14 / 268
第1章 入学〜インターハイ予選
第12話 違和感
しおりを挟む
第1Q終了
法帝大付三 7
東裁大相模 13
相模の13点のうち椿は初得点のスリーを皮切りに7得点。
梅村もインサイドでリバウンドを支配し4得点。
1年生の2人が攻守で躍動した。
対して法帝大は流れを相模に持っていかれつつも長谷川祥紀が3得点、長谷川卓治が2得点、大崎が2得点。
相馬「なんて1年だ…1対1じゃ止められなかった」
大崎「インサイドでの連携で1回点は取れたけど…さすがにやばいな」
竹前「でもゾーンは効いてる。入ってきたあの14番(椿)のスリーもいつまでも入るわけはない。第2Qはゾーンの陣形を変えよう。1-1-3だ」
長谷川卓治「確かに相模は14番以外の外のシュートが入ってない。
それに1-1-3はリバウンドからの速攻を出しやすいしな
よし、1-1-3の先頭はもちろん竹前、中列の1人は俺、後列3人の中央は相馬、右は祥紀、左は大崎だ」
「オウ!」
ブザーの音でインターバルが終わる。
第2Q、法帝大三ボールでスタート。
相模はこのクォーターもマンツーマン。マッチアップは変わらず。
竹前「まずは一本だ!」
法帝大三メンバー「オウ!」
24秒タイマーの残り数秒
合わせから長谷川卓治のミドルシュート。
スパッ!
法帝大付三 9
東裁大相模 13
北田「ちっ…」
阿部「気にすんな!取り返すぞ!」
梅村「先輩!ゾーンの形が!」
北田「変わってる…2-3…1-3-1…いや1-1-3か?」
椿がゆっくりとボールをフロントコートまで運ぶ。
そして北田、阿部とパス交換をしてゾーンの動き方を確かめる。
椿(なるほど…)
インサイドでは梅村が村越と連携しディフェンスを崩そうと試みるが、後列に3人もいてはさすがになかなか隙は産まれない。
やむなく、ゾーンを崩しきれないまま北田がスリーを放つ。
その瞬間、ゾーン最前列の竹前はすぐ走り出す。
ガッ!
シュートが外れ、大崎がリバウンドを取る。
すぐにそのボールを大きなパスで前線に送る。
椿「しまった!」
椿は竹前の走り出しに虚を突かれ、セーフティ(速攻を防ぐためにディフェンスに素早く戻ること)を怠ってしまった。
バスッ!
ほぼフリーで竹前が速攻からレイアップを決める。
法帝大付三 11
東裁大相模 13
ここから、法帝大三の時間が始まる。
インサイドで梅村にボールを入れると、梅村のいるサイドの後列の2人と、中列の長谷川卓治の3人に挟まれる。
アウトサイドの3人は、運動量のある竹前と長谷川卓治の2人がひたすらにボールを追いかける。
そしてディフェンスのいい流れはそのままオフェンスにも影響する。
法帝大付三は一気に逆転し、第2Q残り3分ほどの時点では逆に10点差をつけていた。
耐えかねた相模がタイムアウトを取る。
第2Q 残り3:06
法帝大付三 27
東裁大相模 17
観客席
慎太郎「でも正直いってこれ、体力持つんすかね…」
(正直、俺なら30分くらいしか持たねー…)
髙木「でもおそらくそんなことは法帝大三もわかってるだろう
何か策があると考えるのが普通だな」
小宮山「例えば?」
髙木「運動量のあるメンバーを交代で出すってのが定石だが…」
矢島「そりゃ無理じゃねえか?長谷川卓治は攻守揃ったいいプレイヤーだろ?それにキャプテンだ。あいつの代わりに出れるプレイヤーがいるのか?」
新城「確かに…」
涼真「俺はそれより相模が気になりますね…このままじゃズルズルいってやられる」
(椿…梅村…お前らはそんなもんか?)
実際、相模のチーム状況は最悪だった。
このクォーター4得点、それも梅村しか点を取れていないうえに、梅村も決して得意ではないミドルシュート、そしてインサイドでベビーフックのシュート、この2本を沈めただけだった。
※フックシュート
半身の体制で片手で打つシュートのこと。ディフェンスと1対1では身体の幅を使ってシュートできるのでブロックされづらい。
ベビーフックとは最小限の動きで、手首のスナップのみで放つ素早いフックシュートのことである。
椿「おい梅村」
梅村「なんだよ」
椿「ポストアップなんだけどさ、お前の得意なハイポスト、ローポストじゃなくてエルボーやミドルポストあたりでポストアップしてくんね?」
梅村「ゾーンのギャップ(ゾーンディフェンスのディフェンスのいないところ)を突くわけか」
椿「勝つためだ。苦手だなんていってらんねえぞ」
梅村「わかってる、それにベスト8くらいで負けたら涼真たちに合わす顔がないだろ」
原「その通りだ、こんなとこでつまづくわけにはいかんぞ」
阿部「監督…」
原「よし、今野!北田と交代で、マッチアップは椿が長谷川卓治、今野が竹前だ。今野、竹前に張り付いて集中を削ぐんだ。
ここまでもディフェンスは悪くない、ここまで27失点で切り抜けている。
北田の経験値は惜しいが、ここで少し仕掛けよう」
一方の法帝大三は…
ロースコアとはいえこちらはリードしているためか、リラックスしている。
監督「どうだ、体力的には」
長谷川卓治「堀内監督、俺が体力あるのは知ってますよね?まだまだ余裕っすよ
それに祥紀とちょっとずつ交代で1-1-3の中列をやるんですから」
堀内「それもそうだな、だが相手はおそらく1-1-3対策を講じてくる。しっかり守れ」
一同「ハイ!」
ブーッ!
