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第2章 インターハイ〜
第115話 まだこれから
しおりを挟む第4Q 残り3:57
舟栄 67
星垓 67
慎太郎、バックコートから近藤にべったりと張り付く。
近藤「ここでフルコートか…」
近藤、ドリブルでかわそうとするが慎太郎は離れない。
もたついてる間に時間が過ぎていく。
霧谷「寄越せ近藤!」
霧谷、フロントコートから戻ってくるフラッシュの動き。
霧谷「…ん?」
(北条はフラッシュしてもフロントコートに留まったまま…?)
霧谷、ボールを受けてフロントコートへ。
8秒ギリギリでフロントコートに入った舟栄。
霧谷、岩倉へとパス。
新城「マークオッケー!」
慎太郎、近藤がフロントコートに入ってもべったりとついている。
岩倉「永島!」
右ローポストの永島がボールを受ける。
霧谷「ヘイ!」
ハイポストに走り込んだ霧谷、ボールを受けシュート。
マークする涼真もチェックに跳ぶ。
ガッ!!
リングの奥を弾いて外れる。
バシッ!
涼真がリバウンド。
霧谷(チッ…パスはさっきまでよりスムーズに回ってたけど…)
近藤(ナンバープレイどころじゃなかった…まさかフルコートで当たってくるなんて)
涼真「行くぞ慎太郎!」
慎太郎「ああ。1本きっちり!」
涼真(見逃すなよ?慎太郎)
涼真、目でアイコンタクト。
慎太郎も返す。
慎太郎(あたぼうよ。いくぜ相棒)
涼真、コートを縦横無尽に走り回る。
霧谷「逃がさねえよ!」
霧谷もそれを追う。
慎太郎、新城とスタックアウトの動きでパス交換しつつチャンスを伺う。
近藤(こいつがパスでリズムを作ってるのはわかってる!だからこいつを自由にはさせない!)
近藤、積極的に手を出し慎太郎にプレッシャーをかける。
だが、慎太郎はそんなプレッシャーなど何処吹く風でボールコントロール。
近藤「ほう」
(なら嫌でも焦ってもらおうか)
バッ!!
近藤、慎太郎が持っているボールを深くまで追って叩こうとする。
慎太郎、自然な動きでバックロールでかわす。
近藤「かかったな!」
近藤、バックロールでかわした先を先程よりも踏み込んで狙う。
バシッ!
手にボールが当たった。
ボールがこぼれる。
慎太郎「チッ…」
尚も捨て身で取りにきた近藤に対し、慎太郎も倒れ込むようにしてボールキープ。
山下「近藤君…霧谷君本庄君の影に隠れてはいますけど全国レベルの強豪のガード、目立たないだけでああいうプレイもできるんですよね」
村上「霧谷に頼りがちだったが…舟栄メンバーも動きがよくなってきてるな。
さっきのオフェンスが相変わらず拙かったのが気になるが…」
第4Q 残り3:21
舟栄 67
星垓 67
近藤「ほら、24秒残り少ないぜ」(残り6秒)
慎太郎「関係ないね」
ビッ!!
慎太郎、片膝立ちで床に置かれていたボールを不意に手に引っ掛け、ぶん投げる。
飛んで行った先は、リングの左下。
そこには…
ドガアアアアアアアア!!!!
右サイドから切り込み、霧谷のブロックをリングを利用して空中でかわした涼真が、バックダンクをワンハンドで叩き込んでいた。
第4Q 残り3:19
舟栄 67
星垓 69
星垓メンバー「「「っしゃああああああ!!!!」」」
星垓、ついに逆転。
慎太郎「ナイス」
涼真「ボール弾かれた時は引っぱたいてやろうかと思ったけどな」
バチン!!
涼真と慎太郎、ハイタッチ。
新城「ディフェンス!」
星垓、ハーフコートまで全員引いている。
近藤「なんだ?」
岩倉「フルコートじゃないのか?」
霧谷「1-3-1ゾーン…?」
前列に慎太郎。
2列目左に新城、中央に涼真、右に髙木。
最後尾に神崎。
村上「これはまた…」
(北条の守備範囲を買って中央、神崎が司令塔として最後尾か。悪くない)
近藤「1-3-1だ!落ち着いて攻めよう」
違った。
バッ!!
