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第1章 入学〜インターハイ予選
第43話 後半の戦略
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第2Q 残り3:42
星垓 38
深谷 30
深谷の攻撃。
亀山「まずいな…」
(マッチアップゾーンになってから良い形で得点できなくなっちまってる…オフェンスが毎回24秒ギリギリでテンポが遅い上にこの状況…みんなフラストレーションが溜まってるはずだ…)
その矢先。
ブーッ!
オフィシャル「タイムアウト!緑(深谷)!」
深谷のオフェンスが始まろうという時、深谷がタイムアウト。
深谷を率いる多田監督、メンバーをベンチに座らせる。
多田「まずは落ち着け。点差はまだ8点だ」
深谷メンバー「はい!」
多田「相手はマッチアップゾーンとディレイドオフェンスでこちらのテンポを崩そうとしてきてる。ならこちらもロースコアのゲームでついていけばいい。今は我慢の時間だ」
亀山「なるほど」
多田「おそらくマッチアップゾーンが機能しなくなるか、マッチアップゾーンをやめるタイミングがくる。そこが流れの変わり目だ。その流れで叩け」
深谷メンバー「ハイ!」
タイムアウトが開け、両チームがコートに出てくる。
深谷の攻撃から再開。
深谷、先ほどまでとは打って変わり落ち着いてパスを回す。
新城「ん…?」
やがて、確実にマッチアップゾーンの縫い目縫い目でパスを回し、波田がローポストの少し外からやや難しいミドルを沈める。
バスッ!
星垓は真田、神崎のピック&ロールから髙木のゴール下に合わせる。
ここから互いに譲らず、我慢比べが始まった。
どちらかが止めればもう片方も止める。
どちらかが決めればもう片方も決める。
新城「相手もマッチアップゾーンの攻略は難しいとみて持久戦に持ち込んできたか」
ここから前半終了まで、どちらも譲らなかった。
ピピーッ!
前半終了
星垓 44
深谷 36
村上「特別ハイスコアってゲームでもないが、我慢比べだっただけに息詰まるゲームだったな」
山下「後半どんな風に動いてきますかね…」
村上「予想でしかないが、星垓は後半の頭はマッチアップゾーンはやめるはずだ。深谷がマッチアップゾーンに慣れてきて攻略してきつつあるからな。
ポイントは守備での課題だろう。新城、髙木、北条はある程度押さえ込んだが…星垓はその裏をかいて2年生コンビがオフェンスを引っ張ってあそこまでリードを守った訳だからな」
山下「ほんとに短期間で高校生は伸びるもんなんですね」
村上「星垓の方はディレイドでテンポをコントロールしてある程度深谷のリズムを崩すことには成功しているが、いつもの3人がオフェンスで爆発していないせいかここ1番の決定力が不足しているようにも思える。
髙木の高さ、北条の1対1を活かすためのナンバープレーを使ってくるかもしれんな」
一方、Bコートの湘洋大付属vs土波日本大学の対戦は…
平井「一本止めんぞ!」
対峙するのは土波日本大学主将で4番、ガードの山浦。
山浦、いくつかのフェイクの後にドライブ。
平井「くっ…」
平井、ついて行ききれない。
山浦、ドライブの体制からワンハンドでパスを豪速球で飛ばす。
逆サイドで6番をつけた杉倉が受け、スリーポイント。
スパァッ!
「よーし!」
第2Q 残り48.5秒
湘洋大付属 40
土波日本大学 45
徳山「センター以外全員がアウトサイドで打ってくる…しかもかなりの高確率で決めてきやがる」
湘洋大付属もインサイドで得点を確実に伸ばしてはいるのだが、土波日本大学がスリーポイントの雨を降らすためリードを許してしまっている。
また、土波日本大学のディフェンスは2-3ゾーン。
湘洋大付属は相手にゾーンを敷かれる事が多いため、ゾーンの攻めには長けている…はずなのだが…
中西「くそ…インサイドでうまく合わせられねえ…」
土波日本大学はサイズが湘洋大付属に比べて足りない分、積極的にダブルチームをしかけボールがまわるのを遅らせる。
背が足りない分、インサイドでやられるのは仕方ない。だが相手のオフェンスの歯車を狂わせることはできる。
そうディフェンスを割り切った結果がこのゲームなのだ。
だが、コートのメンバーのフラストレーションをよそに、湘洋大付属監督である白石の顔には余裕がある。
白石「相手の出来が良すぎるな…だが『流れでの失敗』が続いてるだけだ。焦ることはない」
