BUZZER OF YOUTH

Satoshi

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第2章 インターハイ〜

第153話 試合終了のブザー

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タイムアウトがあけ、星垓ボールからスタート。










新城がフロントコートのスローインラインからボールを入れ、慎太郎がボールを受ける。










村上「さあ、勝負だ」





山下「ものすごく濃い57秒になりそうですね!」












慎太郎には、笹本がマーク。









新城には塚森が目を光らせる。








髙木と大谷はインサイドで動き、ポジションをうかがう。











慎太郎と逆サイドにいる真田には高松が目を光らせる。











そして涼真は、田村の厳しいマークにあっている。











-先程のタイムアウト、洛阪ベンチ-










吉永「相手はおそらく、リスク承知で攻めてくる。負けているうえに2ゴールが必要。となると…」







塚森「最初の1本は時間をかけずに攻めてきて、24秒うちの攻撃を凌いで逆転を狙う、と」







吉永「そうだ」







高松「それなら、最初の1本は確実に取りたいだろうからおそらく2点を狙ってきますよね?」



吉永「そうだな…となるとまずはインサイドの髙木か当たっている北条の1対1か…」



大谷「髙木が大人しいですからね、北条を囮にしてゴール下ってのも警戒しないと」




吉永「かと言ってその裏をかいてアウトサイドの可能性も捨てきれない。シューターの9番真田、さっき思い切りのいいシュートがあった11番中山も警戒しとけ」





笹本「はい!」



高松「了解です」






塚森「4番新城も打ってくるかもしれませんね」









吉永「うむ。だが1番要注意なのはやはりあの1年…北条だ。4ファウルだの言ってる場合じゃないぞ、田村」







田村「はい…!!」







-場面は戻り-






洛阪、オーソドックスなマンツーマンだがプレッシャーはいつもより強い。









慎太郎(参ったな…隙がねえ)









バチン!!










笹本「余所見とは余裕だな」











笹本が慎太郎の持つボールを叩いた!!










塚森「ルーズ拾え!!」






ボールに近いのは当事者の慎太郎と笹本。








弾いた分、笹本の方がボールに近い。







笹本「速攻!!」







笹本、ボールを拾いつつ走ろうとする。









だが、そこに



















慎太郎(諦めてたまるか!!!!)












慎太郎「おおおおおお!!!!」













バチッ!!










慎太郎がダイブしながら笹本の手に収まりかけたボールを弾く!






笹本「!?」





塚森「なっ!?」










ボールは弾かれ、近くにいた新城がボールを拾う。










新城(時間は…?)






新城が一瞬電光掲示板を見る。



第4Q 残り46.4

洛阪    101
星垓     97









そして24秒タイマー、残り13秒。













新城(打つしかない!)





丁度スリーポイントライン付近。












新城、スリーポイントを構える。












塚森「打たすか!!!」










ドンピシャで塚森のブロックが飛んでくる。















ビッ!!









新城、冷静に右45°にパス。























慎太郎「ナイス!!」










そこには慎太郎。
ダイブの後、いち早く起き上がり動いていた。










ボールを失い、何が起こったか理解の追いついてない笹本は、慎太郎をフリーにしていた。











高松「まずい!止めろ!」










速攻に走り出そうとしていた洛阪メンバー、ディフェンスが混乱し乱れている。
















ビッ!!!














慎太郎、ゴールに向けてボールを放つ。
















高松「逸れてるぞ!!」






塚森「リバウンド!!」
















高松「…!?」










気づいたのは、高松だけだった。


















逸れている…?


















田村「!!!」
(しまった!!!)











他のメンバーが気づいた時には、ゴール下で舞う星垓の背番号10。














ドッガァァァアアアアアア!!!!!
















涼真、両手でボールを掴み、ボースハンドでスラムダンク!!!









第4Q 残り42.0

洛阪    101
星垓     99













星垓メンバー「「「きたあああああああ!!!!!!!」」」













2点差に詰める1発。






しかも、チームが勢いに乗りやすいダンク。















洛阪メンバーのディフェンスの混乱の隙を突き、慎太郎がシュートを放ったと思われた。













涼真だけが、慎太郎の意図を察していた。












小学校から続くホットラインの真骨頂。











新城「さあ!ここは守るぞ!!!」











星垓メンバー「「「ディーーーフェンス!!!!」」」





ガンガン!!







星垓メンバー「「「ディーーーフェンス!!!!」」」








ガンガン!!














星垓メンバーの必死の応援の声が響く。













ベンチだけでなく、観客席の星垓関係者もベンチと同じく応援。










塚森「1本だ!」











慎太郎のマークを受けつつ、塚森がボールを運ぶ。













慎太郎(落ち着いてやがる…流石に高校屈指のガードだ…ミスは期待できないな)










プレッシャーをどれだけかけていても塚森は冷静にボールをキープしつつ運ぶ。











塚森「ホーンズ!!」










塚森の声で、洛阪メンバーが即座にホーンズのセットオフェンスの位置に。











外せない1本だからこそ、いつもの1本で来た。













星垓もゾーンは既に敷いていない。










塚森に慎太郎


笹本に新城


高松に涼真


田村に真田


大谷に髙木






というマンツーマン。









塚森、サインを出す。










そして即座にハイポストにパス。









ハイポストで高松が涼真を背負いボールを受ける。








ダム!!










