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第1章 入学〜インターハイ予選
第54話 唐沢の賭け
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第4Q 残り5:14
星垓 60
舟栄 70
現在星垓のタイムアウト。
唐沢「勝負をかけましょう」
唐沢、作戦板を取り出す。
唐沢「まず、霧谷くんのマークはそのまま北条くんにお任せします」
涼真「はい」
唐沢「そして残りの4人は…」
先頭に新城
その後ろに真田と神崎が並び、最後尾に髙木が立つような、正方形を45°回転させたようなフォーメーション。
唐沢「ダイヤモンド・ワンです」
新城「確かに相手が6番のワンガードですから、ギャップ(ゾーンのディフェンスとディフェンスの間)を突かれにくくする上ではいいですけど、舟栄相手に通用しますかね?」
唐沢「これはただのダイヤモンド・ワンではありません」
一同「???」
-舟栄サイド
岩倉「なかなか突き放せないな、こちらの思惑通りゲームが進んでるにもかかわらず」
永島「霧谷がコントロールするようになって得点も伸びてるけど、相手のことも止めきれてないものな」
近藤「確かにな…ここまで食い下がられるとは思ってなかったし」
(特にあの13番…まだ荒削りだがはっきり言って霧谷と比べてなんら遜色ない…永島も7番に押され気味だし…)
佐藤「だが、今の展開のままならば問題ない。うちがきっちりと攻守でやるべきことをやっていればな」
霧谷「監督…」
タイムアウトが開ける。
星垓のオフェンスからスタート。
涼真、ボールを受け霧谷と向かい合う。
涼真「いくぞ」
霧谷「おう、来てみろ」
涼真、小細工なしのドライブ。
霧谷、並走する。
涼真、ロールターンからストップし霧谷との距離がうまれる。
涼真、シュートを構える。
霧谷「いかすか!」
霧谷、ブロックのために跳ぶ。
涼真(かかった!)
涼真はとんでいなかった。
涼真、ティアドロップでシュートを打ちつつ霧谷のファウルを誘う。
霧谷「!!!」
霧谷、空中で涼真との接触を避ける。
バスッ!
第4Q 残り4:59
星垓 62
舟栄 70
星垓メンバー「よーし!」
「さあディフェンス!」
涼真「ちっ…」
(バスカンで一気に3点縮めようと思ったのに)
新城「上出来だ!この後のディフェンスが大事だぞ涼真!」
涼真「うす」
(そうだ、2点ずつでもいい。差を詰めないと)
舟栄は近藤がボールを運ぶ。
近藤「ん?これは…」
涼真は霧谷に密着マーク。
そして残り4人はダイヤモンド・ワンでゾーン…なのだが近藤には新城がマンマークでついている。
そればかりか、インサイドにいる永島には髙木がついている。
かと思えば周囲にオフェンスのいない真田はダイヤモンド・ワンのディフェンスの定位置にいる。
近藤「なんだこりゃ?ゾーンのようなマンツーのような…」
-記者席
村上「そう来たか!」
山下「え?これって…」
村上「これは言わば…ダイヤモンド・ワンとマッチアップゾーンの複合したディフェンスだ」
山下「?」
村上「13番はどこにいようとボールを持ってなかろうと霧谷に常にマークして離れない。これは普通のダイヤモンド・ワンも同じだ。
だが残りの4人は普通のゾーンではなく、ボールマンやディフェンス範囲内のプレイヤーにしっかりプレッシャーやディナイ(ボールを入れさせないためにパスコースに手や身体を入れるディフェンス)をしっかりしてる…それでいてダイヤモンドの陣形のまま連携している」
山下「そんな…こんな複雑なディフェンス…」
村上「ああ、高校生がこんな難しいディフェンスをしてくるなんてな…こんなディフェンス、連携も難しいし綻びだらけになって機能するもんじゃない。だが勝負所…このラスト5分であればいきなりマッチアップゾーンに対応するのは高校生では難しい。
唐沢監督、最後の賭けに出て来たな」
涼真「もう好きにはさせねえ!」
涼真、霧谷を完璧にフェイスガード(「顔を向ける」という意味。ずっとほぼ密着して厳しくマーク、ディフェンスすること)。
他の4人も、いつもと陣形が違うながら声を掛け合いマッチアップゾーンで守る。
近藤(だめだ…攻め手がねえ…!)
岩倉「近藤!」
近藤、タイマーを見る。
24秒タイマー、残り5秒。
近藤「くっ…」
だが、ここぞとばかりに新城がパスコースも潰しプレッシャーをかける。
ピピーッ!
審判「24秒!ヴァイオレーション!」
星垓メンバー「よーし!止めたぞ!」
「よく守った!」
星垓、押せ押せの空気に。
その空気に後押しされるように、涼真が霧谷をドライブで抜き去る。
霧谷「くっ…」
霧谷、抜かれた後もすぐ後ろからしっかりついていく。
霧谷を抜いた涼真に永島がヘルプに来る。
涼真、髙木へのパスフェイク。
これに僅かに永島が反応する。
涼真、レイアップに踏み切る。
永島、ブロックに跳ぶも先程パスフェイクに反応してしまい体勢が十分でなく、ブロックが届かない。
涼真(チャンス!)
