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第1章 入学〜インターハイ予選
第36話 霧谷と櫻田
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第2Q 残り1:38
舟栄 45
桐神学園 29
村上「ファウルトラブルとアクシデントの結果がこれか…」
山下「はい、その間桐神学園は櫻田くん以外が得点できず…逆に舟栄はフロントコートの本庄、霧谷、永島の190超トリオがインサイドを蹂躙し…本庄、近藤、岩倉はアウトサイドからもシュートを決めたり…って感じで5人が上手く機能してました」
ドガアアアアァ!
コートでは霧谷がボースハンドダンクを決めている。
枡田「すまん…また止めきれなかった」
だが、コート上は元よりベンチも打つ手がない。
櫻田「止められないなら、それ以上に取ればいい」
そう言って櫻田はオフェンスへ。
そして櫻田、ボールをもらう。
櫻田(まだ前半だけど…これ以上離される訳にはいかない!)
櫻田、鋭いドライブ。
舟栄の主将、岩倉もついて行く。
櫻田、抜ききれないままに身体が流れながらもジャンプシュート。
岩倉「リバウンド!」
(これは落ちる…!)
スパァッ!
岩倉「!?」
櫻田、決めた後バランスを崩しコートに倒れているが、すぐ立ち上がる。
観客「なんだ今のは!?」
「あんな体勢で入るのかよ!?」
次のオフェンス、櫻田がオフェンスを読み切りスティール。
既に残り時間は数秒。
カウントダウンが始まる中、櫻田はボールキープ。
そして残り2秒。
ビッ!
いきなりスリーポイントラインから3メートルほど離れたハーフライン付近からスリーポイント。
スパァァァアッ!
ビーッ!
第2Q終了
舟栄 47
桐神学園 34
「決まったああ!」
「ブザービーター!」
盛り上がる桐神学園ベンチと観客をよそに櫻田は静かにベンチへと戻る。
舟栄サイドは…
岩倉「ちっ…つまんねーの許したな…最後のは余計だったな」
霧谷「仕方ねえ、切り替えよう。俺が見る限りありゃかなりのスコアラーだ。後半は俺がつく」
永島「お、やっと本気出すのか?」
霧谷「アホ抜かせ、俺はもう本気出してる。あいつを止めてしっかりと勝ちに行く、そのために俺がつく」
コートでは次の試合のアップが行われている。
Aコート
甲縣西(山梨1位)-西部(埼玉2位)
Bコート
柏咲(千葉3位)-京洋(東京1位)
村上「今年の埼玉県勢は前評判が高い。上背はそこそこだがどのチームも40分走りきる体力があるうえにシュートも上手い。西部は埼玉の決勝で優勝した深谷と2点差…大きな差はないと言っていい。山梨の1位と言えども簡単に食われてもおかしくないぞ」
山下「京洋は今年も層も厚く関東はおろか全国でも上位候補ですね…千葉3位の柏咲は地元の声援をバックにどこまでいけるか…」
やがて、後半を戦う4チームが出てくる。
村上「よし山下、後半は七天王寺と後橋育英の方を頼む。俺は舟栄と桐神学園を見る」
山下「はい!」
舟栄
G #6 近藤 太一 3年 179㎝
G/F #4 岩倉 翔大 3年 187㎝
F #11 本庄 智洋 2年 190㎝
F #7 霧谷 昭哉 3年 194㎝
C #5 永島 隼人 3年 199㎝
桐神学園
G #15 新海 千尋 1年 174㎝
F #14 櫻田 祥人 1年 184㎝
F #9 佐藤 昌平 3年 184㎝
C/F #5 青木 洸夜 3年 186㎝
C #7 米田 昌幸 3年 191㎝
村上「桐神学園は、怪我で離脱した長崎のところ以外はスタメンに戻してきたな」
後半は桐神学園ボールからスタート。
岩倉「ナンバーコール!」
近藤「15番!」
岩倉「9番!」
本庄「5番!」
霧谷「14番!」
永島「7番!」
村上「なんと!櫻田に霧谷が!?」
櫻田「…やっぱでけえな…」
(だが…負けるわけにはいかねえ)
櫻田、コート上を大きく動き、霧谷を振り切りにかかる。
櫻田、左コーナーでボールを受け、スリーポイントシュート。
スパァッ!