高松、涼真相手にパワープレイ。









涼真「ぐぅっ…」













涼真、耐えるも押し込まれる。










後ろで真田がヘルプに備えた瞬間

















ビッ!!














高松、真田が田村を一瞬見失ったのを見逃さずローポストにパス。











ハイポストからローポストにパスする「ハイロー」のプレイ。








最もオーソドックスな攻め方で来た。








真田、慌ててディフェンスに行くも195㎝の田村に対し、真田は183㎝。











ダム!!!









田村も真田を押し込む。












そして即座にターンし、真田に身体を預けながらシュート。







ヘルプディフェンスも間に合わない。







髙木(くそ…)










新城(やられた…)
















しかし、ここで誰も予期しなかった事が起きる。






真田「ぐへっ…」








田村の体重を支えていた真田が、耐えきれず転倒。











田村「!?」











真田に体重をかけていた田村、これでバランスが崩れる。














結果






















ガン!!!















塚森「!!!」







高松「!?」








大谷「な!?」














バランスを崩したゴール下のシュートが、リングに弾かれた。

















リバウンドは…















髙木「っしゃあ!!!」














大谷がシュートが外れた事に驚く中でリバウンドに備えていた髙木がキャッチ。















第4Q 残り32.8

洛阪    101
星垓     99











「おおおおおおおおおおお!!!!!!」






「洛阪の攻撃を止めた!!!」





「星垓、同点または逆転のチャンス!!!!」












星垓応援団、ベンチが歓声を上げる。










観客が、奇跡を予感し絶叫する。











髙木から慎太郎がボールを受け走る。










ビッ!!










そしてボールは、いち早く前線を走っていた涼真へ。













吉永「止めろ!早めに止めろ!!」












中央を涼真がドリブルしつつ走り、右サイドに真田、左サイドに慎太郎が走る。










ディフェンスに戻っているのは、高松と塚森。







そして少し遅れて笹本。















吉永「よく戻った!!」
(あいつらなら止める!)













涼真、笹本にマークを受ける。










高松「…!?」











涼真、笹本とは距離があるが1対1の構え。









左サイドをチラッと見た後











ダム!!










笹本相手に1対1。













ビッ!!!












涼真、シュート。



















…と見せかけ、スリーポイントライン付近で待つ慎太郎へパスを送る。

















慎太郎「よし!」
絶対ぜってー決める!!!)






だが











バチン!!!


















涼真「!!!!!!???」










慎太郎「!!!!!!!」














慎太郎の手に、ボールが収まる事はなかった。





















高松「残念だったな、北条」
















ボールを弾いたのは、高松だった。












慎太郎が先程のようにダイブするも、高松は身体でボールを守り、奪わせない。










高松、その勢いのままボールを拾い










星垓のディフェンスのいないゴールへ猛スピードでワンマン速攻。

















星垓メンバーがゴール下に追いつく頃には、高松は宙を舞っていた。

















ドッガァァァアアアアアアアアアアアア!!!!!















高松のワンハンドのスラムダンクが炸裂!!










第4Q 残り26.7

洛阪    103
星垓     99












涼真「4点差…」
(や…やっちまった…)













ボールを受け、中央を走る涼真












だが、度重なるパワープレイを受け、全力で走り、跳び









涼真はもう、限界だった。












最後のアリウープダンクの時点で、涼真は走ったりドリブルするだけで精一杯になっていた。









なので最後の攻撃、涼真ははなから囮になるつもりだった。












慎太郎も最後の攻撃の時点でそれはわかっていた。

だから最初から途中で止まり、スリーポイントライン付近で待っていた。













そして、これに気づいていた選手が洛阪に1人だけいた。













それが高校No.1の実力と経験を持つ高松だった。












涼真の動きのぎこちなさで涼真の限界を悟り










慎太郎がスピードを緩めたのを見てパスが行くと読み













後はパスが放たれたタイミングで飛び込み、ボールを奪い去る。
















もしも涼真が自分の力で1対1を仕掛けていたならば、結果は違っていたかもしれない。









呆然とする涼真。





バシッ!





そこに新城が後ろから涼真の背中を叩く。








新城「切り替えろ!勝負はまだ終わってねえ!」












星垓、洛阪共にタイムアウトは残っていない。








そして、最後の星垓のオフェンスは














新城が点差を詰めようと放ったスリーポイントが残り3秒でリングに弾かれ















リバウンドを両チームの選手が争う中


























ブーッ!!!!!!!










無常にも試合終了を告げるブザーがなる。






















試合終了

洛阪    103
星垓     99



















涼真が星垓高校バスケ部に入部して初めての全国大会は












ベスト4で挑戦を終えた。


















全国制覇は、果たされなかった。






























……To be continued
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