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第3章 最初で最後の国体
第164話 国体開幕
しおりを挟む国体の練習最終日から1週間弱。
神奈川県国体、少年男女は星垓高校に集合していた。
星垓メンバーは男女とも居残り組が練習ついでに見送りに来ている。
そして、他校の居残り組もちらほら。
-湘洋大付属-
日下部「いつもは7、8人は見送るのに今回は徳山、平井、中西、織田の4人か…」
中西「まあそう言うな。神奈川のレベルが上がってきてんだって考えればいい事だ」
松本「頑張ってくださいよ?俺たちの代表なんすから」
徳山「任せろ」
-桐神学園-
新海「ちぇ…正直羨ましいぜ。俺は選考にすら呼ばれなかったからなぁ」
長崎「まあまあ…」
米田「俺たちの代表は2人か…全国ってやつを経験して俺たちにも教えてくれや」
青木「2人とも、勝つだけじゃなく無事に帰って来いよ。ウィンターカップ予選も近いんだ」
櫻田「…行ってきます!!」
-法帝大付三-
竹前「うちからは長谷川だけか」
大崎「今年は例年以上に層が厚いからな。1人選ばれただけでも上々さ」
長谷川(弟)「兄貴…」
長谷川(兄)「心配すんな。ちゃんとチームに貢献してくるさ」
-東裁大相模-
北田「俺たちの分まで暴れてこいよ、梅村」
梅村「はい!頑張ります」
椿「いいよなぁ…俺たちも涼真達みたいに招集されてればなぁ」
岸「俺はインターハイ予選も国体も怪我のせいで…」
北田「まあ、それはウィンターカップ予選で後悔させるって事で」
村越「そうだな。で、まずは秋の王者になって弾みをつけねえと」
阿部「そろそろ出発だ、バス乗るぞ」
-星垓-
星垓高校に集合だけあって、男女とも大勢見送りに来ている。
中澤「情けねえ試合はすんなよ?代表選手」
神崎「俺達の分まで頼みますよ」
新城「わかってるって」
矢島「留守は任せろ。ちゃんとレベルアップして待ってるからよ」
髙木「頼んだぜ」
武蔵「最初で最後の国体、悔いがないようにな」
涼真「ああ」
慎太郎「暴れてくるぜ」
大樹「いいよなぁ…俺達は少年国体は一生出る事はないもんな」
賢「まあまあ」
翔太「お前らに与えられた権利だ。情けない戦いだけはするなよ」
政史「負けたら俺を招集しなかったせいだぜ?」
宗平「それはない」
一同「「「うんうん」」」
政史「……」
春香「会場に応援には行けないけど、神奈川から応援してるね」
春香が空気を変えようと涼真に激励の言葉をかける。
涼真「ああ」
春香(ええ~?『ああ』って、それだけ?)
ちょっと不満げな春香。
美保「体調には気をつけてね」
慎太郎「わかってるって…母親かよ…」
美保「嘘ばっかり。いつも汗拭かないで着替えちゃうじゃない。もう夏じゃないんだから風邪ひくよ?」
慎太郎「ああもう、わかったって」
武蔵(どっちもどっちで難儀してるな…)
女バスのメンバーも声をかける。
小春「男子もがんばってね!目指すはアベックで上位だね!」
慎太郎「ちげーよ山浦。アベック優勝だ」
小春「言うねぇ~」
紗妃「相変わらずビッグマウス…」
(まあ、全国制覇経験してるし自信ない訳じゃないんだろうけど)
満月と涼真、ふと目が合う。
満月「あっ…」
なんと言おうとしてたのか頭から飛んでしまい、声を発せない満月。
涼真「…んじゃ、行ってくるわ」
スッ…
涼真、満月に拳を突き出す。
満月「…行ってらっしゃい!」
コツン
満月、拳をぶつける。
そして、涼真達を乗せたバスは、神奈川から大阪へ。
-秋の国体-
インターハイ、ウィンターカップと並び高校3大タイトルと呼ばれていた大会。
少年・成年の男女計4チームが、各都道府県の選抜チームで構成され、その県を代表するプレイヤー同士がぶつかり合うビッグタイトル
それが国体である。
だが近年、大きな変化が。
これまでの出場資格は
少年…高校1年生から高校3年生(18歳未満)
成年…18歳以上
となっていた。
だが、翌年からの新しい出場資格は
少年…中学3年生、高校1年生及び早生まれの高校2年生
成年…高校2年生以上
となる。
それに伴い、この年のように全県出場はなくなり、開催県と各ブロック(関東、近畿、北信越とか)を勝ち抜いた11チームの計12チームで日本一を争う事になる。
つまり、高校生全員が参加出来る国体は、この年で最後。
以後、来年度より国体は高校3大タイトルの1つではなくなる事となり、インターハイとウィンターカップの2大会が高校生の全国大会のタイトルとなる。
-翌日-
開会式も終わり、神奈川選抜は翌日戦うことになるチームの初戦を見ている。
試合開始前
三重 0
石川 0
平井「…ぶっちゃけ三重と石川ってどんなチームなん?全然知らないんだけど」
徳山「えーっと…」
徳山、パンフレットを取り出す。
徳山「三重はインターハイに出てきた十日市を中心にした3校混成のメンバー。対して石川は北陵学園の単独チームだ」
新城「両校ともそこまで強い印象はないけど…」
髙木「両方ベスト16に残ってないしそりゃそうだろ」
徳山「ふうん…でもこんな奴いたか?この10番」
新城「ん?」
一同、メンバー表を覗き込む。
長崎「10番…森田…泰登…2年生か…で、身長が…202㎝!?」
中西「俺と同じくらいか」
唐沢「石川の北陵学園はインターハイではそのセンターは怪我で欠場してましたが…その選手がいなくても前半まで愛和工業大附属相手にいい勝負してましたよ」
髙木「そうなんですか?」
ブーッ!!!
