BUZZER OF YOUTH

Satoshi

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第2章 インターハイ〜

第107話 異常なスコア

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インターハイ3回戦、vs舟栄








涼真のワンマン速攻で先制するも、直後に霧谷に1on1から得点される。









第1Q 残り9:40

舟栄    2
星垓    2











新城「よし、1本!」










新城がボールを運ぶ。









新城(マッチアップの6番近藤…前よりディフェンスに隙がない。相当鍛えてきたな…前よりボールコントロールしづらい)








ビッ!









ボールは新城から左ウイングの真田へ。








真田からローポストの髙木へ。









髙木、スピンムーブで永島を抜く。










永島「くっ…」
(髙木…前よりスピードもテクニックもすげえ…)







バス!







第1Q 残り9:21

舟栄    2
星垓    4








良ポジションを一瞬で確保しゴール下を難なく沈める。









永島「くっ…」
(確かに上手いが…ヘルプが誰もいなかった…?)











唐沢「ふむ。ナイスプレー神崎くん」









中澤「神崎?」










唐沢「今のオフェンス、逆サイドで北条くんに神崎くんがスクリーンをかけに行っていたんですが、それによってゴール下のスペースが空いたんです。ディフェンスも一緒につり出されるから。
瞬時に判断して髙木くんが1on1をするスペースを作っていました」







矢島「なるほど」









続いて舟栄のオフェンス。









舟栄は全員がボールに触れるように積極的にボールを動かす。








キュキュッ!!








星垓のディフェンスはマンツーマン。







ボールが動くのに合わせて一瞬でディフェンスも動く。








近藤「なかなかディフェンスに穴ができないな…」
(エースの霧谷の個人技で打開したいけど…北条がボールを入れづらいディフェンスをしてやがる…)







やむなく24秒タイマーギリギリで近藤自らシュート。










ガッ!










これが外れ、神崎がリバウンド。












新城(これで決められれば主導権を握れる!)




新城「速攻!」








神崎からボールを受けた新城、展開を早くしてイージーバスケットを狙う。









だが舟栄の戻りが早く速攻は失敗。








新城(流石にそんな甘くねえか…)






星垓、外で涼真と真田、新城でボールを回しチャンスを伺う。







そして24秒タイマー残り10秒









トップよりやや左サイド寄りで新城がボールを受ける。









新城、そこから左へドライブ。








近藤、並走する。










ガシッ!









髙木がいつの間にかスクリーンに来ていた。
近藤、完全に死角だった為振り切られる。








近藤「ピックアンドロールだ!」








髙木、ロールしてゴール下へ向かう。





近藤、髙木へ出るパスを防がんとミスマッチは承知でスイッチ。







だが…










ガシッ!!








近藤「!?」








涼真「残念」








涼真がロールする髙木にスクリーンに来ていた。










永島「スペインピックか!」









だが、既に新城はパスを出していた。







それも、リング付近へのふわりとしたパス。











髙木、ボールに向かい跳んだ。










近藤「アリウープ…!?」
(まずい…!)











邪魔する物は何もない。













ドッガアアァァァァァァァァアア!!!!











髙木のボースハンドダンク。











髙木「!?」














が、ボールはリングを通過していない。










そのままボールはコート外へ。










審判「星垓ボール!」








髙木「…お前か…霧谷」






霧谷「ギリギリだったけどな」








涼真が髙木へスクリーンに行った時、ゴール下に1人残っていた霧谷。








アリウープせんと跳ぶ髙木の背後で跳び、ブロックショットではないものの指先だけだが髙木が掴もうとしていたボールを弾く事に成功していた。








結果、その僅か弾いた事で髙木はボールを掴み損ね、ダンクを阻止。










その直後のスローインから新城が無理な体勢からミドルシュートを放つ。











ゴン!








これが外れ、永島がリバウンド。








近藤「よし!1本!」










新城「む…」
(トランジションを早くしてきた…)








近藤、永島からボールを受けて3秒でフロントコートへ。







アウトサイドの本庄、岩倉と小気味よくボールを回す。









近藤(結構揺さぶってるのにディフェンスに穴ができない。淡白なオフェンスと言っちゃそれまでだが…)












ガン!!







こちらも結局、本庄が神崎のチェックを受けながら打ったスリーポイントがリングに弾かれる。




本庄(こいつ…前より全然ペリメーターでの動きについてくる…機動力が格段に上がってるな、注意しないと)










山下「最初の数本のオフェンスから点が入らなくなりましたね…」




村上「特にディフェンスが劇的に成功している…訳でもなく単純に両チーム共オフェンスの調子がイマイチだな」
(まあ、さっきの霧谷のアリウープ阻止はビッグプレイだが)









両チームここからシュートが全くと言っていい程当たりがこなくなった。










ガン!!





