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「…うん?」
彼の名はエンデュミリオン。
とある世界の平凡な魔法使いだ。
彼はとある魔法の実験中に知らぬ間に発生した時空の歪みに吸い込まれ別の異なる次元の世界へと飛ばされていた。
「…なんだアレは?」
…不運な事に荒野のような戦場に現れてしまった彼は人型の機械兵器同士の激しい戦闘音を聞いて振り返ると不思議そうに呟く。
複数の人型の機械兵器は10分ほど戦闘を繰り広げるとお互いに示し合わせたように撤退して行った。
「…ココは一体どこなんだ?」
彼は辺りを見渡してまたしても不思議そうに呟くと人型の機械兵器を追いかけるように東へと向かう。
「…!?人!?貴方、こんなところで何をしているの!?」
「なんだ?人なのか?」
彼が当てもなく歩いていると哨戒していた人型の機械兵器に見つかり、パイロットの女性のスピーカーでの問いかけに見上げながら怪訝そうな顔を向けて問い返す。
「命が惜しければ今すぐココから立ち去りなさい!」
「…会話が通じない…どうやら言語は同じようだが…不思議な生き物だ」
女性パイロットの命令するような口調に彼は首を傾げながら脇を通り抜けて歩いて行く。
…そして彼が歩き続ける事、約一時間。
ようやく彼は町の近くへとたどり着いた。
「…急に地面の色が変わったな…硬度も違うようだが…」
彼は舗装された道を見て驚くとしゃがみ込んでアスファルトを触りながら呟く。
「誰だ!」
「手を上げろ!」
彼が町に近づくと警備兵に気づかれ警戒した様子でアサルトライフルを構える。
「おお!人だ!」
「止まれ!手を上げろと言ってるのが分からないのか!撃つぞ!」
嬉しそうに声を上げて近づく彼に警備兵は銃口を向けながら警告した。
「射つ?弓を持ってるようには見えないが…」
「こちらガンマ、怪しい男を発見。これより尋問に入る」
「マザー、了解」
彼が止まって不思議そうに言うと警備兵の一人が持ってる無線で本部へ報告する。
「貴様どこから来た?」
「あっちの方だ」
「違う!どこの国から来たと聞いているんだ!ふざけていると即拘束するぞ!」
警備兵Aの質問に彼は来た方を指差して答えると警備兵Bが怒ったように怒鳴りつけた。
「国?トワイル法国だが」
「トワイル王国だと?…おい、聞いた事あるか?」
「いや…無い。が、もしかしたら南米辺りの小さな国かも知れん」
「ああ…あそこは独立と併合を繰り返しているからな…もはや月単位で新しい国が生まれては消えていく、可能性は高いな」
彼の発言に警備兵Bが聞くと警備兵Aは予想を話して二人とも納得して構えた銃を下ろす。
「それで?何しに来た?」
「目的は何だ?」
「ただ来ただけだ。気がついたらあっちの方で倒れてたからな」
「なんだと?拉致被害者か?」
「誘拐未遂かもしれん。先程交戦があったと聞く。その時にコンテナから放り出されたのか…?なんにせよ生きてるだけ幸運だったな」
警備兵達の質問に彼が再び来た方向を指差して説明すると勘違いして同情したように言葉をかけて無線を手に取る。
「こちらガンマ、不審者の身元は未だ不明だが武器の所持は認められない。話を聞く限りでは拉致や誘拐の被害者の可能性あり。中にて詳細の聞き取りを求む」
「…こちらマザー、了解。人員を送るので待機しておくように」
「「ガンマ、了解」」
警備兵Aが本部に状況を説明して確認を取ると許可が下りたので二人は男を解放するように少し離れた。
「…引き継ぎます」
「了解」
「ご苦労」
中からやってきた兵が敬礼をしながら言うと警備兵達も敬礼しながら彼を引き渡す。
ーーーーーーーー
短編なので以下省略。
ーーーーーーーー
「魔法使いだって!」
「魔法?科学の時代にそんな物が信じられるか」
「惑星に移住する時代にそんなオカルトを言われてもな…」
「どうせ科学技術をソレっぽく見せただけだろ?手品みたいな」
軍の尋問による彼の素性や経歴の話が外に漏れると一気に噂として一日も経たずに町中へと広がった。
「ねーねー!魔法使えるんでしょ?何か見せてよ!」
彼が解放されて軍の施設から出ると一人の女の子が寄ってきて好奇心からの要求をして来る。
「いいとも。ほら」
「うわあ!凄い!」
彼は笑顔で了承して人差し指を立てると火の魔法を無詠唱で発動して指先からライターのような火を出して見せた。
「あっ!お前だけズルイぞ!俺にもなんか見せてくれよ!」
「俺も俺も!」
「ははは、いいとも。良く見てるんだよ」
彼の周りに子供達が集まりワイワイと騒がしくなると彼は笑って広場の噴水へと近づく。
「……そら」
「うわー!すっげー!」
「虹だ!きれー!」
彼が詠唱して水の魔法を使うと噴水の水が高々と舞い上がり霧のようになって広場を包み込んだ。
「なあなあ!ソレどうやってやんの!?教えてくれよ!」
「私も!」「俺も!」「僕も!」
一人の少年の要求に周りの子供達も呼応するように彼の周りの子供達がワイワイと騒ぎ出す。
「うーん…君たちが魔法を使えるようになるにはあと5年はかかるかな」
「5年!?そんなに!?」
「そうさ、私だって物心ついた時から勉強していたからね。家庭の事情で」
彼の説明に少年が驚くと彼は笑顔で諭すように自分の体験談を話した。
彼の名はエンデュミリオン。
とある世界の平凡な魔法使いだ。
