昭和浪漫ノスタルジー「遥か彷徨の果ての円舞曲」

歴野理久♂

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二章 再会は胸を締め付ける

………秘密の入江の追憶

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「アキ兄ちゃん、こっちだよ。ほらここ、ここを下りて行くんだ」
「え、こんな危ないところ、よく祐ちゃん一人で下りて行ったね」

「うん、だってみんなが海で泳いでいる間、僕だけ一人で見てるのつまらないんだもん。だからさ、僕いつも一人で探検していたんだ」
「え、探検?祐ちゃん一人で?」

「うん、それでね、すごくいい場所見つけたんだ。アキ兄ちゃんにだけ教えてあげる。気をつけて、この辺よく滑るから」
「驚いたな、祐ちゃんがそんな事していたなんて。寂しかったなら俺に言えばよかったのに、そしたら俺、別に海になんて入らなくても……」

「そんなじゃなくて、僕一人で秘密の探検を楽しんでいたんだ。ほら、この大きな岩と岩の間、自然のトンネルになっているだろ、ここを通り抜けるんだ 」
「へ~っ、よく見つけたね、上からじゃ全然わからなかったよ。このトンネルの向こうに一体何があるんだい?」

「すごいでしょ?このトンネル回りくねって、岩がゴロゴロしているから気をつけて、もうすぐだよ?もうすぐ出口だからね」
「わあ!こんなところに、こんな場所が?!」

「どう?あき兄ちゃん。綺麗でしょ?すごいでしょ?」
「すごいよ祐ちゃん!こんなところに、こんな小さな入江があるなんて、すごい大発見だ!」

「ここから眺める夕日がとっても綺麗なんだよ。引き潮の時はね、向こうに見える、ほら、あのアシカみたいな岩の所まで行けるよ?カニとかヒトデとか沢山いるし、とっても面白いんだ 」
「祐ちゃん、一人で本当によく見つけたね。ここは祐ちゃんの秘密の場所だね」

「ん~ん、アキ兄ちゃんと二人の場所だよ。二人だけの秘密の入江」
「そうか、俺と祐ちゃんと二人だけの、誰にも内緒の秘密の入江だね」

「そうだよ、絶対絶対秘密の入江」


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