昭和浪漫ノスタルジー「遥か彷徨の果ての円舞曲」

歴野理久♂

文字の大きさ
上 下
64 / 121
二章 再会は胸を締め付ける

………秘密の入江の追憶

しおりを挟む

「アキ兄ちゃん、こっちだよ。ほらここ、ここを下りて行くんだ」
「え、こんな危ないところ、よく祐ちゃん一人で下りて行ったね」

「うん、だってみんなが海で泳いでいる間、僕だけ一人で見てるのつまらないんだもん。だからさ、僕いつも一人で探検していたんだ」
「え、探検?祐ちゃん一人で?」

「うん、それでね、すごくいい場所見つけたんだ。アキ兄ちゃんにだけ教えてあげる。気をつけて、この辺よく滑るから」
「驚いたな、祐ちゃんがそんな事していたなんて。寂しかったなら俺に言えばよかったのに、そしたら俺、別に海になんて入らなくても……」

「そんなじゃなくて、僕一人で秘密の探検を楽しんでいたんだ。ほら、この大きな岩と岩の間、自然のトンネルになっているだろ、ここを通り抜けるんだ 」
「へ~っ、よく見つけたね、上からじゃ全然わからなかったよ。このトンネルの向こうに一体何があるんだい?」

「すごいでしょ?このトンネル回りくねって、岩がゴロゴロしているから気をつけて、もうすぐだよ?もうすぐ出口だからね」
「わあ!こんなところに、こんな場所が?!」

「どう?あき兄ちゃん。綺麗でしょ?すごいでしょ?」
「すごいよ祐ちゃん!こんなところに、こんな小さな入江があるなんて、すごい大発見だ!」

「ここから眺める夕日がとっても綺麗なんだよ。引き潮の時はね、向こうに見える、ほら、あのアシカみたいな岩の所まで行けるよ?カニとかヒトデとか沢山いるし、とっても面白いんだ 」
「祐ちゃん、一人で本当によく見つけたね。ここは祐ちゃんの秘密の場所だね」

「ん~ん、アキ兄ちゃんと二人の場所だよ。二人だけの秘密の入江」
「そうか、俺と祐ちゃんと二人だけの、誰にも内緒の秘密の入江だね」

「そうだよ、絶対絶対秘密の入江」


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

好きなあいつの嫉妬がすごい

カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。 ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。 教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。 「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」 ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」

ある少年の体調不良について

雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。 BLもしくはブロマンス小説。 体調不良描写があります。

獣人将軍のヒモ

kouta
BL
巻き込まれて異世界移転した高校生が異世界でお金持ちの獣人に飼われて幸せになるお話 ※ムーンライトノベルにも投稿しています

そんなの真実じゃない

イヌノカニ
BL
引きこもって四年、生きていてもしょうがないと感じた主人公は身の周りの整理し始める。自分の部屋に溢れる幼馴染との思い出を見て、どんなパソコンやスマホよりも自分の事を知っているのは幼馴染だと気付く。どうにかして彼から自分に関する記憶を消したいと思った主人公は偶然見た広告の人を意のままに操れるというお香を手に幼馴染に会いに行くが———? 彼は本当に俺の知っている彼なのだろうか。 ============== 人の証言と記憶の曖昧さをテーマに書いたので、ハッキリとせずに終わります。

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

別れの夜に

大島Q太
BL
不義理な恋人を待つことに疲れた青年が、その恋人との別れを決意する。しかし、その別れは思わぬ方向へ。

処理中です...