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第4章 集大成・ウィンターカップ
第180話 突然のデート
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メンバープロフィール(女子)
佐々木 優花
星垓高等学校1年
174㎝??kg
誕生日:12/16
血液型:A
バストサイズ:F
特徴:ボブカットの茶髪が特徴的。オフに出かける時は帽子を被っている事が多い。実は涼真とミニバスのチームが一緒であり、涼真と慎太郎の事は覚えていた(もっとも、県内有数の大人数のチームであった為、涼真と慎太郎の方は優花の事を覚えてない)。
プレーでは万能型のパワーフォワードで外のシュートからリバウンド、インサイドアタックからペリメーターのディフェンスまでオールラウンドにこなす。現時点ではシックスマンとして出場している。
満月とはアニヲタ仲間。
特技:顔芸
趣味:アニメ鑑賞
得意教科:現代文、古典、英語
苦手教科:数学、化学
得意なプレイ:リバウンド、アウトサイドシュート
バスケを始めたきっかけ:近くにミニバスのチームがありなんとなく
好きな男性のタイプ:人として尊敬できる人、自分より背が高い人
密かな悩み:アニメ鑑賞の時間をもっと取りたい
-----------------------------
涼真「ただいま」
涼真、帰宅。
足が片方不自由になっている為、靴の履き替えにも苦労している。
萌香「おかえりお兄ちゃん!」
バタバタと出迎えるのは末妹の萌香。
萌香「大変でしょ?荷物部屋に持ってっといてあげるね」
涼真「サンキュ」
寿美江「おかえり涼真。朋香も紗香もまだ帰って来ないし先に風呂入っちゃって」
涼真「ああ」
寿美江「…どうしたの?何かあった?」
寿美江、母としての勘なのか涼真の微妙な精神状態に気づく。
涼真「別に?何もねえよ」
寿美江「そういやウィンターカップまであと1ヶ月ないんだっけ」
涼真「うん、俺は出れないけどね」
そう言いつつ何処か不貞腐れたような口調な涼真。
それを寿美江は正確に汲み取った。
寿美江「じゃあ、お節介でもこれだけは言っとくわ。あんたはチームの為にエースでいる訳であって、あんたの為にチームがある訳じゃないのよ」
涼真「…」
寿美江「試合に出れなくてもチームに貢献する方法はいくらでもある。先輩の代わりに試合に出てたあんたなら、先輩のそんな場面を何度も見てきたんじゃないの?」
涼真「でも母さん、俺はエースとして1番いなくなっちゃいけない時にいなくなったんだよ…」
寿美江「あら、随分と自惚れたものね?一緒にプレーしててチームメイトはそんなに頼りなかったかしら?少なくとも試合のビデオ見る限りそうは見えなかったし、あんたもちゃんと頼ってたじゃない?」
涼真「…」
肯定する代わりに何も言えなくなる涼真。
寿美江「父さんも言ってた事あるわ。怪我で離脱した時には、別の覚悟が必要だって」
涼真「別の覚悟?」
寿美江「今まで一緒にプレーしてきた大事な仲間にチームの命運を『託す覚悟』よ」
涼真「…」
寿美江「あんたは確かに今まで何度もチームの勝敗を背負って勝ったり負けたりしてきたのかもしれない。それを他のチームメイトに託すのって、思った以上に勇気が要る事よ。
でもだからこそ、あんたはそれをできなきゃいけないの。これから更に成長したいのならば」
涼真「…わかったよ」
寿美江「うん。さ、お風呂入っちゃって。その後ご飯にしましょ」
涼真、(左足以外)風呂につかりつつ物思いにふける。
涼真「…」
(そうだ…まだ始まってもないウィンターカップなのに…俺がいなきゃ勝てないだなんて自惚れた事を思ってた…出れないならせめてできるサポートを全力でして、本番で勇気付けて…やれる事なんていくらでもあるじゃないか…)
涼真「…あ」
涼真(あんな言い方したし…満月にも謝っとかないとな…)
-翌日-
星垓高校ではこの日も激しい練習が行われている。
ダム!!
スパァッッ!!
3対3の練習中。
コートでは慎太郎が新城との1対1からシュートを決めた所。
涼真「慎太郎!決まったからいいけど今のはシュートセレクションが悪すぎる!ポイントガードだろ周りを見ろ周りを!」
慎太郎「ああ、悪い」
(昨日の帰りにあの後なんかあったか?)