両チームの選手がコートに出てくる。
三重
#4 若宮 照 178㎝ 十日市 3年
#8 佐藤 祐希 179㎝ 長島 3年
#6 長野 伊織 184㎝ 桑名西 3年
#13 北畠 慎也 189㎝ 十日市 2年
#5 上原 昌樹 193㎝ 十日市 3年
石川
#5 鎌田 颯太 179㎝ 北陵学園 3年
#7 村井 貴生 182㎝ 北陵学園 3年
#6 本庄 正幸 185㎝ 北陵学園 3年
#4 武井 遥輝 188㎝ 北陵学園 3年
#10 森田 泰登 202㎝ 北陵学園 2年
新城「センターのとこ以外は似通った身長だな」
阿部「どっちも3年生が4人、2年生が1人、と。
それだけに、北陵学園単独チームの石川の方がチーム力は若干上かな?」
ビッ
レフェリーがジャンプボールをトス。
バシッ!!
高さで圧倒的に勝る石川・森田が叩き、石川ボール。
ビッ!
ビッ!
石川、ボールも人も止まらない。
いきなりの攻撃で三重メンバーはディフェンスが整いきってない。
バシッ!!
何度目かのパスで右ローポストで石川・森田が受け取る。
ダム!!
バスッ!!
その場でパワードリブルでディフェンスを押し込み、ゴール下を沈める。
第1Q 残り9:49
三重 0
石川 2
新城「流石に上手い。セットオフェンスで右サイドに大きくスペースを作って…そこに10番の1対1か」
平井「このマッチアップならあそこが1番確実に点を取れるから、って事だろうな」
長谷川「三重には見た感じ今出てるあのセンター…5番程のサイズの選手はもういない。多分徹底して狙われるな」
その言葉の通り、石川はインサイドのアドバンテージを徹底して突いた。
三重のインサイド陣も善戦したが、石川の森田相手にインサイドでファウルがかさみ
第1Q、残り2分には三重5番・上原が痛恨の2ファウル目でベンチに下がらざるを得ず、代わってマッチアップした2年生、北畠にもファウルが蓄積される事に。
※ファウルは5つで退場だが、1Q終わらないうちに2つもファウルしてしまった為。
石川はインサイドを森田のインサイドプレイで完全に支配し、森田は1Qで16得点を積み上げた。
これに対抗しようと、三重はゾーンディフェンスを敷き森田のインサイドを人数をかけて封じようとしたが…
スパァッ!!!
「今度は7番・村井のスリー!!!」
石川のシューター陣に外を決められる為、ディフェンスは外にも拡げざるを得ない。
そしてディフェンスが広がった所で、再び森田のインサイド。
三重は森田とシューター陣を同時に止められず、為す術なく大量リードを奪われた。
慎太郎「…強いな」
織田「インサイドも強力だが…外からは鎌田、村井、本庄の3枚のシューターだ。
武井も中外兼ね備えた器用なプレイヤーだし…」
梅村「フン!俺が出たらアイツは1対1で止めてやる」
櫻田「やれんのかぁ?」
(とは言え、そうしてもらわねえと困るな。ディフェンスが2人以上あの10番に引き寄せられるとローテーションでカバー出来ずスリーを打たれる箇所が出てくる)
涼真「サイズもあり、能力もあるが混成チームの神奈川と…単独チームで連携で優位に立つ石川…か」
ブーッ!!!!
試合終了
三重 59
石川 92
インサイドを支配した石川の10番・森田が38得点、20リバウンド、5ブロック。
神奈川選抜の初戦は、石川に決まった。
涼真「やっぱり、全国はおもしれえ」
(強い奴はまだまだいる。全員俺が倒す)
……To be continued
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