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第2話 赤ずきん襲来
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小説を書くことって意外と難しい。
自分が体験した物語をそのまま書いているだけなのだけなのにである。
まさか、自分に本を書くことになる思っていなかった。
いや、機会はいくらでもあったかもしれない。かぐやに小説の書き方を教わっておけば良かったと、今更ながら後悔してしまう。
あまり時間がない。
急いで書かねば。
初めて街へ出た。
まるでブレーメンのような街並み。緑も多く、それなりに店も多く賑わっている。
それなのに、馬車、ローブ、旅服、和服...細かく上げるときりがないが、そのような光景が合わさって、なんだか美しい光景を作り上げている。
この光景に目を輝かせていた。
「そんなにキョロキョロしてると怪しまれるわよ」
「ああ。でも元の世界じゃ、絶対見れなかった光景なんだ」
「ほら、みんなこっちを見てる」
こちらの様子に気が付いたのか、辺りの人たちはこちらに近寄ってきた。
「かぐやちゃんの新作の小説、とても面白かったよ。続きが楽しみだなぁ」
「グレーテルちゃんのマジックには心底驚かされたよ。次の公演はいつなんだい?」
皆、英雄を迎えるかのごとく歓声を口にしている。二人のファンのようだ。
二人は慣れた様子で対応をしているが、みんなは意外と俺には話しかけてこない。一緒にいたことは気づかれていないようで。
それにしてもすごい人気だな。人だかりは増えていく一方であっという間に囲まれてしまった。
グレーテルが不意に手を引っ張る。
「この人が今度の、人体切断マジックの練習台になってくれる人だよ!死なないように気を付けてね!ま、注意のしようがないけど」
こいつ、何を言ってるんだ。それとは対照的に周りの人に笑いが走る。
「おいおい、俺を切るより先に刃物を落として自分の足を切るのだけはやめてくれよ」
「ちょっ、えっ。なんで、前やらかしちゃったこと知ってるの!」
再び周りに笑いが走る。適当に言ったつもりが本当にやっていたのか。
「それにかぐやっていうもっと良い被験者がいるだるう」
「かぐやはもう切り飽きた」
「はっ?なにちゃっかりサイコパス発言してんの?そこにいるのは幽霊かなにかですか?」
「かぐやは......スライム並みに再生能力高いから!」
「グレーテル、あとで覚えておきなさいよ」
「ひゃぁーあ」
周りの人たちの笑いに合わせて、再び体になにかふわふわした感覚が流れる。初めてこの世界に来た時と同じ感覚だ。
かぐやが耳元で囁く。
「この感覚、覚えておきなさいよ。これから必要になるから」
相変わらず、脳がとろけるような萌え声。
なんとなく想像がつく。そうか、この感覚が魔力の流れる感覚なんだ。なんだか新鮮な感覚。これが第六感と呼ばれる感覚なのだろうか。
「ではそろそろ行かせてもらうわ。ゴウヤ、グレーテル、ついておいで」
「あ!それと」
何かを思い出したかのようにファンの一人が呼び止める。
「最近は何かと物騒だから気をつけなよ。なんでも、昨日の祭りで果実が盗まれたらしいからね」
「もう知ってるわよ。レッドフードのみんなはお気の毒にね」
この世界の国家機関は完全ギルド制になっている。政策や命令は女王と主要なギルドのマスター達の会議で決定されていく。
その中で、元の世界でいう警察の役割をしているのがレッドフードというギルド。こんな大事件ならギルドマスター自ら動くんじゃないか?
「じゃ、三人とも気を付けて。神の御加護がありますように」
そう言って十字架を見せウィンクしてくる。神父さんなのに昼間から俺らと戯れてて大丈夫なのかよ。
「さぁ!鍛冶屋へレッツゴー!」
「鍛冶屋にはこの前行ったばかりじゃない。遠いし。市場に行くわよ」
「えぇー。新しい服欲しいのに。あ、ゴウヤもここで着る服無いでしょ?行きたいよね?」
鍛冶屋に服?何か鎧でも買いに行くのか?
