BUZZER OF YOUTH

Satoshi

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第2章 インターハイ〜

第117話 バスケットという名の青春

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涼真のフリースローが決まり、3点差に開いた。











第4Q 残り1:12

舟栄    71
星垓    74












山下「舟栄はどう攻めてくるでしょう…やっぱり3点攻勢ですかね?」









村上「それはないな。残り1分以上あるし、舟栄はじっくり時間を使っても2回は攻撃できる。
より確実に2点取る攻撃を2回して、その間星垓に1点も取らせない作戦だろう」






山下「星垓の勢いを考えたらむしろ後者の方が難しいんじゃ…」






村上「そうだな。だが舟栄にも霧谷という切り札がある。伊達に高校3大プレイヤーと言われてない。
ディフェンスが全部失敗してる訳でもないし、星垓有利とはいえまだわからんぞ、この試合」










近藤「さあ行くぞ!」











舟栄、展開を速くする。









ビッ!











ビッ!













ボールが動く度に星垓のマッチアップゾーンも動く。








ビッ!!








ボールがローポストに入った。












そこには、新城を背負った岩倉。










髙木「岩倉が…?」












神崎「なんでそこに…」











岩倉はパスの後、霧谷をウイングに上げるためにダウンスクリーン。










新城のいるサイドのローポストでポストアップ。











岩倉、パワードリブルを1度つき、ゴール下に近い位置でシュート。












新城「ぐ…!」















バス!!








第4Q 残り58.7秒

舟栄    73
星垓    74















舟栄メンバー「「「よぉーし!!」」」











「ディフェンス!絶対取らせんな!」












岩倉「当たれ!!」












舟栄、捨て身のオールコートプレス。













新城「1-2-1-1だ!」
(どうする…慎太郎に任せて大丈夫か?俺が運んだ方が…)









ビッ!











涼真、構わず慎太郎にボールを入れる。










慎太郎、すぐさま近藤と本庄のダブルチームに捕まる。











新城「慎太郎!!」








と、そこに涼真がフロントコートに上がっていく。








涼真「大丈夫っす。それよか慎太郎が抜くスペース無くなるんで上がっちゃいましょう」







新城「へ…?」













フラッシュでボールを貰いに来た髙木も怪訝な顔。










涼真、両手で「(フロントコートへ)上がれ」のジェスチャー。











新城、髙木、神崎ともフロントコートへ上がる。








ダダム!!






慎太郎、レッグスルー。







ダム!!!









慎太郎は本庄のいるサイドを一瞬で抜く。












近藤「!!!」




本庄「ぐっ…!!」










慎太郎(悪いね、オールコートマンツーマンならまだしも、ダブルチームなんて片方がもう片方の邪魔をしてかえって抜きやすいんだよね…
フォワードタイプのプレイヤーばっかなのが運の尽きだよ)








ダムッ!!








慎太郎、続く岩倉もレッグスルーからのロールターンのコンボで抜き去る。












新城「おおお…」
(普通プレスってパスワークで攻略するだろ…!しかも全国でも上位レベルの舟栄のそれを単独突破でだと!?)















慎太郎、僅か4秒でフロントコートへ。













満月「さすが!星垓のスピードスター!」









だが速攻には至らず、ハーフコートマンツーマン。












慎太郎(さてどうする…ディレイドで時間を使うか…思い切って攻撃して攻撃回数を増やすか…)









慎太郎、タイマーを見る。







第4Q 残り51.6秒

舟栄    73
星垓    74

(24秒タイマー残り17秒)








慎太郎(仮に24秒使っても残り34、5秒…攻撃チャンスが少なくとも1回、タイムアウトは2回残ってる…時間を使おう)












慎太郎、掌を下に向け「落ち着こう」のジェスチャー。










髙木「マジかよ」
(ディレイドか?)









新城「いや、いい判断だ」
(タイムアウトも残ってるしな)









そして、24秒タイマー残り10秒(試合残り時間約44秒)、慎太郎が仕掛ける。











バッ!!