舟栄メンバー「いいぞ永島!」



「ナイスディフェンス!」








直後のオフェンス、髙木のゴール下に対し永島が上手く身体を寄せてシュートを外させれば












涼真のチェックを受けながらの霧谷のレイアップもリングに嫌われる。









霧谷「チッ…」
(じゅうぶん決めれたはずなのに…!)









中澤「よーし!そうだ涼真!楽に打たせるな!」











そしてここから両チーム共に更にオフェンスが停滞し始める。

















ピピーッ!!











「また24秒オーバータイム!」





「もう何回目だ!?両チーム共シュートまで全然行けてねえ!」











シュートミス、ターンオーバーを両チーム連発する。











徐々に観客席のどよめきが大きくなってくる。









実に7分間、両チームノーゴール。













ディフェンス先行とはいえ、異常なロースコアを記録していた。

















第1Q 残り1:52

舟栄    2
星垓    4









村上「オフェンスはもちろん両チーム手を抜いてなどいない。なのになんだ、この異常なスコアは…」








山下「極端な守り合いですね…」











両チームの監督も焦っていた。








ディフェンス先行の守り合いの展開こそ、見たり経験したことがない訳ではない。






しかし、ここまでスコアが動かないゲームなどそうそうあるものではない。









しかし下手に動けばどう転ぶかわからない。









それ故に舟栄の佐藤監督も、星垓の唐沢監督も動けずにいた。









しかも、普段は攻撃力が売りの2チームが揃ってこうなっているのだ。









唐沢(どうすればいい…もう迷ってる場合ではないのか…?)






コートでは真田のスリーポイントが外れている。








落ちたボールは幾人かの手で2度弾かれた後











神崎「うらぁっ!」








神崎健太がオフェンスリバウンドをもぎ取る。









神崎、ボールを新城に戻す。








新城「よし!1回仕切り直すぞ!」










唐沢(ふむ…)











唐沢、しばし考えた後…










1人の選手の肩を叩く。













唐沢「出番です。」












ピピーッ!



審判「カットボール!星垓ボール!」








ちょうどアウトオブバウンズでタイマーが止まる。










ブーッ!!









オフィシャル「メンバーチェンジ!星垓!」











オフィシャル脇に立つのは













背番号15、小笠原大樹。











大樹「真田先輩!」








真田「え?俺!?」








舟栄

G  #6   近藤 太一  3年 179㎝
G/F  #4   岩倉 翔大  3年 187㎝
F  #11 本庄 智洋  2年 190㎝
F  #7  霧谷 昭哉  3年 194㎝
C  #5  永島 隼人  3年 199㎝


星垓

G  #4   新城 敦史  3年 184㎝
F  #10 北条 涼真  1年 187㎝
F  #8  神崎 健太  2年 190㎝
C/F #15 小笠原 大樹 1年 187㎝
C  #7  髙木 悠介  3年 198㎝








山下「この交代の意図は…?」








村上「4番ポジションパワーフォワードタイプ2枚…?それで舟栄に機動力で勝負できるのか…?」















大樹「神崎さん!涼真!」




神崎「なんだ?」




大樹「監督から伝言です。2人のマークは今のまま、ただし今までより半歩引いて守って、相手がアウトサイドを打ったら距離を詰めてプレッシャーかけなさい、だそうです」





涼真「なるほど…今両チームシュート入ってないから外からのシュートより切れ込まれるのを防ぐって事か」





大樹「そゆこと。で、俺は4番岩倉をマークする」




涼真「わかった。で、オフェンスは?」






大樹「俺が引っ掻き回すから、いつものようにオフェンスを組み立てなさいってさ」





神崎「そうか。やれるな?大樹」








大樹「任してくださいよ」














星垓ボールから試合再開。








岩倉「おい、マークどうする?霧谷は北条に引き続きマークするとして」





霧谷「あの15番サイズ的にはフォワードだな…ひとまず岩倉がそのままついて、本庄は8番神崎だ」





本庄「了解す」












涼真のスローインから新城がトップでボールキープ。








大樹はウイングとインサイドで動き回っている。










新城、その動きを囮に髙木、涼真とスペインピック。







インサイドでの得点は難しいと見た新城は、アウトサイドに開いた涼真にパスを出した。









ガッ!!









だが、スリーポイントラインから1歩入った位置のミドルはリング手前を弾く。







近藤「よし」











次の瞬間












バシィッ!












「ナイスリバン!大樹!」










スペインピックが始まった瞬間から、インサイドに飛び込むのを待っていた大樹。








涼真のシュートと同時にスクリーンアウトで岩倉を完璧に抑え込む。








岩倉「なっ…?」
(なんつー機動力と馬鹿力…!)









オフェンスリバウンドを取った大樹、ゴール下でフリー。















バスッ!!










そのままゴール下を決める。













第1Q 残り1:15

舟栄    2
星垓    6





およそ7分ぶりにスコアが動いた。

















……To be continued
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