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第3章 最初で最後の国体
第168話 3日目
しおりを挟む大会3日目。
この日の結果で残りチームは男女とも16→8に絞られる。
第1試合では、女子の試合が既に始まっている。
Aコート 第4Q残り8:52
愛知 78
山梨 46
Bコート 第3Q残り54.8
神奈川 64
京都 55
山下「Aコートの絶対女王の愛知はともかく、Bコートの試合も少しずつ差がついて来ましたね」
中嶋「神奈川の女子は5人とも足とボールをよく動かしてるんですが…今ひとつパンチが足りないですね、なんかこう、得点を取るのが4番の高橋、7番の谷口、5番の松本の3人に固まってるんですよね。
ポイントガードのあの12番…星垓の2年生はパスとディフェンスは上手いですが自分は長距離のシュートもカットインもほとんどしない。パスが多い為相手は守りやすいんですね」
山下「かといって下級生にあの子以上のガードがいるのかしら…」
ブーッ!!!
Aコート 試合終了
愛知 94
山梨 56
Bコート 試合終了
神奈川 86
京都 73
女子の愛知と神奈川がまずはベスト8入り。
神奈川の女子は夏に続きベスト8。
高橋「ふぅ…」
(勝つには勝ったけど…今日も内容はあまり良くなかったかなぁ)
谷口「インサイドにあまり切り込めなかったよね今日」
松本「確かに…シューターが清美(谷口)だけだから相手は清美と千草(高橋)の外さえマークすればインサイドに集中できるもんね」
高橋「もう1枚くらい、外のオプションが欲しいところかもね」
(まあ、そう上手くはいかないでしょうけど)
そして1年生にして試合に出ていたこの2人も…
奈津実「金沢女子の先輩の控えで出てたから普段より出てないけど…今日も疲れた」
優花「もう秋なのに暑すぎない?」
奈津実「この調子だと明日以降も厳しそうだよね…」
優花「さてと!今度は男子の応援だね!」
奈津実「満月、応援したかっただろうなぁ…」
優花「1年のマネちゃんずもね…」
女子の試合が終わり、男子のアップ中。
スタメンは既に会場の電光掲示板に発表されている。
宮城(ユニフォーム白)
#7 小池 達海 178㎝ 明桜 3年
#4 大川 博司 184㎝ 明桜 3年
#9 吉村 直弥 194㎝ 仙台学院 3年
#8 比田井 学 194㎝ 仙台学院 3年
#14 中川 大和 196㎝ 明桜 3年
神奈川(ユニフォーム橙色)
#4 新城 敦史 185㎝ 星垓 3年
#14 櫻田 祥人 184㎝ 桐神学園 1年
#17 北条 涼真 190㎝ 星垓 1年
#5 徳山 勝美 193㎝ 湘洋大付属 3年
#7 髙木 悠介 199㎝ 星垓 3年
優花「宮城ってデカくない?」
奈津実「フロントコートが3人とも190半ばだなんて…」
優花「しかも聞いた話だとあれで14番以外の2人はオールラウンダーなんだって」
仙台学院の2人、吉村と比田井は共にフィジカルもありながらテクニックとスピードがある。
宮城県大会決勝でも、明桜を苦戦させたフォワードコンビであった。
だがその約15分後。
ブーッ!!!
第1Q終了
神奈川 33
宮城 16
優花「あれぇ…?」
奈津実「確かに身体能力は凄い。凄い…んだけど…」
だがこの2人、弱点がとかく多い。
まず1つは…
ダム!!!!
ドガァッッ!!!!
吉村「げっ…」
涼真の1対1からのダンクが決まる。
大川「あちゃあ…」
小池「やっぱり吉村じゃ北条のマークは無理か…」
中川「そりゃそうだ。ディフェンスザルだもん」
そう、この2人
揃いも揃ってディフェンスが致命的に下手糞なのである。
「身長もフィジカルもテクニックもスピードもあるのに…ほんとなんでだよ?」
「そんだけ持ってりゃディフェンスできない方が不思議だわ…」
ベンチに座る明桜の2年・外山と阿部も呆れ顔。
その分、オフェンスは2人とも一級品…のはずなのだが…
バシィッ!!!
一瞬の隙を涼真に突かれ、ボールを弾かれる。
涼真と徳山のディフェンスの前に苦戦し、大量得点はできず攻守どちらでも機能しているとは言い難い事になっていた。
そして…
吉村「おい!なんで俺の1on1のチャンス潰すんだよ?」
比田井「そりゃあんだけディフェンス固まってたら外の方がいいだろ?」
吉村「かといってインサイドどうにか出来なきゃ外も何もないだろ?」
比田井「外から1本でも決めてから言え!」
吉村「ああ!?」
そう、この2人、仲も悪い…。
更に言うと、2人とも中学途中からバスケを始め、ドリブルやシュートの技術こそ器用にこなすとはいえ歴も浅い為、バスケットIQもまだまだ高いとは言えない。
ディフェンスの拙さの一因もそこにある。
小学校どころか産まれてからずっとバスケットボールに触れてきた涼真や慎太郎とは容易に埋められない程の差がある。
いくら身体能力があり、肉体的に恵まれていても経験の差は簡単には埋まらない。
ブーッ!!!