前半終了
湘洋大付属 40
土波日本大学 45
-ハーフタイム
白石「まだ半分終わっただけだ。点差も時間も問題ない。
前半は相手に流れをかなりもっていかれたがお前達はたったの5点差で堪えたじゃないか」
徳山「そ、そう言われれば…」
日下部「イメージほど点差はついてないですね…」
白石「相手もシュートが100%入ってる訳ではないし、体力勝負になる後半は更にシュートは落ちるだろう。お前達がしっかりと我慢してきっちりとディフェンスし、シュートチェックもしっかりとしていれば大丈夫だ。
そして自分たちの流れが来たら…そこで叩け」
湘洋大付属メンバー「はい!」
白石「うちの選手層の厚さも使って行くぞ。メンバーも入れ替えつつディフェンスの足を前半以上に動かしてけ」
「はい!!」
湘洋大付属、後半の逆転へ向けての道標を白石が示す。
一方Aコートでは。
唐沢「オフェンスは特に問題ないですね。ですが前半を見る限り後半、相手はディフェンスの的を絞りづらくなったはずです。
真田くん、神崎くんがよく頑張りました」
真田&神崎「はい!」
唐沢「後半はここに新城くん、北条くん、髙木くんの力も必要になってきます。常に声を掛け合って、かつ5人が積極的にゴールを狙う。いいですね?」
「はい!」
唐沢「そしてディフェンスですが…」
ハーフタイムがA、B両コートで終わり、後半が始まる。
村上「星垓、深谷共にメンバーチェンジはなし。まずは星垓のディフェンスからか」
松沢がボールを運ぶ。
新城「6番!」
涼真「12番!」
残りの3人は三角のゾーンを敷く。
松沢「トライアングル・ツー?」
-話はハーフタイム時、星垓ベンチ
唐沢「ディフェンスですが、深谷の攻撃の軸となっている6番、12番の2人にマンマーク、残りの3人でゾーンを敷く『トライアングル・ツー』でいきます」
新城「ですがそれだとその2人の攻撃回数は減らせる上にインサイドも強化できますけど…外は一気に手薄になりますよ?」
唐沢「そこは思い切って捨てましょう」
真田「え…?」
唐沢「マッチアップゾーンが続けられればそれが1番ですが、完全ではない故に深谷には攻略されつつある。というわけでしばらくは取っておきましょう。
6番、12番以外のアウトサイドは精一杯シュートチェックする。3人のゾーンでリバウンドを確実に抑えていく。
多少強引ですが、目的を絞った方がいい」
髙木「では、2人のマンマークは?」
唐沢「そうですね…真田くん、神崎くんには後半もオフェンスを引っ張ってもらいたい。
というわけで新城くんと北条くんにお願いしましょうか」
新城&涼真「わかりました」
-時を戻して
亀山「なるほど…意図ははっきりとした」
To be continued…
星垓 38
深谷 30
深谷の攻撃。
亀山「まずいな…」
(マッチアップゾーンになってから良い形で得点できなくなっちまってる…オフェンスが毎回24秒ギリギリでテンポが遅い上にこの状況…みんなフラストレーションが溜まってるはずだ…)
その矢先。
ブーッ!
オフィシャル「タイムアウト!緑(深谷)!」
深谷のオフェンスが始まろうという時、深谷がタイムアウト。
深谷を率いる多田監督、メンバーをベンチに座らせる。
多田「まずは落ち着け。点差はまだ8点だ」
深谷メンバー「はい!」
多田「相手はマッチアップゾーンとディレイドオフェンスでこちらのテンポを崩そうとしてきてる。ならこちらもロースコアのゲームでついていけばいい。今は我慢の時間だ」
亀山「なるほど」
多田「おそらくマッチアップゾーンが機能しなくなるか、マッチアップゾーンをやめるタイミングがくる。そこが流れの変わり目だ。その流れで叩け」
深谷メンバー「ハイ!」
タイムアウトが開け、両チームがコートに出てくる。
深谷の攻撃から再開。
深谷、先ほどまでとは打って変わり落ち着いてパスを回す。
新城「ん…?」
やがて、確実にマッチアップゾーンの縫い目縫い目でパスを回し、波田がローポストの少し外からやや難しいミドルを沈める。
バスッ!
星垓は真田、神崎のピック&ロールから髙木のゴール下に合わせる。
ここから互いに譲らず、我慢比べが始まった。
どちらかが止めればもう片方も止める。
どちらかが決めればもう片方も決める。
新城「相手もマッチアップゾーンの攻略は難しいとみて持久戦に持ち込んできたか」
ここから前半終了まで、どちらも譲らなかった。
ピピーッ!