この日の涼真は、いつもに増して率先して声を出している。
春香(よかった、元気になったんだね)
練習が途切れて、先輩にタオルやドリンクを配ったりする涼真を見て春香は微笑む。
美保「ほら、ボサっと見てないで?あれ(タオルやドリンクを配るの)私らの仕事でもあるでしょ」
武蔵「涼真…」
(本当は出れなくて悔しいだろうに…)
髙木「よくやるもんだ」
(俺なら涼真みたいにこんな短期間で切り替えられるかわからん)
真田「柄にもねえ事しやがって」
(県大会、負けられない理由1つ追加だな)
新城(見てな、また必ずこのチームでお前をコートに立たせてやるよ)
涼真の怪我で、大きく変わった事が2つある。
1つは、エースに頼れない事で1人1人に自覚が芽生え、結果的にチームとして技術面でも精神面でも底上げがなされた事。
もう1つは、エースを再び全国のコートに立たせるためにと、全員が言葉は無くとも団結し、チームの結束が高まった事である。
そしてそれは、涼真がチームの為に率先して声を出し、やれる事を精一杯やり始めた事と決して無関係ではなかった。
その成果なのか
週末、東京のチームとの練習試合。
ブーッ!!!
1試合目
星垓 102
東裁大菅生 74
※東裁大菅生は夏の総体で東京5位
2試合目
星垓 98
久我 70
※久我は夏の総体で東京3位
涼真抜きでの圧勝劇。
尚、スタメンは慎太郎、真田、新城、神崎、髙木であった。
中澤、矢島は主に慎太郎、真田、新城と交代で出場し、中澤はゲームメイクとディフェンスで、矢島はシューターとして貢献。
武蔵はフォワードのディフェンダーとして相手のスコアラーの点を抑え
須川はその圧倒的パワーでインサイドを蹂躙したかと思えば、真田にも匹敵するスリーポイントの精度で外からも脅威となる。
またフォワードではこれまで大会のメンバー登録から漏れていた福島が身体のしなやかさ、身体の使い方の上手さを活かしてリバウンドやディフェンスで貢献。オフェンスでも一通りのプレーが安定して見込める為嬉しい誤算となった。
またその次の週には
土曜日
1試合目
柏咲 71
星垓 112
2試合目
星垓 101
幕張台 82
※柏咲は夏の千葉県3位、幕張台は千葉県2位のチーム。
日曜日
1試合目
松陽 66
星垓 94
2試合目
星垓 108
秀英 89
※松陽は夏の茨城県大会3位、秀英は2位。
松陽との試合では、主にディフェンダー陣が活躍。宗平もオフェンスはまだまだだがディフェンスでは貢献できる事を証明。
結果チームで66失点とかなり失点を抑えての勝利。
秀英との試合では攻撃の応酬となったものの、後半開始から起用された三石の得点が伸び、リードを広げると
この試合髙木をまるまる休ませた代わりに起用された賢がインサイドで20得点、17リバウンド、2ブロックと大活躍。
また、ガードが大型だった為にマッチアップに大樹を起用すると、大樹はそのフィジカルと俊敏性で相手ガードをシャットアウト。オフェンスでも190近い身長と屈強な身体でオフェンスリバウンドを連発。
この2週の練習試合では、普段控えのメンバーの躍進が目立った試合となった。
唐沢「ふむ…」
(これは想像以上です。ウィンターカップ予選、楽しみになってきましたね)
-そして、10月も終わりにさし掛かろうという頃-
部活終了後、帰り道
この日はいつもと少し違うメンバー。
涼真、満月、慎太郎、春香、美保に加えて糸織里、佳奈絵が同行。
武蔵は部活終わりに親の車で帰宅した為不在。
慎太郎「今日もハードだったわ…」
(本番で使うセットプレーの練習も増えてきたし)
涼真「その代わり今週末は練習試合も練習もないオフが1日あるけどな」
佳奈絵「え?そうなん?女子も同じタイミングでオフなんだけど…もぐもぐ」
美保「ほら、食べながらしゃべらない」
涼真「他の部活動の大会で使うんだってさ。で、近場で体育館も取れなくてその代わり休養日に充てる事にしたみたいだ」
※星垓バスケ部は男女とも、筋肉の超回復や疲労蓄積の緩和のために週1日曜日の部活オフの休養日がある。
糸織里「たまの休みですし!しかも土日に休養日だなんて丸1日時間があればなんだって出来ちゃいますね!
