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II.右眼2

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「マスター!なぜあの子供がマスターの右眼を持っているのですか!?」

コオリは青年の部屋へと飛び込み、問いかける
青年は不機嫌な顔をして扉を指差す

「はい?…ノック、次からは気をつけます
が、そうではなくてですね…あの子供の目どういうことですか?」

力強く机を叩く
その影響でインクが溢れたがコオリは興奮しすぎて気づいていないようだ

青年はインクが溢れて汚れた書類をちらりと流し見ると、深い溜息を吐く

「……やった」

「なぜですか!?なぜ!」

「…」

青年は答えず開け放たれている扉を見る
扉の外には子供が立っていた
コオリの後を付いてきていたようだ

コオリは青年が己を見ていないことに気づき青年の見ている方へを見る


「お前は…なぜお前がマスターの右眼を持っている、答えろ!?」

コオリが子供に飛びかかろうとしたその瞬間コオリの動きがピタリと止まる

そして自分の動きを遮っている手首に絡んだ鎖を見て、青年を見る

「コオリ」

「…わかりました。もうしないので外してください」

青年は鎖を消すと子供を手招きする
子供はビクビクしながらコオリの横を通り、青年の下まで行く

「ごめんなさい、僕のせいで…」

右眼へと手を伸ばし触れるように撫でた
手が離れると青年は右眼を隠した
そして手を離すとそこには黒色の眼帯が嵌められていた

青年は、子供の頭を少し乱暴に撫でる

「え…え?」

子供は眼帯が急に出てきたことにも驚いていたが、急に頭を撫でられたことにより、青年の顔と自分の頭に置いてある手を見る

「…いい」

子供の様子を見て伝わっていないことに気づいた青年が呟くが、子供はますます意味がわからなくなってしまった

「どういうこと?」

青年は苦笑してコオリの方を見る
コオリは大きな溜息を吐いた

「…マスターは別に気にしなくていいと伝えたいみたいですよ」

「え…でも」

青年とコオリを何度も見返す

「マスターがいいなら私はそれに従います」

コオリは嫌そうに言うが、青年はまた乱暴に頭を撫でた

「何で…何でこんな僕のために」

子供は急に泣き出してしまい、2人は驚きどうすればいいか戸惑う
なんとか落ち着かせようと涙を拭ったり、背中をさすったりするが逆に強く泣き出してしまう

「…寝てろ」

子供の額に手を伸ばし呟く
急に力を失い倒れてきた子供を優しく抱え、自分の寝室へと歩く

「マスター、その子供を育てるなんて言いませんよね?」

コオリの方を振り返るとゆっくりと頷いた

「はぁ、私たちの時は魔物などでしたから良かったですが、人間の子供を拾ってくるとは…」

また深い溜息を吐き青年の下まで行くと、子供を受け取り青年の寝室へと運んだ

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