涼真、空中でわざと永島に身体をぶつけながらシュートをリリース。
ピピーッ!
スパッ!
ファウルを告げる笛と共にボールがネットをくぐる。
審判「ファウル!白5番!バスケットカウント!ワンスロー!」
星垓のベンチ、応援席から歓声が上がる。
ギャラリーからも歓声とどよめき。
一方で言葉もなく静まり返ったのは舟栄のベンチと応援席。
コート上では
涼真がメンバーにもみくちゃにされている。
髙木「ったくパスしねえで美味しいとこもっていきやがって!」
神崎「よく決めた!」
涼真「痛いっす」
全員の顔に笑顔がある。
涼真、ワンスローもきっちりと決める。
スパッ!
第4Q 残り4:21
星垓 65
舟栄 70
続く舟栄のオフェンス。
村上「ここは霧谷が自分で取りに行きたいだろうな」
山下「北条くんの得点が目立って来ていますからね」
その言葉通りハンドオフでボールを受けた霧谷、ドライブを仕掛ける。
だが涼真のマークは厳しくなかなか中に切り込めない。
霧谷、ロールターンからハイポスト付近でストップ。
だがこれでも涼真のマークは外れていない。
次の瞬間。
霧谷の手元にボールはなかった。
涼真「!?」
霧谷、一瞬の隙を突きビハインドパスでゴール下の永島に矢のようなパスを通す。
バスッ!
永島、ゴール下を沈める。
今度は舟栄メンバーが大歓声。
そして残りの会場の人間は、星垓の応援席も含めてどよめき。
「すげえパス…」
「よくあんなとこ通せるよな…」
だが、その12秒後。
スパァッッ!
「決まったー!13番のパスから10番のスリーだ!」
第4Q 残り3:53
星垓 68
舟栄 72
佐藤(20点近い差からじわじわと4点差まで…)
ここから両チーム、選手を交代。
舟栄は、日置に変えてスタメンの本庄を再び投入。
星垓は、神崎に変えて武蔵を投入。
ここからまた拮抗したゲームとなる。
星垓が2点差に詰めれば舟栄が4点差に戻す。
舟栄が6点差に広げれば星垓が再び4点差に詰め寄る。
会場は既に1プレイ毎に歓声が湧く「うねり」が起こっていた。
4点差前後で得点が推移する中、残り時間は少なくなっていた。
第4Q 残り1:46
星垓 74
舟栄 78
To be continued…
星垓 60
舟栄 70
現在星垓のタイムアウト。
唐沢「勝負をかけましょう」
唐沢、作戦板を取り出す。
唐沢「まず、霧谷くんのマークはそのまま北条くんにお任せします」
涼真「はい」
唐沢「そして残りの4人は…」
先頭に新城
その後ろに真田と神崎が並び、最後尾に髙木が立つような、正方形を45°回転させたようなフォーメーション。
唐沢「ダイヤモンド・ワンです」
新城「確かに相手が6番のワンガードですから、ギャップ(ゾーンのディフェンスとディフェンスの間)を突かれにくくする上ではいいですけど、舟栄相手に通用しますかね?」
唐沢「これはただのダイヤモンド・ワンではありません」
一同「???」
-舟栄サイド
岩倉「なかなか突き放せないな、こちらの思惑通りゲームが進んでるにもかかわらず」
永島「霧谷がコントロールするようになって得点も伸びてるけど、相手のことも止めきれてないものな」
近藤「確かにな…ここまで食い下がられるとは思ってなかったし」
(特にあの13番…まだ荒削りだがはっきり言って霧谷と比べてなんら遜色ない…永島も7番に押され気味だし…)
佐藤「だが、今の展開のままならば問題ない。うちがきっちりと攻守でやるべきことをやっていればな」
霧谷「監督…」
タイムアウトが開ける。
星垓のオフェンスからスタート。
涼真、ボールを受け霧谷と向かい合う。
涼真「いくぞ」
霧谷「おう、来てみろ」
涼真、小細工なしのドライブ。
霧谷、並走する。
涼真、ロールターンからストップし霧谷との距離がうまれる。
涼真、シュートを構える。
霧谷「いかすか!」
霧谷、ブロックのために跳ぶ。
涼真(かかった!)
涼真はとんでいなかった。
涼真、ティアドロップでシュートを打ちつつ霧谷のファウルを誘う。
霧谷「!!!」
霧谷、空中で涼真との接触を避ける。
バスッ!