フロントコートに入った瞬間、慎太郎が猛烈なプレッシャーを近藤にかけてくる。
近藤「うおっ!」
星垓メンバーは、近くの舟栄メンバーと近藤とのパスコースを遮断するようにディフェンス。
岩倉「これは1-3-1のマッチアップゾーンだ!!」
唐沢「まずは作戦成功ですね」
-インターバル-
唐沢「ああそうだ、中山君」
慎太郎「は、はい?」
唐沢「君はタイムアウト後の最初の1回だけ、ボールを運ぶ近藤君にフルコートで当たってください」
慎太郎「ええ!?」
唐沢「プレッシャーをありったけかけ、スティールもガンガン狙って構わない。彼が嫌がり、ボールを話してもそのままフェイスガード。
そしてボールを離させたらそのオフェンスでは何があってもボールを持たせないで」
慎太郎「わかりました」
(先生の言う事だ、無意味にこんなことする訳ない)
唐沢「それに伴い、最初の1回だけは全員あれもやらなくていい。相手の2回目のオフェンスからハーフコートで待ち構える代わりに…」
-マッチアップゾーン-
星垓メンバーの足がよく動く。
近藤、パスを出すこともままならずドリブルでのボールキープで精一杯。
近藤(やべえ、ナンバープレイを使おうにもパスが通しづらいこのディフェンスの前だと個人技の方がいいくらいだ!)
-観客席
満月「いいぞー!慎太郎君!」
春香「でも慎ちゃんって何であんなにディフェンスで貢献できるんだろう…ちっちゃいんだからみんな慎ちゃんを狙って押し込んで来そうなのに」
奈津実「いや、小さい選手だからって不利なことだけじゃないのよ」
優花「中山君、大きい相手の懐に飛び込んで自由を奪って、パワープレイにそもそも持ち込ませない守り方してるもんね」
奈津実「大きいプレイヤーからするとああいうの結構嫌なもんよ」
優花「北条君もセンターやパワーフォワードで守る時やってるしね、そのやり方」
春香「そういう物なんだ…」
美保「でも中山君と北条君よく1on1してるけど、北条君にディフェンスする時にやってるの見たことないよ?」
紗妃「そうなの?」
満月「多分、2人ともお互いを高め合う為だからだよ。北条君は勝つってわかってるパワーや高さで勝負しないし、中山君も正々堂々スピードとかテクニックで勝負するって事」
小春「ほっほ~う満月、流石よく北条君を見てるねぇ」
満月「…怒るよ?」
小春「はいはい、ごめん」
春香(美保もいつも悪態ついてるくせに中山君の事よく見てるよね、あんなこと気付くなんて。
まあ、怒られそうだから言わないけど)
-コートでは
近藤「永島!」
なんとかハイポストの永島にボールを入れた近藤。
永島の背後には涼真。
永島(どうする…今の北条にはパワープレイだろうとまともに勝負にいったら勝てない…)
マッチアップゾーンでパスコースは切られている。
ビッ!
本庄が一瞬マッチアップゾーンのマークを振り切ったのを見てパスを出す。
岩倉(パスがワンテンポどうしても遅れる。ナンバープレイでのセットオフェンスは厳しい…でもどうしたら…)
本庄、ミドルシュート。
岩倉「!?」
(大事に行けって…!)
ザシュッ!!
岩倉「!!!」
第4Q 残り2:58
舟栄 69
星垓 69
岩倉「本庄、お前状況わかって…」
本庄「わかってますよ?でも24秒残り少なかったし、ディフェンスもパスコースを消すの優先しててシュートへの警戒薄かったですし。
そりゃ空いてたら打ちますよ」
霧谷(確かに)
本庄「相手が単調なオフェンスに持ち込ませたいなら、それを逆手に取るのもアリなんじゃないっすか?
俺や霧谷さんも数回止められただけでまだ勝負できますよ」
岩倉「本庄…」
本庄「岩倉さんも点取りにいっていいんじゃないっすか?
キャプテンとして潤滑油になるのはいいっすけど、中学の時はスコアラーだったでしょ?」
※余談だが岩倉と本庄は同じ中学出身。
岩倉「わかった」
舟栄メンバー、ディフェンスへ戻る。
岩倉「まだ試合は、これからだよな」
……To be continued
応援ありがとうございます!
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