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2章 暗き闇より舞い降りし1つの絶望

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「降り注げ!氷の棘吹雪」
水琴が魔法で牽制しつつ距離をとる。
ミアは魔法をものともせずに棘と棘の間を潜り抜ける。
「小さいことの恩恵です」
ミアが距離をどんどん縮めていく中、水琴は平然と剣を持ったまま
「あーそういうことか。理解したわ。じゃあさっさと片付けるね。氷雪のアイスブレイク!」
水琴が持っていた氷剣が大きくなった。そして軽々片手で振り回す水琴。
「痛っ・・・!」
ミアが思わず退く。
「特別な冷気を放っている氷剣に敵うかしら?」
水琴が正面に構え続ける。
「まだ・・・、まだ、ここで終わるわけにはいかない!我を守れ!竜麟の盾」
ミアが盾で攻撃を防ぎつつ一気に駆け抜ける、が、水琴は動じなかった。
「何をやっても無駄なんだよね・・・。止まれ!雪原の豪雪!」
ミアの近くから巨大な雪像が襲ってくる。
「苦しい・・・よ・・・」
ミアが両手で持っていた短剣を落とす。
「これで・・・!」
水琴が氷剣を軽く薙ぎ払うだけで、ミアの胴体が真っ二つになる。
「例え、闇と光が混ざり合うことは決してあってはならない・・・それくらいあなたにもわかるでしょ・・・。だから、大人しく、降参しなさい!」
水琴がトドメを刺そうとする。
「け・・・ど、私、まだ、死ぬわけには、行かない!」
ミアの周りから黒い靄が噴き出た。





「嘘でしょ・・・。あの術式、魔力の流れ方が異常。これ、禁術の類じゃ・・・!」
水琴が黒い靄によって抉り取られた右腕をすぐさま縫合する。
そこには、人ならざる者がいた。
「・・・」
全身が黒い化け物が無言で水琴を見る。
そもそも目が見当たらないため、どこで見ているかは定かではない。
しかし水琴は膨大な知識を駆使し、一つの答えにたどり着く。
「あなた・・・禁術『漆黒の堕天使』を使ったわね!?」
水琴が一息つきながら、黒い化け物に氷剣を構える。






禁術『漆黒の堕天使』、使用者の命と引き換えに、全属性術式、全武器攻撃を無効化する、一旦最強かと思われるが、唯一攻略する方法がある。

禁術『星光の創世者』、これこそ漆黒の堕天使に唯一攻略できる術式。
使用者は10分間、聖域(互いの術式発動を無効化するフィールド)を展開し、漆黒の堕天使は10分間、行動スピードがおよそ0.5倍まで減速する。
対して星光の創世者は自身のATKを2.5倍まで上げ、いかなるダメージも無効できるが、使用時間が10分と決まってるため、10分経つと、使用時無効化してたダメージが2倍となって使用者に襲ってくる。
要するに、10分で倒さなければいけない。
そして水琴が最初に覚えた禁術こそ、漆黒の堕天使に対抗できる星光の創世者だった。
「本当なら、魔力がそろそろ限界だったのに、ここですべてを使い切る!禁術『星光の創世者』」
水琴の髪色が金色、そして髪型がストレートヘアーに、羽織ってた服がすべて純白のドレスになった。
「制限時間は10分、まあ10分もあれば倒せるわ」
水琴が氷剣を聖剣に変化させる。
「わるいけど、あなたの動きが鈍くなっている今だからこそ、私は、勝ちに行くよ」
水琴が加速して距離を縮める。
水琴の攻撃の範囲内に黒い化け物を捉えたところで弱点を突く。
「あなたの弱点は、ど真ん中!星炎の衝撃」
水琴が黒い化け物のど真ん中に剣を刺す。
確かな手ごたえがあった。
黒い化け物は粉々になって消えていった。
「あーあ、疲れた、少し休もう」
水琴はその場で倒れこんだ。



一方、魁はというと、
「なんで、なんでお前なんかが、組織に入ったんだよ!?」
「理由はさっき言った」
彩斗がひたすら術式で攻撃してくるので、魁は術式を避けるか、術式を剣で捌いてた。
「さっきの理由のほかにも理由あるだろ!?なぁ・・・」
「あのさ、諦めてくれないかな?あくまでも、魁を連れて来いっていう上層部の命令だし」
魁の言葉を遮るかのように彩斗が話し出す。
「けど・・・っ!」
「そこまで知りたいのなら、教えるか。家族が攫われたということは事実、そしてもうひとつ理由がある。小学生時代、ある先生がいた。その先生はいつも元気で、病気なんて関係なかった。そして、担任の先生だった。ある日、謎の病気で亡くなった。そして、僕は、家族と先生を救うために組織に入った。ほらこれでいいだろ?」
魁は空を見上げながら呟いた。
「ああ、ありがとうな。じゃあ行くぞ。朧剣斬《四式・火炎剣デュア》、この力は彩斗、お前を救うために使う!」
魁が低い体勢で突進を始めた。
「何があっても魁を連れて行く!それが上層部の命令!幹部が逆らうわけにいかない!記憶の底に沈め!甦る悪夢」
魁の動きが一瞬鈍った・・・と思ったら、そのまま道路に倒れこんだ。
甦る悪夢、対象者の過去で辛かったことなどをそのまま対象者に流し込む。
対象者は一時的な昏睡状態に陥り、その間は一切動くことができない。
「悪く思わないでくれよ」
彩斗が昏睡状態の魁を軽々持ち上げ組織の拠点へと戻って行った。
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