こはるんは料理で試したいレシピを試すって言ってましたし、さっきーはネイルの練習するって言ってました!」
慎太郎「2人にそんな趣味が…」
糸織里「慎ちゃまとうまっちは何か予定あるんですか?」
※うまっち→涼真のこと。りょ「うま」から取ったらしい。
美保「慎ちゃま…うまっち…ぷくくっ…」
慎太郎「(美保め、笑ってんじゃねえよ)うーん…俺はNBAのプレシーズンの動画でも見てるかな…戦術やテクニックの参考になるかもしれねえし」
涼真「俺は特に予定ないかな」
糸織里「ほう…?」
糸織里の目が光る。
そして、ニヤリと満月を見る。
糸織里「だってよ?みずっち?」
満月「え!?な、何よ!?」
糸織里、満月にだけ聞こえる声でこそこそと話す。
糸織里(うまっちは今メンバー落ちしてナーバスになってるし、春からずっとバスケバスケで疲労も蓄積してるはず…だからおデートにお誘いして慰労してあげなって)
満月「ふぇっ!?」
糸織里「にっしっし」
満月(ま、まさか糸織里にもバレてる…?)
涼真「?」
糸織里「ねぇうまっち?たまには気分転換に遊びたくないですか?」
満月(ちょっと糸織里!?いきなり何を…)
涼真「気分転換…?」
(いや海に行った事もあるし、テスト勉強の合間に慎太郎の誕生日祝った事も…)
涼真、思い出す。
海では結局砂浜を前にトレーニングを開始し、慎太郎の誕生日も結局バスケしてた事を。
涼真(結局バスケしかしてねえじゃん、俺…)
涼真「気分転換って何すんのさ」
満月(意外と乗り気…!?)
糸織里「何って、デートですよ♡デート♡」
涼真「デート?」
満月「!?」
春香「へ…!?」
糸織里「ちょうどここに暇な女の子が1人いるんで!この子なんて如何でしょう?」
そう言って糸織里は、満月を涼真の前に押し出す。
満月「ちょっ…!?糸織里!?」
涼真「え?満月暇なん?」
満月「ふへぇ!?」
驚きすぎて変な声が出る満月。
満月「まあ…ひ、暇だけど…」
涼真「そっか。で、どーする?」
満月「どーするって…」
涼真「どこ行くかって聞いてんの」
満月「へぁっ!?」
満月は、その後の事はよく覚えてない。
糸織里「男子もそろそろメンバー登録の発表ある頃じゃないんですか?」
春香「一応来週中ってことみたいだけど…」
とかそんな会話は聞こえた気がするが…
数日後、涼真とのデート当日を迎えるまでの大半の時間、上の空で過ごす事になるのだった。
佐々木 優花
星垓高等学校1年
174㎝??kg
誕生日:12/16
血液型:A
バストサイズ:F
特徴:ボブカットの茶髪が特徴的。オフに出かける時は帽子を被っている事が多い。実は涼真とミニバスのチームが一緒であり、涼真と慎太郎の事は覚えていた(もっとも、県内有数の大人数のチームであった為、涼真と慎太郎の方は優花の事を覚えてない)。
プレーでは万能型のパワーフォワードで外のシュートからリバウンド、インサイドアタックからペリメーターのディフェンスまでオールラウンドにこなす。現時点ではシックスマンとして出場している。
満月とはアニヲタ仲間。
特技:顔芸
趣味:アニメ鑑賞
得意教科:現代文、古典、英語
苦手教科:数学、化学
得意なプレイ:リバウンド、アウトサイドシュート
バスケを始めたきっかけ:近くにミニバスのチームがありなんとなく
好きな男性のタイプ:人として尊敬できる人、自分より背が高い人
密かな悩み:アニメ鑑賞の時間をもっと取りたい
-----------------------------
涼真「ただいま」
涼真、帰宅。
足が片方不自由になっている為、靴の履き替えにも苦労している。
萌香「おかえりお兄ちゃん!」
バタバタと出迎えるのは末妹の萌香。
萌香「大変でしょ?荷物部屋に持ってっといてあげるね」
涼真「サンキュ」
