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幼少期 2
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…そして翌日。
「リデック君。君に来客が来てますが…」
「来客?」
外でみんなと遊んでいたら院長が声をかけてくるので不思議そうに返すと…
「なんでも子爵夫人であるシャサラ様に雇われたとか」
「!家庭教師!僕の家庭教師です!」
院長は来客から聞いたであろう事情を話してくるので俺は昨日の事を思い出してそう返した。
「初めまして、リデック坊ちゃん。私はアーシェと申します。回復術師をやっています」
「リデックです。よろしくお願いします」
急いで建物の中の応接室に行くと若いお姉さんが俺を見て自己紹介すると頭を下げるので、俺も自分の自己紹介をして頭を下げる。
「早速ですが、修行を始めてもよろしいですか?」
「えーと…シャサラ様からは『治療を行うように』と言われてますが…」
俺の確認にお姉さんは困惑した様子で返す。
「リデック!外出します!」
「はい。あまり危ない事はせずに夕飯までには帰って来て下さいね?」
「分かりました!」
「あっ!リデック様!」
困惑するお姉さんをよそに俺は院長に報告して許可を得たので街の外へと向かって走るとお姉さんは慌ててついてくる。
「…こんな所でなにを?」
…街の外のひらけた場所へと移動するとお姉さんが周りを見ながら尋ねた。
「これから部位鍛錬をしたいと思います」
「部位…鍛錬…?なんですかソレ?」
「空手家は自分の体を痛めつけて硬く強くすると言います。武器が壊れた時に頼りになるのは己の身体のみ。 なので部位鍛錬の修行をします!」
「…はぁ…からてか…?」
俺が修行の内容を告げてもお姉さんは不思議そうに聞くので理由を話すがイマイチ理解出来てないように呟く。
「えいっ!」
「あっ!」
とりあえず修行を開始しよう…と、岩を思いっきり殴るとお姉さんが驚いたように声を上げた。
「うっ…!いたーい!治してー!」
岩を殴った拳が折れたのかヒビが入っただけで済んだのか分からないが…
俺はその激痛に耐えきれず泣きながらお姉さんにお願いする。
「もう!何してるんですか!」
「…痛くない…」
「岩を殴ったら痛いのは当たり前じゃないですか!」
お姉さんは怒ったようにすぐさま回復魔法で手を治してくれ、俺が驚きながら手を見て呟くと説教するように注意してきた。
「えいっ!いたーい!うわーん!アーシェー!」
「だから!今注意したばかりなのになんで直ぐに同じ過ちを繰り返すんですか!」
もう一度岩を思いっきり殴りつけるとやはり拳に激痛が走り、痛みで泣きながらお姉さんの名前を呼ぶと怒りながらも回復魔法を使ってくれる。
「ぐすっ…えい!」
「ダメです!」
俺が鼻水をすすって三度岩を思いっきり殴ろうとしたら今度はお姉さんが制止するよう抑えつけてきた。
「離して!」
「ダメです!なんでこんな危険な事をするんですか!もっと自分の身体を大事にして下さい!」
拘束を解こうともがくも子供の力では女と言えど歳上には敵わないようで…力づくで抑え込まれながら説得される。
「…分かった」
「分かって下さいましたか?」
「うん。でもこの方法は変えない」
「なっ…!」
俺が大人しくするとお姉さんが離れながら聞くのでそう返すと驚愕したように絶句した。
「人の体の仕組みは、傷ついた時に余分に治すように出来てるんだって」
「…確かにかさぶたとかは傷口よりも大きく出来ますけど…ソレとコレとなんの関係があるんですか?」
部位鍛錬をする理由を話すとお姉さんは俺の知識に賛同しつつも若干怒ってるように聞く。
「骨も傷ついて治る事でちょっとずつ硬くなっていくかもしれない」
「ですが……だからといってこんな危険な真似は止めてください。リデック様は子爵家の跡取りなのですよ?」
