BUZZER OF YOUTH

Satoshi

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第2章 インターハイ〜

第96話 初日と2日目

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「第1ピリオドは星垓が完全に上回ってたな」



「明日当たりそうなのは今のところ星垓ですかね?」








こんな会話をしている高校生の背中には「HOSEI GAKUEN」の文字。












ピピーッ!!




第2Q開始

唐津東  16
星垓   29








ビッ!






唐津東ボールからスタート。






武田「おっ、やってるやってる。羽田先輩、あれが星垓っすよ。涼真や慎太郎のいる」




羽田「ああ、昨年の全中優勝メンバーか」







東海地区王者、愛和工業大学附属もこの対戦を見に来ていた。
この隣のコートでの次の試合の勝者が次の相手となるからである。





武田(初戦って1番何があるかわかんないもんだけど…蓋を開けてみればなんてことはないな。星垓がここで負けることはないだろ、多分)





武田「ん?あれは」
(確か豊誠学園のジャージ…)













バスッ!!








コートでは唐津東、井上が髙木の厳しいチェックを受けながらもタフなフックシュートを決める。








第2Q 残り9:43

唐津東  18
星垓   29






髙木「ちっ…」





新城「ドンマイ。ディフェンスはよかった。切り替えろ」







新城がボールを運び、ボールは涼真へ。








栗山「来い!」






涼真と栗山、1on1での対峙。







ダム!






涼真、シンプルにワンドリブルからのミドルシュート。





栗山、ドンピシャのタイミングでブロックに飛ぶも…








栗山「!?」
(と、届かねえ?)






ジャンプして栗山の伸ばした手の先は、涼真の肘にも届いていなかった。





涼真と栗山の身長はほぼ同じ。
加えて栗山も、60~70㎝程飛んでいる。











それでも、ブロックどころかシュートチェックにすらなっていなかった。








スパッ!!








第2Q 残り9:33

唐津東  18
星垓   31






武田「あーあ。それじゃ守れねえよ」
(あいつは同年代の高校生としてはパワー以外の、身体能力も技術もスピードもずば抜けている。1対1で守れる奴なんて片手で数えるくらいしかいねえよ
特にあいつをああやって飛ばせたらノーマークなのと一緒だぜ)






ドゴオッ!








続くオフェンス、栗山と井上のピックアンドロールからの井上のシュートを、涼真がブロック。







井上「くっ…」
(同じ高校生なのに…なんで30㎝以上も頭が上にあんだよ…!)










武田「中学の時から凄かったけど、まーた身体能力が上がってやがる」
(相当トレーニングしたな…?)








第2Q残り6分で唐津東がタイムアウトを取り、直後の星垓のオフェンス。










涼真「お」










涼真の前には栗山と若谷の2人。








そして他の3人はトライアングルでゾーンを敷いている。












新城「トライアングルツー…しかも涼真にダブルチームか」











新城、左コーナーにパス。












ビッ!










パスを受けた真田、スリーポイント。











スパッ!









新城「じゃ、遠慮なく他で点とるとしますか」








ダブルチームを敷いた事で、必ずどこかノーマークができてしまう事に。






ディフェンスが混乱をきたし、遂には涼真にダブルチームをも破られ点を取られる。








第2Qは、完全に涼真の時間になった。














このQ、星垓が叩き出したスコアは28点。
そのうち、涼真が18点を荒稼ぎした。









そして涼真を止めれば他が空く。














北条涼真という1人のエースが、試合を支配していた。









そして、それだけではなかった。










バシッ!








アウトサイドに出てボールを受けた髙木。








つられて井上も外に出る。









栗山「?」
(センターがあんな外に出て何を?)












ダム!!









髙木、そこからドライブイン。








井上が反応したところをバックロールでかわす。







井上「なっ…?」
(スカウティングだとこんなことして来なかったはずじゃ…?)








バス!










髙木、井上を抜きレイアップを決める。











そして新しい武器は、この男にも。












新城「ヘイ!」







新城、マークの稲居を背負いローポストでボールを要求。







バスッ!





10㎝ほどある身長差を活かし新城がローポストからベビーブックで得点。









稲居「マジかよ」
(ガードがポストプレーだなんて…)
















ピピーッ!!