タイムアウト終了
法帝大付属三
G #7 竹前 祐悟 3年 177㎝
G/F #4 長谷川 卓治 3年 183㎝
F #14 長谷川 祥紀 1年 183㎝
C/F #5 大崎 和哉 3年 189㎝
C/F #8 相馬 遼也 2年 191㎝
東裁大相模
G #11 今野 正志 2年 174㎝
G #14 椿 卓馬 1年 182㎝
F #4 阿部 理人 3年 185㎝
F #8 村越 悠聖 3年 188㎝
C #15 梅村 聡紀 1年 195㎝
相模の自陣側エンドラインからのスローインからスタート。
法帝大三は1-1-3ゾーンを構える。
今野、椿はツーガードのポジション(トップの位置を挟んでウイング近くに2人が並ぶ)でパス交換。
阿部と村越はコーナーで待ち構え、梅村はポストアップのタイミングを伺う。
梅村「ヘイ!」
左ミドルポストで梅村がポストアップ。
そこに椿からボールが入る。
すかさず長谷川卓治、相馬、大崎が寄ってくる。
椿「梅村!ディフェンスを引きつけがてら一度周りを見ろ!」
梅村「!?」
梅村はとりあえず周りを見る。
真後ろには相馬が身体を寄せてディフェンスしている。エンドライン側には大崎、逆には長谷川卓治がいる。
自分側のコーナーには村越。
バシィッ!
考えている間に長谷川卓治がボールを叩く。
梅村「しまった!」
長谷川卓治がボールをそのまま奪う。
長谷川卓治「走れ!」
阿部「戻れ!」
必死で戻る中、梅村は先ほど周りを見回した際に違和感を感じ、その正体を考えていた。
梅村「椿…何を伝えようとしてたんだ?」
必死で考える梅村。
To be continued…
法帝大付三 7
東裁大相模 13
相模の13点のうち椿は初得点のスリーを皮切りに7得点。
梅村もインサイドでリバウンドを支配し4得点。
1年生の2人が攻守で躍動した。
対して法帝大は流れを相模に持っていかれつつも長谷川祥紀が3得点、長谷川卓治が2得点、大崎が2得点。
相馬「なんて1年だ…1対1じゃ止められなかった」
大崎「インサイドでの連携で1回点は取れたけど…さすがにやばいな」
竹前「でもゾーンは効いてる。入ってきたあの14番(椿)のスリーもいつまでも入るわけはない。第2Qはゾーンの陣形を変えよう。1-1-3だ」
長谷川卓治「確かに相模は14番以外の外のシュートが入ってない。
それに1-1-3はリバウンドからの速攻を出しやすいしな
よし、1-1-3の先頭はもちろん竹前、中列の1人は俺、後列3人の中央は相馬、右は祥紀、左は大崎だ」
「オウ!」
ブザーの音でインターバルが終わる。
第2Q、法帝大三ボールでスタート。
相模はこのクォーターもマンツーマン。マッチアップは変わらず。
竹前「まずは一本だ!」
法帝大三メンバー「オウ!」
24秒タイマーの残り数秒
合わせから長谷川卓治のミドルシュート。
スパッ!
法帝大付三 9
東裁大相模 13
北田「ちっ…」
阿部「気にすんな!取り返すぞ!」
梅村「先輩!ゾーンの形が!」
北田「変わってる…2-3…1-3-1…いや1-1-3か?」
椿がゆっくりとボールをフロントコートまで運ぶ。
そして北田、阿部とパス交換をしてゾーンの動き方を確かめる。
椿(なるほど…)
インサイドでは梅村が村越と連携しディフェンスを崩そうと試みるが、後列に3人もいてはさすがになかなか隙は産まれない。
やむなく、ゾーンを崩しきれないまま北田がスリーを放つ。
その瞬間、ゾーン最前列の竹前はすぐ走り出す。
ガッ!
シュートが外れ、大崎がリバウンドを取る。
すぐにそのボールを大きなパスで前線に送る。
椿「しまった!」
椿は竹前の走り出しに虚を突かれ、セーフティ(速攻を防ぐためにディフェンスに素早く戻ること)を怠ってしまった。
バスッ!