桐神学園メンバー「きたぁ!」
「10点差!ここからだ!」
霧谷「なるほどな…」
岩倉「おい、いきなりやられてんじゃねえかよ…」
霧谷「見ているのとディフェンスにつくのとではやっぱり違うな」
だが、楽しそうな表情。
桐神学園、ディフェンスは前半と同じくマンツーマン。マッチアップも一緒だ。
霧谷「こいつか…」
霧谷、得意のハイポストからドライブを構える。
青木、ドライブを警戒し若干下がり気味。
霧谷(ここからミドルで決めるのは簡単だ…でも)
霧谷、強引にドライブ。
備えていた青木、これに反応。
霧谷、その場で高速ロールターン。
青木「くそ…この身長でこんな動きができるのか…!」
青木、振り切られる。
霧谷、ヘルプで出てきた米田もかわしバックシュート(ゴールに背を向けた状態でのレイアップ)。
バスッ!
舟栄メンバー「よしよし!次のディフェンス!」
「霧谷!次は止めろよ!」
霧谷「わかってるって」
笑って応えていた霧谷だが、次の瞬間厳しい表情に。
櫻田「!!」
(やばい、目が違う!)
櫻田、いつものごとく敵味方関係なく壁に使い霧谷を振り切りにかかる。
だが、今度は霧谷が櫻田を逃がさない。
霧谷「同じ手は2度くわねえ!」
櫻田「ならば…」
櫻田、ボールを持つ新海自身をスクリーンに使い、ハンドオフ(手渡し)でボールを受ける。
櫻田、シュートフェイク。
霧谷「打つ気か?」
僅かに反応。
櫻田、ドライブ。
霧谷「くっ…」
なんとか並走する。
櫻田、急ストップからジャンプシュート。
急ストップしたことにより櫻田と霧谷の間には少しの距離が空く。
だが。
バシィッ!
霧谷、信じられない反応速度でこれをブロック。
櫻田「なっ!?」
舟栄メンバー「よおし!止めた!」
ボールを拾ったのは近藤。
近藤「速攻!」
既に前線を岩倉が走っている。
だが、岩倉にマークされていた佐藤がいち早く戻っていた。
岩倉、ボールをキープし味方の上がりを待とうとする。
そこに…
霧谷「よこせ!」
ブロック後、霧谷が凄まじい速さで走ってきた。
岩倉、霧谷にパス。
目の前には佐藤。
霧谷、シュートを決めんと飛ぶ。
佐藤もブロックせんと飛ぶ。
両者、空中で交錯。
ドガアアアアアアアァ!
霧谷、ダンクをねじ込む。
ピピーッ!
審判「ディフェンスファウル!バスケットカウント!ワンスロー!」
「よっしゃあああ!」
盛り上がる舟栄ベンチ。
佐藤は霧谷のパワーにバランスを崩し吹っ飛ばされていた。
青木「大丈夫か?」
佐藤「ああ…」
霧谷のフリースロー。
スパッ!
第3Q 残り9:01
舟栄 52
桐神学園 37
続くディフェンス
櫻田は霧谷にベッタリ張り付かれ、なかなかフリーになれない。
加えてインサイドは190の本庄、199㎝の永島。
インサイドが小さい桐神学園は攻めあぐねていた。
村上「桐神学園はボールが重くなっているな…」
バスケットボールでよく使われる表現であるが、攻撃が上手くいっていない時間帯によく陥るパターンである。
リズムも勢いも失って、シュートまで辿り着けない。
精神的支柱であった長崎を失い、ここまでエースの櫻田頼みであった桐神学園。
他の選手の攻撃のリズムがまだできていない。
やむなく新海が自ら打つ。
桐神学園メンバー「スリー!」
「入れ…!」
ガッ!
短いそのシュートはリング手前を弾き永島がリバウンドを取る。
バスッ!
