビシャ…と形を失ってただの水たまりになる。
「…いやはや…日頃の部位鍛錬で痛みに慣れてるとはいえ、あのスライムの体液に腕を漬けて悲鳴の一つも上げないとは…」
「酸溜まりの中に手を突っ込んでいるようなものだ…常人なら激痛で指を動かす事すら困難だろう。ましてやそこから魔石を掴むなど本来なら不可能に近いんだが…」
俺がすぐさまお姉さんに回復魔法で治してもらっていると、おじさんと男は信じられないかのように驚きながら呟く。
「坊ちゃん、スライムの皮膜です。今水で洗い流しましたのでそのまま食べられますよ」
「ありがとう…お」
お姉さんはピンセットの先にある透明なゼリーのような物を差し出すので手のひらに受け取って食べると…
味のしないゼリーのように本当にツルンと簡単に飲み込めた。
「…あれ?スライムは人型なんだ?」
「本来なら形を持たない不定形生物ですからね。丸まればスライムみたいに球体になれますよ」
スライムに変化すると体が水色の半透明になっただけなので不思議そうに言うとおじさんが説明してくれ…
「…本当だ」
体育座りをするように丸まったら球体のスライムになる。
「うーん…変化魔法の場合は核になる魔石が無いんですね。まあ心臓とかが透けて見えたら怖いですけど」
「そうなんだ」
お姉さんの感想に俺は意外に思いながら返して一旦人型に戻ってから元に戻った。
「スライムは打撃等の物理攻撃を無効化できますが…斬撃に弱く、火や氷などの弱点も多いので防御性能をあまり過信しすぎないように気をつけて下さいね」
「分かりました」
おじさんが注意しながら釘を刺してくるので俺は頷きながら返して先に進む。
「いた」
「あ!坊ちゃん、今度はこの中で倒してもらえますか?」
第三階層に向かって進んでいるとスライムを発見したので近づくと、お姉さんがどこからか大きなタライを取り出して確認する。
「…タライの中で?」
「はい。その方がスライムの体液や皮膜を回収しやすいので」
「分かった。ふー…せっ!…くっ…うう…っ!」
俺の問いにお姉さんが理由を話すので俺は目の前にいるバランスボールほどのスライムに両手の貫手で突っ込み…
痛みに耐えながら急いで持ち上げてタライの上に移し、魔石を抜き取った。
「「なるほど…!」」
するとスライムはタライの中で液状化し、タライの9割ほど近くまで溜まった液体を見ておじさんと男が驚きながら呟く。
「…なんて効率的な集め方だ!素晴らしい…!」
「…でもこれじゃ皮膜と体液がごっちゃにならない?」
「分離するので問題ありません。実はスライムの体液にも二種類あり、外側と内側で実は成分が違うのです」
男が驚きながらお姉さんの考えた方法を褒めるので、俺が回復魔法で治してもらいながら疑問を尋ねるとおじさんは豆知識を話し出す。
「へ?そうなの?」
「はい。なのでこのタライの中の液体は濃縮液、体液、皮膜と三層に分かれていきます。当然それぞれ値段が違いますが…おそらくこのタライ一つで一月分の生活費でも余るぐらいの値段にはなるでしょうな」
「なるほど…」
俺の問いにおじさんは売却時の値段も予想しながら説明してくれる。
「でもこんな大きいタライをどこから?」
「ふっふっふ…空間魔法で取り出しました。なので収納もお手軽です」
「おおっ!」
俺が疑問を尋ねるとお姉さんは得意げに笑いながら答え、密閉するように蓋を閉めたタライを消す。
「便利じゃん!先生!その空間魔法ってのは俺でも使えるの?」
「ええ。物さえあれば坊ちゃんでも使えるようになりますよ」
「…物?」
俺の興奮しながらの確認にお姉さんは肯定しながら条件を言うので、不思議に思いながら聞くと…
「収納出来るポーチやカバンですね。私の場合はこのポーチがそうです」
「私のはこのバッグが収納空間になっています」
お姉さんは腰に巻いてるポーチを見せながら言い、おじさんも小さな肩掛けバッグを見せながら言う。
「…やっぱり普通のとは違うのですか?」
「はい。見た目は同じでも中身は空間魔法で異次元のように広がってますから」
「へー」
俺が尋ねるとおじさんがバッグを開けて中を見せてくれるので覗き込むと…暗い空間しか見えない。
「この大きさの中に物を大量に入れられる上に重さが無いので、ついつい中にいっぱい物をいれちゃって何が入ってるかすぐ分からなくなるので…定期的に中身を整理しないといけないのがちょっと面倒ですけど」
「そういう時には荷物メモを取ると便利ですよ。使った物は線を引き、新しく入れた物は書き足していくと分かりやすいですし」
「なるほど!」
お姉さんの愚痴のような説明におじさんが改善策を出すとお姉さんは喜ぶように納得する。
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