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その4 本物っぽいのが出てきやがった
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「言っとくけど、うちは事件捜査以外の依頼は知り合いからしか受け付けてないんで」
一応客として扱ってくれるみたいで、ペットボトルのお茶(開封済み)を出してくれる。
「証言をしてほしいの、私のアリバイについて」
「……は?」
「あの、言いにくいんですけど、私……なぜか殺人事件の容疑をかけられてしまっていて、事件の起こった時間に私がここに来ていたことを証明しなきゃならないんです」
聞いてくれてない。彼は椅子に座って読書をしている。
「……で?」
「お願いします。あなただけが頼りなの」
「興味ない。刑事さんが来たとき、暇だったら証言しますよ」
なぁにが暇だったらだこのクソガキ! 学校さぼってるくせにえっらそうに!
「~~っ! こっちが下手に出てりゃ調子に乗って」
「第一、俺が証言したところで、信用されると思うのか?」
「そりゃもt」
「ないね、まともな人なら、不登校の不良の言い分、信じないと思うけど?」
私の考えを見透かしたかのように言われて、どきりとした。
確かに、言われてみればそうだ。どうして学校に行っていないのかって話になる。
そんなこと、言いたくはない。第三者が踏み入っていいことでもない。
「なら……どうすれば……無罪を」
「大家さん、取引しない? 今月分の家賃チャラにしてくれたら、あんたの無実を証明してやってもいいよ」
「今自分で証言信頼されないって言ってたわよね!?」
「どうするの? 正直、ノーならとっとと帰ってほしいんだけど」
ってノーなわけないじゃない。
「っ分かったわ。報酬は家賃一か月分で、あなた……じゃなくて、明智探偵事務所に依頼するわ。私の無実を証明して!」
「はい、承りました。じゃ、事件の概要を教えてくれませんか?」
「……あなたに言って、何も変わらないと思うけど――」
事件は2週間前、私の通う大学で起こった。
殺されたのは神野 拓也さん、同じ学科の先輩よ。
確か……凶器は包丁のような刃物で、めった刺し? にされたらしいの。
それで、どういうわけか、最後に会っていた私が容疑者候補にされたの。
「――ええ、とそのくらいだったかしら? そこまで詳しく教えてもらえてないわ」
「……で、身に覚えのない証拠も出てきたから驚いている、と」
「え、ええ……どうしてわかったの?」
あれを証拠といっていいのかわからないけど……。
「うちのドアが蹴られて何事かと思ってみたら、連行される現場見ちゃってね」
「ちょ、見てたんなら助けてくれても」
「身に覚えのない証拠が出たならこう考えるべきだ――犯人は、あんたの部屋へ自由に出入りができるってね」
「まさか……そんな人、いるわけ」
そうよ。ほかの部屋はともかく、私の部屋は鍵変えてるんだから。合い鍵を持ってる梓以外に入れ――っまさか。
「いるんだな、入れる人」
「あり得ないわ。きっと……別の人が私の部屋に、入ったのよ」
「そう思っているなら、検証してみようか」
なんかあいつに乗せられている気がする……。
第一、今日知り合ったばかりの人を家に上げるなんて、どうかしているわ。
「鍵はピッキング対策されているな。それなら誰かが合い鍵を盗んだって考えるべきだが……可能性は薄いだろうな。他に正規の方法で入れる人間はいないのか?」
「親友の梓って子が合い鍵を持ってるけど……っていうかあの証拠は刑事さんの勘違いだし、きっと犯人は私に恨みのある人よ」
「そうか……」
って聞いているのかしら? さっきから冷蔵庫開けたりクローゼット開けようとしたり(さすがに止めた)梓が置いていった彫りかけの彫刻を見たりと、せわしない。
「ちなみに、その凶器判定された物は?」
「今警察にあるわ……そもそも、端っこに血が付いてただけなのに、大げさなのよね」
「……犯人、わかった」
「え?」
わかった……って私の部屋漁ってただけじゃない。
「犯人は――あんたの友達だよ」
一応客として扱ってくれるみたいで、ペットボトルのお茶(開封済み)を出してくれる。
「証言をしてほしいの、私のアリバイについて」
「……は?」
「あの、言いにくいんですけど、私……なぜか殺人事件の容疑をかけられてしまっていて、事件の起こった時間に私がここに来ていたことを証明しなきゃならないんです」
聞いてくれてない。彼は椅子に座って読書をしている。
「……で?」
「お願いします。あなただけが頼りなの」
「興味ない。刑事さんが来たとき、暇だったら証言しますよ」
なぁにが暇だったらだこのクソガキ! 学校さぼってるくせにえっらそうに!
