BUZZER OF YOUTH

第1章 入学〜インターハイ予選

第77話 涼真のゲームメイク

メンバープロフィール

三石 大地

星垓高等学校2年
173㎝58kg

誕生日 :10/9
血液型 :O
特徴:スポーツ刈りと呼ばれる坊主に近い茶色気味の黒髪。言動は普通だがなんとなくチャラいところがある。
新城や慎太郎のようなパスとシュートの割合が半々くらいの正統派ではなく、自らシュートを狙いに行くタイプのポイントガード。得点力だけ見れば新城や慎太郎を超える事も。
星垓2年の中では唯一の彼女持ち。
特技 :記憶力がいい
趣味 :読書
得意教科 :倫理・政経、世界史
苦手教科 :数学
得意なプレイ :アシスト、ミドルシュート
バスケを始めたきっかけ :親の影響で小1からミニバスを始めて
密かな悩み :華奢なのでパワーがない


ーーーーーーーーーー



オフェンスの変化により、反撃の狼煙を上げた星垓。


涼真（新城さんのいるトップからだと、全体がよーく見えるぜ…）


コートでは髙木がハイポストで位置取りをしようとしている。



涼真「！」


涼真、鋭いパス。
だが、髙木の脇の下を抜けていってしまう。


中澤「パスミスか!?」


だが、髙木の背後、


バシッ！


神崎がボールを受ける。


村越「あっ!?」



髙木がハイポストに上がるためにスクリーンをかけた神崎。
村越は、髙木がボールを受けると思っていただけに、その後の神崎の動きを見逃してしまっていた。



バスッ！


ゴール下、フリーで神崎が決める。


その後も…



ビッ！


「真田のミドル！」


ビッ！


「新城が切れ込んだところに北条からのアシストだ！」



ビッ！



ドッガアアアアア！


「髙木のボースハンドダンクだ！」



涼真はアシストを積み上げていく。


自らの得点こそなかったが、僅かな隙を見逃さず、ここしかないという場所にピンポイントでパスを通す。



だが。



バスッ！


ピピーッ！


審判「ファウル、白8番！バスケットカウントワンスロー！」



阿部「よーし！」

北田「よく決めた梅村！」

梅村「っす！」


相模メンバーがハイタッチ。



星垓は涼真のゲームメイクで追い上げたものの、東裁大相模も梅村のインサイドプレイで応戦、そしてそこからのパスを着実に決めるため、ゲームは停滞していった。



第2Q 残り1:34

東裁大相模  48
星垓　　　  43



山下「少しずつですけど点差は縮まってますね」

村上「そうだな…俺は最初、本来スモールフォワードの北条をポイントガードで使うのはどうかと思ったんだが…
視野の広さ、パスセンス、ノーマークの味方を見つける才能、ドリブルスキル、そして隙あらば自分で決める得点力…実際やってみると全ての資質を備えている…もしかしたら北条はポイントガードとしても大成できるかもしれん」



ピピーッ！


前半終了

東裁大相模  50
星垓　　　  45


両チームの選手たちがロッカーに引き上げ、第3試合の女子のアップ（金沢女子学院vs旭山）が始まる。




星垓のロッカーはなんとも言えぬ雰囲気。


涼真のアシストで残りの4人が伸び伸びとプレイしていたにもかかわらず、逆転には至らず。



当の涼真はというと。


涼真「…うーん…」

難しい顔をしている。



中澤「涼真のやつすげー眉間にシワ寄ってるよ…（ヒソヒソ）」

矢島「スコアラーとしてはアシストばっかで得点取れてないのがストレスなんだろうか…（ヒソヒソ）」



涼真「なーんか違うんだよなぁ」


新城「何がだよ」


涼真「今俺がやってるのはただのアシストっす。そうじゃなくてもっとこう…上手く言えないんですけど」


髙木「要するに自分のゲームメイクに納得がいってないと」


涼真「そうっすね」


中澤（よかった、違った…）


矢島（そうだよな、お前は自分の得点より勝利を優先するプレイヤーだもんな）



唐沢「では、君の理想とするゲームメイクってなんでしょうか？北条くん」


涼真「それはちょっとわかんないです、上手く言葉にできなくて。なんていうか…一本のパスで受け手はその後何をすればいいのかわかる、みたいな」


新城「なんだそりゃ」


涼真「だから上手く言えないんですってば」


唐沢「…」
（北条くん…やはり君は、君のお父さんの子供ですね…あの選手もまた君と同じでした…）






コートでは第3試合のアップが終わり、星垓と東裁大相模のメンバーが出てくる。



新城「よし！後半逆転すんぞ！」

星垓メンバー「おう！」



阿部「負けたら全国はもうねえ！全力で勝ちに行くぞ！」

相模メンバー「よっしゃあ！！」



東裁大相模

G　　#11　今野 正志 2年 174㎝
G　　# 5　北田 剛毅 3年 180㎝
F　　# 4　阿部 理人 3年 185㎝
F　　# 8　村越 悠聖 3年 188㎝
C　　#15　梅村 聡紀 1年 196㎝