速攻から再び霧谷がレイアップ。
第3Q 残り8:35
舟栄 54
桐神学園 37
村上「差が開いてきたな…」
桐神学園はKO寸前まで追い込まれた。
To be continued…
舟栄 45
桐神学園 29
村上「ファウルトラブルとアクシデントの結果がこれか…」
山下「はい、その間桐神学園は櫻田くん以外が得点できず…逆に舟栄はフロントコートの本庄、霧谷、永島の190超トリオがインサイドを蹂躙し…本庄、近藤、岩倉はアウトサイドからもシュートを決めたり…って感じで5人が上手く機能してました」
ドガアアアアァ!
コートでは霧谷がボースハンドダンクを決めている。
枡田「すまん…また止めきれなかった」
だが、コート上は元よりベンチも打つ手がない。
櫻田「止められないなら、それ以上に取ればいい」
そう言って櫻田はオフェンスへ。
そして櫻田、ボールをもらう。
櫻田(まだ前半だけど…これ以上離される訳にはいかない!)
櫻田、鋭いドライブ。
舟栄の主将、岩倉もついて行く。
櫻田、抜ききれないままに身体が流れながらもジャンプシュート。
岩倉「リバウンド!」
(これは落ちる…!)
スパァッ!
岩倉「!?」
櫻田、決めた後バランスを崩しコートに倒れているが、すぐ立ち上がる。
観客「なんだ今のは!?」
「あんな体勢で入るのかよ!?」
次のオフェンス、櫻田がオフェンスを読み切りスティール。
既に残り時間は数秒。
カウントダウンが始まる中、櫻田はボールキープ。
そして残り2秒。
ビッ!
いきなりスリーポイントラインから3メートルほど離れたハーフライン付近からスリーポイント。
スパァァァアッ!
ビーッ!
第2Q終了
舟栄 47
桐神学園 34
「決まったああ!」
「ブザービーター!」
盛り上がる桐神学園ベンチと観客をよそに櫻田は静かにベンチへと戻る。
舟栄サイドは…
岩倉「ちっ…つまんねーの許したな…最後のは余計だったな」
霧谷「仕方ねえ、切り替えよう。俺が見る限りありゃかなりのスコアラーだ。後半は俺がつく」
永島「お、やっと本気出すのか?」
霧谷「アホ抜かせ、俺はもう本気出してる。あいつを止めてしっかりと勝ちに行く、そのために俺がつく」
コートでは次の試合のアップが行われている。
Aコート
甲縣西(山梨1位)-西部(埼玉2位)
Bコート
柏咲(千葉3位)-京洋(東京1位)
村上「今年の埼玉県勢は前評判が高い。上背はそこそこだがどのチームも40分走りきる体力があるうえにシュートも上手い。西部は埼玉の決勝で優勝した深谷と2点差…大きな差はないと言っていい。山梨の1位と言えども簡単に食われてもおかしくないぞ」
山下「京洋は今年も層も厚く関東はおろか全国でも上位候補ですね…千葉3位の柏咲は地元の声援をバックにどこまでいけるか…」
やがて、後半を戦う4チームが出てくる。
村上「よし山下、後半は七天王寺と後橋育英の方を頼む。俺は舟栄と桐神学園を見る」
山下「はい!」
舟栄
G #6 近藤 太一 3年 179㎝
G/F #4 岩倉 翔大 3年 187㎝
F #11 本庄 智洋 2年 190㎝
F #7 霧谷 昭哉 3年 194㎝
C #5 永島 隼人 3年 199㎝
桐神学園
G #15 新海 千尋 1年 174㎝
F #14 櫻田 祥人 1年 184㎝
F #9 佐藤 昌平 3年 184㎝
C/F #5 青木 洸夜 3年 186㎝
C #7 米田 昌幸 3年 191㎝
村上「桐神学園は、怪我で離脱した長崎のところ以外はスタメンに戻してきたな」
後半は桐神学園ボールからスタート。
岩倉「ナンバーコール!」
近藤「15番!」
岩倉「9番!」
本庄「5番!」
霧谷「14番!」
永島「7番!」
村上「なんと!櫻田に霧谷が!?」
櫻田「…やっぱでけえな…」
(だが…負けるわけにはいかねえ)
櫻田、コート上を大きく動き、霧谷を振り切りにかかる。
櫻田、左コーナーでボールを受け、スリーポイントシュート。
スパァッ!