ほぼフリーで竹前が速攻からレイアップを決める。
法帝大付三 11
東裁大相模 13
ここから、法帝大三の時間が始まる。
インサイドで梅村にボールを入れると、梅村のいるサイドの後列の2人と、中列の長谷川卓治の3人に挟まれる。
アウトサイドの3人は、運動量のある竹前と長谷川卓治の2人がひたすらにボールを追いかける。
そしてディフェンスのいい流れはそのままオフェンスにも影響する。
法帝大付三は一気に逆転し、第2Q残り3分ほどの時点では逆に10点差をつけていた。
耐えかねた相模がタイムアウトを取る。
第2Q 残り3:06
法帝大付三 27
東裁大相模 17
観客席
慎太郎「でも正直いってこれ、体力持つんすかね…」
(正直、俺なら30分くらいしか持たねー…)
髙木「でもおそらくそんなことは法帝大三もわかってるだろう
何か策があると考えるのが普通だな」
小宮山「例えば?」
髙木「運動量のあるメンバーを交代で出すってのが定石だが…」
矢島「そりゃ無理じゃねえか?長谷川卓治は攻守揃ったいいプレイヤーだろ?それにキャプテンだ。あいつの代わりに出れるプレイヤーがいるのか?」
新城「確かに…」
涼真「俺はそれより相模が気になりますね…このままじゃズルズルいってやられる」
(椿…梅村…お前らはそんなもんか?)
実際、相模のチーム状況は最悪だった。
このクォーター4得点、それも梅村しか点を取れていないうえに、梅村も決して得意ではないミドルシュート、そしてインサイドでベビーフックのシュート、この2本を沈めただけだった。
※フックシュート
半身の体制で片手で打つシュートのこと。ディフェンスと1対1では身体の幅を使ってシュートできるのでブロックされづらい。
ベビーフックとは最小限の動きで、手首のスナップのみで放つ素早いフックシュートのことである。
椿「おい梅村」
梅村「なんだよ」
椿「ポストアップなんだけどさ、お前の得意なハイポスト、ローポストじゃなくてエルボーやミドルポストあたりでポストアップしてくんね?」
梅村「ゾーンのギャップ(ゾーンディフェンスのディフェンスのいないところ)を突くわけか」
椿「勝つためだ。苦手だなんていってらんねえぞ」
梅村「わかってる、それにベスト8くらいで負けたら涼真たちに合わす顔がないだろ」
原「その通りだ、こんなとこでつまづくわけにはいかんぞ」
阿部「監督…」
原「よし、今野!北田と交代で、マッチアップは椿が長谷川卓治、今野が竹前だ。今野、竹前に張り付いて集中を削ぐんだ。
ここまでもディフェンスは悪くない、ここまで27失点で切り抜けている。
北田の経験値は惜しいが、ここで少し仕掛けよう」
一方の法帝大三は…
ロースコアとはいえこちらはリードしているためか、リラックスしている。
監督「どうだ、体力的には」
長谷川卓治「堀内監督、俺が体力あるのは知ってますよね?まだまだ余裕っすよ
それに祥紀とちょっとずつ交代で1-1-3の中列をやるんですから」
堀内「それもそうだな、だが相手はおそらく1-1-3対策を講じてくる。しっかり守れ」
一同「ハイ!」
ブーッ!
タイムアウト終了
法帝大付属三
G #7 竹前 祐悟 3年 177㎝
G/F #4 長谷川 卓治 3年 183㎝
F #14 長谷川 祥紀 1年 183㎝
C/F #5 大崎 和哉 3年 189㎝
C/F #8 相馬 遼也 2年 191㎝
東裁大相模
G #11 今野 正志 2年 174㎝
G #14 椿 卓馬 1年 182㎝
F #4 阿部 理人 3年 185㎝
F #8 村越 悠聖 3年 188㎝
C #15 梅村 聡紀 1年 195㎝
相模の自陣側エンドラインからのスローインからスタート。
法帝大三は1-1-3ゾーンを構える。
今野、椿はツーガードのポジション(トップの位置を挟んでウイング近くに2人が並ぶ)でパス交換。
阿部と村越はコーナーで待ち構え、梅村はポストアップのタイミングを伺う。
梅村「ヘイ!」
左ミドルポストで梅村がポストアップ。
そこに椿からボールが入る。
すかさず長谷川卓治、相馬、大崎が寄ってくる。
椿「梅村!ディフェンスを引きつけがてら一度周りを見ろ!」
梅村「!?」
梅村はとりあえず周りを見る。
真後ろには相馬が身体を寄せてディフェンスしている。エンドライン側には大崎、逆には長谷川卓治がいる。
自分側のコーナーには村越。
バシィッ!
考えている間に長谷川卓治がボールを叩く。
梅村「しまった!」
長谷川卓治がボールをそのまま奪う。
長谷川卓治「走れ!」
阿部「戻れ!」
必死で戻る中、梅村は先ほど周りを見回した際に違和感を感じ、その正体を考えていた。
梅村「椿…何を伝えようとしてたんだ?」
必死で考える梅村。
To be continued…
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
53
1 / 4
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる