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第2章 インターハイ〜
第95話 出だし好調
しおりを挟む第1Q 残り9:57
唐津東 0
星垓 2
開始早々、涼真のワンマン速攻で先制。
「すげええええ!?」
「ダンクしたよ!?あの1年!」
「あれが東裁大相模にいた北条涼真か!」
唐津東の選手がようやく追いついた頃、涼真は着地しディフェンスへ戻る。
新城「よし!最初のディフェンスしっかり!」
稲居に新城
若谷に真田
栗山に涼真
松井に神崎
井上に髙木
のマッチアップ。
稲居(出だしで躓く訳にはいかねえな)
だが、唐津東が素早くボールを回そうとディフェンスに隙が産まれない。
スクリーンを仕掛けてもファイトオーバーやスイッチで上手くかわされてしまう。
バシィッ!
若谷から栗山へのパスを涼真が叩く。
が、ボールはラインを割りアウト・オブ・バウンズ。
涼真「ちっ…」
(取れなかったか)
唐津東のスローイン。
今度は涼真のディフェンスをかわしギリギリでボールを受けた栗山。
栗山「くっ…」
(ボール受けるだけでこんなに苦労すんのかよ…!)
涼真、シュートにもドライブにも備えた位置取り。
加えて手の出し方が絶妙。インサイドへのパスすらも許さない。
栗山(ほんとに高校1年か…!?隙が無さすぎる)
ビッ!
栗山、勝負を断念しトップの稲居にボールを戻すより選択肢はなかった。
ピピーッ!!!
レフェリーが右手で右肩を触れるようなジェスチャー。
レフェリー「24秒!オーバータイム!」
※オフェンスは自分の攻撃時、24秒以内にシュートまでいかなければならない。
24秒タイマーが0になった時、オーバータイムとなり相手ボールになる。
シュートなどのタイミングで24秒タイマーはリセットされる。
24秒タイマーのリセットのタイミング
・シュートしたボールが「リングに当たった」時(リングに当たらないとリセットされない)
・ターンオーバーなどで相手ボールになる時(時計が止まっても、カットボールなどで攻撃権が同じチームのままの場合はリセットされない)
・ファウルがあった時(この場合、24秒タイマーが残り14秒を切っていた場合、残り14秒からのカウントになる)
新城「よし」
(まず1本止めた)
星垓のオフェンス。
新城に対し、トップ付近で髙木がスクリーンをかける。
稲居(ピックアンドロール!)
「井上!行ったぞ!」
井上、ヘルプに出ようとするも…
ガシィッ!
神崎のスクリーンに捕まる。
新城、リング付近へふわりとしたパス。
バシィッ!!
ドゴォッッ!!!
空中で髙木がキャッチし、そのままボースハンドダンク炸裂!
唐沢「うん、いい感じ」
星垓メンバー「ぃよおし!!」
村上「早速スペインピックできたか」
山下「県大会の時も思ったんですが、新城くんの状況判断能力がこのスムーズなオフェンスを生み出していますね」
村上「スペインピックに絡む3人の何処を活かすのか一瞬で判断して的確なパスを入れるもしくは自分で攻める。またはその合間を縫って動く2年2人を活かす。チームの頭脳であり心臓部と言うにふさわしい」
続く唐津東の攻撃。
井上のアウトレットパスから若谷がミドル。
ガッ!!
真田の懸命のシュートチェックにバランスの崩れたシュートになり、リングに嫌われる。
ガシッ!!
リバウンドは神崎。
栗山「戻…」
ビッ!!
遅かった。
リバウンドを取った神崎、すぐ前線にロングパス。
そこには、既に新城と真田が走っていた。
ディフェンスは、セーフティでいち早く戻った稲居1人。
バスッ!!
新城、パスフェイクから自分でレイアップ。
第1Q 残り8:56
唐津東 0
星垓 6
開始1分で早くも6点を先制。
涼真、髙木、新城とバランス良く得点を取るスタートダッシュ。
唐津東は先程の形から若谷が今度はミドルを沈め、初得点を上げるも…
スパァッ!!