前半終了

唐津東  30
星垓   57





57点のうち、涼真は既に25得点。
髙木、新城も2桁得点。









山下「前半であわや30点差…しかも新城くんや髙木くん、インターハイ予選ではやってなかったプレイもしてましたね」





村上「そして北条だ。あれだけやられたら当然、ディフェンスの意識は北条に行く。それで結果的に残りのメンバーがプレイしやすくなっているな」





山下「星垓相手だと、まずは北条くんに1対1でつけるプレイヤーがいないとアドバンテージを握られてしまうってことですね」





村上「そして星垓は、北条を止めればそれで終わりではないしな」








そして後半の開始5分程で主力をベンチに下げた星垓。
涼真はこの時点でチーム最多の32得点に加え7リバウンド、4アシスト、3ブロック、2スティール。
得点とリバウンド、ブロックはチーム最多もしくは最多タイ。
華々しいデビューを飾った。





スタメンに代わりコートに出たのは慎太郎、中澤、矢島、宗平、そして賢。







慎太郎がポイントガードとしてコントロールし






中澤は主に得意のディフェンスでバックコートでの相手の反撃の芽を摘む。








矢島はミドルシュートをテンポよく決め








宗平はフロントコートでのディフェンスに加えスクリーンなど数字に現れないところで仕事をする。








賢はパワーこそ相手センターには及ばないものの、持ち前の器用さで互角に渡り合う。








このQだけ見ればほぼ互角だったが、前半の点差が縮まらず時間だけが過ぎていく。












羽田「何やってんだ武田、みんなあっちのコート見にもう行っちまったぞ」







武田「うす」









(まずは初戦突破か。でも次の相手はさすがに甘くないぞ
前に練習試合で勝ったとはいえ…うちも結構苦戦したからな)








第4Qで残る武蔵、大樹も試合に出場。





武蔵は相変わらずのディフェンス、そしてペネトレイトでの得点を量産。







大樹は他を圧倒するパワーでゴール下で奮闘。




第4Qだけで7リバウンドを奪う活躍を見せた。














ピピーッ!!






試合終了

唐津東  70
星垓   95








慎太郎「よーし!初戦突破!」







中澤「浮かれんなよ慎太郎。昨年の冬初めて出た時も初戦突破はしてんだぜ」









星垓、危なげなく初戦突破。







栗山「…」
(終わったんだ…全部)






レフェリー「スコア通りで、星垓!」




「「「ありがとうございました!!」」」











勝利に沸き、堂々とロッカールームへ下がる星垓。









負けたことでインターハイが終わり、悔し涙なども入り交じりながら去ってゆく唐津東。









一発勝負のトーナメント。




負ければそこで道は閉ざされる。












勝者と敗者








明暗を分けつつ大会の試合は消化されていく。











(宮城)明桜 90-72 楊南(沖縄)





(奈良)五条 69-93 豊誠学園(香川)






(茨城)土波日本大学 74-68 鳥取第一(鳥取)




(山口)豊洲 80-100 湘洋大付属(神奈川)





(宮城)仙台学院 73-109 博多第一(福岡)










実力校は下馬評通りに2回戦へと進む。








(岡山)工芸館 60-83 博多大附属大濠(福岡)






(高知)明陽義塾 86-78 霧内(鹿児島)





(山梨)甲懸西 60-73 日南学園(宮崎)






(長野)東裁大諏訪 82-54 橋本(和歌山)








初日で1回戦の全ての試合が行われ











出場全59チームのうち、半分近い27チームが姿を消す。








そして、2回戦の対戦カードが決まる。













-宿舎に戻った星垓メンバー





新城「明日は豊誠学園か。」




髙木「夕飯の後ミーティングだってさ。スカウティングしてきたみたいで」





中澤「いつの間に?」





矢島「なんか、ベンチ入りしてなかった1、2年の何人かでビデオとか撮ってたみたいよ」





髙木「で、明日は何試合目なん?」





新城「今日と同じ会場でBコートの第1試合が、舟栄と兵庫の俊英。で、Bコート第2試合がうちだってさ」















真田「神崎、ミーティング始まるぞ」



神崎は何やら落ち着かない様子。



真田「どうしたんだよ」





神崎「明日戦う豊誠学園ってさ、俺のいとこがいるんだ。俺たちと同じ学年の」







真田「ああ、そういや前に聞いたことあるかもな。で、そいつはどんな奴なん?」








神崎「ポジションも俺と同じだ。けど身長もスキルも何もかもあっちの方が上だ」






真田「ふうん。でもまさかそれを理由に負けていいなんて思ってないよな?」





神崎「まさか」





真田「ならいいんだ。ほらミーティング行くぞ」
















-そしてホテルの一室








星垓メンバーはこの日行われた1回戦







(奈良)五条 - 豊誠学園(香川)



の1戦を見ている。









新城「…」




髙木「…」








スタメンはそれぞれのマッチアップ相手を重点的に見ている。









慎太郎「なんだ?このオフェンス」
(極端にボールサイドカットが多いな)






武蔵「バックドアカットも、フレアカットもかなり多い。フリーオフェンスに見えて組織立ったオフェンスをしてるな」

※バックドアカット
ディフェンスの裏を取りリングに向かうカット

※フレアカット
バックドアとは逆にゴールから遠ざかるカット












涼真「もしかしてこれって…クロックオフェンスって奴っすかね」









一同「「「???」」」









唐沢「そうです。豊誠学園はこのオフェンスを多様している。このオフェンスへの対応が明日の鍵になると思います」

















……To be continued
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