その瞬間、舟栄のディフェンスのプレッシャーが強くなる。








慎太郎「!!!」











慎太郎、咄嗟に近藤をドライブで抜く。











近藤「まだだ…!」
(諦めるな…諦めるな!!!)













慎太郎、他のディフェンスがヘルプに来た瞬間パス。














バシッ!!











慎太郎「!!!!!」













後ろから手を伸ばした近藤がボールを叩いた。












ダム…ダム…








ボールは誰もいない所へ転がる。










岩倉「ルーズ!拾えええええ!!!!」











バチィッ!!










慎太郎と近藤の両手がボールを弾く。










バチッ!!









涼真と霧谷の手もボールを弾く。















24秒タイマー残り1秒


















ボールはコートの外へ。












ピッ!!!










「「「「マイボール!!!!!」」」」










両チームの選手が一斉に手を挙げる。















審判「舟栄ボール!!!!」











舟栄メンバー「「「っしゃあああ!!!」」」










舟栄、星垓を止めた。











第4Q 残り35.5秒

舟栄    73
星垓    74











舟栄に逆転のチャンス。














唐沢「……」










中澤「先生!ここはタイムアウトじゃ…」










唐沢「取りません」









矢島「何故…!?」











唐沢「ここでタイムアウトを使うと、相手に攻めるための作戦タイムを与えるのと同じです。まだ逆転された訳じゃない」








中澤&矢島「「……」」














唐沢「信じましょう」
















近藤「1本!」











星垓はマッチアップゾーンで待ち構える。









霧谷「こっちだ!!!」








霧谷、新城のいるサイドでポストアップ。










近藤「頼む!!」










ボールが霧谷に入った。










ダム!!









霧谷、パワープレイで押し込む。













バチィッ!!!













ピピーッ!!









霧谷「!?」








霧谷のボールが弾かれ、それと同時にファウルのコール。













審判「ファウル!白8番神崎!!」














神崎「おっけーおっけー」










神崎が手を挙げている。












霧谷「くっ…」
(チームファウルに余裕があるからインサイドプレイをファウルで封じてきやがった…!)










これにより、24秒タイマーは14秒を切っていた為、14秒にリセット。














第4Q 残り22.7秒

舟栄    73
星垓    74










山下「得点させずにタイマーを13秒も減らした…」







村上「神崎…やはり上手い。今のはナイスファウルだ。
あのままならば決められていた可能性が高い。ファウルの数を意識して故意にファウルしていった…タイマーを減らしてオフェンスを仕切り直さなければいけないだけでも舟栄には辛い」







唐沢「ふむ…」












唐沢、ベンチから立ち上がる。












唐沢「新城君!!」









新城「!」










スッ…









唐沢、親指と人差し指の指2本をクルクル回し「チェンジ」のジェスチャー。











新城「わかりました」









新城、周りともアイコンタクト。












岩倉がスローイン。











岩倉「!!!」









岩倉、気付く。









岩倉「マンツーだ!マンツーに戻ってるぞ!」










星垓、この土壇場でマッチアップゾーンからマンツーマンディフェンスに。











岩倉、近藤にボールを入れる。









慎太郎(きっと霧谷さんでくる!)










慎太郎、霧谷の位置を把握しパスコースに手を出す。











だが近藤、霧谷を見ていない。











慎太郎(エース霧谷で勝負じゃないのか…?)








慎太郎、通常のディフェンスに戻る。















ビッ!!










慎太郎「!!!」










その瞬間、近藤は霧谷にパスを通す。











慎太郎「なんちゅうこすい…」






近藤(霧谷に渡せれば何でもいい!託したぞエース!)










霧谷「勝負だ、北条」









涼真「望むところですよ」












霧谷&涼真((これが最後の1対1だ!!!))











ダム!!!







霧谷、小細工無しでスピードもパワーも全て乗せたドライブ。








涼真、必死でついていく。












ダッ!!!