第4Q 残り4:59
星垓 62
舟栄 70
星垓メンバー「よーし!」
「さあディフェンス!」
涼真「ちっ…」
(バスカンで一気に3点縮めようと思ったのに)
新城「上出来だ!この後のディフェンスが大事だぞ涼真!」
涼真「うす」
(そうだ、2点ずつでもいい。差を詰めないと)
舟栄は近藤がボールを運ぶ。
近藤「ん?これは…」
涼真は霧谷に密着マーク。
そして残り4人はダイヤモンド・ワンでゾーン…なのだが近藤には新城がマンマークでついている。
そればかりか、インサイドにいる永島には髙木がついている。
かと思えば周囲にオフェンスのいない真田はダイヤモンド・ワンのディフェンスの定位置にいる。
近藤「なんだこりゃ?ゾーンのようなマンツーのような…」
-記者席
村上「そう来たか!」
山下「え?これって…」
村上「これは言わば…ダイヤモンド・ワンとマッチアップゾーンの複合したディフェンスだ」
山下「?」
村上「13番はどこにいようとボールを持ってなかろうと霧谷に常にマークして離れない。これは普通のダイヤモンド・ワンも同じだ。
だが残りの4人は普通のゾーンではなく、ボールマンやディフェンス範囲内のプレイヤーにしっかりプレッシャーやディナイ(ボールを入れさせないためにパスコースに手や身体を入れるディフェンス)をしっかりしてる…それでいてダイヤモンドの陣形のまま連携している」
山下「そんな…こんな複雑なディフェンス…」
村上「ああ、高校生がこんな難しいディフェンスをしてくるなんてな…こんなディフェンス、連携も難しいし綻びだらけになって機能するもんじゃない。だが勝負所…このラスト5分であればいきなりマッチアップゾーンに対応するのは高校生では難しい。
唐沢監督、最後の賭けに出て来たな」
涼真「もう好きにはさせねえ!」
涼真、霧谷を完璧にフェイスガード(「顔を向ける」という意味。ずっとほぼ密着して厳しくマーク、ディフェンスすること)。
他の4人も、いつもと陣形が違うながら声を掛け合いマッチアップゾーンで守る。
近藤(だめだ…攻め手がねえ…!)
岩倉「近藤!」
近藤、タイマーを見る。
24秒タイマー、残り5秒。
近藤「くっ…」
だが、ここぞとばかりに新城がパスコースも潰しプレッシャーをかける。
ピピーッ!
審判「24秒!ヴァイオレーション!」
星垓メンバー「よーし!止めたぞ!」
「よく守った!」
星垓、押せ押せの空気に。
その空気に後押しされるように、涼真が霧谷をドライブで抜き去る。
霧谷「くっ…」
霧谷、抜かれた後もすぐ後ろからしっかりついていく。
霧谷を抜いた涼真に永島がヘルプに来る。
涼真、髙木へのパスフェイク。
これに僅かに永島が反応する。
涼真、レイアップに踏み切る。
永島、ブロックに跳ぶも先程パスフェイクに反応してしまい体勢が十分でなく、ブロックが届かない。
涼真(チャンス!)
涼真、空中でわざと永島に身体をぶつけながらシュートをリリース。
ピピーッ!
スパッ!
ファウルを告げる笛と共にボールがネットをくぐる。
審判「ファウル!白5番!バスケットカウント!ワンスロー!」
星垓のベンチ、応援席から歓声が上がる。
ギャラリーからも歓声とどよめき。
一方で言葉もなく静まり返ったのは舟栄のベンチと応援席。
コート上では
涼真がメンバーにもみくちゃにされている。
髙木「ったくパスしねえで美味しいとこもっていきやがって!」
神崎「よく決めた!」
涼真「痛いっす」
全員の顔に笑顔がある。
涼真、ワンスローもきっちりと決める。
スパッ!
第4Q 残り4:21
星垓 65
舟栄 70
続く舟栄のオフェンス。
村上「ここは霧谷が自分で取りに行きたいだろうな」
山下「北条くんの得点が目立って来ていますからね」
その言葉通りハンドオフでボールを受けた霧谷、ドライブを仕掛ける。
だが涼真のマークは厳しくなかなか中に切り込めない。
霧谷、ロールターンからハイポスト付近でストップ。
だがこれでも涼真のマークは外れていない。
次の瞬間。
霧谷の手元にボールはなかった。
涼真「!?」
霧谷、一瞬の隙を突きビハインドパスでゴール下の永島に矢のようなパスを通す。
バスッ!
永島、ゴール下を沈める。
今度は舟栄メンバーが大歓声。
そして残りの会場の人間は、星垓の応援席も含めてどよめき。
「すげえパス…」
「よくあんなとこ通せるよな…」
だが、その12秒後。
スパァッッ!
「決まったー!13番のパスから10番のスリーだ!」
第4Q 残り3:53
星垓 68
舟栄 72
佐藤(20点近い差からじわじわと4点差まで…)
ここから両チーム、選手を交代。
舟栄は、日置に変えてスタメンの本庄を再び投入。
星垓は、神崎に変えて武蔵を投入。
ここからまた拮抗したゲームとなる。
星垓が2点差に詰めれば舟栄が4点差に戻す。
舟栄が6点差に広げれば星垓が再び4点差に詰め寄る。
会場は既に1プレイ毎に歓声が湧く「うねり」が起こっていた。
4点差前後で得点が推移する中、残り時間は少なくなっていた。
第4Q 残り1:46
星垓 74
舟栄 78
To be continued…
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