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少年期 3
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「…さて坊っちゃま、魔物の素材を二つ手に入れたようですので…これより変化魔法の真髄をお教え致しましょう」
「『変化魔法の真髄』…ですか?」
「はい。魔物変化の技を習得する方法は二つあります。一つは魔物の知識や理解を深めて変化をモノにする方法…坊っちゃまにいつもしている講義の事ですな」
おじさんの発言に俺が尋ねるように聞くとさっそく説明を始めた。
「もう一つは魔物の素材を体内に取り込む事、です。この方法がもっとも簡単に魔物変化の技を習得する方法でございます」
「…体内に取り込むって…食べるって事ですか?コレを?」
おじさんが二つ目の方法を話すので俺はゴブリンの爪や牙を見ながら確認する。
「その通りです。ですがそのままでは困難ですのでコレを使います」
「ヤスリ…?」
「この紙をお持ち下さい」
「はい」
おじさんは爪を磨くヤスリのような棒と薬包紙を取り出して薬包紙を渡してくるので言われるがまま持つと…
その薬包紙の上でゴブリンの爪をヤスリで削って粉末状にしていく。
「ではコレを舐めるも飲むもお好きに」
「舐めるだけでもいいの?」
「はい。少量でも体内に入ればよろしいので」
おじさんが少し溜まった粉を見てヤスリを片付けながら言うので俺が確認すると肯定して軽く説明した。
「じゃあ…」
「坊ちゃん、水です」
「ありがとう」
粉を口の中に入れるとお姉さんが水筒を渡してくるので俺はありがたく受け取って粉と一緒に飲んだ。
「コレで坊ちゃまはゴブリンに変化できるようになったはずです。念のため服は変化して戻った後に着た方がよろしいかと」
「では…」
おじさんの言葉を聞いて俺は実際に変化魔法を使ってみる事に。
「ああ…!坊ちゃんが…ただの醜いゴブリンに…!!」
「へー。ゴブリンってこんな感じなんだ…」
変化は徐々に…ではなくパッと全身が変化するみたいでゴブリンになるとお姉さんが嘆くように俺の服で顔を隠すが…
俺は特に気にせずに低くなったゴブリンの視線に懐かしさを感じていた。
「…確かに身軽って感じはする」
「…やはり変化魔法は危険だな…どこからどう見てもただの魔物にしか見えん…」
「坊ちゃん!誰か来る前に早くお戻り下さい!」
俺がピョンピョンとジャンプしながらゴブリンの身体能力を確かめていると男が眉間に皺を寄せながら呟き、お姉さんは焦りながら催促する。
「戻る時もあっという間なんだ」
「服です」
「ありがと」
変化魔法を解いて元の姿に戻るとお姉さんが服を渡してくるので俺はお礼を言いながら服を着る。
「…でもこんな簡単に変化魔法が使えるようになるんですね」
「はい、素材さえ手に入ればどんな魔物にでも変化できるようになります。ただし…身の丈に合わない強さを持つ魔物に変化すると精神が乗っ取られてしまいますが」
「えっ!!?」
俺の意外に思いながらの発言におじさんは笑って肯定すると、急に真剣な表情になって変化魔法の危険性を注意してきた。
「と言っても直ぐに…という事もありませんのでご安心下さい。魔物に成るには必ず兆候や段階がありますので、ソコに気をつけていれば大丈夫です」
「そうなんですか?」
「はい。魔物化するには必ず4度目と決まっていますので、三回まで猶予があり…時間を置けば精神汚染がリセットされてまた三回までの猶予が復活します」
おじさんが俺の不安を払拭するように言うので本当かどうかを聞くと魔物化についてを説明してくれる。
「しかし!精神汚染がリセットされる期間には個人差があります。私と同門の親友はたまたまドラゴンの牙のカケラを手に入れ、ドラゴンに変化できるようになりましたが…精神汚染がリセットされるのに一年かかると言ってましたから」
「…一年…という事は一年に三回しか使えない、という事ですか?」
「いえ。三度目の後に一年です。一回目や二回目には精神汚染がありませんので当然リセット期間も無いのです」
おじさんは実例を挙げて危険性を話すので俺が確認すると否定して厳しい現実を告げた。
「つまり即三回使って一年に三度か…」
「その親友である友人は才能溢れる天才でしたので、その危険性に気づくとすぐに変化魔法を手放し何事も起きずに済みましたが…」
「…毎年魔物化する魔法使いは出ますもんね…それが変化魔法が忌避されて使い手が少なくなってる原因でもありますけど」
男が予想しながら呟くとおじさんは親友の英断を話し、お姉さんがなんとも言えない表情で最悪の事態に陥った魔法使いの末路を話す。
「私のその親友はこう言ってました『身に余る力を持てば必ず身を滅ぼす結果に繋がる』と。強い力を持つとソレを使いたくなるのが人間の性ですから…」
坊ちゃまは気をつけて下さいね。と、おじさんは優しく微笑んで諭すように釘を刺してくる。
「…その身に余る力と言うのはどうやったら分かるんですか?」
「簡単です。その魔物に変化したら直ぐに分かりますよ。説明するまでもなく、精神に変化をきたしますので」
「という事は…危ないと思ったらその魔物への変化はやめた方がいい、って事ですね?」
「もちろんです。扱えるレベルになるまでは使わない方が最善ですね」