霧谷、そのまま跳躍。







1on1からフェイダウェイ。








涼真も同時に跳躍。












霧谷「勝つ!絶対ぜってー勝つんだ!!」









涼真「ぐ!」











僅かに霧谷の持つボールに届かない。














霧谷「くっ…」
(高けえ…)











霧谷、ゴールが見えず身体を空中で流し、ボールをリリース。
















チッ…


















霧谷「!?」














霧谷のシュートの起動が変えられる。













霧谷「神崎!?」












霧谷の横で神崎も跳んでいた。














通常ならば神崎も霧谷のシュートに届かなかった。










だが、霧谷は涼真の高いブロックでゴールが見えず、身体を横に流した。












結果、神崎がギリギリ触れられる状況ができた。












起動が変えられたボールを髙木が取る。


















第4Q 残り10.1秒

舟栄    73
星垓    74














岩倉「当たれ!奪え!何でもいい!」












髙木「新城!」










新城がディフェンスに囲まれかけた髙木からボールを受ける。











新城「涼真!!」












涼真がフロントコートでボールを受ける。











舟栄メンバーが死にものぐるいでディフェンス。













涼真は慎太郎へパス。











慎太郎は、フロントコートに上がってきた新城へ。














「「「5!4!3!」」」

















ピピーッ!!













ファウルでようやく時計が止まる。




















第4Q 残り2.5秒

舟栄    73
星垓    74


















ファウルした岩倉が手を上げる。















星垓メンバー「「「っしゃあああああ!」」」









「霧谷止めたあああ!!!」











チームファウルにより、新城のフリースロー。


















ピピーッ!!















オフィシャル「タイムアウト!星垓!!」












星垓ベンチ、全員が叫びながら試合を戦うメンバーを迎える。













唐沢「よく戦いました…素晴らしいゲームでした。味方も、相手舟栄も」








唐沢、続ける。










唐沢「やるべきことは、わかってますね」











星垓メンバー「「「はい!!!」」」









唐沢「ではもう何も言いません、集中だけ切らさないように」















-一方、舟栄ベンチ。









最後の最後で勝利がすり抜けていった絶望。









もうここからの勝利は99%有り得ない。











誰も言葉を発しない。









佐藤監督ですら絶句し、何も話せない。











霧谷「ふぅ…強かったな、星垓」









岩倉「お前、何を…」










霧谷「ぜーんぶ出し尽くしたわ、ほんと。
でもすまねえ、最後止められちまったし結果勝てんかったわ」










霧谷、頭を下げる。







近藤「霧谷…お前…」






岩倉「…何でお前が謝んだ」






永島「そうだぜ、お前が俺たちをここまで連れてきたんだろ」











霧谷「でもな、タダで負けるつもりもない」







本庄「ブザビ、狙っちゃいます?」
※ブザービーター









霧谷、ニヤリ。



霧谷「俺はお前らをここまで連れてきてなんかねえよ。俺こそお前らに支えて貰って、お膳立てしてもらってエースとしてプレイしてる。
そうでなきゃ俺なんてタダのサボり癖のあるムラっけ野郎だぜ?」










霧谷、立ち上がり誰よりも先にコートへ。














霧谷「試合終了のブザーが鳴るまでバスケットっていう青春は終わりじゃねえんだ。最後まで前のめりで突っ込んでやらぁ」








霧谷「…」
(ちくしょ…あんな事言っといて情けねえ…涙が勝手に…)







霧谷、ゆっくりとコートへ。







霧谷(やべえ、進み続けてなきゃカッコつかねえじゃんかよ…)











バシッ!








霧谷「!?」









背中を叩かれた。4回も。









他の4人が霧谷を追い越していく。






岩倉「お前1人で戦わせやしねえよ」




永島「点は取れねえ止められねえ、情けねえチームメイトだけどちっとくらい頼れよ」





近藤「俺達が支えるからよ、しゃんとしろやエース」




本庄「はお任せを~」





霧谷、涙が引っ込む。







霧谷「アホタレ共…」


















次回、インターハイ3回戦クライマックス。














……To be continued
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