「僕…俺はそのために回復魔法を使える人を呼んだんだ!危険も無茶も分かった上で!」
「…分かりました」
尚も止めようと説得してくるお姉さんに、俺が呼んだ理由を話すとため息を吐いて折れたように返す。
「ですが、私が魔力を使い果たして魔法を使えなくなったら止めてもらいますからね?」
「うん!元からそのつもりだし!ていっ!痛い!アーシェ!」
「はいはい」
どうやら条件付きで納得して貰えたようなので今度は左手で岩を思いっきり殴り、痛みで涙を出しながら回復魔法で直してもらう。
ーーーーーー
「…坊ちゃん、コレで最後です」
…夕方になる頃、お姉さんはそう報告して回復魔法を使ってくれた。
「では終わりですね。帰りましょう」
「うん」
これ以上の修行の続行は無理だと考え、俺はお姉さんと一緒に孤児院へと戻る。
「ただいま戻りました」
「お帰りなさい。どうでしたか?」
「上手くいきそうです」
「そうですか。それは良かった」
孤児院に帰ると院長が出迎えながら確認するので好感触である事を告げると院長は優しく微笑んで言い…
「では坊ちゃん、また明日の朝来ますね」
「うん!これからよろしく!」
お姉さんは別れの挨拶をするので俺も挨拶を返して手を振った。
そして孤児院で筋トレしての翌日。
「うーん…うーん…」
「リデック君、家庭教師が来てますよ」
「分かりました。ありがとうございます」
調子に乗って無茶な筋トレをしたせいで全身が筋肉痛に襲われ…ベッドから出られずにいると、院長がお姉さんの訪問を告げるのでお礼の言葉を返す。
「…坊ちゃん!?どうしたのですか!?」
「筋肉痛で…身体が痛くて、動けない…」
「はぁ…昨日の無茶が効いたんじゃないんですか?」
お姉さんがやって来るとベッドの上から動けずにいる俺を見て慌てたように駆け寄って来るが、理由を話すと安堵の息を吐いた後に呆れたように言って回復魔法を使ってくれる。
「あっ…ありがとう。じゃあ行こうか」
「はい」
痛みが消えたので俺はベッドから出て修行場所へと移動した。
「リデック君。君に来客が来てますが…」
「来客?」
外でみんなと遊んでいたら院長が声をかけてくるので不思議そうに返すと…
「なんでも子爵夫人であるシャサラ様に雇われたとか」
「!家庭教師!僕の家庭教師です!」
院長は来客から聞いたであろう事情を話してくるので俺は昨日の事を思い出してそう返した。
「初めまして、リデック坊ちゃん。私はアーシェと申します。回復術師をやっています」
「リデックです。よろしくお願いします」
急いで建物の中の応接室に行くと若いお姉さんが俺を見て自己紹介すると頭を下げるので、俺も自分の自己紹介をして頭を下げる。
「早速ですが、修行を始めてもよろしいですか?」
「えーと…シャサラ様からは『治療を行うように』と言われてますが…」
俺の確認にお姉さんは困惑した様子で返す。
「リデック!外出します!」
「はい。あまり危ない事はせずに夕飯までには帰って来て下さいね?」
「分かりました!」
「あっ!リデック様!」
困惑するお姉さんをよそに俺は院長に報告して許可を得たので街の外へと向かって走るとお姉さんは慌ててついてくる。
「…こんな所でなにを?」
…街の外のひらけた場所へと移動するとお姉さんが周りを見ながら尋ねた。
「これから部位鍛錬をしたいと思います」
「部位…鍛錬…?なんですかソレ?」
「空手家は自分の体を痛めつけて硬く強くすると言います。武器が壊れた時に頼りになるのは己の身体のみ。 なので部位鍛錬の修行をします!」
「…はぁ…からてか…?」
俺が修行の内容を告げてもお姉さんは不思議そうに聞くので理由を話すがイマイチ理解出来てないように呟く。
「えいっ!」
「あっ!」
とりあえず修行を開始しよう…と、岩を思いっきり殴るとお姉さんが驚いたように声を上げた。
「うっ…!いたーい!治してー!」
岩を殴った拳が折れたのかヒビが入っただけで済んだのか分からないが…