「え、なんで鍛冶屋に服買いに行くの?それもはや鍛冶してなくね?」
「ゴウヤ馬鹿?鍛冶屋が鍛冶だけで生きていけるわけなくない?」
「いや知らねえよ。なんかツッコミ所多すぎるだろ」
「鍛冶屋は戦争が終わってから急に仕事が無くなって。鍛冶だけじゃ稼げなくなって、普段着も作るようになったんだよ。あいつら加工だけは上手だからね」
なるほど...ちゃんとした背景があるんだな。
「で、その戦争っていつ頃終わったの?」
「1200年前!グレーテルちゃんはなんでも知ってるから」
「ほう?なんでもね?それは頼もしい」
「も、もちろんじゃない!」
かぐやは......なぜかツボにはまったかよように大爆笑していた...。
いったい今の会話のどこに笑えるポイントがあったというのだろう…。
「なんでも知ってるグレーテルちゃん。あの子は誰?」
さっきから気になっていた。ファンに取り囲まれた時から無表情でこちらを見つめている赤い頭巾をかぶっている少女。
「かぐや......」
「なんでこんなところにいるのかしら。レッドフードのマスター。赤ずきんメイジー。」
するとこちらに気が付いたのか、瞬間移動で突然目の前に現れた。
「こんにちは。かぐや姫、グレーテル。それに...おっさん」
「おい。まだ全然若いわ。18歳だそ。眼球の更新した方がいいんじゃないか?」
「っはは。なかなか面白いこと言うねぇ。」
こいつ、何かがおかしい。不気味というか人間味が無いというか。違和感しかない。
「私達になんか用?」
グレーテルが困った様子で問いかける。
「あー。今さらそれ聞く?私が現れたってことはそういう意味だと理解できない?」
どういう意味なのか理解できずにいた。
「さっきの呼び方訂正するよ。果実を秘境に移動する前に不正に盗んだ道化師。共犯者の魔法書作家。それに...お前は誰だ?」
「待ちなさい。私達が犯人?言いがかりにも程があるわよ」
「実は祭り会場全体が時空記録本の上にできていてね。すべての行動はこの本に書かれている。もちろん君達が果実を盗んだ様子も」
そう言って二人に本を見せる。
「嘘...。そんな...。なんで残ってるの」
「で、質問なんだけど。果実をどこへやった?黙って返してくれれば『かぐや姫』に敬意を表し、無罪になるよう説得するよ」
「そんなの食べたに決まってるじゃない」
ちょっと待ってくれ。グレーテルが魅惑の果実を盗んで食べた?
「っ!?それがどれだけ思い罪なのか分かってるのか?」
突然足元に大きな魔法陣が浮かび上がった。
「全員まとめて連行だっ!」
「あら?寝ぼけてるんじゃない?」
かぐやのその可愛い声と共に魔法陣がが消えていく。
「触れるだけで魔法を消す能力...!疑っていたけど本当に存在するとはね。でも状況はなにも変わらない」
気が付くと辺りはたくさんの武装した兵士に囲まれていた。そのさらに外でさっきのファン達が心配そうに見ている。
「それに、魔法を使わなくても十分捕まえることはできる」
厳つい大男が鉄球を持って近づいてきた。
「死にたくなかったらおとなしくついてこい」
この状況。なにも知らない俺でも分かる。いわゆる絶対絶命。
「やるよっ!かぐや!」
「同じこと考えていたわ」
「完成身代永術!」
自分が体験した物語をそのまま書いているだけなのだけなのにである。
まさか、自分に本を書くことになる思っていなかった。
いや、機会はいくらでもあったかもしれない。かぐやに小説の書き方を教わっておけば良かったと、今更ながら後悔してしまう。
あまり時間がない。
急いで書かねば。
初めて街へ出た。
まるでブレーメンのような街並み。緑も多く、それなりに店も多く賑わっている。
それなのに、馬車、ローブ、旅服、和服...細かく上げるときりがないが、そのような光景が合わさって、なんだか美しい光景を作り上げている。
この光景に目を輝かせていた。
「そんなにキョロキョロしてると怪しまれるわよ」
「ああ。でも元の世界じゃ、絶対見れなかった光景なんだ」
「ほら、みんなこっちを見てる」
こちらの様子に気が付いたのか、辺りの人たちはこちらに近寄ってきた。
「かぐやちゃんの新作の小説、とても面白かったよ。続きが楽しみだなぁ」
「グレーテルちゃんのマジックには心底驚かされたよ。次の公演はいつなんだい?」
皆、英雄を迎えるかのごとく歓声を口にしている。二人のファンのようだ。
二人は慣れた様子で対応をしているが、みんなは意外と俺には話しかけてこない。一緒にいたことは気づかれていないようで。
それにしてもすごい人気だな。人だかりは増えていく一方であっという間に囲まれてしまった。
グレーテルが不意に手を引っ張る。
「この人が今度の、人体切断マジックの練習台になってくれる人だよ!死なないように気を付けてね!ま、注意のしようがないけど」
こいつ、何を言ってるんだ。それとは対照的に周りの人に笑いが走る。
「おいおい、俺を切るより先に刃物を落として自分の足を切るのだけはやめてくれよ」
「ちょっ、えっ。なんで、前やらかしちゃったこと知ってるの!」
再び周りに笑いが走る。適当に言ったつもりが本当にやっていたのか。
「それにかぐやっていうもっと良い被験者がいるだるう」
「かぐやはもう切り飽きた」
「はっ?なにちゃっかりサイコパス発言してんの?そこにいるのは幽霊かなにかですか?」
「かぐやは......スライム並みに再生能力高いから!」
「グレーテル、あとで覚えておきなさいよ」
「ひゃぁーあ」
周りの人たちの笑いに合わせて、再び体になにかふわふわした感覚が流れる。初めてこの世界に来た時と同じ感覚だ。
かぐやが耳元で囁く。
「この感覚、覚えておきなさいよ。これから必要になるから」
相変わらず、脳がとろけるような萌え声。
なんとなく想像がつく。そうか、この感覚が魔力の流れる感覚なんだ。なんだか新鮮な感覚。これが第六感と呼ばれる感覚なのだろうか。
「ではそろそろ行かせてもらうわ。ゴウヤ、グレーテル、ついておいで」
「あ!それと」
何かを思い出したかのようにファンの一人が呼び止める。
「最近は何かと物騒だから気をつけなよ。なんでも、昨日の祭りで果実が盗まれたらしいからね」
「もう知ってるわよ。レッドフードのみんなはお気の毒にね」
この世界の国家機関は完全ギルド制になっている。政策や命令は女王と主要なギルドのマスター達の会議で決定されていく。
その中で、元の世界でいう警察の役割をしているのがレッドフードというギルド。こんな大事件ならギルドマスター自ら動くんじゃないか?