星垓

G　　# 4　新城 敦史 3年 184㎝
G/F　# 9　真田 直斗 2年 183㎝
F　　#11　北条 涼真 1年 187㎝
C/F　# 8　神崎 健太 2年 190㎝
C　　# 7　髙木 悠介 3年 198㎝



相模のオフェンスからスタート。



今野「星垓は変わらずマンツーか…」
（とは言っても、ゾーンに近いマンツーだ…あまり外まで出てこない。梅村のところを意識してるな）


今野、原監督の方を向き頷く。


原「椿！いくぞ、準備しておけ」

椿「はい！」



今野はインサイドの梅村にボールを入れる。
それと同時に村越がアウトサイドに出る言わば「1 in 4 out」のポジション。


梅村、スクリーンでフリーとなった北田にアウトレットパス。


北田「ナイスパス！」



スパッ！


北田、ミドルシュートを沈める。


東裁大相模  52
星垓　　　  45




村上「相模は梅村以外全員がアウトサイドも打てるからな」

山下「かといってディフェンスを広げたら梅村くんに中をやられる…」

村上「しかもアウトサイドシュートなら、怖い選手がもう1人、相模ベンチには控えてる」



直後の星垓のオフェンス。


涼真が再びボールを運ぶ。



涼真「お…」


相模は変わらずマンツーだが、先程までよりそれぞれのマークマンへのチェックが厳しい。




山下「北条くんのアシストは脅威ですからね、一瞬でもマークを振り切られたらパスを通される」

村上「だが…」



涼真、今度はトップから1対1をしかける。


阿部「くっ…」


涼真、ストップからジャンプシュート。



スパッ！



東裁大相模  52
星垓　　　  47


村上「他の4人のマークをきつくすれば北条が自分で決める。それに対しヘルプがいけばパスを通される」

山下「なるほど…！」



第3Qは両チームのオフェンス、ディフェンスが均衡し、点差は1度も8点差以上に開かず、また2点差以内に縮まらない。


相模が僅かにリードしつつ、残り時間ゲームクロックが少なくなっていく。



第3Q 残り1:12

東裁大相模  65
星垓　　　  62



新城「なんとか点は取れてるが…」

髙木「逆転が遠いな…」


得点を重ねてもなかなか逆転できない事態に星垓メンバーには疲れも見える。




阿部「突き放せない…」

村越「くそ…しぶとい」


こちらも同じく疲れが見える。



疲れは集中力の低下を招き、ミスに繋がる。
そして均衡が崩れる瞬間が訪れる。



東裁大相模のオフェンス。


北田「あっ！今野！」


今野はパスを受ける体制になっていなかった。



手だけ伸ばすも触れて弾くのが精一杯。


そのボールを真田が攫った。



ワンマン速攻に走る真田。


バスッ！



第3Q 残り58.5秒

東裁大相模  65
星垓　　　  64


今野「くっ…すみません」

阿部「切り替えろ、オフェンスだ」



だが。


ガッ！


阿部のシュートが落ちる。


梅村「おらぁっ！」


梅村がリバウンドを取る。


髙木「打たせるか！」

神崎とダブルチーム。


梅村「ちっ…」


梅村、アウトサイドにパス。


ボールを受けた北田、ミドルシュート。


ガッ！


髙木「よし」


新城「時間ない！攻めるぞ！」


だが、オフェンスリバウンドを取りつつも攻めきれず終わってしまう。


涼真がトップでボールキープ。


阿部（何をしてくる…？）


涼真、その場でいきなりスリーポイントシュート。


阿部「!?」



スパァッッ！


阿部「なんだと!?」



第3Q 残り4.2秒

東裁大相模  65
星垓　　　  67


星垓メンバー「よっしゃあ！！！」

「逆転だ！！」


そして



ピピーッ！


相模、北田がスローインしてまもなく、第3Qが終わる。


第3Q終了

東裁大相模  65
星垓　　　  67




To be continued…