前半終了
星垓 44
深谷 36
村上「特別ハイスコアってゲームでもないが、我慢比べだっただけに息詰まるゲームだったな」
山下「後半どんな風に動いてきますかね…」
村上「予想でしかないが、星垓は後半の頭はマッチアップゾーンはやめるはずだ。深谷がマッチアップゾーンに慣れてきて攻略してきつつあるからな。
ポイントは守備での課題だろう。新城、髙木、北条はある程度押さえ込んだが…星垓はその裏をかいて2年生コンビがオフェンスを引っ張ってあそこまでリードを守った訳だからな」
山下「ほんとに短期間で高校生は伸びるもんなんですね」
村上「星垓の方はディレイドでテンポをコントロールしてある程度深谷のリズムを崩すことには成功しているが、いつもの3人がオフェンスで爆発していないせいかここ1番の決定力が不足しているようにも思える。
髙木の高さ、北条の1対1を活かすためのナンバープレーを使ってくるかもしれんな」
一方、Bコートの湘洋大付属vs土波日本大学の対戦は…
平井「一本止めんぞ!」
対峙するのは土波日本大学主将で4番、ガードの山浦。
山浦、いくつかのフェイクの後にドライブ。
平井「くっ…」
平井、ついて行ききれない。
山浦、ドライブの体制からワンハンドでパスを豪速球で飛ばす。
逆サイドで6番をつけた杉倉が受け、スリーポイント。
スパァッ!
「よーし!」
第2Q 残り48.5秒
湘洋大付属 40
土波日本大学 45
徳山「センター以外全員がアウトサイドで打ってくる…しかもかなりの高確率で決めてきやがる」
湘洋大付属もインサイドで得点を確実に伸ばしてはいるのだが、土波日本大学がスリーポイントの雨を降らすためリードを許してしまっている。
また、土波日本大学のディフェンスは2-3ゾーン。
湘洋大付属は相手にゾーンを敷かれる事が多いため、ゾーンの攻めには長けている…はずなのだが…
中西「くそ…インサイドでうまく合わせられねえ…」
土波日本大学はサイズが湘洋大付属に比べて足りない分、積極的にダブルチームをしかけボールがまわるのを遅らせる。
背が足りない分、インサイドでやられるのは仕方ない。だが相手のオフェンスの歯車を狂わせることはできる。
そうディフェンスを割り切った結果がこのゲームなのだ。
だが、コートのメンバーのフラストレーションをよそに、湘洋大付属監督である白石の顔には余裕がある。
白石「相手の出来が良すぎるな…だが『流れでの失敗』が続いてるだけだ。焦ることはない」
前半終了
湘洋大付属 40
土波日本大学 45
-ハーフタイム
白石「まだ半分終わっただけだ。点差も時間も問題ない。
前半は相手に流れをかなりもっていかれたがお前達はたったの5点差で堪えたじゃないか」
徳山「そ、そう言われれば…」
日下部「イメージほど点差はついてないですね…」
白石「相手もシュートが100%入ってる訳ではないし、体力勝負になる後半は更にシュートは落ちるだろう。お前達がしっかりと我慢してきっちりとディフェンスし、シュートチェックもしっかりとしていれば大丈夫だ。
そして自分たちの流れが来たら…そこで叩け」
湘洋大付属メンバー「はい!」
白石「うちの選手層の厚さも使って行くぞ。メンバーも入れ替えつつディフェンスの足を前半以上に動かしてけ」
「はい!!」
湘洋大付属、後半の逆転へ向けての道標を白石が示す。
一方Aコートでは。
唐沢「オフェンスは特に問題ないですね。ですが前半を見る限り後半、相手はディフェンスの的を絞りづらくなったはずです。
真田くん、神崎くんがよく頑張りました」
真田&神崎「はい!」
唐沢「後半はここに新城くん、北条くん、髙木くんの力も必要になってきます。常に声を掛け合って、かつ5人が積極的にゴールを狙う。いいですね?」
「はい!」
唐沢「そしてディフェンスですが…」
ハーフタイムがA、B両コートで終わり、後半が始まる。
村上「星垓、深谷共にメンバーチェンジはなし。まずは星垓のディフェンスからか」
松沢がボールを運ぶ。
新城「6番!」
涼真「12番!」
残りの3人は三角のゾーンを敷く。
松沢「トライアングル・ツー?」
-話はハーフタイム時、星垓ベンチ
唐沢「ディフェンスですが、深谷の攻撃の軸となっている6番、12番の2人にマンマーク、残りの3人でゾーンを敷く『トライアングル・ツー』でいきます」
新城「ですがそれだとその2人の攻撃回数は減らせる上にインサイドも強化できますけど…外は一気に手薄になりますよ?」
唐沢「そこは思い切って捨てましょう」
真田「え…?」
唐沢「マッチアップゾーンが続けられればそれが1番ですが、完全ではない故に深谷には攻略されつつある。というわけでしばらくは取っておきましょう。
6番、12番以外のアウトサイドは精一杯シュートチェックする。3人のゾーンでリバウンドを確実に抑えていく。
多少強引ですが、目的を絞った方がいい」
髙木「では、2人のマンマークは?」
唐沢「そうですね…真田くん、神崎くんには後半もオフェンスを引っ張ってもらいたい。
というわけで新城くんと北条くんにお願いしましょうか」
新城&涼真「わかりました」
-時を戻して
亀山「なるほど…意図ははっきりとした」
To be continued…
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