途中、2人ともベンチに下げて明桜の5人で戦ったり、他のメンバーと入れ替えて立て直しを試みるも…
試合終了
神奈川 93
宮城 75
この日も超高校級の得点力を持つ涼真、櫻田が出場時間を他メンバーとシェアしながらもそれぞれ32点、29点の活躍。
また、仙台学院の2人は合わせて28得点。
2人合わせても櫻田1人の得点にも届かなかった。
また、この日の結果により男女とも8強が出揃う。
少年男女 A会場
第1試合 女子
Aコート 愛知 94 - 56 山梨
Bコート 神奈川 86 - 73 京都
第2試合 男子
Aコート 京都 112 - 75 高知
Bコート 神奈川 93 - 75 宮城
第3試合 女子
Aコート 福岡 78 - 72 千葉
Bコート 埼玉 66 - 68 東京
第4試合 男子
Aコート 滋賀 78 - 83 大阪
Bコート 愛媛 84 - 91 福井
少年男女 B会場
第1試合 女子
Aコート 北海道 74 - 80 静岡
Bコート 岐阜 82 - 67 広島
第2試合 男子
Aコート 福岡 92 - 82 長野
Bコート 東京 80 - 87 宮崎
第3試合 女子
Aコート 山形 70 - 72 愛媛
Bコート 長崎 63 - 81 大阪
第4試合 男子
Aコート 千葉 86 - 80 秋田
Bコート 新潟 77 - 98 愛知
髙木「今日は全員余裕持って出場できたからそこまで疲れてねえな」
中西「宮城は明桜と仙台学院の選手があまり噛み合ってなかったからな」
村越「シードは…秋田が千葉に負けたのが唯一か」
長崎「まあ千葉は優勝候補でもあるし、驚く程じゃないけどな」
新城「ああ。で、やはりと言うか…準々決勝の相手は予想通り福井が相手か」
真田「また北陵の奴らと戦うんすね」
翌日の日程(大会4日目)
少年男女 メイン会場
第1試合 女子
Aコート 神奈川 - 東京
Bコート 岐阜 - 大阪
第2試合 男子
Aコート 京都 - 大阪
Bコート 福岡 - 千葉
第3試合 女子
Aコート 愛知 - 福岡
Bコート 静岡 - 愛媛
第4試合 男子
Aコート 宮崎 - 愛知
Bコート 神奈川 - 福井
そして宿舎に戻り、福井のスカウティング。
福井のメンバー構成は大半が北陵の選手。
だがスタメンには筒井(#4)、三上(#5)、堂林(#6)、伊達(#15)の他に見知らぬ長身選手が。
背番号#12を着けたその選手、身長は筒井を優に超え、北陵の本来のスタメンである劉ほどもあるだろうか。
髙木「夏のベンチにはいなかったよな…こいつは…?」
新城「見た感じでゴツい…」
(技巧派の劉や伊達より横も厚みも遥かにぶ厚いな)
白石「この選手は福井県大会で準優勝の尚志高校のセンター・太田だ。
先程お前達より先にビデオを見させて貰ったが…どうやらこの太田をセンターに据え、伊達を4番で使っとるみたいだな」
一同「!?」
ドッガァァァアアアアアア!!!!!!
ビデオでは開始早々にボースハンドダンクを決める太田の姿。
唐沢「太田 弘明。206㎝、120キロの留学生や日本代表にも負けないフィジカルを持つ大型センターです。
インサイドに北陵の劉君が日本国籍を持たない関係で登録されていない中、夏に露呈したフィジカルの弱点を補うための人選でしょう」
織田(福井県の奴らはなんでこんなデカいんだ…?)
慎太郎(俺も福井県に産まれてれば…)
唐沢「特徴はその見た目通りの圧倒的なパワー。リバウンドやリムプロテクト能力はU-18の面々と比べても見劣りしない。おまけにまだ2年生。伸び代も持ってます」
涼真(豊誠学園にいた菊田みたいだな)
村越「どうする?こいつも脅威だが福井で1番の脅威と言ったらやっぱり…堂林だろ?」
阿部「スタメンのポジション的には櫻田がつく事になるのか…?」
長崎「いや、メンバーを変えて対抗してかないと櫻田だけじゃ厳しい相手かもしれねえぞ?現に夏は北条も1人でずっとマークできてた訳じゃないしな」
国体、いよいよ準々決勝。
……To be continued
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