「~~っ! こっちが下手に出てりゃ調子に乗って」
「第一、俺が証言したところで、信用されると思うのか?」
「そりゃもt」
「ないね、まともな人なら、不登校の不良の言い分、信じないと思うけど?」
私の考えを見透かしたかのように言われて、どきりとした。
確かに、言われてみればそうだ。どうして学校に行っていないのかって話になる。
そんなこと、言いたくはない。第三者が踏み入っていいことでもない。
「なら……どうすれば……無罪を」
「大家さん、取引しない? 今月分の家賃チャラにしてくれたら、あんたの無実を証明してやってもいいよ」
「今自分で証言信頼されないって言ってたわよね!?」
「どうするの? 正直、ノーならとっとと帰ってほしいんだけど」
ってノーなわけないじゃない。
「っ分かったわ。報酬は家賃一か月分で、あなた……じゃなくて、明智探偵事務所に依頼するわ。私の無実を証明して!」
「はい、承りました。じゃ、事件の概要を教えてくれませんか?」
「……あなたに言って、何も変わらないと思うけど――」
事件は2週間前、私の通う大学で起こった。
殺されたのは神野 拓也さん、同じ学科の先輩よ。
確か……凶器は包丁のような刃物で、めった刺し? にされたらしいの。
それで、どういうわけか、最後に会っていた私が容疑者候補にされたの。
「――ええ、とそのくらいだったかしら? そこまで詳しく教えてもらえてないわ」
「……で、身に覚えのない証拠も出てきたから驚いている、と」
「え、ええ……どうしてわかったの?」
あれを証拠といっていいのかわからないけど……。
「うちのドアが蹴られて何事かと思ってみたら、連行される現場見ちゃってね」
「ちょ、見てたんなら助けてくれても」
「身に覚えのない証拠が出たならこう考えるべきだ――犯人は、あんたの部屋へ自由に出入りができるってね」
「まさか……そんな人、いるわけ」
そうよ。ほかの部屋はともかく、私の部屋は鍵変えてるんだから。合い鍵を持ってる梓以外に入れ――っまさか。
「いるんだな、入れる人」
「あり得ないわ。きっと……別の人が私の部屋に、入ったのよ」
「そう思っているなら、検証してみようか」
なんかあいつに乗せられている気がする……。
第一、今日知り合ったばかりの人を家に上げるなんて、どうかしているわ。
「鍵はピッキング対策されているな。それなら誰かが合い鍵を盗んだって考えるべきだが……可能性は薄いだろうな。他に正規の方法で入れる人間はいないのか?」
「親友の梓って子が合い鍵を持ってるけど……っていうかあの証拠は刑事さんの勘違いだし、きっと犯人は私に恨みのある人よ」
「そうか……」
って聞いているのかしら? さっきから冷蔵庫開けたりクローゼット開けようとしたり(さすがに止めた)梓が置いていった彫りかけの彫刻を見たりと、せわしない。
「ちなみに、その凶器判定された物は?」
「今警察にあるわ……そもそも、端っこに血が付いてただけなのに、大げさなのよね」
「……犯人、わかった」
「え?」
わかった……って私の部屋漁ってただけじゃない。
「犯人は――あんたの友達だよ」
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