俺はその激痛に耐えきれず泣きながらお姉さんにお願いする。
「もう!何してるんですか!」
「…痛くない…」
「岩を殴ったら痛いのは当たり前じゃないですか!」
お姉さんは怒ったようにすぐさま回復魔法で手を治してくれ、俺が驚きながら手を見て呟くと説教するように注意してきた。
「えいっ!いたーい!うわーん!アーシェー!」
「だから!今注意したばかりなのになんで直ぐに同じ過ちを繰り返すんですか!」
もう一度岩を思いっきり殴りつけるとやはり拳に激痛が走り、痛みで泣きながらお姉さんの名前を呼ぶと怒りながらも回復魔法を使ってくれる。
「ぐすっ…えい!」
「ダメです!」
俺が鼻水をすすって三度岩を思いっきり殴ろうとしたら今度はお姉さんが制止するよう抑えつけてきた。
「離して!」
「ダメです!なんでこんな危険な事をするんですか!もっと自分の身体を大事にして下さい!」
拘束を解こうともがくも子供の力では女と言えど歳上には敵わないようで…力づくで抑え込まれながら説得される。
「…分かった」
「分かって下さいましたか?」
「うん。でもこの方法は変えない」
「なっ…!」
俺が大人しくするとお姉さんが離れながら聞くのでそう返すと驚愕したように絶句した。
「人の体の仕組みは、傷ついた時に余分に治すように出来てるんだって」
「…確かにかさぶたとかは傷口よりも大きく出来ますけど…ソレとコレとなんの関係があるんですか?」
部位鍛錬をする理由を話すとお姉さんは俺の知識に賛同しつつも若干怒ってるように聞く。
「骨も傷ついて治る事でちょっとずつ硬くなっていくかもしれない」
「ですが……だからといってこんな危険な真似は止めてください。リデック様は子爵家の跡取りなのですよ?」
「僕…俺はそのために回復魔法を使える人を呼んだんだ!危険も無茶も分かった上で!」
「…分かりました」
尚も止めようと説得してくるお姉さんに、俺が呼んだ理由を話すとため息を吐いて折れたように返す。
「ですが、私が魔力を使い果たして魔法を使えなくなったら止めてもらいますからね?」
「うん!元からそのつもりだし!ていっ!痛い!アーシェ!」
「はいはい」
どうやら条件付きで納得して貰えたようなので今度は左手で岩を思いっきり殴り、痛みで涙を出しながら回復魔法で直してもらう。
ーーーーーー
「…坊ちゃん、コレで最後です」
…夕方になる頃、お姉さんはそう報告して回復魔法を使ってくれた。
「では終わりですね。帰りましょう」
「うん」
これ以上の修行の続行は無理だと考え、俺はお姉さんと一緒に孤児院へと戻る。
「ただいま戻りました」
「お帰りなさい。どうでしたか?」
「上手くいきそうです」
「そうですか。それは良かった」
孤児院に帰ると院長が出迎えながら確認するので好感触である事を告げると院長は優しく微笑んで言い…
「では坊ちゃん、また明日の朝来ますね」
「うん!これからよろしく!」
お姉さんは別れの挨拶をするので俺も挨拶を返して手を振った。
そして孤児院で筋トレしての翌日。
「うーん…うーん…」
「リデック君、家庭教師が来てますよ」
「分かりました。ありがとうございます」
調子に乗って無茶な筋トレをしたせいで全身が筋肉痛に襲われ…ベッドから出られずにいると、院長がお姉さんの訪問を告げるのでお礼の言葉を返す。
「…坊ちゃん!?どうしたのですか!?」
「筋肉痛で…身体が痛くて、動けない…」
「はぁ…昨日の無茶が効いたんじゃないんですか?」
お姉さんがやって来るとベッドの上から動けずにいる俺を見て慌てたように駆け寄って来るが、理由を話すと安堵の息を吐いた後に呆れたように言って回復魔法を使ってくれる。
「あっ…ありがとう。じゃあ行こうか」
「はい」
痛みが消えたので俺はベッドから出て修行場所へと移動した。
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