「じゃ、三人とも気を付けて。神の御加護がありますように」
そう言って十字架を見せウィンクしてくる。神父さんなのに昼間から俺らと戯れてて大丈夫なのかよ。
「さぁ!鍛冶屋へレッツゴー!」
「鍛冶屋にはこの前行ったばかりじゃない。遠いし。市場に行くわよ」
「えぇー。新しい服欲しいのに。あ、ゴウヤもここで着る服無いでしょ?行きたいよね?」
鍛冶屋に服?何か鎧でも買いに行くのか?
「え、なんで鍛冶屋に服買いに行くの?それもはや鍛冶してなくね?」
「ゴウヤ馬鹿?鍛冶屋が鍛冶だけで生きていけるわけなくない?」
「いや知らねえよ。なんかツッコミ所多すぎるだろ」
「鍛冶屋は戦争が終わってから急に仕事が無くなって。鍛冶だけじゃ稼げなくなって、普段着も作るようになったんだよ。あいつら加工だけは上手だからね」
なるほど...ちゃんとした背景があるんだな。
「で、その戦争っていつ頃終わったの?」
「1200年前!グレーテルちゃんはなんでも知ってるから」
「ほう?なんでもね?それは頼もしい」
「も、もちろんじゃない!」
かぐやは......なぜかツボにはまったかよように大爆笑していた...。
いったい今の会話のどこに笑えるポイントがあったというのだろう…。
「なんでも知ってるグレーテルちゃん。あの子は誰?」
さっきから気になっていた。ファンに取り囲まれた時から無表情でこちらを見つめている赤い頭巾をかぶっている少女。
「かぐや......」
「なんでこんなところにいるのかしら。レッドフードのマスター。赤ずきんメイジー。」
するとこちらに気が付いたのか、瞬間移動で突然目の前に現れた。
「こんにちは。かぐや姫、グレーテル。それに...おっさん」
「おい。まだ全然若いわ。18歳だそ。眼球の更新した方がいいんじゃないか?」
「っはは。なかなか面白いこと言うねぇ。」
こいつ、何かがおかしい。不気味というか人間味が無いというか。違和感しかない。
「私達になんか用?」
グレーテルが困った様子で問いかける。
「あー。今さらそれ聞く?私が現れたってことはそういう意味だと理解できない?」
どういう意味なのか理解できずにいた。
「さっきの呼び方訂正するよ。果実を秘境に移動する前に不正に盗んだ道化師。共犯者の魔法書作家。それに...お前は誰だ?」
「待ちなさい。私達が犯人?言いがかりにも程があるわよ」
「実は祭り会場全体が時空記録本の上にできていてね。すべての行動はこの本に書かれている。もちろん君達が果実を盗んだ様子も」
そう言って二人に本を見せる。
「嘘...。そんな...。なんで残ってるの」
「で、質問なんだけど。果実をどこへやった?黙って返してくれれば『かぐや姫』に敬意を表し、無罪になるよう説得するよ」
「そんなの食べたに決まってるじゃない」
ちょっと待ってくれ。グレーテルが魅惑の果実を盗んで食べた?
「っ!?それがどれだけ思い罪なのか分かってるのか?」
突然足元に大きな魔法陣が浮かび上がった。
「全員まとめて連行だっ!」
「あら?寝ぼけてるんじゃない?」
かぐやのその可愛い声と共に魔法陣がが消えていく。
「触れるだけで魔法を消す能力...!疑っていたけど本当に存在するとはね。でも状況はなにも変わらない」
気が付くと辺りはたくさんの武装した兵士に囲まれていた。そのさらに外でさっきのファン達が心配そうに見ている。
「それに、魔法を使わなくても十分捕まえることはできる」
厳つい大男が鉄球を持って近づいてきた。
「死にたくなかったらおとなしくついてこい」
この状況。なにも知らない俺でも分かる。いわゆる絶対絶命。
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