桐神学園メンバー「きたぁ!」
「10点差!ここからだ!」
霧谷「なるほどな…」
岩倉「おい、いきなりやられてんじゃねえかよ…」
霧谷「見ているのとディフェンスにつくのとではやっぱり違うな」
だが、楽しそうな表情。
桐神学園、ディフェンスは前半と同じくマンツーマン。マッチアップも一緒だ。
霧谷「こいつか…」
霧谷、得意のハイポストからドライブを構える。
青木、ドライブを警戒し若干下がり気味。
霧谷(ここからミドルで決めるのは簡単だ…でも)
霧谷、強引にドライブ。
備えていた青木、これに反応。
霧谷、その場で高速ロールターン。
青木「くそ…この身長でこんな動きができるのか…!」
青木、振り切られる。
霧谷、ヘルプで出てきた米田もかわしバックシュート(ゴールに背を向けた状態でのレイアップ)。
バスッ!
舟栄メンバー「よしよし!次のディフェンス!」
「霧谷!次は止めろよ!」
霧谷「わかってるって」
笑って応えていた霧谷だが、次の瞬間厳しい表情に。
櫻田「!!」
(やばい、目が違う!)
櫻田、いつものごとく敵味方関係なく壁に使い霧谷を振り切りにかかる。
だが、今度は霧谷が櫻田を逃がさない。
霧谷「同じ手は2度くわねえ!」
櫻田「ならば…」
櫻田、ボールを持つ新海自身をスクリーンに使い、ハンドオフ(手渡し)でボールを受ける。
櫻田、シュートフェイク。
霧谷「打つ気か?」
僅かに反応。
櫻田、ドライブ。
霧谷「くっ…」
なんとか並走する。
櫻田、急ストップからジャンプシュート。
急ストップしたことにより櫻田と霧谷の間には少しの距離が空く。
だが。
バシィッ!
霧谷、信じられない反応速度でこれをブロック。
櫻田「なっ!?」
舟栄メンバー「よおし!止めた!」
ボールを拾ったのは近藤。
近藤「速攻!」
既に前線を岩倉が走っている。
だが、岩倉にマークされていた佐藤がいち早く戻っていた。
岩倉、ボールをキープし味方の上がりを待とうとする。
そこに…
霧谷「よこせ!」
ブロック後、霧谷が凄まじい速さで走ってきた。
岩倉、霧谷にパス。
目の前には佐藤。
霧谷、シュートを決めんと飛ぶ。
佐藤もブロックせんと飛ぶ。
両者、空中で交錯。
ドガアアアアアアアァ!
霧谷、ダンクをねじ込む。
ピピーッ!
審判「ディフェンスファウル!バスケットカウント!ワンスロー!」
「よっしゃあああ!」
盛り上がる舟栄ベンチ。
佐藤は霧谷のパワーにバランスを崩し吹っ飛ばされていた。
青木「大丈夫か?」
佐藤「ああ…」
霧谷のフリースロー。
スパッ!
第3Q 残り9:01
舟栄 52
桐神学園 37
続くディフェンス
櫻田は霧谷にベッタリ張り付かれ、なかなかフリーになれない。
加えてインサイドは190の本庄、199㎝の永島。
インサイドが小さい桐神学園は攻めあぐねていた。
村上「桐神学園はボールが重くなっているな…」
バスケットボールでよく使われる表現であるが、攻撃が上手くいっていない時間帯によく陥るパターンである。
リズムも勢いも失って、シュートまで辿り着けない。
精神的支柱であった長崎を失い、ここまでエースの櫻田頼みであった桐神学園。
他の選手の攻撃のリズムがまだできていない。
やむなく新海が自ら打つ。
桐神学園メンバー「スリー!」
「入れ…!」
ガッ!
短いそのシュートはリング手前を弾き永島がリバウンドを取る。
バスッ!
速攻から再び霧谷がレイアップ。
第3Q 残り8:35
舟栄 54
桐神学園 37
村上「差が開いてきたな…」
桐神学園はKO寸前まで追い込まれた。
To be continued…
応援ありがとうございます!
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