第1Q 残り8:32
唐津東 2
星垓 9
「きたぁ!9番のスリー!」
涼真と髙木のピックアンドポップから繋ぎ、真田のスリーでフィニッシュ。
真田をフリーにしたのは、神崎のスクリーンだった。
そして次の星垓のオフェンス。
同じパターンで真田がシュートを構える。
若谷「2度も打たすか!!」
ビッ!!!
真田、シュートモーションから空中でインサイドにパス。
真田にスクリーンをかけた後、神崎がロールしフリーになっていた。
ドゴォッ!!!
神崎のワンハンドダンク炸裂!!
「おおお!?」
「あいつもダンクしやがった!」
中澤「俺達も驚いてるわ…」
(お前ダンクできたんかい!)
矢島(普段なんでしねえんだよ…)
星垓、オフェンスの的を絞らせずスタメンの5人がバランスよく得点を上げる。
対する唐津東は、ディフェンスをマンツーマンからゾーンに変えたりするも、星垓の多彩なオフェンスパターンの前にイマイチ機能しない。
唐津東は元々ディフェンスからの速攻を売りにしていたチームだが
ディフェンスが上手くいかず得意の速攻が出ないためオフェンスもなかなか活性化しない。
ピピーッ!!
オフィシャル「タイムアウト!唐津東!」
第1Q 残り4:54
唐津東 6
星垓 20
山下「5分足らずでもう14点差…もう20点も取ってる…」
村上「戦前の予想だと、もう少し競る相手だと思ったんだが…あの決勝リーグから更に伸びたか星垓は」
唐津東はタイムアウトを期にディフェンスをゾーンに変え、星垓のオフェンスのスローダウンに成功するも、速攻は相変わらず出ず点があまり伸びない。
栗山「くっ…こんなにも強いなんて」
(U-18候補の髙木、U-16候補の北条だけじゃねえ、全員が積極的にオフェンスに絡んでくる。ディフェンスも連携がめちゃいい上に速い…シュートがほとんど全部タフショットだ…)
稲居(誤算だったな…栗山と井上のところは苦戦すると思ってたけど…髙木と北条だけじゃねえぞこのチーム)
たが、唐津東も佐賀県を制したチーム。
ゾーンをマッチアップ気味にし、アウトサイドシュートを防ぎにいく。
かといってドライブをすると複数人に囲まれる。
このディフェンスが功を奏し、ここから序盤の10点ちょっとのリードを星垓が保ったままゲームが推移していく。
そして
ピピーッ!!!
第1Q 終了
唐津東 16
星垓 29
-星垓ベンチ
中澤「オッケー!まずはいい感じだな」
矢島「ぶっちゃけ、決勝リーグからの1ヶ月の猛練習と、毎週のようにあった練習試合の賜物だな…」
唐沢、スタメンをベンチに座らせる。
唐沢「1Qは様子見でしたが、思いの外点差がつきましたね。
第2Q、それぞれの新しい武器を試して見ましょうか」
新城「なるほど」
唐沢「目の前に本気で向かってくる練習相手がいると思ってやってみましょう」
-一方、唐津東ベンチ
持ち直したとは言え、1Qでいきなり13点のビハインド。
稲居「強いな…背もある上に走りあいでも競ってきやがる」
栗山「あの1年…北条涼真か。一瞬たりとも…身体の一部分も気を抜けなかった
僅かでも緩んだ瞬間にやられちまう」
井上「こっちもだ。パワーこそ並だけどそれ以外にセンターに必要な要素を全部ハイレベルで持ってる」
松井「あの2年も、地味だけど数字に表れない動きが上手い。しかもマークを空けると点も普通に取れる」
若谷「どうする?まずは髙木と北条を優先するか?」
栗山「そうだな。ゾーンがある程度効いたんだ。
ディフェンスでまた少し仕掛けよう」
星垓13点リード。
新しい武器を試す星垓。
ディフェンスで仕掛ける唐津東。
ピピーッ!!
レフェリー「第2Q、始めます!」
……To be continued
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