「分かりました。肝に銘じておきます」
俺の問いに珍しくおじさんが曖昧で適当な感じでふんわりした事を返すので確認すると頷かれ、俺は最悪の事態にならないよう気をつける宣言をした。
「『変化魔法の真髄』…ですか?」
「はい。魔物変化の技を習得する方法は二つあります。一つは魔物の知識や理解を深めて変化をモノにする方法…坊っちゃまにいつもしている講義の事ですな」
おじさんの発言に俺が尋ねるように聞くとさっそく説明を始めた。
「もう一つは魔物の素材を体内に取り込む事、です。この方法がもっとも簡単に魔物変化の技を習得する方法でございます」
「…体内に取り込むって…食べるって事ですか?コレを?」
おじさんが二つ目の方法を話すので俺はゴブリンの爪や牙を見ながら確認する。
「その通りです。ですがそのままでは困難ですのでコレを使います」
「ヤスリ…?」
「この紙をお持ち下さい」
「はい」
おじさんは爪を磨くヤスリのような棒と薬包紙を取り出して薬包紙を渡してくるので言われるがまま持つと…
その薬包紙の上でゴブリンの爪をヤスリで削って粉末状にしていく。
「ではコレを舐めるも飲むもお好きに」
「舐めるだけでもいいの?」
「はい。少量でも体内に入ればよろしいので」
おじさんが少し溜まった粉を見てヤスリを片付けながら言うので俺が確認すると肯定して軽く説明した。
「じゃあ…」
「坊ちゃん、水です」
「ありがとう」
粉を口の中に入れるとお姉さんが水筒を渡してくるので俺はありがたく受け取って粉と一緒に飲んだ。
「コレで坊ちゃまはゴブリンに変化できるようになったはずです。念のため服は変化して戻った後に着た方がよろしいかと」
「では…」
おじさんの言葉を聞いて俺は実際に変化魔法を使ってみる事に。
「ああ…!坊ちゃんが…ただの醜いゴブリンに…!!」
「へー。ゴブリンってこんな感じなんだ…」
変化は徐々に…ではなくパッと全身が変化するみたいでゴブリンになるとお姉さんが嘆くように俺の服で顔を隠すが…
俺は特に気にせずに低くなったゴブリンの視線に懐かしさを感じていた。
「…確かに身軽って感じはする」
「…やはり変化魔法は危険だな…どこからどう見てもただの魔物にしか見えん…」
「坊ちゃん!誰か来る前に早くお戻り下さい!」
俺がピョンピョンとジャンプしながらゴブリンの身体能力を確かめていると男が眉間に皺を寄せながら呟き、お姉さんは焦りながら催促する。
「戻る時もあっという間なんだ」
「服です」
「ありがと」
変化魔法を解いて元の姿に戻るとお姉さんが服を渡してくるので俺はお礼を言いながら服を着る。
「…でもこんな簡単に変化魔法が使えるようになるんですね」
「はい、素材さえ手に入ればどんな魔物にでも変化できるようになります。ただし…身の丈に合わない強さを持つ魔物に変化すると精神が乗っ取られてしまいますが」
「えっ!!?」
俺の意外に思いながらの発言におじさんは笑って肯定すると、急に真剣な表情になって変化魔法の危険性を注意してきた。
「と言っても直ぐに…という事もありませんのでご安心下さい。魔物に成るには必ず兆候や段階がありますので、ソコに気をつけていれば大丈夫です」
「そうなんですか?」
「はい。魔物化するには必ず4度目と決まっていますので、三回まで猶予があり…時間を置けば精神汚染がリセットされてまた三回までの猶予が復活します」
おじさんが俺の不安を払拭するように言うので本当かどうかを聞くと魔物化についてを説明してくれる。
「しかし!精神汚染がリセットされる期間には個人差があります。私と同門の親友はたまたまドラゴンの牙のカケラを手に入れ、ドラゴンに変化できるようになりましたが…精神汚染がリセットされるのに一年かかると言ってましたから」
「…一年…という事は一年に三回しか使えない、という事ですか?」
「いえ。三度目の後に一年です。一回目や二回目には精神汚染がありませんので当然リセット期間も無いのです」
おじさんは実例を挙げて危険性を話すので俺が確認すると否定して厳しい現実を告げた。
「つまり即三回使って一年に三度か…」
「その親友である友人は才能溢れる天才でしたので、その危険性に気づくとすぐに変化魔法を手放し何事も起きずに済みましたが…」
「…毎年魔物化する魔法使いは出ますもんね…それが変化魔法が忌避されて使い手が少なくなってる原因でもありますけど」
男が予想しながら呟くとおじさんは親友の英断を話し、お姉さんがなんとも言えない表情で最悪の事態に陥った魔法使いの末路を話す。
「私のその親友はこう言ってました『身に余る力を持てば必ず身を滅ぼす結果に繋がる』と。強い力を持つとソレを使いたくなるのが人間の性ですから…」
坊ちゃまは気をつけて下さいね。と、おじさんは優しく微笑んで諭すように釘を刺してくる。
「…その身に余る力と言うのはどうやったら分かるんですか?」
「簡単です。その魔物に変化したら直ぐに分かりますよ。説明するまでもなく、精神に変化をきたしますので」
「という事は…危ないと思ったらその魔物への変化はやめた方がいい、って事ですね?」
「もちろんです。扱えるレベルになるまでは使わない方が最善ですね」
「分かりました。肝に銘じておきます」
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