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第1章
ⅩⅤⅡ
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視界が急に真っ黒に染まり、大量の人が血に濡れ倒れる草原へと切り替わった
血の海に染まる草原の中心には陛下と呼ばれる少年とフードを深く被った少年がいて、陛下がその少年の首へと手をかけているところだった
「今までご苦労だったな。
お前が居てくれて我が国は助かった。
お前のお陰で聖竜という最強の駒が手に入り、他国を出し抜くことができた」
「はっ、オレのお陰だって?
お前がオレの子らを友を人質に取ったからだろうが!」
少年は特に苦しむ様子もなく、陛下へと怒鳴るように叫んだ
それと同時にフードが外れ少年は顔を覗かせた
少年の顔は目元と口以外を全て包帯で覆っていた
少年の緋色の瞳は怒りに染まっていた
「お前は本当にバカだな。
その子らと友を置いていけば…俺を殺せば良かっただけなのに」
陛下の少年の首を締める手に更なる力が加わる
少年はそれでも平然としているが、何故か陛下の手を外そうとも、殺そうともしなかった
「…できることなら殺してやりたいが契約だ」
「契約?」
「お前には関係のないことだ、人間のガキであるお前にはな」
「…この状況で偉そうな奴だ」
陛下は左の手を首から離すと懐から小さな短剣を取り出した
その剣を見て初めて少年は驚いた表情を浮かべた
「そう、か。やはりあいつが…」
少年は悟った様な、それでいて悲しそうな表情をした
「殺してないだろうな」
少年は陛下を睨み付ける
「お前は裏切った奴の心配までするのか。
残念ながら殺してはいない」
その言葉に少年はホッとした様な表情を浮かべた
「陛下、最期に教えてやるよ。
オレを殺したいなら、その剣で首飾りごとオレを貫け」
少年は月と太陽が彫られている首飾りを胸元から取り出すと陛下へと突きだした
「ああ、そうさせて貰う」
陛下は少年を組敷く
そして、少年の心臓へと首飾りを置くとそこ目掛けて短剣を勢いよく降り下ろした
少年は視界の端に人影を見つけると、この様な状況なのにその人影へ向けて微笑んだ
*****
「ハクリュウ、起きたの?もうすぐ着くよ」
「……」
「ハクリュウ?」
ルカは腕の中にいるハクリュウを見ると、ハクリュウは誰も居ない方へと目を向けていた
「…下ろ、して」
ハクリュウはルカの手から抜け出し、ルカへとバクをわたすと見つめていた場所へと走り出した
「ハクリュウ!?」
「リオウ、とめろ!」
「はいっ」
リオウは急いでハクリュウへと手を伸ばすが、ハクリュウはその手を強く払い除けた
その瞬間ハクリュウの姿は何もなかったかの様にかき消えた
血の海に染まる草原の中心には陛下と呼ばれる少年とフードを深く被った少年がいて、陛下がその少年の首へと手をかけているところだった
「今までご苦労だったな。
お前が居てくれて我が国は助かった。
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「はっ、オレのお陰だって?
お前がオレの子らを友を人質に取ったからだろうが!」
少年は特に苦しむ様子もなく、陛下へと怒鳴るように叫んだ
それと同時にフードが外れ少年は顔を覗かせた
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少年の緋色の瞳は怒りに染まっていた
「お前は本当にバカだな。
その子らと友を置いていけば…俺を殺せば良かっただけなのに」
陛下の少年の首を締める手に更なる力が加わる
少年はそれでも平然としているが、何故か陛下の手を外そうとも、殺そうともしなかった
「…できることなら殺してやりたいが契約だ」
「契約?」
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「…この状況で偉そうな奴だ」
陛下は左の手を首から離すと懐から小さな短剣を取り出した
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「そう、か。やはりあいつが…」
少年は悟った様な、それでいて悲しそうな表情をした
「殺してないだろうな」
少年は陛下を睨み付ける
「お前は裏切った奴の心配までするのか。
残念ながら殺してはいない」
その言葉に少年はホッとした様な表情を浮かべた
「陛下、最期に教えてやるよ。
オレを殺したいなら、その剣で首飾りごとオレを貫け」
少年は月と太陽が彫られている首飾りを胸元から取り出すと陛下へと突きだした
「ああ、そうさせて貰う」
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そして、少年の心臓へと首飾りを置くとそこ目掛けて短剣を勢いよく降り下ろした
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*****
「ハクリュウ、起きたの?もうすぐ着くよ」
「……」
「ハクリュウ?」
ルカは腕の中にいるハクリュウを見ると、ハクリュウは誰も居ない方へと目を向けていた
「…下ろ、して」
ハクリュウはルカの手から抜け出し、ルカへとバクをわたすと見つめていた場所へと走り出した
「ハクリュウ!?」
「リオウ、とめろ!」
「はいっ」
リオウは急いでハクリュウへと手を伸ばすが、ハクリュウはその手を強く払い除けた
その瞬間ハクリュウの姿は何もなかったかの様にかき消えた
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