BUZZER OF YOUTH

Satoshi

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第2章 インターハイ〜

第113話 究極のコンビプレイ

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ダム!!


















バス!!












舟栄のスローイン後の攻撃。











霧谷がパワーレイアップで力強くレイアップを決める。











第4Q 残り8:32

舟栄    57
星垓    46








岩倉「おお…」
(第3Qのラストあたりからすげえ集中力…これが霧谷の本当の姿か…)












ついに2桁差がついた。









観客席ではこの時点で舟栄勝利を確信し、次の試合に興味が移り始めるも










コートで戦っている者達は感じていた。










「何か」が起こるなら、これからだと。













霧谷(決めはしたが危なかった…北条のやつ…さっきまでとプレイに対する反応速度が段違いだ…)










新城「1本行くぞ!」










涼真、髙木のスクリーンを使い左ウイングでボールを受ける。








そこへ新城がパス&ランで涼真から手渡しでボールを受ける。







村上(スタックアウト…あくまでチームで点を取りに行くのか)








ポップした涼真、トップオブザキーで霧谷と対峙する。









髙木は左ミドルポストにいるが、スタックアウトの起点になるはずだった新城も中には切れこまず左ウイングに留まっている。











永島「霧谷!」







髙木、涼真へスクリーンの構え。









だが、スクリーンの構えを見せたのはほんの一瞬。
すぐにロールしてややエルボー気味に。









霧谷(中を空けてきた。って事は…)








ダム!!!!!









涼真、再び小細工無しのドライブ。









霧谷「く…!」
(完全に1on1ってわかってたのに…1歩目が既に最高速に近い速さだ…!)








霧谷、並走するのがやっと。















ダン!!





涼真、シュートを打たんと跳ぶ。











霧谷も跳ぶ。









高さとパワーなら霧谷の方が上。








レイアップに来ようとダンクに来ようと叩き落とす自信はあった。










だが。













霧谷(こいつ…ボールを持ってねえ…)











涼真、跳んだ一瞬でビハインド・ザ・バックパス。










バシッ!












髙木「ナイスパス!」











逆サイドのゴール下で髙木がノーマークでボールを受けた。












スクリーンの構えを見せた後、エルボーで上手くロールし涼真の動きに合わせていた。












ドゴオオオッ!!!










ボースハンドダンク炸裂。
















「あの1年北条、すげえパスだったな…」




「霧谷に向かってくだけはあるよな」













涼真「ナイス」









髙木「よく見てたな」

















唐沢「ふむ…」









唐沢、ベンチを見る。











唐沢「中山君」








慎太郎「はい」







唐沢「次、タイマーが止まったら真田君と交代です。マッチアップは新城君が4番岩倉、君が6番近藤です。北条君が今、霧谷君との戦いの中で調子を上げようとしています。
君の役割はその北条君の調子を可能な限りまで引き出す事です」






慎太郎「はい!!!」










慎太郎、ベンチの隅でウォームアップを始める。

















-観客席-









春香「あ!」




美保「中山君…」









満月「ウォーミングアップしてる!交代で出るのかな?」








優花「さっき美保ちゃんが言ってたようにやっぱり北条君かな?」







満月「多分ね」
(2人とも頑張って!)















ピピーッ!












審判「オフェンスファウル!青11番本庄!」













霧谷「く…」
(本庄、焦ってスクリーンで動いちまってイリーガルスクリーンかよ…)















ブーッ!!








オフィシャル「メンバーチェンジ!星垓!!」











慎太郎「真田先輩!」











真田「おう」














慎太郎「新城さん」










新城「わかってる、マークチェンジだろ?」










慎太郎「あと、ゲームメイクは俺がするんでウイングからチャンス作ってください」











新城「おう、任せたぜ」














星垓のオフェンス。










慎太郎「1本!」










涼真、慎太郎にスクリーン。










慎太郎「慌てんなって」
(ボール欲しいからって、ピックアンドロールなんか独断で仕掛けてきやがってまったく…)











ビッ!!







ピックアンドロールではなく、ピックアンドポップからアウトサイドの涼真にパス。









霧谷「また1on1か!」












違った。























ビッ!














霧谷「!?」













涼真、スリーポイントシュート。















永島「よし!リバウンド!」
















今日はアウトサイドが両チーム入ってない。
その事を考えればリバウンド前提なのも致し方なかった。












スパッ!!!









リングにかすりもせず、ネット中央を射抜く。






永島「何?」
(シュートタッチが…)





岩倉「くっ…」
(よりによって乗せちゃいけないやつに…!)













-観客席


美保「やっぱり中山君がいると北条君も生き生きするね。
外のシュートも思いっきり打った感じがするし、精神的に違うのかも」

















慎太郎「ナイッシュ」











涼真「だったからな」














山下「北条君はやはり中山君がいると調子が上向きますね。ミニバスからのチームメイトだからでしょうか」










村上「いや…」









山下「え?」








村上「やっと謎が解けた。そういう事か…」








山下「???」





















第4Q 残り7:49

舟栄    57
星垓    51









続く舟栄のオフェンス。











ダム!!








霧谷、抜ききれずパワープレイに持ち込むも涼真が必死の形相で耐え押し込ませない。









霧谷「チッ」









やむなく外の近藤にボールを戻す。












「近藤!時間ない!」









近藤、時間ギリギリでミドルシュート。










バスッ!!










バックボードに当たって軌道修正され、なんとか決まる。








第4Q 残り7:26

舟栄    59
星垓    51








続く星垓のオフェンスは




慎太郎と新城のパス交換からスペインピック。










だが、ポップした涼真がそのまま慎太郎にスクリーン。









新城、慎太郎にパス。









慎太郎、そこから得意の右コーナーに開いた涼真にパス。










霧谷「来い!」








ダム!