彼はとある魔法の実験中に知らぬ間に発生した時空の歪みに吸い込まれ別の異なる次元の世界へと飛ばされていた。
「…なんだアレは?」
…不運な事に荒野のような戦場に現れてしまった彼は人型の機械兵器同士の激しい戦闘音を聞いて振り返ると不思議そうに呟く。
複数の人型の機械兵器は10分ほど戦闘を繰り広げるとお互いに示し合わせたように撤退して行った。
「…ココは一体どこなんだ?」
彼は辺りを見渡してまたしても不思議そうに呟くと人型の機械兵器を追いかけるように東へと向かう。
「…!?人!?貴方、こんなところで何をしているの!?」
「なんだ?人なのか?」
彼が当てもなく歩いていると哨戒していた人型の機械兵器に見つかり、パイロットの女性のスピーカーでの問いかけに見上げながら怪訝そうな顔を向けて問い返す。
「命が惜しければ今すぐココから立ち去りなさい!」
「…会話が通じない…どうやら言語は同じようだが…不思議な生き物だ」
女性パイロットの命令するような口調に彼は首を傾げながら脇を通り抜けて歩いて行く。
…そして彼が歩き続ける事、約一時間。
ようやく彼は町の近くへとたどり着いた。
「…急に地面の色が変わったな…硬度も違うようだが…」
彼は舗装された道を見て驚くとしゃがみ込んでアスファルトを触りながら呟く。
「誰だ!」
「手を上げろ!」
彼が町に近づくと警備兵に気づかれ警戒した様子でアサルトライフルを構える。
「おお!人だ!」
「止まれ!手を上げろと言ってるのが分からないのか!撃つぞ!」
嬉しそうに声を上げて近づく彼に警備兵は銃口を向けながら警告した。
「射つ?弓を持ってるようには見えないが…」
「こちらガンマ、怪しい男を発見。これより尋問に入る」
「マザー、了解」
彼が止まって不思議そうに言うと警備兵の一人が持ってる無線で本部へ報告する。
「貴様どこから来た?」
「あっちの方だ」
「違う!どこの国から来たと聞いているんだ!ふざけていると即拘束するぞ!」
警備兵Aの質問に彼は来た方を指差して答えると警備兵Bが怒ったように怒鳴りつけた。
「国?トワイル法国だが」
「トワイル王国だと?…おい、聞いた事あるか?」
「いや…無い。が、もしかしたら南米辺りの小さな国かも知れん」
「ああ…あそこは独立と併合を繰り返しているからな…もはや月単位で新しい国が生まれては消えていく、可能性は高いな」
彼の発言に警備兵Bが聞くと警備兵Aは予想を話して二人とも納得して構えた銃を下ろす。
「それで?何しに来た?」
「目的は何だ?」
「ただ来ただけだ。気がついたらあっちの方で倒れてたからな」
「なんだと?拉致被害者か?」
「誘拐未遂かもしれん。先程交戦があったと聞く。その時にコンテナから放り出されたのか…?なんにせよ生きてるだけ幸運だったな」
警備兵達の質問に彼が再び来た方向を指差して説明すると勘違いして同情したように言葉をかけて無線を手に取る。
「こちらガンマ、不審者の身元は未だ不明だが武器の所持は認められない。話を聞く限りでは拉致や誘拐の被害者の可能性あり。中にて詳細の聞き取りを求む」
「…こちらマザー、了解。人員を送るので待機しておくように」
「「ガンマ、了解」」
警備兵Aが本部に状況を説明して確認を取ると許可が下りたので二人は男を解放するように少し離れた。
「…引き継ぎます」
「了解」
「ご苦労」
中からやってきた兵が敬礼をしながら言うと警備兵達も敬礼しながら彼を引き渡す。
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短編なので以下省略。
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「魔法使いだって!」
「魔法?科学の時代にそんな物が信じられるか」
「惑星に移住する時代にそんなオカルトを言われてもな…」
「どうせ科学技術をソレっぽく見せただけだろ?手品みたいな」
軍の尋問による彼の素性や経歴の話が外に漏れると一気に噂として一日も経たずに町中へと広がった。
「ねーねー!魔法使えるんでしょ?何か見せてよ!」
彼が解放されて軍の施設から出ると一人の女の子が寄ってきて好奇心からの要求をして来る。
「いいとも。ほら」
「うわあ!凄い!」
彼は笑顔で了承して人差し指を立てると火の魔法を無詠唱で発動して指先からライターのような火を出して見せた。
「あっ!お前だけズルイぞ!俺にもなんか見せてくれよ!」
「俺も俺も!」
「ははは、いいとも。良く見てるんだよ」
彼の周りに子供達が集まりワイワイと騒がしくなると彼は笑って広場の噴水へと近づく。
「……そら」
「うわー!すっげー!」
「虹だ!きれー!」
彼が詠唱して水の魔法を使うと噴水の水が高々と舞い上がり霧のようになって広場を包み込んだ。
「なあなあ!ソレどうやってやんの!?教えてくれよ!」
「私も!」「俺も!」「僕も!」
一人の少年の要求に周りの子供達も呼応するように彼の周りの子供達がワイワイと騒ぎ出す。
「うーん…君たちが魔法を使えるようになるにはあと5年はかかるかな」
「5年!?そんなに!?」
「そうさ、私だって物心ついた時から勉強していたからね。家庭の事情で」
彼の説明に少年が驚くと彼は笑顔で諭すように自分の体験談を話した。
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