寿美江「おかえり涼真。朋香も紗香もまだ帰って来ないし先に風呂入っちゃって」
涼真「ああ」
寿美江「…どうしたの?何かあった?」
寿美江、母としての勘なのか涼真の微妙な精神状態に気づく。
涼真「別に?何もねえよ」
寿美江「そういやウィンターカップまであと1ヶ月ないんだっけ」
涼真「うん、俺は出れないけどね」
そう言いつつ何処か不貞腐れたような口調な涼真。
それを寿美江は正確に汲み取った。
寿美江「じゃあ、お節介でもこれだけは言っとくわ。あんたはチームの為にエースでいる訳であって、あんたの為にチームがある訳じゃないのよ」
涼真「…」
寿美江「試合に出れなくてもチームに貢献する方法はいくらでもある。先輩の代わりに試合に出てたあんたなら、先輩のそんな場面を何度も見てきたんじゃないの?」
涼真「でも母さん、俺はエースとして1番いなくなっちゃいけない時にいなくなったんだよ…」
寿美江「あら、随分と自惚れたものね?一緒にプレーしててチームメイトはそんなに頼りなかったかしら?少なくとも試合のビデオ見る限りそうは見えなかったし、あんたもちゃんと頼ってたじゃない?」
涼真「…」
肯定する代わりに何も言えなくなる涼真。
寿美江「父さんも言ってた事あるわ。怪我で離脱した時には、別の覚悟が必要だって」
涼真「別の覚悟?」
寿美江「今まで一緒にプレーしてきた大事な仲間にチームの命運を『託す覚悟』よ」
涼真「…」
寿美江「あんたは確かに今まで何度もチームの勝敗を背負って勝ったり負けたりしてきたのかもしれない。それを他のチームメイトに託すのって、思った以上に勇気が要る事よ。
でもだからこそ、あんたはそれをできなきゃいけないの。これから更に成長したいのならば」
涼真「…わかったよ」
寿美江「うん。さ、お風呂入っちゃって。その後ご飯にしましょ」
涼真、(左足以外)風呂につかりつつ物思いにふける。
涼真「…」
(そうだ…まだ始まってもないウィンターカップなのに…俺がいなきゃ勝てないだなんて自惚れた事を思ってた…出れないならせめてできるサポートを全力でして、本番で勇気付けて…やれる事なんていくらでもあるじゃないか…)
涼真「…あ」
涼真(あんな言い方したし…満月にも謝っとかないとな…)
-翌日-
星垓高校ではこの日も激しい練習が行われている。
ダム!!
スパァッッ!!
3対3の練習中。
コートでは慎太郎が新城との1対1からシュートを決めた所。
涼真「慎太郎!決まったからいいけど今のはシュートセレクションが悪すぎる!ポイントガードだろ周りを見ろ周りを!」
慎太郎「ああ、悪い」
(昨日の帰りにあの後なんかあったか?)
この日の涼真は、いつもに増して率先して声を出している。
春香(よかった、元気になったんだね)
練習が途切れて、先輩にタオルやドリンクを配ったりする涼真を見て春香は微笑む。
美保「ほら、ボサっと見てないで?あれ(タオルやドリンクを配るの)私らの仕事でもあるでしょ」
武蔵「涼真…」
(本当は出れなくて悔しいだろうに…)
髙木「よくやるもんだ」
(俺なら涼真みたいにこんな短期間で切り替えられるかわからん)
真田「柄にもねえ事しやがって」
(県大会、負けられない理由1つ追加だな)
新城(見てな、また必ずこのチームでお前をコートに立たせてやるよ)
涼真の怪我で、大きく変わった事が2つある。
1つは、エースに頼れない事で1人1人に自覚が芽生え、結果的にチームとして技術面でも精神面でも底上げがなされた事。
もう1つは、エースを再び全国のコートに立たせるためにと、全員が言葉は無くとも団結し、チームの結束が高まった事である。
そしてそれは、涼真がチームの為に率先して声を出し、やれる事を精一杯やり始めた事と決して無関係ではなかった。
その成果なのか
週末、東京のチームとの練習試合。
ブーッ!!!