涼真、ドライブを仕掛ける。









霧谷が1歩反応したその瞬間、バックステップ。
スリーポイントラインの外に出る。














ビッ!!










涼真、再びスリーポイント。




















スパッ!!!













またしてもリングにかすりもしないシュートが決まる。















第4Q 残り7:11

舟栄    59
星垓    54













岩倉「連続でだと?」
(急にシュートタッチが劇的に良くなってやがる…!)














涼真「先輩」









新城「ん?」










ディフェンスに戻る途中、新城に一言。












涼真「シュート入らないなんて気のせいっすよ。あんなの流れのせいです。ガンガン打ってきましょう。
外しても俺も神崎さんも髙木さんも取りますし」








新城「お、おう…」
(涼真こいつ…こいつもゾーンに入ってやがるな…)












次の舟栄のオフェンス。






ガン!







霧谷「うらぁ!」







本庄が神崎を押し込んで打ったシュートがリングに嫌われるも






オフェンスリバウンドを取った霧谷がゴール下で涼真に競り勝ちシュートを決める。















第4Q 残り7:03

舟栄    61
星垓    54










涼真「ふぅ…」
(一瞬も気が抜けねえな…)













慎太郎「切り替えましょう!1本!」










慎太郎、髙木とのピックアンドロールから逆サイドにいた新城にパス。










ビッ!







新城、スリーポイント。











新城「お?」
(なんかすげえシュートが打ちやすい?)














スパッ!












星垓メンバー「「「きたぁ!」」」







「スリー3連続!」











第4Q 残り6:48

舟栄    61
星垓    57













新城「いい感じだ…」
(でもなんで急に?)















唐沢「中山君、素晴らしいプレイだ」







中澤「中山…?慎太郎ですか?」
(確かにアシストは量産してるけど)








唐沢「決めた北条君や新城君も流石ですが、このオフェンスの鍵は中山君です」









矢島「確かに状況判断は凄いですけど、新城にもできるんじゃ…」









唐沢「実は中山君のアシストは、シューターやフィニッシャーに対してこの上なく受けやすいパスなんです」








真田(めちゃくちゃなパスもあったのに?)










唐沢「一見ダイナミックでスパルタなパスもありますが、ボールの縫い目まで受け手の手元のベストポジションに来るようなパスをしてるんです」








中澤「え?」
(そんなことできんのか…?)



















山下「中山君がそんなピンポイントなパスを?」








村上「そうだ。俺も気づいたのはついさっきだがな」








山下「でもそれが何だと言うんですか…?」







村上「大抵の選手は練習の時、シューティングの練習からドライブ、レイアップと基本的な練習をするだろ?
そういう時ボールを持ちやすい持ち方ってのは、ボールの縫い目が横に平行にくる持ち方なんだ。シューターによっては縫い目に最後指先を引っ掛けるようなシュートを打つ選手も結構いる。
だがバスケットボールのような激しいスポーツで試合中にそんなこと気にしてる余裕なんてないんだよ」






山下「確かに…」




















唐沢「ところが中山君のパスはめちゃくちゃに見えて計算されたパスを出している。
ディフェンスをより効率的にかわし、かつ縫い目がキャッチの瞬間に綺麗に横向きになるように。
しかも北条君に出すパスの場合は更に指先にボールの縫い目がピンポイントで来るような、そんなパスをしている。
選手にはそれぞれリズムというものがありますが、受け手との息が合わないパスというのは知らず知らず調子を落としていく。裏を返せば完璧なパスは完璧なリズムを作るんです。」






矢島「確かに思い当たる節は少しあるような…」














唐沢「普段からあれだけ仲のいい2人です。互いのリズムや得意なプレイ、ボールの受け方のような細かい癖まで熟知してるでしょう。
中山君はそのままでもそのパスセンスでチームの調子を上げられる素晴らしいガードです。ですがそのチームメイトが北条君となると…」








真田「涼真の能力の全てを引き出す事も可能だと…」











唐沢「そういう事です」









中澤「あ、有り得ない…そんなの…」











唐沢「そう、普通なら有り得ない。北条君と中山君、ミニバスからずっとコンビでプレイしてきた2人にしかできない究極のコンビプレイでしょうね」















スパッ!








コートでは本庄がフェイダウェイでミドルシュートを決める。












神崎「すみません、止めきれなかった」








新城「切り替えろ」









慎太郎「1本行きましょう!」











慎太郎、涼真とのピックアンドロールでインサイドへ切り込む涼真へドンピシャのパス。











霧谷「もう飽きたぜ!そのパターンはよ!」











涼真のレイアップを後ろから叩き落とさんとする。















ビッ!!












涼真、目線はゴールに向けたままアウトサイドへパス。













慎太郎「ドンピシャ!」










慎太郎、アウトサイドでパスを受ける。






















唐沢「そしてそれは逆も同じ。
北条君に意識が集中するのなら…」





















スパァッ!!!















「きたぁ!中山のスリーポイント!!」














第4Q 残り6:16

舟栄    63
星垓    60























唐沢「互いのパスで互いの調子を上げあえる。
1人1人でも素晴らしいプレイヤーですが、2人になるともう手が付けられない。
北条君がゾーンに入りかけたタイミングで中山君を投入して正解でした」






















試合はいよいよ、調子を上げゾーンに入ってきた両エースを中心に












点の取り合いの様相を呈してきた。





















……To be continued
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