1試合目
星垓 102
東裁大菅生 74
※東裁大菅生は夏の総体で東京5位
2試合目
星垓 98
久我 70
※久我は夏の総体で東京3位
涼真抜きでの圧勝劇。
尚、スタメンは慎太郎、真田、新城、神崎、髙木であった。
中澤、矢島は主に慎太郎、真田、新城と交代で出場し、中澤はゲームメイクとディフェンスで、矢島はシューターとして貢献。
武蔵はフォワードのディフェンダーとして相手のスコアラーの点を抑え
須川はその圧倒的パワーでインサイドを蹂躙したかと思えば、真田にも匹敵するスリーポイントの精度で外からも脅威となる。
またフォワードではこれまで大会のメンバー登録から漏れていた福島が身体のしなやかさ、身体の使い方の上手さを活かしてリバウンドやディフェンスで貢献。オフェンスでも一通りのプレーが安定して見込める為嬉しい誤算となった。
またその次の週には
土曜日
1試合目
柏咲 71
星垓 112
2試合目
星垓 101
幕張台 82
※柏咲は夏の千葉県3位、幕張台は千葉県2位のチーム。
日曜日
1試合目
松陽 66
星垓 94
2試合目
星垓 108
秀英 89
※松陽は夏の茨城県大会3位、秀英は2位。
松陽との試合では、主にディフェンダー陣が活躍。宗平もオフェンスはまだまだだがディフェンスでは貢献できる事を証明。
結果チームで66失点とかなり失点を抑えての勝利。
秀英との試合では攻撃の応酬となったものの、後半開始から起用された三石の得点が伸び、リードを広げると
この試合髙木をまるまる休ませた代わりに起用された賢がインサイドで20得点、17リバウンド、2ブロックと大活躍。
また、ガードが大型だった為にマッチアップに大樹を起用すると、大樹はそのフィジカルと俊敏性で相手ガードをシャットアウト。オフェンスでも190近い身長と屈強な身体でオフェンスリバウンドを連発。
この2週の練習試合では、普段控えのメンバーの躍進が目立った試合となった。
唐沢「ふむ…」
(これは想像以上です。ウィンターカップ予選、楽しみになってきましたね)
-そして、10月も終わりにさし掛かろうという頃-
部活終了後、帰り道
この日はいつもと少し違うメンバー。
涼真、満月、慎太郎、春香、美保に加えて糸織里、佳奈絵が同行。
武蔵は部活終わりに親の車で帰宅した為不在。
慎太郎「今日もハードだったわ…」
(本番で使うセットプレーの練習も増えてきたし)
涼真「その代わり今週末は練習試合も練習もないオフが1日あるけどな」
佳奈絵「え?そうなん?女子も同じタイミングでオフなんだけど…もぐもぐ」
美保「ほら、食べながらしゃべらない」
涼真「他の部活動の大会で使うんだってさ。で、近場で体育館も取れなくてその代わり休養日に充てる事にしたみたいだ」
※星垓バスケ部は男女とも、筋肉の超回復や疲労蓄積の緩和のために週1日曜日の部活オフの休養日がある。
糸織里「たまの休みですし!しかも土日に休養日だなんて丸1日時間があればなんだって出来ちゃいますね!
こはるんは料理で試したいレシピを試すって言ってましたし、さっきーはネイルの練習するって言ってました!」
慎太郎「2人にそんな趣味が…」
糸織里「慎ちゃまとうまっちは何か予定あるんですか?」
※うまっち→涼真のこと。りょ「うま」から取ったらしい。
美保「慎ちゃま…うまっち…ぷくくっ…」
慎太郎「(美保め、笑ってんじゃねえよ)うーん…俺はNBAのプレシーズンの動画でも見てるかな…戦術やテクニックの参考になるかもしれねえし」
涼真「俺は特に予定ないかな」
糸織里「ほう…?」
糸織里の目が光る。
そして、ニヤリと満月を見る。
糸織里「だってよ?みずっち?」
満月「え!?な、何よ!?」
糸織里、満月にだけ聞こえる声でこそこそと話す。
糸織里(うまっちは今メンバー落ちしてナーバスになってるし、春からずっとバスケバスケで疲労も蓄積してるはず…だからおデートにお誘いして慰労してあげなって)
満月「ふぇっ!?」
糸織里「にっしっし」
満月(ま、まさか糸織里にもバレてる…?)
涼真「?」
糸織里「ねぇうまっち?たまには気分転換に遊びたくないですか?」
満月(ちょっと糸織里!?いきなり何を…)
涼真「気分転換…?」
(いや海に行った事もあるし、テスト勉強の合間に慎太郎の誕生日祝った事も…)
涼真、思い出す。
海では結局砂浜を前にトレーニングを開始し、慎太郎の誕生日も結局バスケしてた事を。
涼真(結局バスケしかしてねえじゃん、俺…)
涼真「気分転換って何すんのさ」
満月(意外と乗り気…!?)
糸織里「何って、デートですよ♡デート♡」
涼真「デート?」
満月「!?」
春香「へ…!?」
糸織里「ちょうどここに暇な女の子が1人いるんで!この子なんて如何でしょう?」
そう言って糸織里は、満月を涼真の前に押し出す。
満月「ちょっ…!?糸織里!?」
涼真「え?満月暇なん?」
満月「ふへぇ!?」
驚きすぎて変な声が出る満月。
満月「まあ…ひ、暇だけど…」
涼真「そっか。で、どーする?」
満月「どーするって…」
涼真「どこ行くかって聞いてんの」
満月「へぁっ!?」
満月は、その後の事はよく覚えてない。
糸織里「男子もそろそろメンバー登録の発表ある頃じゃないんですか?」
春香「一応来週中ってことみたいだけど…」
とかそんな会話は聞こえた気がするが…
数日後、涼真とのデート当日を迎えるまでの大半の時間、上の空で過ごす事になるのだった。
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